通期は対処すべき課題の節が丸ごと削除されて情報量が減った一方、四半期はセグメント再編と新規事象(子会社譲渡益・関税還付金)の説明が加わり粒度はおおむね維持された。
調査の概要
本記事は、東証プライム市場の時価総額上位500社を対象に、決算短信の「経営成績等の概況」相当部分の記載がどう変化したかを調べた調査の一部で、リコー分です。
通期: 2025年3月期決算短信 と 2026年3月期決算短信(開示日: 2025年5月14日 → 2026年5月12日)
四半期: 2026年3月期 第1四半期決算短信 と 2027年3月期 第1四半期決算短信(開示日: 2025年8月7日 → 2026年8月3日)
ここでいう定性文とは、決算短信のうち「1. 経営成績等の概況」相当の見出しから、次の大見出しの手前までの記述を指します。文字数は、タイトル名(『』)を除外し、空白を除いて計測しています。
通期決算短信の比較
文字数: 15,298字 → 10,152字(前期比-33.6%、減少)
見出し構成の変化: 削除: (6)対処すべき課題, ① 本社改革, ② 事業の「選択と集中」の加速, ③ オフィスプリンティング事業の構造改革, ④ オフィスサービス利益成長の加速
粒度の判定: 粗くなった
セグメント情報注記: あり(1271字) → あり(1416字)
変化の型: 構成変更型
増えた要素
- 中期経営戦略'26の発表と新方針(グローバル随一のインテグレーター化)
- PPI(米)・ET Group(加)買収によるワークプレイスエクスペリエンス拡大
- 米国マネージドITサービス事業の売却
- OKIのエトリア参画(2025年10月)の経緯説明
- のれん減損の計上(創薬支援事業、一部地域のオフィスサービス事業)
- 繰延税金資産の回収可能性の見積り変更に伴う税負担増の説明
減った要素
- (6)対処すべき課題の節全体
- 21次中経の基本方針(地域戦略強化・グループ経営進化・グローバル人材活躍)の詳述
- ESG・マテリアリティ(7つの重要社会課題、16のESG目標)の説明
- 資本政策・株主還元の詳細な考え方への言及
要約: 通期は文字数が33.6%減少。主因は(6)対処すべき課題の節(21次中経の基本方針・ESGマテリアリティ・資本政策の詳述)が丸ごと削除されたこと。業績本体の説明(1)〜(5)はおおむね維持されつつ、PPI・ET Group買収、米国マネージドITサービス事業の売却、のれん減損の計上など新規事象の説明が加わった。
四半期決算短信の比較
文字数: 6,984字 → 7,243字(前期比+3.7%、増加)
見出し構成の変化: 追加: (1)当四半期連結累計期間の経営成績の概況, (2)当四半期連結累計期間の財政状態の概況, (3)今後の見通し/削除: (1)連結経営成績に関する定性的情報, (2)連結財政状態に関する定性的情報, (3)連結業績予想に関する定性的情報
粒度の判定: 同等
セグメント情報注記: あり(823字) → あり(331字)
変化の型: 会計基準変更型、出来事型
増えた要素
- 事業セグメント区分の変更(デジタルサービス→ワークプレイスサービス等への再編)の説明
- 連結子会社(孫会社)RAI-SZの持分譲渡益の計上
- 米国関税措置に係る還付金の計上
- 半導体メモリ・石油関連部材の価格上昇によるコスト増への言及
要約: 四半期は文字数がほぼ横ばい(+3.7%)。見出し表記が「〜に関する定性的情報」から「〜の概況」形式に変更され、事業セグメントも「デジタルサービス」等から「ワークプレイスサービス」等へ再編された。子会社(RAI-SZ)株式譲渡益や米国関税還付金の計上など新規事象の説明が加わった。
定性文の全文(前期・今期)
通期 2025年3月期
出典: リコー 2025年3月期 決算短信〔IFRS〕、開示日 2025年5月14日(https://www2.jpx.co.jp/disc/77520/140120250513546794.pdf)
1.経営成績等の概況(1)当期の経営成績の概況■全般の状況経営を取り巻く経済環境当連結会計年度の世界経済は、インフレ率の低下を受けた中央銀行の金融緩和政策に支えられる形で、緩やかな成長を続けました。日本経済も、物価や賃金が上昇し、プラス金利が定着するなど、デフレからの脱却傾向が明確になりました。しかしながら、米国での政権交代以降、その通商政策の影響から世界経済や地政学を巡る不確実性が高まり、金融資本市場の変動も大きくなっています。このような経済情勢の中で、当社グループのメイン市場であるオフィスにおいても、リモートワークをはじめとする新しい働き方が定着し、AIやITの進化に伴って業務プロセスも変わり続けています。それによる顧客課題・ニーズも時代とともに変化し、プリンティング需要は減少傾向にあるものの、デジタルサービスの需要はより高まってきています。一方で、局所的な地政学リスクの高まりによる輸送費・部品費の高騰は続いており、賃金と物価上昇の圧力に対する各国の金融政策動向など、世界経済は依然として不透明な状況です。なお、主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 152.65円(前連結会計年度に比べ 8.12円の円安)、対ユーロが
163.86円(同 7.12円の円安)となりました。当連結会計年度の業績当連結会計年度は当社グループ(当社及び関係会社)にとって、3カ年の第21次中期経営戦略(以下、21次中経)の2年目となります。当社グループの使命と目指す姿である「“はたらく”に歓びを」の実現に向けて、中長期目標として「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」となることを目指して取り組みを進めました。当社グループが注力している領域は、はたらく人を単純作業から解放するプロセスオートメーション、創造性を高めるワークプレイスエクスペリエンス、そしてワークプレイスの基盤となる環境を構築するITサービスの3つです。この注力領域において、グローバルの顧客基盤や顧客の課題把握力・提案力に優れた販売・サービス体制、そして魅力的な自社IP*といった強みを活かしながら、変容するワークプレイスにおいて一貫したサービスをグローバルに提供しています。*自社IP(Intellectual Property):企業が自らの努力で生み出した知的財産で、ライセンス使用料等収益の源泉となる等の経済価値を有するもの当連結会計年度は、企業価値向上プロジェクトに最優先で取り組みました。デジタルサービスの会社として成長を実現するために、① 本社改革、② 事業の「選択と集中」の加速、③ オフィスプリンティング事業の構造改革、そして ④ オフィスサービス利益成長の加速の4つの領域で収益構造の変革を進めてきました。当連結会計年度の連結売上高は、25,278億円となりました。オフィスプリンティング事業では主に海外でハード・ノンハードの売上が減少しましたが、同事業における東芝テック株式会社(以下、東芝テック)との開発・生産に関する合弁会社「エトリア株式会社」(以下、ETRIA)の設立、オフィスサービス事業の成長や円安の影響等もあり前連結会計年度に比べ 7.6%増加となりました(為替影響を除くと 4.4%の増加)。地域別では、国内は、法改正対応やセキュリティ関連需要を背景にスクラムシリーズが引き続き伸長したことに加え、パソコンの買い替え需要の増加やそれに伴うITサービス・アプリケーションサービスの拡販も進み、オフィスサービス事業を中心に売上が増加しました。加えて、東芝テックとの複合機等の開発・生産に関する事業統合の効果もあり、前連結会計年度と比べ 11.3%の増加となりました。海外では、米州において、オフィスプリンティング事業でハード・ノンハードともに売上が減少しました。一方で、オフィスサービス事業において2022年9月に買収したCenero,LLC.(以下、Cenero)の貢献によりワークプレイスエクスペリエンスが拡大したことや、新製品の販売等によりプロダクションプリンターの売上がハード・ノンハードともに伸長したことに加え、円安の影響もあり、前連結会計年度比 4.1%の増加となりました(為替影響を除くと 1.4%の減少)。欧州・中東・アフリカにおいても、オフィスプリンティング事業でハード・ノンハードともに売上が減少しました。一方でオフィスサービス事業においては、ストック収益につながるITサービスやDocuWare2GmbH(以下、DocuWare)のクラウドサービスが順調に拡大しました。また、プロダクションプリンターの伸長や、円安の影響もあり、前連結会計年度比 3.9%の増加となりました(為替影響を除くと 0.6%の減少)。その他の地域においては、中国での産業用インクジェットヘッドの販売好調等による売上の増加や円安の影響もあり、前連結会計年度比 14.8%の増加となりました(為替影響を除くと 9.9%の増加)。以上の結果、海外売上高全体では前連結会計年度に比べ 5.5%の増加となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前連結会計年度に比べ 0.4%の増加となります。売上総利益は、オフィスプリンティング事業において売上の減少により利益が減少したものの、オフィスサービス事業や商用・産業印刷事業の成長、体質強化や円安の影響等により増加しました。結果、前連結会計年度に比べ
5.9%増加し 8,686億円となりました。販売費及び一般管理費は、オフィスサービス等での事業成長経費に加え、企業価値向上プロジェクトの一環として海外でのオフィスプリンティング事業の販売・サービス体制の構造改革や、当社及び国内グループ会社でのセカンドキャリア支援制度の実施に伴う一時費用を計上し、増加しました。海外での構造改革を中心に効果はあったものの、円安の影響により、前連結会計年度に比べ 6.4%増加し 8,189億円となりました。その他の収益には、当連結会計年度に、当社の中国子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断に伴い、過年度に受領していた土地の立退補償金のうち提携協議書解除に伴う違約金への充当分を計上しております*。*2024年11月25日付で開示した「当社の子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断および通期業績予想の修正に関するお知らせ」をご参照ください以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べて 18億円増加し 638億円となりました。金融収益及び金融費用は、為替差益の増加の一方、支払利息の増加により前連結会計年度に比べ費用が増加しました。持分法による投資損益は、持分法適用会社の利益増加により前連結会計年度に比べ増加しました。税引前利益は前連結会計年度に比べて 18億円増加し 700億円となりました。法人所得税費用は、前連結会計年度から横ばいの 239億円となりました。以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて 15億円増加し 457億円となりました。当期包括利益は、在外営業活動体の換算差額の減少等により、前連結会計年度に比べ減少し 429億円となりました。3■連結セグメント情報【デジタルサービス】当連結会計年度のオフィスサービス事業は、国内において、法改正対応やセキュリティ関連需要を背景にスクラムシリーズが引き続き伸長したことに加え、パソコンの買い替え需要の増加やそれに伴うITサービス・アプリケーションサービスの拡販を進めることができました。並行して、中堅中小企業のお客様に向けて、セキュリティを確保しながら生産性向上を実現する商材の拡充も進めました。サイボウズ株式会社と共同開発したクラウド型の業務アプリケーションツール「RICOH kintone plus」を利用することで削減された時間・コストを算出できる「RICOH 導入効果測定プラグイン」 や、HENNGE株式会社と提携し、複数のクラウドサービスを利用するお客様の環境においてシングルサインオン、アクセス制御等を実現するクラウドセキュリティサービス「HENNGE Onefor RICOH」の提供を開始しました。米州においては、ドキュメント関連業務のアウトソーシングサービスにおいて業務効率化とプライシングコントロールを行うことで収益性の改善を進めました。また、Ceneroによる当社既存顧客へのソリューション提案を積極的に進め、ワークプレイスエクスペリエンスが堅調に拡大しました。欧州・中東・アフリカにおいては、景気弱含みの影響により、一部商談の延期や長期化等が発生しましたが、ストック収益につながるITサービスやDocuWareのクラウドサービスが順調に拡大しました。