※本記事は日立製作所が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
日立製作所の2026年3月期(FY2025)連結決算は、売上収益10兆5,867億円(前期比+8%、為替影響除き+7%)、Adj. EBITA1兆3,114億円(同+2,279億円/+21%)、当期利益(親会社株主帰属)8,023億円(同+1,866億円)、コアFCF1兆1,702億円(同+3,896億円)といずれも過去最高を更新した。エナジーのパワーグリッド事業、DSSの国内IT事業、モビリティの鉄道信号・制御事業がけん引した。2027年3月期(FY2026)の見通しは、売上収益11兆1,000億円(同+5%)、Adj. EBITA1兆4,200億円(同+1,085億円)、当期利益8,500億円(同+476億円)を計画する一方、コアFCFは8,500億円(同△3,202億円)を見込む。
連結業績(当期実績)
エナジーのパワーグリッド事業、DSSの国内IT事業、モビリティの鉄道信号・制御事業がけん引し増収増益。Adj. EBITA・当期利益・コアFCFが過去最高を達成した。Adj. EBITA率は、エナジーやDSSの収益向上に加え、Lumada事業の拡大により前期比+1.3ポイントの12.4%となった。コアFCFは、利益増に加え前受金の増加により拡大した。ROICは12.4%(前期比+1.5ポイント)。
| 項目 | 当期(FY2025) | 前期(FY2024) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 105,867億円 | 97,833億円 | +8%[為替影響除き+7%] |
| Adj. EBITA | 13,114億円 | 10,835億円 | +2,279億円/+21% |
| Adj. EBITA率 | 12.4% | 11.1% | +1.3pts |
| 当期利益(親会社株主帰属) | 8,023億円 | 6,157億円 | +1,866億円 |
| Basic EPS | 176.76円 | 開示なし | – |
| コアFCF | 11,702億円 | 7,805億円 | +3,896億円 |
| ROIC | 12.4% | 開示なし | +1.5pts |

セグメント別(事業別)の状況
DSSはフロントビジネス・ITサービスを中心とした国内DX/モダナイゼーション事業の拡大によりDSS国内売上収益が前期比+7%となった一方、ストレージは顧客投資抑制や案件管理の徹底により減収。エナジーはパワーグリッドが送電網設備の堅調な需要と受注残の着実な売上転換、為替影響により増収増益となり、欧州・北米を中心に全地域で拡大した。モビリティは高収益な鉄道信号・制御事業を中心とした好調な推移や為替影響により増収増益、欧州・北米で拡大した。CIはビルシステムにおける中国での新設昇降機需要減少により全体では減収となったが、計測分析システムの売上収益は前期比+9%を達成し、半導体製造装置の販売増やLumada事業(デジタルサービス)の拡大により収益性は改善した。
| セグメント | 指標 | FY2025実績 | 前年比(YoY) |
|---|---|---|---|
| デジタルシステム&サービス(DSS) | 売上収益 | 29,400億円 | +4% |
| デジタルシステム&サービス(DSS) | Adj. EBITA(Adj.EBITA率15.3%) | 4,500億円 | +559億円 |
| エナジー | 売上収益 | 32,199億円 | +23% |
| エナジー | Adj. EBITA(Adj.EBITA率12.9%) | 4,160億円 | +1,640億円 |
| モビリティ | 売上収益 | 13,215億円 | +13% |
| モビリティ | Adj. EBITA(Adj.EBITA率8.2%) | 1,081億円 | +132億円 |
| コネクティブインダストリーズ(CI) | 売上収益 | 32,627億円 | △1% |
| コネクティブインダストリーズ(CI) | Adj. EBITA(Adj.EBITA率11.3%) | 3,673億円 | +220億円 |
| その他 | 売上収益 | 5,310億円 | +7% |
| その他 | Adj. EBITA | 229億円 | +110億円 |
| 全社及び消去 | 売上収益 | △6,886億円 | – |
| 全社及び消去 | Adj. EBITA | △531億円 | – |
| 連結合計 | 売上収益 | 105,867億円 | +8% |
| 連結合計 | Adj. EBITA(Adj.EBITA率12.4%) | 13,114億円 | +2,279億円 |

