※本記事は当該企業が公開したIR資料(2026年3月期 決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標(営業利益・事業利益等)の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
東急不動産ホールディングス(証券コード3289)は2026年5月15日、2026年3月期(2025年4月~2026年3月)の決算を発表した。仲介事業や投資家向け売却等の好調、広域渋谷圏を中心としたオフィス・商業施設の稼働良化等により、営業収益1兆2,460億円(前期比+957億円)、営業利益1,669億円(同+261億円)、親会社株主に帰属する当期純利益967億円(同+191億円)となった。増収増益は5期連続で、営業収益・各利益ともに過去最高を更新した。ROEは11.2%、EPS成長率は24.6%。同社はSBIホールディングスとの資本業務提携を締結したほか、「デジタルトランスフォーメーション銘柄2026」に2度目の選定を受けている。
業績ハイライト
2026年3月期は、堅調な不動産市場を背景とした仲介事業や投資家向け売却等の好調、広域渋谷圏物件を中心としたオフィス・商業施設の稼働良化等により、全社で増収増益となった。経常利益は1,478億円(前期比+187億円)。特別利益は関係会社株式売却益95億円等により98億円、特別損失は減損損失57億円、事業整理損失引当金繰入額34億円等により105億円を計上している。
| 項目 | 25年3月期実績 | 26年3月期実績 | 増減 | 26年3月期予想(25年11月公表) |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 11,503億円 | 12,460億円 | +957億円 | 13,000億円 |
| 営業利益 | 1,408億円 | 1,669億円 | +261億円 | 1,600億円 |
| 経常利益 | 1,292億円 | 1,478億円 | +187億円 | 1,390億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 776億円 | 967億円 | +191億円 | 900億円 |
| ROE | 9.9% | 11.2% | +1.4pt | - |
| EPS | 108.69円 | 135.45円 | +26.76円 | - |

セグメント別動向
| セグメント | 営業収益(対前期増減) | 営業利益(対前期増減) |
|---|---|---|
| 都市開発 | 3,999億円(+511億円) | 752億円(+47億円) |
| 戦略投資 | 1,466億円(+358億円) | 132億円(+81億円) |
| 管理運営 | 3,644億円(△15億円) | 272億円(+22億円) |
| 不動産流通 | 3,647億円(+192億円) | 644億円(+136億円) |
| 全社・消去 | △295億円(△89億円) | △132億円(△24億円) |
| 合計 | 12,460億円(+957億円) | 1,669億円(+261億円) |
都市開発事業は営業収益3,999億円(前期比+511億円)、営業利益752億円(同+47億円)。渋谷サクラステージや東急プラザ原宿「ハラカド」のフル稼働等が寄与した一方、オフィス・商業施設事業の投資家向け売却等は前期比△56億円となった。住宅事業は投資家向け売却等の増加(+95億円)により営業利益222億円(同+78億円)となっている。
戦略投資事業は営業収益1,466億円(同+358億円)、営業利益132億円(同+81億円)。投資家向け売却等の好調や米国事業の期中損益改善等により増収増益となった。
管理運営事業は営業収益3,644億円(同△15億円)、営業利益272億円(同+22億円)。ウェルネス事業の減収は株式会社イーウェルの一部株式譲渡に伴う持分法への移行影響が主因で、実質的には増収であり、ホテル事業の収益改善により増益となった。
不動産流通事業は営業収益3,647億円(同+192億円)、営業利益644億円(同+136億円)。仲介事業の営業利益は561億円(同+127億円)と大幅増益となり、5年間で約4.1倍に拡大、営業利益率は21.8%(26年3月期)に達した。2026年3月期上半期の売買仲介取扱高・手数料収入は新聞報道ベースで業界第1位となっている。
財務・資本効率
主要な経営指標では、ROEが11.2%(前期比+1.4pt)、ROAが5.0%(同+0.5pt)となり、いずれも改善した。EPSは135.45円(同+26.76円)、EPS成長率は24.6%。D/Eレシオは2.0倍(前期2.1倍)、EBITDA倍率は7.6倍(同△1.3倍)、自己資本比率は26.3%(同+1.0pt)と財務健全性も向上している。賃貸等不動産の含み益はオフィス賃料上昇を主因に4,988億円(前期比+637億円、+14.6%)に拡大し、1株当たりNAVは1,739円(同+167円、+10.6%)となった。
株主還元
株主還元については、26年3月期の年間配当金を48.0円(前期比+11.5円、対予想+3.5円)に増配した。配当性向は35.4%(前期比+1.9pt、対予想+0.1pt)。27年3月期は年間配当金50.0円(前期比+2.0円)、配当性向35.7%(同+0.3pt)を計画している。株主還元方針は「配当性向35%以上(26年3月期~28年3月期)、累進配当」であり、年間配当金は過去4年で約2.1倍に拡大した。