また、2024年4月に買収したドイツのNatif.ai GmbH(以下、natif.ai)のAIを活用した先進的な画像認識やOCR技術を掛け合わせ、より幅広い業務領域への対応を進めました。デジタルサービスの売上高は、前連結会計年度に比べ 4.2%増加し 19,301億円となりました(為替影響を除くと 1.2%の増加)。オフィスプリンティング事業はノンハードが弱含みで推移し、また海外を中心にハードの販売が伸び悩んだこと等により売上が減少しました。一方、オフィスサービス事業では、地域ごとに異なる顧客ニーズに対応したサービスや施策の展開により各地で売上が増加し、継続的な収益基盤となるストック売上高も前連結会計年度と比較し 14%増加となりました。オフィスサービス事業の成長により利益が増加したものの、オフィスプリンティング事業の売上減少や、企業価値向上プロジェクトの一環として取り組む販売・サービス体制見直しに伴う費用計上により、デジタルサービス全体の営業利益は 322億円となり、前連結会計年度に比べ 85億円減少しました。【デジタルプロダクツ】前連結会計年度に複合機の生産調整の影響を受けた一方、当連結会計年度は生産・販売体制が正常化し稼働率が向上したことで、コストダウンが順調に進展しました。また、お客様の生産性向上・DXを支援する複合機・プリンターを中心に、デジタルサービスの成長に寄与するエッジデバイスの製品群を強化しました。2024年7月、当社と東芝テックは複合機等の開発・生産を担う合弁会社ETRIAの組成を完了しました。また、2025年2月には、新たに3社目となる沖電気工業株式会社(以下、OKI)のETRIAへの参画を発表しました。ETRIAは、参画各社の複合機・プリンターの基幹部分の共通化や、部品や材料の共同購買、生産拠点の相互活用を進め、競争力の高い製品の安定的な供給体制を構築し、モノづくり体質の強化を目指します。参画各社の製品ブランドや販売チャネルを維持しながら、ETRIAが生み出す競争力のある高品質・高付加価値な製品を提供し、お客様の生産性向上やDX支援に貢献します。オフィス向けの複合機・プリンターでは、2024年9月に発売した、環境負荷低減に配慮し、小規模の事業所や店舗・病院等限られたスペースに設置可能なA4カラープリンター「RICOH P C375/C375M」、A4カラープリンター複合機「RICOH P C370SF」、A4カラー複合機「RICOH IM C320F」をはじめとして、様々なお客様の幅広い業務やお困りごとに対応できる豊富なラインナップを強化しました。また、働き方が多様化する中で、コミュニケーションの生産性と創造性の向上に貢献するエッジデバイスの新製 品 と し て、 ハ イ ブ リ ッ ド な 働 き 方 に 最 適 な コ ラ ボ レ ー シ ョ ン ボ ー ド 「RICOH Collaboration BoardW5500/W6500/W7500」及び、複眼の360度カメラが一体となったWEB会議用マイクスピーカー「RICOH Meeting 360V2」等の発売により、オフィスだけではなく生産現場・教育現場・医療現場等様々な場所で働くお客様のコミュニケーションの効率化に貢献しました。デジタルプロダクツの売上高は、前連結会計年度に比べ 63.7%増加し 1,570億円、セグメント間売上高を含む売上高では 20.7%増加の 5,846億円となりました。前連結会計年度は複合機の生産調整の影響を受けましたが、当連結会計年度は生産・販売量の正常化により増収となりました。売上の増加に加え、A3複合機の生産量増4加による製品ミックスの改善や生産・開発の体質強化の継続により利益が改善しました。また、ETRIA組成による東芝テックとの複合機等の開発・生産に関する事業統合も、売上高、営業利益の増加に寄与しています。結果として、デジタルプロダクツ全体の営業利益は 287億円となり、前連結会計年度に比べ 113億円増加しました。【グラフィックコミュニケーションズ】商用印刷市場のお客様においては、印刷物のデジタル化・ペーパーレス化による小ロットでの発注の増加や、より多様化する印刷物に対し複雑化する作業工程への対応が求められています。また、印刷現場における人手不足から、オペレーションの効率化に対する要望が高まっています。当連結会計年度は、ドイツのデュッセルドルフで開催された世界最大規模の国際印刷・メディア産業展「drupa2024」に出展し、お客様の環境にあわせて業務の自働化・効率化・可視化を実現する製品やサービスを紹介しました。世界中の様々な商用・産業印刷のお客様から100件以上の受注獲得や、多くの関心をいただく等、実りあるパートナーシップの強化につながりました。2024 年 9 月、 コ ピ ー / ス キ ャ ナ ー 機 能 を 搭 載 し た モ ノ ク ロ プ ロ ダ ク シ ョ ン プ リ ン タ ー 「RICOH Pro8420S/8410S/8400S」、「RICOH Pro 8420Y/8420HT/8410Y/8410HT」の合わせて5機種7モデルを発売しました。高速出力、高画質に加えて、新たな自動原稿送り装置の採用で名刺や領収書等小サイズ原稿の読み取り対応やスキャンスピードが向上しました。また、オフィス向け複合機と共通の操作部を採用していることで、様々なアプリケーションの利用が可能なため、官公庁やオフィスでの大量出力業務や、商用印刷等に幅広く活用いただけます。さらに、機器本体には再生プラスチックや電炉鋼板を使用しており、お客様の環境経営への取り組みにも寄与します。グラフィックコミュニケーションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 11.6%増加し 2,926億円となりました(為替影響を除くと 7.0%の増加)。商用印刷事業では、新製品の拡販やdrupaにおける受注案件の納入等によりプロダクションプリンターの販売が欧米を中心に増加したことに加え、ノンハード売上も堅調に成長しました。産業印刷事業ではサイングラフィック用途の需要の増加を背景にインクジェットヘッドの販売が増加しました。売上高の増加、前連結会計年度に実施した構造改革の効果に加え、円安効果もありグラフィックコミュニケーションズ全体の営業利益は 231億円となり、前連結会計年度に比べ 76億円増加しました。【インダストリアルソリューションズ】当連結会計年度は、サーマル事業では、成長性の高い社会課題解決型製品拡販による収益拡大を進めました。当社グループは長年培った感熱紙の技術により、剥離紙を用いない感熱ラベルとしてシリコーントップライナーレスラベル(以下、SLL)を販売しています。SLLは、剥離紙を用いないため、紙の使用量を削減し(省資源)、環境負荷低減(CO2排出削減)に貢献する製品です。近年の環境意識の高まりから食品等の用途において好調に推移しました。また、当社グループが開発した、サーマルインクをコーティングすることで、フィルム、紙、段ボール等の様々なメディアに直接印字が可能な「ラベルレスサーマル」を使用した商品パッケージの導入が、大手コンビニエンスストアの食品用ラベルを中心に進んでいます。本製品により、従来使用していた紙ラベル等の間接資材がなくなることにより作業工程の効率化が進み、お客様の生産性の向上を実現します。産業プロダクツ事業では、長年製造業として培ってきた技術を活かし、製造現場におけるミス・不良品の撲滅、生産効率の向上、人手不足の解消を目指しています。当連結会計年度は、これらの各種製品の拡販に加え、モノづくり強化と設計プロセスの変革を通して、収益力強化に注力しました。なお、2024年9月には、車載ステレオカメラやプロジェクター用光学レンズモジュール等の開発・製造・販売を行っていたオプティカル事業の譲渡が完了しました。インダストリアルソリューションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 0.4%増加し 1,121億円となりました(為替影響を除くと 2.7%の減少)。サーマル事業において、国内ではSLL販売が好調に推移したものの、欧州では市況の停滞と価格競争により販売が伸び悩みました。産業プロダクツ事業では、オプティカル事業の譲渡が影響し減収となりました。購買・生産効率化によるコストダウンやプライシングコントロールもあり利益が改善しましたが、オプティカル事業の譲渡に伴う環境対応等の一過性費用の影響により、インダストリアルソリューションズ全体の営業損益は 18億円(損失)となり、前連結会計年度に比べ利益が 14億円減少しました。5【その他】その他の売上高は、前連結会計年度に比べ 36.2%増加し 358億円となりました(為替影響を除くと 32.9%の増加)。カメラ関連事業が新製品の貢献等により好調で増収増益となりました。加えて、新規事業創出のための先行投資においても、企業価値向上プロジェクトの一環として「選択と集中」を進めたこと等により、その他全体の営業損益は 55億円(損失)となり、前連結会計年度に比べ 49億円改善しました。【消去又は全社】消去又は全社の配賦不能費用には、上記セグメントに帰属しない損益を計上しております。当連結会計年度に国内でのセカンドキャリア支援制度の実施に伴う一時費用を計上したこと等により、営業利益が前連結会計年度に比べ 121億円減少しました。(注) 事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」への変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。
(2)当期の財政状態の概況前連結会計年度 当連結会計年度増減(2024年3月31日) (2025年3月31日)資産合計 22,861 億円 23,571 億円 709 億円資本合計 10,651 億円 10,547 億円 △103 億円親会社の所有者に帰属する持分 10,387 億円 10,301 億円 △86 億円親会社所有者帰属持分比率 45.4 % 43.7 % △1.7 ポイント資産合計は、前連結会計年度末に比べ 709億円増加し 23,571億円となりました。前連結会計年度末と比較してETRIAの組成に伴い東芝テックからの承継資産等が増加しました。為替及び東芝テックからの承継資産の影響を除いた試算では 251億円の増加となります。主要通貨の当連結会計年度の期末日レートは、対米ドルが 149.52円(前連結会計年度に比べ 1.89円の円高)、対ユーロが 162.08円(同 1.16円の円高)となりました。資産の部では、現金及び現金同等物が前連結会計年度末に比べ 136億円増加しました。また、natif.aiの買収やETRIA組成によりのれん及び無形資産が 203億円増加したことに加え、リース債権等の金融資産が流動資産と非流動資産を合わせ 169億円増加しました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ 813億円増加し 13,023億円となりました。社債及び借入金が流動負債と非流動負債を合わせ 910億円増加しました。資本合計は、前連結会計年度末から 103億円減少し、10,547億円となりました。資本の部では、ETRIA組成や株式会社PFU(以下、PFU)及びElixirgen Scientific Inc.(以下、Elixirgen Scientific)の完全子会社化に伴い、結果として、資本剰余金が増加し、非支配持分が減少しました。一方で、円高により在外営業活動体の換算差額が減少したことに加え、株主還元策として 524億円の自己株式の取得を行い、前連結会計年度に取得した自己株式と合わせて 599億円の消却を実施しました。結果として親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 86億円減少し 10,301億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ 1.7ポイント減少し 43.7%となりました。6
