※本記事は当該企業が公開したIR資料(2026年3月期 決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標(営業利益・事業利益等)の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
三井不動産は2026年5月13日、2026年3月期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の決算を発表した。営業収益は2兆7,097億円(前期比3.2%増)、同社が主要な収益指標と位置付ける事業利益は4,451億円(同11.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,786億円(同12.0%増)となった。
営業収益・営業利益・事業利益・経常利益・純利益の主要5指標がすべて前期比増収増益となり、いずれも過去最高を更新した。あわせて、グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」における2027年3月期(2026年度)の利益目標およびROE目標を1年前倒しで達成したとしている。
①業績ハイライト:2026年3月期 連結業績
| 指標 | 2026年3月期実績 | 2025年3月期実績 | 増減 | 増減率 | 2026年3月期予想(2026/2/6公表) | 達成率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 27,097億円 | 26,253億円 | +843億円 | +3.2% | 27,000億円 | 100.4% |
| 営業利益 | 3,977億円 | 3,727億円 | +250億円 | +6.7% | 3,950億円 | 100.7% |
| 事業利益 | 4,451億円 | 3,986億円 | +464億円 | +11.6% | 4,400億円 | 101.2% |
| 経常利益 | 3,133億円 | 2,902億円 | +230億円 | +7.9% | 3,050億円 | 102.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,786億円 | 2,487億円 | +298億円 | +12.0% | 2,700億円 | 103.2% |

過去最高の更新は、営業収益が14期連続、事業利益が2期連続、営業利益・経常利益・純利益がそれぞれ4期連続となる。1株当たり当期純利益(EPS)は101.00円(前期89.22円)だった。
②セグメント別動向
| セグメント | 2026年3月期 事業利益 | 前期比増減 | 前期比増減率 |
|---|---|---|---|
| 賃貸 | 1,770億円 | +5億円 | +0.3% |
| 分譲(計) | 1,931億円 | +261億円 | +15.6% |
| うち国内住宅分譲 | 1,120億円 | +155億円 | +16.2% |
| うち投資家向け・海外住宅分譲等 | 811億円 | +105億円 | +14.9% |
| マネジメント | 808億円 | +92億円 | +12.9% |
| 施設営業 | 463億円 | +77億円 | +20.0% |
| その他 | 101億円 | +36億円 | +54.9% |
| 消去他 | -624億円 | -8億円 | ― |
- 賃貸:国内外オフィスの収益・利益の拡大等によりセグメント全体で増益。当社(首都圏・単体)のオフィス空室率は1.6%(マーケットの都心5区は2.2%)と低水準を維持した。
- 国内住宅分譲:「三田ガーデンヒルズ」「パークシティ高田馬場」等の引渡し進捗により増益。次期(2026年度)の計上予定戸数は2,350戸、契約進捗率は75%。
- 投資家向け・海外住宅分譲等:販売用不動産および固定資産をトータルで捉え、資産回転を加速したことにより増益。
- マネジメント:カーシェア事業における収益増加や施設売上拡大に伴うマネジメントフィー増加等により増益。仲介・アセットマネジメント等はプロジェクトマネジメントフィーの増加等により増益。
- 施設営業:ホテル・リゾートのADR・稼働率上昇や、東京ドームにおける使用料の増額改定等により増益。宿泊主体型ホテルのRevPARは前期比110%超となった。

③財務・資本効率
ROEは8.7%(前期8.0%)となり、「& INNOVATION 2030」の2026年度目標「8.5%以上」を1年前倒しで達成した。自己資本比率は32.4%(前期31.9%)に上昇。総資産は10兆1,035億円(10,103,474百万円)、純資産は3兆3,848億円(3,384,844百万円)、うち自己資本は3兆2,775億円(3,277,508百万円)だった。
有利子負債は約4兆6,325億円、D/Eレシオは1.41倍(目標レンジ1.2〜1.5倍程度)。1株当たり純資産は1,206.06円。政策保有株式は2023年度末対比で累計約40%縮減しており、2024〜2026年度の3か年累計で50%以上縮減する目標に向け進捗している。格付けはR&I:AA-、S&P:A-、Fitch:A、Moody’s:A3、JCR:AAで、いずれもアウトルックは安定的。
④株主還元
| 期 | 年間配当金 | 中間配当金 | 期末配当金 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期(実績) | 31円 | 15円 | 16円 |
| 2026年3月期(実績) | 35円 | 17円 | 18円 |
| 2027年3月期(予想) | 37円 | 18.5円 | 18.5円 |
2026年3月期の年間配当金は35円/株となり、前期の31円/株から4円増配。2025年11月7日公表の予想34円/株からも1円上振れた。自己株式取得は570億円を実施済み(取得期間:2025年12月8日〜2026年3月9日、消却予定日:2026年5月29日)。総還元性向(当期年間配当総額+自己株式取得総額を親会社株主に帰属する当期純利益で除した値)は54.9%(予定)となった。
次期(2027年3月期)は年間配当金37円/株を予想しており、当期35円/株から2円増配、増配は6期連続となる見込み。自己株式取得は400億円を予定(取得期間:2026年5月14日〜2026年10月31日)しており、期中の追加取得も検討するとしている。