2027年3月期 会社予想
27年3月期の業績予想は、営業収益1兆4,000億円(前期比+1,540億円)、営業利益1,900億円(同+231億円)、経常利益1,610億円(同+132億円)、親会社株主に帰属する当期純利益1,000億円(同+33億円)。投資家向け売却等、分譲マンション、仲介事業の好調等により、過去最高益更新を見込む。ROEは11%程度、ROAは5.5%程度、EPSは140.02円、EPS平均成長率は13.5%/年(25年3月期~27年3月期)を計画している。
セグメント別営業利益は、都市開発753億円(同+1億円)、戦略投資193億円(同+61億円)、管理運営423億円(同+151億円)、不動産流通665億円(同+21億円)を計画。投資家向け売却等が大幅増益となるウェルネス事業(同+147億円、投資家向け売却等+164億円等)や住宅事業(同+92億円、分譲計上戸数増等)、仲介事業(同+25億円)の好調等により、全社で対前期+231億円の増益を見込む。27年3月期の投資家向け売却等利益は633億円を計画しており、2026年3月期末時点で約4分の1が契約確保済みとなっている。

中期経営計画2030の進捗
同社は2025年5月公表の「中期経営計画2030」において、28年3月期目標として営業利益1,700億円、当期純利益920億円、ROE9.5~10%を掲げている。26年3月期実績では、当期純利益967億円・ROE11.2%が、いずれもこの28年3月期目標を2年前倒しで上回った。27年3月期は営業利益1,900億円、当期純利益1,000億円、ROE11%程度を計画しており、28年3月期の全ての財務目標(営業利益・当期純利益・ROE)を1年前倒しで超過達成する計画としている。31年3月期の目標は、営業利益2,200億円以上、当期純利益1,200億円以上、ROE10%以上、EPS平均成長率8%/年である。
同社は、昨年5月策定の中期経営計画2030について、建築費や国内金利の想定を上回る上昇、中東情勢等の不透明感の高まりといった外部環境の変化を踏まえ、来年(2027年)に中期経営計画をアップデートし公表する予定としている。
成長戦略の柱である広域渋谷圏では、26年3月期のオフィス賃料改定において全件で増額に合意し、増額率は全体で15%に迫る水準となった。広域渋谷圏利益は25年3月期190億円から26年3月期240億円(同+50億円)に拡大し、31年3月期の目標300億円に向けて順調に進捗している。

まとめ
東急不動産ホールディングスの2026年3月期は、仲介事業や投資家向け売却等の好調、広域渋谷圏を中心としたオフィス・商業施設の稼働良化により、5期連続の増収増益と過去最高益を達成した。ROE・当期純利益は中期経営計画2030の28年3月期目標を2年前倒しで上回り、27年3月期には28年3月期の全財務目標の前倒し達成を計画するなど、中計の進捗は総じて順調である。株主還元では累進配当方針のもと27年3月期も増配を計画しており、堅調な業績と株主還元強化の両立が続く見通しである。
※本記事は当該企業が公開したIR資料(2026年3月期 決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標(営業利益・事業利益等)の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。