(3)当期のキャッシュ・フローの概況前連結会計年度 当連結会計年度自 2023年4月1日 自 2024年4月1日 増減至 2024年3月31日 至 2025年3月31日営業活動によるキャッシュ・フロー 1,256 億円 1,368 億円 112 億円投資活動によるキャッシュ・フロー △978 億円 △793 億円 184 億円財務活動によるキャッシュ・フロー △829 億円 △455 億円 373 億円現金及び現金同等物期末残高 1,696 億円 1,818 億円 122 億円営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 112億円増加し 1,368億円の収入となりました。当連結会計年度は、当社の中国子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断に伴う預り金の返還等による支出の増加があったものの、営業債権の減少や営業債務の増加等運転資本の改善により、結果として現金収入が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、現金支出が前連結会計年度に比べ 184億円減少し 793億円の支出となりました。前連結会計年度は、アイルランドのITサービス会社 PFH Technology Groupの買収による支出、当連結会計年度はnatif.aiの買収による支出、オプティカル事業の売却による収入等があり、結果として現金支出が減少しました。以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 297億円増加し 575億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 373億円減少し 455億円の支出となりました。当連結会計年度は、株主還元策として自己株式の取得による支出、PFUやElixirgen Scientificの完全子会社化による支出があった一方で、借入等資金調達の実施による収入等があり、結果として現金支出が減少しました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 122億円増加し 1,818億円となりました。当社グループでは、事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。資本政策の詳細については、P.11「(6)対処すべき課題 ■リコーの中期展望 成長を支える資本政策」をご覧ください。(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期親会社所有者帰属持分比率 48.7 % 48.7 % 43.3 % 45.4 % 43.7 %時価ベースの
42.8 % 36.5 % 28.1 % 35.7 % 38.1 %親会社所有者帰属持分比率債務償還年数 1.8 年 2.9 年 5.4 年 2.8 年 3.2 年インタレスト・カバレッジ・レシオ 47.1 倍 26.9 倍 13.2 倍 32.3 倍 26.1 倍親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計債務償還年数:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/支払利息
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。※キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち社債及び借入金を対象としております。7
(4)今後の見通し当連結会計年度は、世界経済はインフレの鈍化もあり緩やかな成長は見せているものの、経済摩擦の増加やインフレの継続、為替相場の変動など、不透明な状況が続いています。また、米国の新たな関税政策はグローバルなサプライチェーンに大きな影響を与えることになります。次期の業績見通しについては、連結売上高 2兆5,600億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は 560億円としました。今般の新たな関税政策の導入に伴い、営業利益で 130億円程度の影響が生じる見込みです。この試算値は今後の前提の変化によって変更が生じる可能性がありますが、生産・商物流・投入商品・価格政策・販売チャネルなどの各軸で対策を機動的に実行し、影響の軽減に取り組みます。加えて付加価値の高いストック契約の獲得などオフィスサービス事業での利益成長を図り、オフィスプリンティング事業においても効率的なMIFマネジメント・顧客ターゲティングの徹底により収益維持・改善に取り組みます。企業価値向上プロジェクトの活動を確実に実行することに加え、組織力を強化し環境変化への対応力を高めながら、デジタルサービスの会社として相応しい収益構造へと変革を進めていきます。これらを踏まえ、次期の業績見通しについては、下記を予定しております。通期の想定為替レートUS$ 1= 140円00銭 (前年152円65銭)EURO 1= 155円00銭 (前年163円86銭)当連結会計年度 通期見通し自 2024年4月1日 自 2025年4月1日 増減至 2025年3月31日 至 2026年3月31日(国内)売上高 9,632 億円 10,290 億円 6.8 %(増)(海外)売上高 15,646 億円 15,310 億円 2.1 %(減)売上高合計 25,278 億円 25,600 億円 1.3 %(増)売上総利益 8,686 億円 9,040 億円 4.1 %(増)営業利益 638 億円 800 億円 25.3 %(増)税引前利益 700 億円 820 億円 17.0 %(増)親会社の所有者に457 億円 560 億円 22.5 %(増)帰属する当期利益(注)本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。実際の業績等に影響を与える可能性のある重要な要因には、当社グループを取り巻く日本、米州、欧州・中東・アフリカ、中華圏・アジア等の経済情勢や市場の動向、為替レート等が含まれます。なお、業績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。
(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当株主還元方針については、引き続き総還元性向 50%の方針を堅持してまいります。総還元性向 50%を目安とした上で、配当利回りを意識し毎年利益拡大に沿った継続的な増配を目指します。さらに、自己株式取得などの追加還元策は、経営環境や成長投資の状況を踏まえながら、最適資本構成の考え方に基づき、機動的かつ適切なタイミングで実施し、TSR*の向上を実現してまいります。この株主還元方針を踏まえ、2024年2月7日から2024年8月30日の期間に 300億円の自己株式取得を実施しました。内訳は、前連結会計年度に 75億円、当連結会計年度に 225億円となります。なお、2024年9月30日に当該自己株式の消却を実施しました。また、2024年12月3日に 300億円の自己株式取得を実施し、2025年1月31日に当該自己株式の消却を実施しました。当連結会計年度の期末配当につきましては、1株につき 19円とさせていただきたいと存じます。これにより、中間配当金を含めた当連結会計年度の配当金は、1株につき 38円となります。また、次期の配当見通しについては、当連結会計年度から1株当たり 2円増配し年間 40円を予定しています。* TSR(Total Shareholder Return):株主総利回りは、キャピタルゲインと配当を合わせた、株主にとっての総合投資利回り8
(6)対処すべき課題■変わること、変わらないこと当社グループが変わらずに大切にしているものがあります。それは創業の精神である「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」からなる「三愛精神」です。「“はたらく”に歓びを」を「使命と目指す姿」と定め、“はたらく”に寄り添い変革を起こし続けることで、人ならではの創造力の発揮を支え、持続可能な未来の社会をつくることを目指しています。■リコーの中期展望当社グループは、2023年3月に、同年4月からスタートする21次中経を発表しました。当社グループの使命と目指す姿である「“はたらく”に歓びを」の実現に向けて、中長期目標として「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」となることを目指しています。注力している領域は、働く人をタスクから解放するプロセスオートメーション、創造性を高めるワークプレイスエクスペリエンス、ワークプレイスの基盤となる環境を構築するITサービス、の3つです。この注力領域において、グローバルの顧客基盤や、ワークプレイス領域における課題把握力・提案力、そして魅力的な自社IPといった強みを活かしながら、ワークプレイスサービスプロバイダーとして、お客様に寄り添いながら継続的に価値を創造し、提供します。将来財務(ESG)の視点ESGの取り組みは、将来の財務を生み出すために不可欠なものと位置づけ、サステナビリティやESGに関してグローバルでトップレベルの評価を受ける会社であることを基本とした上で、お客様や株主・投資家の皆様からの高まるESG要求に応えるべくバリューチェーン全体を俯瞰した活動を進めます。21次中経では、事業を通じた4つの社会課題解決と、それを支える3つの経営基盤強化の7つのマテリアリティ(重要社会課題)に取り組んでいます。また、これら7つのマテリアリティに対する評価指標として16のESG目標(将来財務目標)を設定しています。マテリアリティとESG目標は、グローバルなESGの潮流への対応と経営戦略の実行力向上の観点で設定しており、16のESG目標は各ビジネスユニット、機能別組織にブレークダウンして展開しています。「事業を通じた社会課題解決」では、お客様の“はたらく”を変革するデジタルサービスを提供し生産性向上と価値創造を支援しています。また、脱炭素社会、循環型社会の実現にも引き続き注力し、当社グループの強みである技術力と顧客接点力を活かし、地域・社会システムの維持発展、効率化に貢献しています。「経営基盤の強化」では、人権問題への対応の強化、デジタルサービスの会社への変革に向けたデジタル人材の量・質の確保、デジタルサービス関連特許の強化などに取り組んでいます。今後もESGと事業成長の同軸化の取り組みを加速させていきます。921次中経基本方針・企業価値向上プロジェクト中長期目標を達成するために掲げた、地域戦略の強化とグループ経営の進化、現場・社会の領域における収益の柱を構築、グローバル人材の活躍という3つの基本方針は継続して取り組んでいます。また、目指す姿の実現に向けて2023年4月から企業価値向上プロジェクトに取り組んでいます。株主・投資家・アナリストの皆様との対話や資本市場目線での分析など、様々な角度から企業価値向上に向けて当社グループが取り組むべき課題について検討を進めました。低PBRの最大の要因は収益性の低さにあり、今後デジタルサービスの会社として成長を実現するためには、各事業のビジネスモデルに適合した収益構造の実現が必要であることから、抜本的な収益構造変革を推し進めています。具体的に、① 本社改革、② 事業の「選択と集中」の加速、③ オフィスプリンティング事業の構造改革、④ オフィスサービス事業の利益成長の加速 の4つの領域で収益構造の変革に取り組んでいます。
① 本社改革研究開発投資は、デジタルサービスと親和性の高いワークプレイス領域によりフォーカスしていきます。また、顧客接点でより多くの価値を創造するデジタルサービス型へグループの経営体制をシフトしています。
② 事業の「選択と集中」の加速デジタルサービスの会社への変革・資源配分の最適化に向けて、従前より進めていた事業ポートフォリオマネジメントの取り組みをさらに加速しています。当社グループの強みが生きる「ワークプレイス」を注力領域として、リソースを戦略的に配分し、事業ポートフォリオマネジメントで出口プロセスへの移行を判断した事業については出口戦略の検討とその実行を進めています。
③ オフィスプリンティング事業の構造改革オフィスプリンティング市場は縮小するという認識のもと、売上高が減少したとしても収益を確保するための体質強化を進めています。東芝テックとの合弁会社組成に加え、OKIの参画を発表し、開発・生産の効率化やSCMの最適化など、バリューチェーン全体を俯瞰した取り組みを進めています。
