※本記事は朝日印刷が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
朝日印刷の2026年3月期通期連結業績は、売上高44,642百万円(前期比+1.6%、前期差697百万円)、営業利益1,623百万円(同▲21.8%、▲452百万円)、経常利益1,897百万円(同▲12.3%、▲267百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益1,592百万円(同▲6.6%、▲112百万円)となった。資料は「原材料価格の高騰、海外事業のマイナスなどにより、増収減益で着地」としており、増収要因として包装システム販売事業の好調、減益要因として原材料価格の高騰や物価高の影響に加え、海外において印刷包材事業の受注が減少したことを挙げている。当期純利益については、政策保有株式の縮減による特別利益の計上があったとしている。1株当たり配当金は年間38円(中間18円+期末20円)。
連結業績(2026年3月期 実績)
計画比では、売上高が99.2%(計画差▲358百万円)、営業利益が72.2%(同▲627百万円)、経常利益が84.0%(同▲363百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が88.5%(同▲208百万円)と、いずれも計画を下回った。1株当たり当期純利益は75.76円(前期80.23円、前期比▲5.6%、計画比89.4%)。営業利益の増減分析では、2025年3月期の営業利益2,076百万円に対し、売上高が697百万円のプラス、売上原価(変動費)が▲558百万円、売上原価(固定費)が▲300百万円、販管費が▲291百万円と作用し、2026年3月期の営業利益は1,623百万円となった。要因として、国内では包装システム販売事業好調による売上の増加とそれに伴う機械仕入れの増加による売上原価の増加、原材料価格等の上昇による売上原価の増加、海外では中国向け製品の受注減少と製品ミックスの変動による収益性の低下が挙げられている。固定費面ではベースアップによる人件費の増加、工場再編による減価償却費の増加、物価高の影響が示されている。
| 項目(百万円) | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前期比 | 前期差 | 計画比 | 計画差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 43,945 | 44,642 | +1.6% | 697 | 99.2% | ▲358 |
| 営業利益 | 2,076 | 1,623 | ▲21.8% | ▲452 | 72.2% | ▲627 |
| 経常利益 | 2,165 | 1,897 | ▲12.3% | ▲267 | 84.0% | ▲363 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,704 | 1,592 | ▲6.6% | ▲112 | 88.5% | ▲208 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 80.23 | 75.76 | ▲5.6% | ▲4.47 | 89.4% | ▲9 |
| 1株当たり配当金 | 年間38円 | 年間38円(中間18円+期末20円) | ― | ― | ― | ― |

貸借対照表は、借入金返済による現預金の減少と設備投資による固定資産の増加が特徴。流動資産は26,303百万円(前期末比▲3,275百万円)で、うち現預金が6,927百万円(同▲3,344百万円)、売上債権が14,433百万円(同▲472百万円)、棚卸資産が3,847百万円(同+327百万円)。固定資産は42,872百万円(同+1,987百万円)で、有形固定資産33,496百万円(同+1,049百万円)、無形固定資産2,443百万円(同+22百万円)、投資その他資産6,932百万円(同+915百万円)。資産合計は69,175百万円(同▲1,287百万円)となった。負債合計は32,440百万円(同▲2,450百万円)で、長期有利子負債は15,708百万円(同▲1,910百万円)に減少。純資産合計は36,735百万円(同+1,163百万円)、自己資本比率は51.5%(同+2.9pt)となった。
| 項目(百万円) | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前期末比 |
|---|---|---|---|
| 流動資産 | 29,578 | 26,303 | ▲3,275 |
| 現預金 | 10,271 | 6,927 | ▲3,344 |
| 売上債権 | 14,905 | 14,433 | ▲472 |
| 棚卸資産 | 3,520 | 3,847 | +327 |
| 固定資産 | 40,884 | 42,872 | +1,987 |
| 資産合計 | 70,462 | 69,175 | ▲1,287 |
| 負債合計 | 34,890 | 32,440 | ▲2,450 |
| 純資産合計 | 35,572 | 36,735 | +1,163 |
| 自己資本比率 | 48.6% | 51.5% | +2.9pt |
セグメント別の状況
主力の印刷包材事業は、売上高39,995百万円(前期比▲0.7%、前期差▲264百万円)、セグメント利益8,909百万円(同▲3.7%、▲346百万円)。国内は医薬品向け製品、化粧品向け製品ともに堅調な受注推移となり売上高は横ばい、原材料をはじめとする仕入価格の上昇に加え賃上げや工場再編に伴う減価償却費の増加等により固定費が上昇するも、生産性向上の取り組みを推進した結果、利益も横ばいとなった。国外はインドネシア向け製品が好調だった一方、前期好調であった中国向け製品の受注が低調に推移し回復に至らなかったこと等に伴う製品ミックスの変動により減収減益となった。包装システム販売事業は売上高4,147百万円(同+31.4%、+992百万円)、セグメント利益690百万円(同+36.3%、+184百万円)と前期を大きく上回り、包装機械の提案に加え前工程・後工程も含めたトータル提案が奏功して大型案件の受注が増加、省人化・省力化ニーズの高まりを背景に好調な受注推移となった。資料は同事業を「印刷包材事業に次ぐ第2の事業」としてより一層の成長を見込むとしている。その他(人材派遣事業)は売上高499百万円(同▲5.7%、▲30百万円)、セグメント利益131百万円(同+0.9%、+1百万円)で、派遣稼働人数が減少した一方、派遣単価改定の寄与により減収増益となった。
| セグメント(百万円) | 売上高 2025年3月期 | 売上高 2026年3月期 | 売上高 前期比 | セグメント利益 2025年3月期 | セグメント利益 2026年3月期 | 利益 前期比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 印刷包材事業 | 40,260 | 39,995 | ▲0.7% | 9,256 | 8,909 | ▲3.7% |
| 包装システム販売事業 | 3,155 | 4,147 | +31.4% | 506 | 690 | +36.3% |
| その他(人材派遣事業) | 529 | 499 | ▲5.7% | 130 | 131 | +0.9% |

