株式会社大林組

【大林組】資本政策と株主還元 — ROE10%以上・DOE5%目安、自己株1,000億円

株主還元方針 2026.07.28
【大林組】資本政策と株主還元 — ROE10%以上・DOE5%目安、自己株1,000億円

※本記事は大林組が公開したIR資料(インベスターズガイド 2026年6月版)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は同資料公表時点のものです。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

大林組(1802)の資本政策は、「株式市場が期待する株主資本コストを上回るROEの実現」という一点に向けて設計されています。本記事では、インベスターズガイド2026年6月版のP.27〜28に記載された資本効率向上の考え方と株主還元方針を、掲載データに基づいて詳しく整理します。

目次

ROE10%以上の目標と株主資本コスト8〜9%

大林組は、株式市場が期待する株主資本コストを8〜9%と推計しています(2025年度時点の当社推計値・2023年度時点から変動なし)。これを上回るROE10%以上を、利益の創出と戦略的な株主還元による自己資本のコントロールを通じて実現する方針です。目標体系は「当期純利益目標1,000億円」「必要自己資本水準1兆円」「ROE目標10%以上」の3点で構成されます。

この実現に向けた両輪が「成長戦略の実行による持続的な利益成長」と「必要自己資本水準の設定と戦略的な株主還元」です。それぞれ次のように具体化されています。

  • 持続的な利益成長:人材・DX・技術への投資や生産性拡充のための投資を強化して持続可能な利益を創出。社会課題解決に資する分野や成長が期待できる分野で、機会を捉えた成長投資を積極的に実行
  • 必要自己資本の設定:2026年度までの事業規模の推移と投資の実行、建設事業収支の変動、支払条件の改定、政策保有株式の売却、開発事業でのレバレッジの活用等を勘案し、事業ごとに必要自己資本を設定
  • レバレッジの活用:資本効率性向上のため、有利子負債による資金調達を実施
  • 戦略的な株主還元:自己資本配当率(DOE)5%程度を目安とした普通配当に加え、必要自己資本額と利益の状況に応じて機動的な追加還元を実施
大林組の資本政策
資本効率向上の考え方 (出典:大林組「インベスターズガイド」2026年6月版 P.27)

株主還元の基本方針 — 長期安定配当とDOEの採用

株主還元の基本方針は「長期安定配当の維持」です。利益の蓄積による自己資本の充実を株主への安定的で中長期的な還元にこれまで以上に重点を置くため、中期経営計画2022から自己資本配当率(DOE)を配当指標に採用し、2023年度からはDOE5%程度を目安とした普通配当を実施しています(DOE=年間配当総額÷期首・期末自己資本の平均。2013〜2021年度のDOEは参考値)。

普通配当に加えて、必要自己資本額と利益の状況に応じた機動的還元を実施します。具体的には、2025年2月から2026年度までに1,000億円規模の自己株式取得を進めています。

配当の推移 — 1株配当は10年余りで10円から94円へ

ガイドP.28に掲載された株主還元推移から、主な年度を抜粋します。中計2017期間(〜2021年度)まで32円で安定していた1株配当は、DOE採用後に大きく水準を切り上げました。

年度1株当たり配当金配当総額DOE配当性向
2014年度10円71億円1.6%25.0%
2018年度32円229億円3.2%20.3%
2021年度32円229億円2.4%58.7%
2022年度42円301億円3.1%38.8%
2023年度75円538億円5.0%71.6%
2024年度81円579億円5.0%39.9%
2025年度88円609億円5.1%35.3%
2026年度(予想)94円5.0%41.2%

自己株式取得を含めた総還元性向は2024年度48.1%、2025年度68.5%に達しています(自己株式取得額は2024年度119億円、2025年度580億円)。配当性向が年度により大きく振れているのは、業績変動下でもDOE基準の配当水準を維持しているためで、「利益連動」ではなく「自己資本連動」という設計思想が推移からも読み取れます。

大林組の株主還元推移
株主還元の推移 (出典:大林組「インベスターズガイド」2026年6月版 P.28)

資本政策を支えるその他の施策(同ガイドの関連記載)

本テーマはガイドの他ページの記載とも密接に関連しています。いずれも同資料内に明記された事実です。

  • キャッシュアロケーション(P.26):株主還元(DOE5%目安の普通配当+機動的な株主還元)は、5年間の連結営業利益見通し4,800億円程度・政策保有株式売却2,600億円などのキャッシュインを原資とする資金計画に組み込まれている
  • 政策保有株式の縮減(P.29):2027年3月末までのできるだけ早い時期に連結純資産の20%以内へ縮減し、売却で得られた資金は成長投資または株主還元に充当する
  • 中計KPIとしてのDOE(P.25):中期経営計画2022の経営指標目標にDOE5%程度が明記され、実績は2023年度5.0%→2024年度5.0%→2025年度5.1%と目標水準を維持。ROEは2025年度実績14.4%と目標(2026年度10%以上)を大きく上回った

(出典:大林組「インベスターズガイド」2026年6月版 P.25〜29)

本記事は「大林組 インベスターズガイド2026」徹底解説シリーズの一部です。全体像・他の記事はハブ記事からご覧ください。

※本記事は大林組が公開したIR資料(インベスターズガイド 2026年6月版)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は同資料公表時点のものです。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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