④ オフィスサービス利益成長の加速デジタルサービスのコアであるオフィスサービス事業については、お客様におけるオフィスサービスの導入率の向上やストック売上成長率の向上といった利益成長のメカニズムを意識しながら、継続的な収益性向上に取り組みます。また、提供価値最大化のため販売・サービスや支援業務については、インサイドセールス等も活用しながら、顧客との関係性を重視したデジタルサービスの会社として相応しい体制へと見直します。10デジタルサービスの会社としての利益成長を着実に進めるための継続的な収益改善とあわせ、中長期の視点を見据えた成長施策にも取り組むことで、継続的な企業価値向上を実現していきます。成長を支える資本政策当社グループは、ステークホルダーの皆様の期待に応えながら、株主価値・企業価値を最大化することを目指しています。専門家の意見も取り入れながら様々な手法・複数の視点で当社グループの資本コストを把握し、株主の皆様からお預かりした資本に対して、資本コストを上回るリターンの創出を目指します。企業価値最大化の実現に向けて、厳正な事業ポートフォリオ管理のもとで、各ビジネスユニットを投下資本利益率(以下、ROIC)や市場性などで評価した上で、合理的な判断・意思決定を行い、経営資源配分の最適化に取り組んでいます。当社グループでの事業ポートフォリオマネジメントでは、収益性と市場性という従来型のポートフォリオの切り口に加えて、「デジタルサービス親和性」という観点からも評価を行っています。この3つの観点において、各ビジネスユニット・事業を客観的に評価し、成長加速、収益最大化、戦略転換、事業再生の4つに分類し、デジタルサービスの会社として必要な経営基盤の強化に努めています。また、中長期的に目指すROE 10%超を継続できる資本収益性の実現に向け、資本コストを上回る収益性を追求するため、各ビジネスユニット・部門にてROICツリーを用いた施策管理を実施しています。さらに、それらの主要施策を全社のROICツリーに採用し、単純に財務数値化できないグループ本部の施策についてはKPIとして目指す内容を言語化した上で、「リコー版ROICツリー」として定期的にモニタリングし、財務目標と施策の関連、KGI*とKPIマネジメントを実施しています。*KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標デジタルサービスの会社への変革に向けて、リスク評価に基づき適切な資本構成を目指し、投資の原資に借入れを積極的に活用しながら、負債と資本をバランスよく事業に投資していきます。オフィスプリンティング事業などの成熟し安定した収益を生む事業には負債を積極的に活用し、リスクの比較的高い成長事業には資本を中心に配分する考えです。なお、2025年度は、経営環境の不確実性が残る想定のもと、格付や資金調達リスクを鑑みた資本構成で、成長のための資本を確保します。以降は、成長投資領域の安定事業化とあわせ、新たな成長投資戦略に伴う事業構造変化を考慮し、柔軟に最適資本構成を調整していく考えです。事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。デジタルサービスの会社への変革に向けた成長投資については、欧米におけるワークプレイスエ11クスペリエンス領域やアプリケーションサービス領域でのM&A投資など、事業成長のための投資を着実に進めています。財務規律を考慮しつつ企業価値最大化に向けた成長投資を継続します。投資原資は、営業キャッシュ・フローを中心に有利子負債も活用しながら戦略的に実施します。
通期 2026年3月期
出典: リコー 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕、開示日 2026年5月12日
1.経営成績等の概況(1)当期の経営成績の概況■全般の状況経営を取り巻く経済環境当連結会計年度の世界経済は、物価上昇率の落ち着きや主要国における緩和的な金融政策、AI関連の投資の活発化等に支えられ、緩やかな成長を維持しました。他方、保護主義的な通商政策や地政学上の緊張などを背景に不確実性が高い状況が続き、金融資本市場でも不安定な動きが見られました。足元でも中東地域における軍事的緊張の高まりは、エネルギー価格の高騰やサプライチェーンの混乱を招いています。日本経済は、雇用・所得環境の改善に支えられ緩やかな回復基調を続けていますが、食料品を中心とした物価上昇の影響で、実質賃金が伸び悩む状況が続きました。このような経済情勢の中で、当社グループのメイン市場であるワークプレイスにおいても、リモートワークをはじめとする新しい働き方が定着し、AIやITの進化に伴って業務プロセスも変わり続けています。これにより顧客課題・ニーズも変化し、プリンティング需要は減少傾向にありますが、業務のデジタル化や生産性向上を支えるデジタルサービスへの需要は一層高まっています。一方で、各国の金融政策動向や為替・金融市場の変動も含め、経営を取り巻く経済環境は依然として不透明な状況です。なお、主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 150.79円(前連結会計年度に比べ 1.86円の円高)、対ユーロが
174.81円(同 10.95円の円安)となりました。当連結会計年度の業績当社グループ(当社及び関係会社)は、2023年4月より第21次中期経営戦略をスタートし、当連結会計年度はその最終年度となりました。当社グループの使命と目指す姿である「“はたらく”に歓びを」の実現に向けて、中長期目標として「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」となることを目指して取り組みを進めました。当社グループが注力している領域は、はたらく人を単純作業から解放するプロセスオートメーション、創造性を高めるワークプレイスエクスペリエンス、そしてワークプレイスの基盤となる環境を構築するITサービスの3つです。この注力領域において、グローバルの顧客基盤や顧客の課題把握力・提案力に優れた販売・サービス体制、そして魅力的な自社IP*といった強みを活かしながら、変容するワークプレイスにおいて一貫したサービスをグローバルに提供しています。*自社IP(Intellectual Property):企業が自らの努力で生み出した知的財産で、ライセンス使用料等収益の源泉となる等の経済価値を有するもの当連結会計年度は、付加価値の高いストック契約の獲得等、オフィスサービス事業での利益成長を図るとともに、オフィスプリンティング事業においては2024年7月に組成した東芝テック株式会社(以下、東芝テック)との合弁会社「エトリア株式会社」(以下、エトリア)による複合機等の開発・生産でのシナジー効果の創出、及び効率的なMIFマネジメント・顧客ターゲティングの販売施策の徹底により収益維持・改善に取り組みました。なお、2025年10月にはエトリアに沖電気工業株式会社(以下、OKI)が参画し、開発・生産体制のさらなる強化を進めています。また企業価値向上プロジェクトの活動を確実に実行することに加え、組織力を強化し環境変化への対応力を高めながら、デジタルサービスの会社として相応しい収益構造へと変革を進めてきました。米国の新たな関税政策の導入に対しては、生産・商物流・投入商品・価格政策・販売チャネル等の各軸で対策を機動的に実行し、影響の軽減に取り組みました。当連結会計年度の連結売上高は、26,083億円となり、前連結会計年度に比べ 3.2%増加となりました(為替影響を除くと 1.8%の増加 )。オフィスプリンティング事業ではノンハードの弱含みに加え、米国の関税政策の影響を受けハードの売上が減少しましたが、エトリアから東芝テックやOKIへの製品販売の貢献、及びオフィスサービス事業の成長等もあり、増収となりました。地域別では、国内は引き続き好調なオフィスサービス事業を中心に売上が増加しました。パソコンの買い替えやセキュリティ強化の需要の取り込みや、それに伴うサービス・サポート契約の獲得も寄与し、ITサービスが伸長し2ました。また、情報系アプリケーションや法改正に対応したソリューション等が好調で、アプリケーションサービスも増収となりました。さらに、オフィスプリンティング事業のハードの販売増加や、エトリアから東芝テックやOKIへの製品販売等により、前連結会計年度に比べ 9.2%の増加となりました。海外では、米州においては、関税政策の影響による先行き不透明感から企業投資が弱含み、オフィスプリンティング事業や商用印刷事業においてハードを中心に売上が減少しました。オフィスサービス事業においては、成長領域に経営資源を集中し事業成長を加速させるため、オーディオビジュアル(AV)インテグレーターである米国のPresentation Products, Inc.(以下、PPI)及びカナダのET Groupを買収しワークプレイスエクスペリエンスの成長に向けた取り組みを進めた一方、米国のマネージドITサービス事業を売却しました。これらの結果、米州全体の売上は、前連結会計年度比 4.7%の減少となりました(為替影響を除くと 3.6%の減少)。欧州・中東・アフリカにおいては、米国の関税政策による景況悪化懸念等から、オフィスプリンティング事業のハード・ノンハードが弱含みで推移しました。オフィスサービス事業においては、企業のITインフラ投資に対する慎重姿勢が続いていましたが、当連結会計年度下半期以降は買収企業とのシナジー施策効果の発現やITインフラ需要の改善等により、回復の兆しが見られます。通期ベースでは、円安の影響もあり、売上は前連結会計年度比 3.8%の増加となりました(為替影響を除くと 2.6%の減少)。その他の地域においては、オフィスプリンティング事業における価格競争や、中国での産業用インクジェットヘッドの需要低迷の影響を受け、前連結会計年度比 横ばいとなりました(為替影響を除くと 0.8%の減少)。以上の結果、海外売上高全体では前連結会計年度に比べ 0.5%の減少となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前連結会計年度に比べ 2.8%の減少となります。売上総利益は、オフィスプリンティング事業や商用印刷事業の売上減少の影響はあったものの、オフィスサービス事業の成長や企業価値向上プロジェクトの効果に加え、円安の影響等もあり、前連結会計年度に比べ 2.4%増加し8,891億円となりました。販売費及び一般管理費は、事業成長やインフレによる人件費等の経費増加、及び欧州での基幹システム統合に伴う一時費用の計上や円安の影響による増加があったものの、前連結会計年度に実施した企業価値向上プロジェクトの費用が減少したことや、その効果等により、前連結会計年度に比べ 0.5%減少し 8,151億円となりました。その他の収益には、米国におけるマネージドITサービス事業の譲渡に係る収益や、主に国内で実施した固定資産売却に伴う売却益を計上しております。前連結会計年度には、当社の子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断に伴い、過年度に受領していた土地の立退補償金のうち提携協議書解除に伴う違約金への充当分を計上しており*、結果として、その他の収益は前連結会計年度に比べて増加し 237億円となりました。のれんの減損は、創薬支援事業や一部地域のオフィスサービス事業等においてのれんの減損損失を計上したことにより、損失が増加しました。*2024年11月25日付で開示した「当社の子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断および通期業績予想の修正に関するお知らせ」をご参照ください以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ 268億円増加し 907億円となりました。金融収益及び金融費用は、為替差益の減少等により、前連結会計年度に比べ金融収益が減少しました。持分法による投資損益は、持分法適用会社の利益減少により前連結会計年度に比べ減少しました。税引前利益は、前連結会計年度に比べ 222億円増加し 922億円となりました。法人所得税費用は、税引前利益の増加に加え、一部地域における事業環境及び再編等を踏まえ繰延税金資産の回収可能性に関する見積もりを変更したこと等により、前連結会計年度に比べ 111億円増加しました。以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ 99億円増加し 556億円となりました。当期包括利益は、在外営業活動体の換算差額の増加等により、前連結会計年度に比べ増加し 1,494億円となりました。3■連結セグメント情報【デジタルサービス】デジタルサービスの売上高は、前連結会計年度に比べ 3.0%増加し 19,885億円となりました。オフィスサービス事業では、前連結会計年度に比べ売上が増加しました。国内において、パソコンの買い替えやセキュリティ強化の需要の取り込みや、それに伴うサービス・サポート契約の獲得も寄与し、ITサービスが伸長しました。また、情報系アプリケーションや法改正に対応したソリューション等が好調で、アプリケーションサービスも増収となりました。米州においては、成長領域への経営資源集中を進める中で、米国のマネージドITサービス事業を売却したことや、BPS*の減収の影響もあり、売上が減少しました。一方で、AVインテグレーターである米国のPPI及びカナダのET Groupの買収を通じ、ワークプレイスエクスペリエンスの成長に向けた取り組みを進めました。欧州・中東・アフリカでは、先行きの不透明感から企業のITインフラ投資に対する慎重姿勢が続きましたが、当連結会計年度下半期以降は買収企業とのシナジー施策効果の発現等によりITサービスを中心に売上が増加しました。