通期業績予想
FY2026は、DSSがLumada事業を含む国内DX/モダナイゼーション事業の拡大、AI活用の推進により増収増益。エナジーはパワーグリッドの送電網設備の堅調な需要と受注残の着実な売上転換により増収増益。モビリティは鉄道信号・制御事業で前年度の大幅な案件進捗の反動減があるものの、案件構成の改善とコスト削減により収益性が向上する見通し。CIは日立GLSの家電事業の資本再編に伴う減収影響があるものの、Lumada事業を含むサービス事業の拡大により収益性が向上する見通し。なお、DSSとCIは報告セグメントの区分を変更しており、下表のFY2026予想は変更後の新セグメント基準による。また、中東情勢についてはQ1への直接影響のみを織り込み済み(売上収益△400億円、Adj. EBITA△200億円)で、Q2以降の影響は引き続き注視するとしている。
| セグメント | 指標 | FY2026予想 | 前年比(YoY) |
|---|---|---|---|
| デジタルシステム&サービス(DSS) | 売上収益 | 31,900億円 | +4% |
| デジタルシステム&サービス(DSS) | Adj. EBITA(Adj.EBITA率15.7%) | 5,000億円 | +228億円 |
| エナジー | 売上収益 | 37,000億円 | +15% |
| エナジー | Adj. EBITA(Adj.EBITA率13.5%) | 5,000億円 | +839億円 |
| モビリティ | 売上収益 | 13,500億円 | +2% |
| モビリティ | Adj. EBITA(Adj.EBITA率9.4%) | 1,270億円 | +188億円 |
| コネクティブインダストリーズ(CI) | 売上収益 | 31,500億円 | +2% |
| コネクティブインダストリーズ(CI) | Adj. EBITA(Adj.EBITA率11.8%) | 3,710億円 | +306億円 |
| その他 | 売上収益 | 4,750億円 | △11% |
| その他 | Adj. EBITA | 100億円 | △129億円 |
| 全社及び消去 | 売上収益 | △7,650億円 | – |
| 全社及び消去 | Adj. EBITA | △880億円 | – |
| 連結合計 | 売上収益 | 111,000億円 | +5% |
| 連結合計 | Adj. EBITA(Adj.EBITA率12.8%) | 14,200億円 | +1,085億円 |

株主還元
キャピタルアロケーション方針(リターン重視で成長投資と株主還元にバランスよく機動的に配分)に基づき、FY2025は株主還元約5,500億円(配当金総額約2,000億円+自己株式取得約3,500億円)を完了。FY2026は株主還元約8,000億円(配当金総額約2,500億円+自己株式取得約5,500億円)を予定する。FY25期末配当は27円/株(予定額、FY25中間配当比+4円)、FY26中間配当は28円/株(予想額)。自己株式取得は上限5,000億円(取得期間2026年4月28日~2027年3月31日(予定))。1株当たり年間配当金はFY21の23円からFY26見通しで55円となり、年平均成長率(CAGR)は19%。
| 項目 | 金額/水準 | 備考 |
|---|---|---|
| FY25期末配当(予定額) | 27円/株 | FY25中間配当比 +4円 |
| FY26中間配当(予想額) | 28円/株 | – |
| 自己株式取得(FY26決議上限) | 5,000億円 | 取得期間2026年4月28日~2027年3月31日(予定) |
| 株主還元合計(FY25実績) | 約5,500億円 | 配当金総額 約2,000億円+自己株式取得 約3,500億円 |
| 株主還元合計(FY26予定) | 約8,000億円 | 配当金総額 約2,500億円+自己株式取得 約5,500億円 |
| 1株当たり年間配当金 | FY21:23円 → FY26見通し:55円 | CAGR 19% |

中期経営計画・Lumada事業/トピック
中期経営計画「Inspire 2027」の目標達成に向け、期初の想定以上に進捗しているとする。Lumada事業の売上収益はFY2025実績4兆1,460億円(売上比率40%、Adj. EBITA率16%)、FY2026見通し4兆7,900億円(売上比率44%、Adj. EBITA率17%)。うちリカーリング型サービス「HMAX」はFY2025実績3,000億円(Adj. EBITA率22%)、FY2026見通し4,800億円(Adj. EBITA率22%、前期比+60%)。事業ポートフォリオ改革として、家電事業はノジマとの戦略的パートナーシップに基づく新会社を設立(出資比率ノジマ80.1%・日立GLS19.9%、譲渡価格約1,100億円)、ATM事業はOKIとの事業統合に向けた契約を締結(出資比率OKI60%・日立製作所40%、事業開始予定2026年10月1日)、モビリティは米国Clever Devices社の買収に合意した。中東情勢については、FY2026業績見通しに現時点で想定するQ1への直接影響(売上収益△400億円、Adj. EBITA△200億円)のみを織り込み済みで、Q2以降の直接・間接影響は引き続き状況を注視するとしている。
※本記事は日立製作所が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。