三菱地所

【三菱地所】2026年3月期は営業利益3,297億円で過去最高益、ROE8.5%に改善 2027年3月期は3,700億円・ROE9%程度を予想

決算サマリー 2026.07.28
【三菱地所】2026年3月期は営業利益3,297億円で過去最高益、ROE8.5%に改善 2027年3月期は3,700億円・ROE9%程度を予想

※本記事は当該企業が公開したIR資料(2026年3月期 決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標(営業利益・事業利益等)の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

三菱地所(証券コード8802)は2025年度(2026年3月期)決算を発表した。営業利益は3,297億円(前年度比+205億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,225億円(前年度比+331億円)となり、いずれも過去最高益を更新した。国内の新規オフィスリーシングや既存ビルの賃料改定、商業・ホテル事業が総じて好調に推移したほか、国内外での物件売却が堅調に進捗したことが増益に寄与した。ROEは8.5%となり、前年度末の7.6%から大幅に改善している。2027年3月期(2026年度)は、丸の内事業の大幅増益と海外キャピタルゲインの拡大により、営業利益3,700億円・親会社株主に帰属する当期純利益2,350億円を見込み、過去最高益の更新を予定している。

目次

①業績ハイライト

2025年度の連結業績は、営業収益1兆7,461億円(前年度比+1,663億円)、営業利益3,297億円(同+205億円)、経常利益2,731億円(同+101億円)、親会社株主に帰属する当期純利益2,225億円(同+331億円)となった。特別利益は投資有価証券売却益の増加により1,096億円(同+293億円)に拡大し、政策保有株式の売却が寄与した。一方、特別損失は固定資産除却関連損の増加により333億円(同+70億円)となった。

項目2025年度実績2024年度実績増減
営業収益1兆7,461億円1兆5,798億円+1,663億円
営業利益3,297億円3,092億円+205億円
経常利益2,731億円2,630億円+101億円
親会社株主に帰属する当期純利益2,225億円1,894億円+331億円
三菱地所2025年度決算の損益計算書実績表
2025年度PL実績(同社IR Presentation P.5より)

②セグメント別動向

セグメント別営業利益をみると、丸の内事業は大幅増益となる97,534百万円(975億円、前年度比+14億円)で、オフィスリーシングの好調が押し上げた一方、ビル閉館の影響がマイナス要因となった。丸の内・大手町・有楽町地区(大丸有地区)の事務所空室率は2026年3月末時点で0.55%と低水準を維持している。同地区では再開発対象35棟のうち19棟の再開発が完了し、延床面積200万㎡が供給済みで、丸の内NEXTステージによる新規供給予定は110~130万㎡となっている。

コマーシャル不動産事業は物件売却益の増加により135,677百万円(1,357億円、同+110億円)となった。内訳は賃貸利益668億円、物件売却595億円、フィー等93億円で、回転型資産簿価は1.0兆円超、稼働資産のNOI利回りは6%中盤の水準にある。住宅事業は分譲マンション事業利益の増加により57,287百万円(573億円、同+93億円)となり、ランドバンクは16,107戸、粗利益率は37.1%であった。

海外事業は物件売却益の増加により57,111百万円(571億円、同+113億円)となり、内訳は賃貸228億円、物件売却413億円、分譲住宅△15億円、その他△54億円であった。投資マネジメント事業はインセンティブフィー調整およびM&Aに伴う一過性費用の計上により1,435百万円(14億円、同△105億円)に減益となった。資産運用残高(AuM)は長期経営計画発表時(2020年1月時点)の3.1兆円から2026年3月末には7.3兆円まで拡大している。設計監理・不動産サービス事業は仲介事業の好調により12,614百万円(126億円、同+19億円)となった。

セグメント2025年度実績2024年度実績増減主な要因
コマーシャル不動産事業1,357億円1,247億円+110億円物件売却益の増
丸の内事業975億円962億円+14億円オフィスリーシング好調/ビル閉館影響
住宅事業573億円480億円+93億円分譲マンション事業利益の増
海外事業571億円458億円+113億円物件売却益の増
投資マネジメント事業14億円120億円△105億円インセンティブフィー調整・一過性費用
設計監理・不動産サービス事業126億円107億円+19億円仲介事業好調
三菱地所丸の内事業の再開発状況と営業利益実績
丸の内事業の概要(同社IR Presentation P.20より)

③財務・資本効率

2026年3月末の資産合計は8兆5,662億円(前期末比+5,696億円)となり、有形固定資産が5兆1,175億円(同+2,631億円)、エクイティ出資が1兆1,213億円(同+577億円)とそれぞれ増加した。負債合計は5兆6,886億円(同+4,329億円)、うち有利子負債は3兆6,109億円(同+2,722億円)で、内訳は借入金2兆7,086億円、社債8,734億円、リース債務289億円。固定・変動比率は固定82.2%、長期・短期比率は長期94.7%、円貨・外貨比率は円貨76.0%となっている。格付は長期債格付でムーディーズA2、S&P A、格付投資情報センター(R&I)AA、日本格付研究所AA+を取得している。純資産合計は2兆8,775億円(同+1,367億円)であった。