通期ベースでは、円安の影響により売上が増加したものの、実質では減収となりました。オフィスプリンティング事業では、ハードについては日本において堅調に推移したものの、海外では米国の関税政策等の影響を受け減少しました。ノンハードについては、欧米を中心に弱含みが続いており、売上は減少しました。営業利益については、国内を中心としたオフィスサービス事業の成長や企業価値向上プロジェクトの効果に加えて、米国におけるマネージドITサービス事業の譲渡に係る収益計上があった一方、オフィスプリンティング事業におけるノンハードの利益減少や、米国の関税政策の影響、資産・体制の見直し・強化に伴う一時費用の計上(欧州における基幹システム統合等)等、下押し要因もありました。これらの結果、デジタルサービス全体の営業利益は 279億円となり、前連結会計年度に比べ 43億円減少しました。*BPS(Business Process Services):専門業者の外部委託を通して、企業のビジネスプロセスに関する業務課題を解決するサービス【デジタルプロダクツ】デジタルプロダクツの売上高は、前連結会計年度に比べ 18.7%増加し 1,863億円となりました(セグメント間売上高を含む売上高では 0.4%増加の 5,871億円)。エトリアから東芝テックへの製品販売や、2025年10月に同社に参画したOKIへの製品販売も寄与し売上が増加した一方で、米国の関税政策の影響等により主に海外向けのハードの売上が減少し、セグメント間売上高を含む売上高は微増となりました。前連結会計年度に実施した構造改革や継続して取り組む生産・開発の体質強化等の効果もあり、デジタルプロダクツ全体の営業利益は 315億円となり、前連結会計年度に比べ 28億円増加しました。なお、当連結会計年度においては、エトリアに独自のLED技術などに強みを持つOKIが新たに参画し、東芝テックと3社の合弁会社として活動を開始しました。エトリアでは、共通エンジン開発や生産体制の最適化、購買の効率化等、シナジー創出に向けた取り組みを着実に進めています。【グラフィックコミュニケーションズ】グラフィックコミュニケーションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 2.9%減少し 2,840億円となりました。商用印刷事業において、プロダクションプリンターのノンハードは引き続き堅調に推移しました。ハードは主力市場である米国を中心に関税政策の影響や先行きの不透明感による投資控えが見られ、当第4四半期会計期間において拡販施策の効果が表れ回復傾向が見られたものの、通期では売上が減少しました。経費の抑制や前連結会計年度に実施した構造改革の効果はあったものの、売上の減少による利益減少を吸収し切れず、グラフィックコミュニケーションズ全体の営業利益は 186億円となり、前連結会計年度に比べ 45億円減少しました。【インダストリアルソリューションズ】インダストリアルソリューションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 5.3%減少し 1,062億円となりました。サーマル事業において、米州における物流需要減少の影響が継続しましたが、日本や欧州では堅調に推移しました。前連結会計年度に実施したオプティカル事業の譲渡の影響により売上が減少しましたが、事業譲渡の影響を除くと前年並みの売上となります。コストダウンやプライシングコントロールによる収益性向上に加え、前連結会計年度にオプティカル事業の譲渡に伴う一時費用を計上していた反動もあり、インダストリアルソリューションズ全体の営業利益は 24億円となり、前連結会計年度に比べ利益が 42億円増加しました。4【その他】その他の売上高は、前連結会計年度に比べ 20.3%増加し 431億円となりました。カメラ事業がRICOH GRシリーズを中心に好調な販売が継続し、増収増益となりました。新規事業創出のための先行投資や創薬支援事業においてのれんの減損損失を計上したこと等により、その他全体の営業損益は 33億円(損失)となりましたが、事業の選択と集中の効果もあり、前連結会計年度に比べ 22億円改善しました。【消去又は全社】消去又は全社の配賦不能費用には、上記セグメントに帰属しない損益を計上しております。前連結会計年度に国内でのセカンドキャリア支援制度の実施に伴う一時費用を計上していた一方、当連結会計年度は主に国内で実施した固定資産売却益を計上したこと等により、営業損益は前連結会計年度に比べ利益が 263億円増加しました。(注) 事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」への変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。
(2)当期の財政状態の概況前連結会計年度 当連結会計年度増減(2025年3月31日) (2026年3月31日)資産合計 23,571 億円 25,401 億円 1,830 億円資本合計 10,547 億円 11,874 億円 1,327 億円親会社の所有者に帰属する持分 10,301 億円 11,561 億円 1,260 億円親会社所有者帰属持分比率 43.7 % 45.5 % +1.8 ポイント資産合計は、前連結会計年度末に比べ 1,830億円増加し 25,401億円となりました。前連結会計年度末と比較して、OKIのエトリア参画に伴い承継資産等が増加しました。為替及びOKIの承継資産の影響を除いた試算では 170億円の増加となります。主要通貨の当連結会計年度の期末日レートは、対米ドルが 159.88円(前連結会計年度に比べ
10.36円の円安)、対ユーロが 183.41円(同 21.33円の円安)となりました。資産の部では、現金及び現金同等物が前連結会計年度末に比べ 141億円増加しました。また、国内売上の増加に伴い営業債権及びその他の債権が 472億円増加しました。さらに、OKIの事業統合や米州における買収等による連結加入に加え、米国関税の影響による仕入コスト増加等により棚卸資産が 320億円増加しました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ 503億円増加し 13,527億円となりました。主に円安による為替影響により、営業債務及びその他の債務、並びにその他の流動負債が増加しました。一方で、社債及び借入金が流動負債と非流動負債を合わせ 85億円減少しました。資本合計は、前連結会計年度末から 1,327億円増加し 11,874億円となりました。資本の部では、当期利益の計上及び円安により在外営業活動体の換算差額が増加しました。また、OKIのエトリア参画に伴い資本剰余金及び非支配持分が増加しました。結果として親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 1,260億円増加し 11,561億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ 1.8ポイント増加し 45.5%となりました。5
(3)当期のキャッシュ・フローの概況前連結会計年度 当連結会計年度自 2024年4月1日 自 2025年4月1日 増減至 2025年3月31日 至 2026年3月31日営業活動によるキャッシュ・フロー 1,368 億円 1,581 億円 212 億円投資活動によるキャッシュ・フロー △793 億円 △725 億円 68 億円財務活動によるキャッシュ・フロー △455 億円 △830 億円 △375 億円現金及び現金同等物期末残高 1,818 億円 1,934 億円 116 億円営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 212億円増加し 1,581億円の収入となりました。当連結会計年度は、棚卸資産の増加や、前連結会計年度に実施した国内のセカンドキャリア支援制度の退職加算金の支払い等の支出の増加はあったものの、前連結会計年度では当社の子会社が提起した仲裁申立の仲裁判断に伴う預り金の返還により支出が増加しており、結果として現金収入が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 68億円減少し 725億円の支出となりました。前連結会計年度は、オプティカル事業の売却による収入、当連結会計年度は米国のマネージドITサービス事業の売却や主に国内で実施した固定資産の売却による収入等があり、結果として現金支出が減少しました。以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 280億円増加し 855億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 375億円増加し 830億円の支出となりました。当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ借入債務による調達が減少したこと等により現金支出が増加しました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 116億円増加し 1,934億円となりました。(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期親会社所有者帰属持分比率 48.7 % 43.3 % 45.4 % 43.7 % 45.5 %時価ベースの
36.5 % 28.1 % 35.7 % 38.1 % 29.4 %親会社所有者帰属持分比率債務償還年数 2.9 年 5.4 年 2.8 年 3.2 年 2.7 年インタレスト・カバレッジ・レシオ 26.9 倍 13.2 倍 32.3 倍 26.1 倍 21.0 倍親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計債務償還年数:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/支払利息
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。※キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち社債及び借入金を対象としております。6
(4)今後の見通し当社グループは、2026年3月に、同4月からスタートする中期経営戦略'26を発表しました。当社グループの使命と目指す姿である「“はたらく”に歓びを」の実現に向けて、デジタルサービスの会社として進化を続け、お客様の働く場(ワークプレイス)において、自社・他社の製品やサービス、ソフトウエアを組み合わせ、お客様の競争優位と差別化に貢献するグローバル随一のインテグレーターになることを目指します。当連結会計年度の事業環境は、物価上昇率の落ち着きやAI関連の投資の活発化等に支えられ、世界経済は緩やかな成長を維持したものの、保護主義的な通商政策に加え、足元では中東地域における軍事的緊張の高まりによりエネルギー価格の高騰やサプライチェーンの混乱が続くなど、不確実性の高い状態が続いています。こうした状況は次期においても継続することが見込まれ、当第4四半期より顕在化している半導体メモリ等の価格上昇の影響を含め、各種コスト増加要因の発生も想定されます。次期の業績見通しについては、連結売上高 2兆7,000億円、営業利益 950億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は 620億円としました。ワークプレイスサービス*におけるストック型収益の拡大が、利益成長をけん引する見通しです。一方で、半導体メモリや石油関連部材等の価格上昇に伴うコスト増加を見込んでおり、価格対応やコスト構造の見直し等によりその影響の吸収に努めるものの、一部については業績への影響を織り込んでいます。インフレに伴う人件費等の増加も見込まれますが、経費コントロール及びコスト構造改革の継続により、これらの影響に対応してまいります。これらを踏まえ、次期の業績見通しとして下記を予定しております。*次期連結会計年度より、事業の種類別セグメントの見直しを実施いたします。変更後の事業の種類別セグメントの主な事業内容はP.19「(7)連結財務諸表に関する注記事項 ①セグメント情報」をご覧ください。通期の想定為替レートUS$ 1= 150円00銭 (前年150円79銭)EURO 1= 175円00銭 (前年174円81銭)当連結会計年度 通期見通し自 2025年4月1日 自 2026年4月1日 増減至 2026年3月31日 至 2027年3月31日(国内)売上高 10,516 億円 10,630 億円 1.1 %(増)(海外)売上高 15,566 億円 16,370 億円 5.2 %(増)売上高合計 26,083 億円 27,000 億円 3.5 %(増)売上総利益 8,891 億円 9,200 億円 3.5 %(増)営業利益 907 億円 950 億円 4.7 %(増)税引前利益 922 億円 950 億円 3.0 %(増)親会社の所有者に556 億円 620 億円 11.4 %(増)帰属する当期利益(注)本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。実際の業績等に影響を与える可能性のある重要な要因には、当社グループを取り巻く日本、米州、欧州・中東・アフリカ、中華圏・アジア等の経済情勢や市場の動向、為替レート等が含まれます。なお、業績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。