2027年3月期 通期業績予想
2027年3月期の連結業績予想は、売上高47,000百万円(前期比+5.3%、前期差+2,357百万円)、営業利益1,940百万円(同+19.5%、+316百万円)、経常利益2,060百万円(同+8.5%、+162百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益1,670百万円(同+4.9%、+77百万円)、1株当たり当期純利益79.45円(同+4.9%、+3.69円)で、「収益性の改善等により増収・増益を計画」としている。主な増減要因(+)は、国内印刷包材事業における価格改定効果による増収、海外印刷包材事業における新工場稼働等による売上拡大、生産性向上による製造原価の低減。主な増減要因(-)は、原材料価格等の上昇による製造原価の増加、ベースアップおよび物価上昇に伴う固定費の増加、海外印刷包材事業における新工場に係る減価償却費の増加。なお、本資料にセグメント別の業績予想および2027年3月期の1株当たり配当金の具体額の記載はない。
| 項目 | 2026年3月期(実績) | 2027年3月期(予想) | 前期比 | 前期差 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 44,642 | 47,000 | +5.3% | +2,357 |
| 営業利益(百万円) | 1,623 | 1,940 | +19.5% | +316 |
| 経常利益(百万円) | 1,897 | 2,060 | +8.5% | +162 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 1,592 | 1,670 | +4.9% | +77 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 75.76 | 79.45 | +4.9% | +3.69 |

株主還元
中期経営計画2030においては、さらなる株主還元強化を目的として配当方針を変更する。従来は「安定的な配当の継続と業績に応じた成果の配分」として「連結配当性向40%以上」の配当を実施してきたが、2027年3月期以降は「累進配当」と「DOE(連結純資産配当率)」に基づく配当へ移行し、原則として減配せず配当の維持もしくは増配とし、DOE2.4%を目途に配当する方針。あわせて機動的な自社株買いも継続的に実施する計画としている。2026年3月期の1株当たり配当金は年間38円(中間18円+期末20円)で、前期の年間38円と同額。財務戦略のキャッシュアロケーション(2026年度~2030年度)では、営業キャッシュ・フローに加えBS適正化や政策保有株式売却などにより中計期間で320億円程度のキャッシュインを見込み、成長投資180億円超のほか株主還元に55億円~を配分する計画を示している。

長期ビジョン・中期経営計画2030
朝日印刷は10年後の2035年に向けた長期ビジョン「ASAHI2035」(包むこころで社会を豊かに 未来を明るく ~新たなパッケージングソリューション企業へ~)を策定し、2027年3月期を初年度とする「中期経営計画2030」をそのフェーズ1と位置づけた。前中期経営計画(AX2024)では売上420億円、ROE6%、営業利益率7%といったP/L重視の財務KGIを掲げていたが、本中期経営計画では方針を転換し、KGIとしてROE8%、営業利益率8%を設定、2031年3月期の達成を目指す。成長戦略は3つの事業戦略(既存コア事業の構造改革、成長領域の拡大=包装システム・ラベル・海外、新事業)と財務戦略(BSマネジメント、キャッシュアロケーション、株主還元)、経営基盤(人的資本の強化、DX推進、環境対応の強化)で構成される。2030年度のKPIとして、印刷包材事業は粗利率20%向上、ラベル事業は売上高40億円(2026年3月期 26億円)、包装システム販売事業は2028年度~2030年度の平均売上高50億円(直近3年平均 33億円)、海外事業は売上高50億円(2026年3月期 27億円)、新事業は売上高5億円、BSマネジメントでは総資産回転率0.75回転(2026年3月期 0.64回転)を掲げる。前中期経営計画の振り返りでは、各施策において課題やさらなる取り組み余地が存在したため中計期間を1年延長したとし、主な成果として戦略機としての高機能印刷機導入、国内包材メーカー初のPSO認証取得、海外新工場の建設、SBT認定コミットメントレター提出を挙げている。環境面では2027年度までのSBT認定取得と、2030年度にSCOPE1,2で42%削減、SCOPE3で25%削減(いずれも2023年度対比)を目標としている。
会社概要は、所在地が富山県富山市、創業1872年(明治5年)、設立1946年5月(昭和21年)、従業員数1,760名(2026年3月現在)、資本金2,228百万円、上場市場は東証スタンダード。2026年3月期の売上高構成比は印刷包材事業89.6%、包材システム販売事業9.3%、人材派遣事業1.1%。資料では、医薬品市場向け印刷包材の国内シェア38.1%、化粧品市場向け印刷包材の国内シェア27.5%(いずれも自社調べ)を示し、両市場で国内トップシェアとしている。
※本記事は朝日印刷が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。