⑤2027年3月期 会社予想
| 指標 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 増減 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 27,097億円 | 28,000億円 | +902億円 | +3.3% |
| 営業利益 | 3,977億円 | 4,100億円 | +122億円 | +3.1% |
| 事業利益 | 4,451億円 | 4,500億円 | +48億円 | +1.1% |
| 経常利益 | 3,133億円 | 3,150億円 | +16億円 | +0.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,786億円 | 2,850億円 | +63億円 | +2.3% |
計画通り進捗すれば、営業収益は15期連続、事業利益は3期連続、営業利益・経常利益・純利益はそれぞれ5期連続で過去最高を更新する見込み。
- 賃貸(予想1,800億円、+1.7%):国内オフィスや米国賃貸物件の竣工に伴う費用増を織り込みつつ、国内外オフィスの賃料増加や国内外商業施設の売上増加による賃貸利益の伸長を見込む。
- 分譲(予想2,100億円、+8.7%):国内住宅分譲は都心・高額・大規模物件計上の反動で650億円(-42.0%)を見込む一方、投資家向け・海外住宅分譲等は資産回転の加速により1,450億円(+78.6%)を見込み、セグメント全体では増収増益。
- マネジメント(予想750億円、-7.3%):当期に計上した一過性のマネジメントフィーの反動等を織り込み減益を見込む。
- 施設営業(予想450億円、-2.9%):ホテル・リゾートの旺盛な需要による収益・利益拡大があるものの、新規大規模物件の竣工に伴う費用増を見込み、当期と同程度の水準を見込む。
⑥中期経営計画の進捗(& INNOVATION 2030)
2024年4月策定の長期経営方針「& INNOVATION 2030」では、2026年度(2027年3月期)の定量目標としてEPS成長率+8%/年以上(CAGR)、ROE8.5%以上、事業利益4,400億円以上、純利益2,700億円以上、有利子負債4.5兆円程度、D/Eレシオ1.2〜1.5倍程度、政策保有株式の3か年累計50%縮減などを掲げている。
| KPI | 2025年3月期実績 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 2026年度目標 |
|---|---|---|---|---|
| EPS成長率(CAGR) | +13.7%/年(EPS89.3円) | +13.4%/年(EPS101.0円) | 約+10.3%/年(EPS約105円) | +8%/年以上 |
| ROE | 8.0% | 8.7% | 8.5%以上 | 8.5%以上 |
| 事業利益 | 3,986億円 | 4,451億円 | 4,500億円 | 4,400億円以上 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,487億円 | 2,786億円 | 2,850億円 | 2,700億円以上 |
| 有利子負債 | 約4.42兆円 | 約4.63兆円 | 4.80兆円 | 4.5兆円程度 |
| D/Eレシオ | 1.40倍 | 1.41倍 | 1.4倍台 | 1.2〜1.5倍程度 |
| 政策保有株式縮減(累計) | 約23%縮減 | 約40%縮減 | 累計50%以上縮減 | 50%縮減(3か年累計) |

2026年3月期の実績時点で、事業利益・純利益・ROEはいずれも2026年度目標を1年前倒しで達成した。政策保有株式の縮減は累計約40%まで進んでおり、3か年累計50%以上縮減という目標の達成に向けて進捗している。
⑦まとめ
2026年3月期は、営業収益・営業利益・事業利益・経常利益・純利益の主要5指標すべてが前期比増収増益となり過去最高を更新した。長期経営方針「& INNOVATION 2030」の2026年度目標も1年前倒しで達成するなど、収益成長と資本効率の改善が両立した決算内容だった。
2027年3月期は、分譲セグメントにおける投資家向け・海外住宅分譲等の伸長を牽引役に、主要5指標がそろって最高益を更新する見通し。株主還元では6期連続の増配を予定するなど、業績成長と歩調を合わせた株主還元強化の方針を維持している。
※本記事は当該企業が公開したIR資料(2026年3月期 決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標(営業利益・事業利益等)の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。