(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当株主還元方針については、引き続き総還元性向50%を目安とする方針を堅持します。配当利回りを意識し、利益成長に沿った継続的な増配を目指します。自己株式取得などの追加還元策については、経営環境や成長投資の進捗を踏まえながら、最適資本構成の考え方に基づき、機動的かつ適切なタイミングで実施し、TSR*の向上を実現していきます。当連結会計年度の期末配当につきましては、1株につき 20円とさせていただきたいと存じます。これにより、中間配当金を含めた当連結会計年度の配当金は、1株につき 40円となります。また、次期の配当見通しについては、当連結会計年度から1株当たり 4円増配し年間 44円を予定しています。* TSR(Total Shareholder Return):株主総利回りは、キャピタルゲインと配当を合わせた、株主にとっての総合投資利回り7
四半期 2026年3月期 第1四半期
出典: リコー 2026年3月期 第1四半期 決算短信〔IFRS〕、開示日 2025年8月7日(https://www2.jpx.co.jp/disc/77520/140120250805531037.pdf)
1.当四半期の連結業績等に関する定性的情報(1)連結経営成績に関する定性的情報①全般の状況当社グループ(当社及び関係会社)は、2023年4月より第21次中期経営戦略をスタートし、当連結会計年度はその最終年度となります。当社グループの使命と目指す姿である「“はたらく”に歓びを」の実現に向けて、中長期目標として「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」となることを目指して取り組みを進めています。当社グループが注力している領域は、はたらく人を単純作業から解放するプロセスオートメーション、創造性を高めるワークプレイスエクスペリエンス、そしてワークプレイスの基盤となる環境を構築するITサービスの3つです。この注力領域において、グローバルの顧客基盤や顧客の課題把握力・提案力に優れた販売・サービス体制、そして魅力的な自社IP*といった強みを活かしながら、変容するワークプレイスにおいて一貫したサービスをグローバルに提供しています。*自社IP(Intellectual Property):企業が自らの努力で生み出した知的財産で、ライセンス使用料等収益の源泉となる等の経済価値を有するもの当連結会計年度は、付加価値の高いストック契約の獲得等、オフィスサービス事業での利益成長を図るとともに、オフィスプリンティング事業においては2024年7月に組成した東芝テック株式会社(以下、東芝テック)との合弁会社「エトリア株式会社」(以下、エトリア)による複合機等の開発・生産でのシナジー効果の創出、及び効率的なMIFマネジメント・顧客ターゲティングの販売施策の徹底により収益維持・改善に取り組みます。企業価値向上プロジェクトの活動を確実に実行することに加え、組織力を強化し環境変化への対応力を高めながら、デジタルサービスの会社として相応しい収益構造へと変革を進めていきます。米国の新たな関税政策の導入に対しては、生産・商物流・投入商品・価格政策・販売チャネル等の各軸で対策を機動的に実行し、影響の軽減に取り組みます。世界経済は、依然として地政学的リスクや金融政策の不確実性を抱えながらも、緩やかな回復基調を維持しています。ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫に加え、米国の新たな通商政策が世界経済に影響を与えています。当第1四半期連結累計期間において、日本では、米国の関税引き上げに伴う下押し圧力があるものの、企業業績は堅調さが続いており、個人消費も底堅く推移する等、景気は緩やかな回復を継続しています。米国では、先行き懸念から企業の設備投資が鈍化したものの、個人消費は底堅く推移しました。欧州では、インフレ圧力の緩和により景気の持ち直しの兆しが見られるものの、一部地域では依然として成長が鈍化しています。その他の地域では、中国において個人消費の回復が遅れており、景気の停滞感が続いています。主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 144.54円(前第1四半期連結累計期間に比べ 11.39円の円高)、対ユーロが 163.87円(同 4.02円の円高)となりました。このような状況の中、当第1四半期連結累計期間の売上高は 5,807億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ 1.1%増加しました(為替影響を除くと 4.4%の増加)。オフィスプリンティング事業では主に海外でノンハードの売上が減少しましたが、同事業において2024年7月に設立した東芝テックとの開発・生産に関する合弁会社エトリアの貢献、及びオフィスサービス事業の成長等もあり前第1四半期連結累計期間に比べ増収となりました。地域別では、国内は、オフィスサービス事業を中心に売上が増加しました。セキュリティや働き方改革関連のサービスに加え、パソコンの買い替えに伴う導入・運用保守等のサービスの獲得も寄与し、ITサービスが伸長しました。また、自社役務サービスを付帯したアプリケーションサービスも増収となりました。加えて、オフィスプリンティング事業のハードの販売増加や、エトリアから東芝テックへの製品販売により、前第1四半期連結累計期間に比べ 14.1%の増加となりました。海外では、米州においては、オフィスプリンティング事業でノンハードを中心に売上が減少しました。オフィスサービス事業において2022年9月に買収したCenero,LLC.(以下、Cenero)の貢献によりワークプレイスエクスペリエンスの売上が拡大したことや、商用印刷事業においてプロダクションプリンターのノンハードの売上が堅調に推2移したこと等により、実質ベースでは売上が増加しました。しかし、円高の影響により、前第1四半期連結累計期間に比べ 6.0%の減少となりました(為替影響を除くと 1.4%の増加)。欧州・中東・アフリカにおいては、米国の関税政策による景況悪化懸念等から、オフィスプリンティング事業はハード・ノンハードとも弱含みで推移し、オフィスサービス事業においてもITインフラ投資を様子見する動きが出る等、売上が減少しました。加えて円高の影響もあり、前第1四半期連結累計期間に比べ 6.4%の減少となりました(同 4.1%の減少)。その他の地域は、前第1四半期連結累計期間に比べ 2.5%の減少となりました(同 3.0%の増加)。以上の結果、海外売上高全体では前第1四半期連結累計期間に比べ 5.7%の減少となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前第1四半期連結累計期間に比べ 0.7%の減少となります。売上総利益は、円高による減益影響はあったものの、オフィスプリンティング事業におけるハードの売上増加、オフィスサービス事業の成長、企業価値向上プロジェクトの効果等により、前第1四半期連結累計期間に比べ 0.1%増加し 2,073億円となりました。販売費及び一般管理費は、事業成長やインフレに伴う人件費等の経費増加、及び欧州での基幹システムの統合に伴う一時費用の計上による増加を、前連結会計年度に実施した構造改革効果等で吸収し、前第1四半期連結累計期間に比べ 2.3%減少し 1,969億円となりました。以上の結果、営業利益は、前第1四半期連結累計期間に比べて 63億円増加し 126億円となりました。金融収益及び金融費用は、為替差益の減少等により、前第1四半期連結累計期間に比べ金融収益が減少しました。持分法による投資損益は、持分法適用会社の利益増加により前第1四半期連結累計期間に比べ増加しました。税引前四半期利益は、前第1四半期連結累計期間に比べて 49億円増加し 148億円となりました。法人所得税費用は、前第1四半期連結累計期間に比べて 21億円増加しました。以上の結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前第1四半期連結累計期間に比べ 18億円増加し 96億円となりました。四半期包括利益は、四半期利益は増加したものの、在外営業活動体の換算差額の減少等により、前第1四半期連結累計期間に比べ減少し 171億円となりました。
②セグメント別の状況【デジタルサービス】デジタルサービスの売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 1.5%減少し 4,433億円となりました。オフィスサービス事業では、国内において、セキュリティや働き方改革関連のサービスに加えパソコンの買い替えに伴う導入・運用保守等のサービスの獲得も寄与し、ITサービスが伸長しました。また、自社役務サービスを付帯したアプリケーションサービスも増収となる等、オフィスサービス事業全体として売上が増加しました。サイボウズ株式会社と共同開発したクラウド型の業務改善プラットフォーム「RICOH kintone plus」の契約数も自治体向け案件の獲得等により大きく伸長しております。米州においては、BPS*の売上が減少した一方、Ceneroの貢献によりワークプレイスエクスペリエンスの売上が拡大しました。欧州・中東・アフリカでは、「DocuWare」のクラウドサービスのけん引によりアプリケーションサービスが伸長した一方、米国の関税政策による景況悪化懸念等からITインフラを中心に需要が弱含み、売上が減少しました。オフィスプリンティング事業では、日本を中心に販売台数増加や売価マネジメントの強化等によりハードの売上が増加しましたが、ノンハードの売上は減少しました。オフィスプリンティング事業のノンハードの利益減少や、欧州での基幹システムの統合に伴う一時費用の計上はあったものの、オフィスサービス事業の成長や、企業価値向上プロジェクトの効果等により、デジタルサービス全体の営業利益は 10億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ 1億円増加しました。*BPS(Business Process Services):専門業者の外部委託を通して、企業のビジネスプロセスに関する業務課題を解決するサービス3【デジタルプロダクツ】デジタルプロダクツの売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 99.5%増加し 408億円となりました(セグメント間売上高を含む売上高では 12.0%増加の 1,366億円)。米国の関税政策への対応に伴う生産前倒しやエトリアから東芝テックへの製品販売等により、セグメント間売上高を含む売上高が増加しました。売上の増加に加え、前連結会計年度に実施した構造改革や継続して取り組む生産・開発の体質強化等の効果もあり、デジタルプロダクツ全体の営業利益は 121億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ 74億円増加しました。【グラフィックコミュニケーションズ】グラフィックコミュニケーションズの売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 5.8%減少し 651億円となりました。商用印刷事業において、プロダクションプリンターのノンハードは引き続き堅調に推移しましたが、ハードは米国を中心に関税政策の影響による需要弱含みを背景に売上が減少しました。ノンハードの利益貢献や構造改革の効果により実質ベースでは増益となったものの、円高の影響を受け、グラフィックコミュニケーションズ全体の営業利益は 35億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ 15億円減少しました。【インダストリアルソリューションズ】インダストリアルソリューションズの売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 14.3%減少し 227億円となりました。前連結会計年度に実施したオプティカル事業の譲渡の影響に加え、サーマル事業において、日本や欧州で増収となった一方、米州における物流需要減少等の影響を受け、売上が減少しました。売上は減少したものの、コストダウンやプライシングコントロールも継続し、インダストリアルソリューションズ全体の営業損益は3億円(損失)となり、前第1四半期連結累計期間に比べ横ばいとなりました。【その他】その他の売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 7.0%増加し 87億円となりました。カメラ事業が引き続き好調で、増収増益となりました。加えて、新規事業創出のための先行投資においても、企業価値向上プロジェクトの一環として「選択と集中」を進めたこと等により、その他全体の営業損益は、前第1四半期連結累計期間に比べ 15億円改善し、2億円(損失)となりました。(注) 事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」への変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。