資本効率面では、2025年度のROAは4.0%、ROEは8.5%、EPS(1株当たり当期純利益)は181.80円と5期連続で過去最高を更新した。会社は2026年度のROEを9%程度と見込み、2030年度には10%への伸長を目指している。キャッシュフローは営業活動によるキャッシュ・フローが+5,089億円、投資活動によるキャッシュ・フローが▲4,414億円で、フリー・キャッシュ・フローは674億円となった。投資進捗は設備投資が当初想定5,830億円に対し実績5,277億円(進捗率91%)、エクイティ出資が当初想定3,910億円に対し実績2,162億円(進捗率55%)、合計では当初想定9,740億円に対し実績7,440億円(進捗率約76%)となっている。

指標2024年度実績2025年度実績2026年度予想2030年度目標
ROE7.6%8.5%9%程度10%
ROA4.0%5%
EPS151.04円181.80円196.27円200円
三菱地所のROA・ROE・EPS推移グラフ
ROA・ROE・EPSの推移(同社IR Presentation P.8より)

④株主還元

配当については、業績上昇見通しを反映し、原則毎期+3円の累進配当(2030年度で60円以上)を導入している。2025年度の配当は46円/株、2026年度の配当予想は49円/株(前期比+3円、+6.5%増配)となる見通しである。自己株式の取得については、2025年度に累計1,300億円を取得したのに加え、2026年度は500億円の自社株買いを決定しており、期中を通じて柔軟な追加取得も検討する方針である。過去7年間の自己株式取得の累計額は4,100億円に達している。

あわせて政策保有株式(上場株式)については、2027年度までに2024年度末比で50%以上を削減する方針を掲げ、売却額は約1,000億円超を見込む。売却で回収した資金は自己株式の取得や高効率の投資などに活用するとしている。

年度2023年度2024年度2025年度2026年度(予想)
1株当たり配当額40円43円46円49円
三菱地所の当期純利益と1株当たり配当額の推移グラフ
株主還元(配当)の推移(同社IR Presentation P.15より)

⑤2027年3月期(2026年度)会社予想

2026年度の業績予想は、営業収益2兆円(前期比+2,539億円)、営業利益3,700億円(同+402億円)、経常利益2,950億円(同+219億円)、親会社株主に帰属する当期純利益2,350億円(同+124億円)と、いずれも過去最高益の更新を見込む。セグメント別では、丸の内事業がオフィスリーシングの好調に加え物件売却益の計上により1,200億円(同+225億円)、海外事業が物件売却益の増加により800億円(同+229億円)、住宅事業が分譲マンション事業利益の増加により650億円(同+77億円)といずれも増益を予想する一方、コマーシャル不動産事業は物件売却益の減少により1,100億円(同△257億円)を見込む。投資マネジメント事業はベースフィーの増加とインセンティブフィー調整の反動により150億円(同+136億円)と大幅増益を見込んでいる。

セグメント2026年度予想2025年度実績増減
コマーシャル不動産事業1,100億円1,357億円△257億円
丸の内事業1,200億円975億円+225億円
住宅事業650億円573億円+77億円
海外事業800億円571億円+229億円
投資マネジメント事業150億円14億円+136億円
設計監理・不動産サービス事業100億円126億円△26億円

⑥長期経営計画2030の進捗

長期経営計画2030における事業利益(営業利益+持分法投資損益)は、2025年度実績で3,298億円(国内アセット2,743億円、海外アセット571億円、ノンアセット280億円、全社消去△296億円)となった。2026年度は3,700億円を見込んでおり、長期経営計画2030の目標である「2030年度4,000億円超」に向けて着実に進捗している。

⑦まとめ

三菱地所の2026年3月期決算は、丸の内事業の増益と国内外での物件売却の進捗を主因に、営業利益・当期純利益ともに過去最高を更新した。ROEは8.5%まで改善し、2027年3月期には9%程度への一段の伸長を見込む。株主還元面では、原則毎期+3円の累進配当と、500億円の自社株買い(柔軟な追加取得を検討)、さらに政策保有株式の50%以上削減方針を打ち出しており、資本効率の向上と株主還元の充実を両輪とした経営が進められている。2027年3月期は営業利益3,700億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,350億円を見込み、長期経営計画2030の目標達成に向けた進捗が引き続き注目される。

※本記事は当該企業が公開したIR資料(2026年3月期 決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標(営業利益・事業利益等)の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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