(2)連結財政状態に関する定性的情報①資産、負債及び資本の状況資産合計は、前連結会計年度末と比べ 413億円減少し 23,158億円となりました。為替影響を除いた試算では 556億円の減少となります。主要通貨の当第1四半期末日レートは、対米ドルが 144.81円(前連結会計年度末に比べ
4.71円の円高)、対ユーロが 169.66円(同 7.58円の円安)となりました。資産の部では、現金及び現金同等物が 325億円減少しました。前連結会計年度末に計上した債権の回収等により営業債権及びその他の債権が 446億円減少しましたが、販売に向けた在庫形成、適正在庫調整等により棚卸資産が239億円増加しました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ 456億円減少し 12,567億円となりました。負債の部では、前連結会計年度末に計上した債務の支払い等により営業債務及びその他の債務が 310億円減少しました。また、社債及び借入金が流動負債と非流動負債を合わせ 134億円減少しました。資本合計は、前連結会計年度末に比べ 43億円増加し 10,590億円となりました。資本の部では、主に対ユーロ円安により在外営業活動体の換算差額が 53億円増加しました。一方で、四半期利益の計上と配当金の支払により利益剰余金が 11億円減少しました。4結果として親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 59億円増加し 10,361億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ 1.0ポイント増加し 44.7%となりました。
②キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間に比べ現金収入が 324億円減少し 226億円の収入となりました。前第1四半期連結累計期間に比べ、棚卸資産の増加や、前連結会計年度に実施した国内のセカンドキャリア支援制度の退職加算金の支払い等があり、結果として現金収入が減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間に比べ現金支出が 77億円減少し 158億円の支出となりました。前第1四半期連結累計期間においては、Natif.ai GmbHの買収等により現金支出が増加しておりました。以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間に比べ現金収入が 247億円減少し 67億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間に比べ現金支出が 96億円増加し 415億円の支出となりました。前第1四半期連結累計期間は自己株式の取得、当第1四半期連結累計期間は借入債務の返済があり、結果として現金支出が増加しました。以上の結果、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 356億円減少し 1,462億円となりました。
(3)連結業績予想に関する定性的情報通期の業績予想につきましては、当第1四半期連結累計期間の進捗を考慮し、今年5月に決算短信[IFRS]にて発表した売上高、売上総利益、営業利益、税引前利益、及び親会社の所有者に帰属する当期利益の見通しを据え置くことといたします。現時点で入手可能な情報及び、米国の関税政策による影響等を考慮した結果、前回試算からの関税費用増加はあるものの、当第1四半期の業績及び為替の状況や、今後の価格政策等の対応により吸収可能と判断いたしました。今後も動向を注視し、事業環境の変化に応じた対策を機動的に実施し影響の軽減に取り組みます。なお、通期の想定為替レートについては当第1四半期連結累計期間の実績を反映しておりますが、第2四半期以降の為替レートは、1米ドル当たり 140円、1ユーロ当たり 155円と今年5月の想定から変更ありません。通期の想定為替レートUS$ 1= 141円14銭 (前年152円65銭)EURO 1= 157円22銭 (前年163円86銭)当連結会計年度前連結会計年度 増減見通し(A) (B-A)/A(B)(国内)売上高 9,632 億円 10,290 億円 6.8 %(増)(海外)売上高 15,646 億円 15,310 億円 2.1 %(減)売上高合計 25,278 億円 25,600 億円 1.3 %(増)売上総利益 8,686 億円 9,040 億円 4.1 %(増)営業利益 638 億円 800 億円 25.3 %(増)税引前利益 700 億円 820 億円 17.0 %(増)親会社の所有者に457 億円 560 億円 22.5 %(増)帰属する当期利益(注)本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。実際の業績等に影響を与える可能性のある重要な要因には、当社グループを取り巻く日本、米州、欧州・中東・アフリカ、中華圏・アジア等の経済情勢や市場の動向、為替レート等が含まれます。なお、業績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。5
四半期 2027年3月期 第1四半期
出典: リコー 2027年3月期 第1四半期 決算短信〔IFRS〕、開示日 2026年8月3日(https://www2.jpx.co.jp/disc/77520/140120260730503725.pdf)
1.経営成績等の概況(1)当四半期連結累計期間の経営成績の概況①全般の状況当社グループ(当社及び関係会社)は、2026年4月より中期経営戦略’26(以下、中経’26)をスタートしました。当社グループは、デジタルサービスの会社として進化を続け、お客様の「はたらく場(ワークプレイス)」において、自社及び他社の製品・サービス、ソフトウェアを組みあわせることで、お客様の競争優位性及び差別化に貢献するインテグレーターを目指しています。これにより、グローバルにおいて持続的な価値提供が可能な事業構造の構築を進めていきます。オフィスプリンティング事業においては、エトリア株式会社(以下、エトリア)を通じて環境性能に優れた技術を活用しエンジンシェア*1の拡大を図ること等により、引き続き安定した収益基盤を確保します。商用・産業印刷事業においては、安定収益を生み出すとともに、インクジェット技術を活用し、お客様のコスト低減や環境対応に資する新たな成長事業の創出に取り組みます。また、資本効率を重視した経営を一層強化し、ROEが株主資本コストを継続して上回る状態を実現することで、企業価値及びTSRの向上を目指しています。その実現に向け、アセットライト化*2の推進、アセットライトな事業の拡大並びにストック利益の着実な積み上げを通じてROICの改善と安定収益の確保を図っていきます。*1 エンジンシェア:エトリアが製造した複合機・プリンター基幹部分の市場シェア*2 アセットライト:資産の保有を最小限に抑え、財務を軽くする経営手法当連結会計年度は、中経’26の初年度として、ワークプレイスサービスにおけるストック収益の拡大に向けて、既存顧客へのサービス契約拡大・深耕、グローバルでの高収益なサービスポートフォリオ・共通モジュール拡大等の施策を推進します。一方で、半導体メモリや石油関連部材等の価格上昇に伴うコスト増加に対しては、価格対応やコスト構造の見直し等によりその影響の軽減に努めます。インフレに伴う人件費等の増加も見込まれますが、経費コントロール及びコスト構造改革の継続により、これらの影響に対応していきます。事業環境は引き続き不透明な状況が続きますが、変化に対して機動的な対応を行い、お客様の競争優位と差別化に貢献するインテグレーターとなるべく変革を進めてまいります。世界経済は、中東情勢の緊迫化やロシア・ウクライナ情勢の長期化、各国の通商政策を巡る不確実性等を抱えながらも、AI関連投資やデジタルインフラ投資の活発化等に支えられ、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。中東情勢に起因するエネルギー価格の変動や各国の通商政策の動向は、引き続き世界経済の下振れリスクとなっています。日本では、物価上昇や海外経済の先行きに対する不透明感があるものの、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移し、企業収益も総じて堅調に推移したことから、景気は緩やかな回復基調を維持しました。米国では、AI関連投資やデータセンター向け投資が景気を下支えした一方、通商政策や金融政策を巡る不透明感が継続しました。個人消費は良好な雇用環境を背景に底堅く推移しました。欧州では、インフレ圧力の緩和や金融環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。中国では、不動産市場の低迷や個人消費の回復の遅れ等により、景気は弱含みで推移しました。主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 159.45円(前第1四半期連結累計期間に比べ 14.91円の円安)、対ユーロが 185.34円(同 21.47円の円安)となりました。このような状況の中、当第1四半期連結累計期間の売上高は 6,298億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ
8.4%増加しました(為替影響を除くと 1.2%の増加)。デジタルプロダクツにおいて海外を中心に売上が減少しましたが、ワークプレイスサービスの成長や為替の影響等もあり、前第1四半期連結累計期間に比べ増収となりました。地域別では、国内は、ワークプレイスサービス及びデジタルプロダクツを中心に売上が増加しました。ワークプレイスサービスにおいては、パソコンの買い替え需要が一巡したものの、セキュリティ関連や法改正対応ソリューション等が引き続き伸長し、増収となりました。デジタルプロダクツでは、ハードの販売増加が寄与しました。これらの結果、国内売上高は前第1四半期連結累計期間に比べ 4.5%の増加となりました。2海外では、米州においては、前第1四半期連結累計期間の関税政策を背景とした駆け込み需要の反動減もありデジタルプロダクツでハードを中心に売上が減少しました。ワークプレイスサービスにおいては、前連結会計年度に買収した米国のPresentation Products, Inc.(以下、PPI)及びカナダのET Groupの貢献によりワークプレイスエクスペリエンスの売上が拡大した一方、米国のマネジードITサービスの売却の影響により、ワークプレイスサービス全体では微減となりました。また、インダストリアルソリューションズにおいて、サーマル事業の需要回復により増収となりました。これらの結果、米州売上高は、実質ベースでは前年並みとなったものの、円安の影響もあり、前第1四半期連結累計期間に比べ 9.8%の増加となりました(為替影響を除くと 0.1%の減少)。欧州・中東・アフリカにおいては、ワークプレイスサービスでは市場の需要低迷が続いたものの、買収会社とのシナジー効果により増収となりました。一方、デジタルプロダクツ及びグラフィックコミュニケーションズにおいては、景況不透明感を背景とした顧客の投資判断の慎重化が継続していること等により、減収となりました。これらの結果、欧州・中東・アフリカ売上高は実質ベースでは減収となったものの、円安の影響もあり、前第1四半期連結累計期間に比べ
11.5%の増加となりました(同 1.2%の減少)。その他の地域は、前第1四半期連結累計期間に比べ 12.8%の増加となりました(同 1.9%の減少)。以上の結果、海外売上高全体では前第1四半期連結累計期間に比べ 10.9%の増加となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前第1四半期連結累計期間に比べ 0.8%の減少となります。売上総利益は、ワークプレイスサービスを中心にストック利益の増加があったものの、デジタルプロダクツの海外売上減少や半導体メモリ価格の高騰等の影響がありました。一方、米国の関税措置に係る還付金の計上及び円安の影響により、前第1四半期連結累計期間に比べ 14.6%増加し 2,375億円となりました。販売費及び一般管理費は、円安の影響等により、前第1四半期連結累計期間に比べ 6.7%増加し 2,101億円となりました。なお、欧州における基幹システム統合に伴う前第1四半期連結累計期間の一時費用及び為替影響を除くと、前年並みとなりました。その他の収益は、当第1四半期連結累計期間に連結子会社(孫会社)であるRicoh Asia Industry (Shenzhen)Ltd.(以下、RAI-SZ)の持分譲渡益を計上したため、前第1四半期連結累計期間に比べて 180億円増加し 203億円となりました。以上の結果、営業利益は、前第1四半期連結累計期間に比べて 351億円増加し 477億円となりました。金融収益及び金融費用は、為替差損の増加等により、前第1四半期連結累計期間に比べ金融費用が増加しました。持分法による投資損益は、持分法適用会社の利益減少により前第1四半期連結累計期間に比べ減少しました。税引前四半期利益は、前第1四半期連結累計期間に比べて 326億円増加し 474億円となりました。法人所得税費用は、前第1四半期連結累計期間に比べて 51億円増加しました。以上の結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前第1四半期連結累計期間に比べ 274億円増加し 370億円となりました。四半期包括利益は、四半期利益の増加により、前第1四半期連結累計期間に比べ増加し 420億円となりました。
②セグメント別の状況当第1四半期連結会計期間より、事業の種類別セグメントを変更しております。詳細についてはP.15「2.要約四半期連結財務諸表及び主な注記(8)セグメント情報」をご覧ください。【ワークプレイスサービス】ワークプレイスサービスの売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 8.6%増加し 2,526億円となりました(為替影響を除くと 2.3%の増加)。国内において、パソコンの買い替え需要が一巡したものの、セキュリティ関連の好調によるITサービスの伸長や、法改正対応ソリューション需要の増加によるアプリケーションサービスの伸長等により、増収となりました。米州においては、前連結会計年度に買収した米国のPPI及びカナダのET3Groupの貢献に加え、既存顧客への展開によりワークプレイスエクスペリエンスの売上が拡大した一方、米国のマネジードITサービスの売却の影響により、ワークプレイスサービス全体では微減となりました。欧州・中東・アフリカでは、市場の需要低迷は続いたものの、買収会社とのシナジー効果や法規制対応需要を背景としたDocuWare*の伸長もあり、増収となりました。売上高の増加に加え、前第1四半期連結累計期間に計上した欧州における基幹システム統合に伴う一時費用の減少等により、ワークプレイスサービス全体の営業損益は 6億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ 58億円増加しました。* DocuWare:ドキュメント管理及びワークフロー自動化ソリューション【デジタルプロダクツ】デジタルプロダクツの売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 6.6%増加し 2,678億円となりました(為替影響を除くと 0.6%の減少)。国内では、販売台数増加によりハードの売上が増加したことに加え、2025年10月にエトリアに参画した沖電気工業株式会社向けの製品販売も寄与しました。一方、海外では、米州において前第1四半期連結累計期間の関税政策を背景とした駆け込み需要の反動減があったことに加え、欧州・中東・アフリカにおいては中東情勢の影響や価格競争の激化等の市場環境の影響も受け、ハード・ノンハードともに売上が減少しました。海外売上の減少や半導体メモリ価格の高騰等の影響があった一方、米国の関税措置に係る還付金の計上及び円安の影響により、デジタルプロダクツ全体の営業利益は 263億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ 31億円増加しました。【グラフィックコミュニケーションズ】グラフィックコミュニケーションズの売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 7.1%増加し 697億円となりました(為替影響を除くと 2.6%の減少)。商用印刷事業において、プロダクションプリンターのノンハードは底堅く推移したものの、ハードは欧州を中心に景況不透明感を背景とした需要の弱含み等により、売上が減少しました。経費抑制や、米国の関税措置に係る還付金の計上及び円安の影響により、グラフィックコミュニケーションズ全体の営業損益は 22億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ 38億円増加しました。【インダストリアルソリューションズ】インダストリアルソリューションズの売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 19.9%増加し 272億円となりました(為替影響を除くと 10.1%の増加)。サーマル事業において、米州におけるEコマース需要の伸長に加え、日本及び欧州では、中東情勢を背景とした部材不足や価格上昇懸念から在庫確保に向けた前倒し購買需要もあり、売上が増加しました。コストダウンやプライシングコントロールも継続し、インダストリアルソリューションズ全体の営業損益は 7億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ 9億円増加しました。【その他】その他の売上高は、前第1四半期連結累計期間に比べ 39.5%増加し 122億円となりました。カメラ事業がRICOHGRシリーズを中心に引き続き好調で、増収増益となりました。その他全体の営業損益は 3億円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ 18億円増加しました。【消去又は全社】消去又は全社の配賦不能費用には、上記セグメントに帰属しない損益を計上しております。当第1四半期連結累計期間に連結子会社(孫会社)であるRAI-SZの持分譲渡益を計上したこと等により、営業損益は前第1四半期連結累計期間に比べ 193億円増加しました。4
(2)当四半期連結累計期間の財政状態の概況①資産、負債及び資本の状況資産合計は、前連結会計年度末に比べ 41億円増加し 25,442億円となりました。為替影響を除いた試算では 169億円の減少となります。主要通貨の当第1四半期末日レートは、対米ドルが 162.39円(前連結会計年度末に比べ
2.51円の円安)、対ユーロが 185.35円(同 1.94円の円安)となりました。資産の部では、現金及び現金同等物が 269億円増加しました。また、販売に向けた在庫形成、生産移管に伴う作り溜め等により棚卸資産が 229億円増加しました。一方で、前連結会計年度末に計上した債権の回収等により営業債権及びその他の債権が 490億円減少しました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ 201億円減少し 13,325億円となりました。負債の部では、前連結会計年度末に計上した債務の支払い等により営業債務及びその他の債務が 430億円減少しました。一方で、社債及び借入金が流動負債と非流動負債を合わせ 57億円増加しました。資本合計は、前連結会計年度末に比べ 242億円増加し 12,117億円となりました。資本の部では、四半期利益の計上及び円安により在外営業活動体の換算差額が増加した一方、配当金の支払により利益剰余金が減少したことに加え、自己株式の取得を実施しました。結果として親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 229億円増加し 11,791億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ 0.8ポイント増加し 46.3%となりました。
②キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間に比べ現金収入が 372億円増加し 598億円の収入となりました。前第1四半期連結累計期間に比べ、当期利益の増加に加え、前期は国内のセカンドキャリア支援制度の退職加算金の支払があった影響等から、結果として現金収入が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間に比べ現金支出が 68億円減少し 90億円の支出となりました。当第1四半期連結累計期間においては、RAI-SZの売却による収入があり、結果として現金支出が減少しました。以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間に比べ現金収入が 440億円増加し 508億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前第1四半期連結累計期間に比べ現金支出が 129億円減少し 286億円の支出となりました。前第1四半期連結累計期間は借入債務の返済、当第1四半期連結累計期間は自己株式の取得があり、結果として現金支出が減少しました。以上の結果、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 198億円増加し2,133億円となりました。5
(3)今後の見通し通期の業績予想につきましては、当第1四半期連結累計期間の進捗を踏まえ、今年5月に決算短信[IFRS]にて発表した売上高、売上総利益、営業利益、税引前利益、及び親会社の所有者に帰属する当期利益の見通しを据え置くことといたします。当第1四半期連結累計期間は米国の関税措置に係る還付金の計上等により計画を上回って推移しましたが、第2四半期以降の半導体メモリ価格の上昇リスクや関税率見直しに伴う事業影響、各種施策の展開等も勘案し、現時点で業績予想に変更はありません。なお、通期の想定為替レートについては当第1四半期連結累計期間の実績を反映しておりますが、第2四半期以降の為替レートは、1米ドル当たり 150円、1ユーロ当たり 175円と今年5月の想定から変更ありません。通期の想定為替レートUS$ 1= 152円36銭 (前年150円79銭)EURO 1= 177円59銭 (前年174円81銭)当連結会計年度前連結会計年度 増減見通し(A) (B-A)/A(B)(国内)売上高 10,516 億円 10,630 億円 1.1 %(増)(海外)売上高 15,566 億円 16,370 億円 5.2 %(増)売上高合計 26,083 億円 27,000 億円 3.5 %(増)売上総利益 8,891 億円 9,200 億円 3.5 %(増)営業利益 907 億円 950 億円 4.7 %(増)税引前利益 922 億円 950 億円 3.0 %(増)親会社の所有者に556 億円 620 億円 11.4 %(増)帰属する当期利益(注)本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。実際の業績等に影響を与える可能性のある重要な要因には、当社グループを取り巻く日本、米州、欧州・中東・アフリカ、中華圏及びアジアパシフィックの経済情勢や市場の動向、為替レート等が含まれます。なお、業績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。6
本記事は各社が開示した決算短信の記載を機械的に抽出・比較し、AIが要約したものです。数値・表現は原資料をご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。