※本記事はいちごが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
いちご株式会社(2337)は2026年4月14日、2026年2月期の決算説明資料を公表した。当期は事業利益28,047百万円(前期比+12.8%)、純利益16,628百万円(同+9.5%)となり、事業利益、純利益、キャッシュ収益、ストック収益で過去最高益を更新した。株主還元では総額150億円の自己株式取得を開始し(期末時点で98億円取得済み)、発行済み株式数の7%を消却。2027年2月期はDOE目標を「4%以上」から「5%以上」へ引き上げ、1株あたり配当金15.5円(前期比+35%)への大幅増配を予想する。
連結業績(2026年2月期 実績)
営業利益は20,449百万円(前期比+25.4%)、経常利益は17,095百万円(同+24.2%)、純利益は16,628百万円(同+9.5%)。同社が本業利益の実態値と位置づける事業利益は28,047百万円(同+12.8%)となり、純利益および事業利益は過去最高益を更新した。1株あたり純利益(EPS)は40.11円(同+15.1%)と、自社株買いの効果もあり純利益を上回る伸びとなった。キャッシュ純利益は18,442百万円(同-4.9%)で、会計利益の1.1倍の水準。ストック収益は前期比+6%(心築事業のNOI向上が寄与)、フロー収益は同+14%だった。
| 項目 | 2026年2月期(当期実績) | 2025年2月期(前期実績) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 営業利益 | 20,449百万円 | 16,309百万円 | +25.4% |
| 経常利益 | 17,095百万円 | 13,764百万円 | +24.2% |
| 純利益 | 16,628百万円 | 15,187百万円 | +9.5% |
| キャッシュ純利益 | 18,442百万円 | 19,391百万円 | -4.9% |
| 事業利益 | 28,047百万円 | 24,864百万円 | +12.8% |
| 1株あたり純利益(EPS) | 40.11円 | 34.86円 | +15.1% |
| 1株あたりキャッシュ純利益(キャッシュEPS) | 44.49円 | 44.51円 | -0.0% |
| 1株あたり配当金(DPS) | 11.50円 | 10.50円 | +9.5% |
| 自己資本利益率(ROE) | 14.6% | 14.1% | – |
| キャッシュROE | 16.2% | 18.0% | – |
事業利益は、コア事業「心築事業」および「ホテル事業」において心築を施した資産の売却損益を営業利益に加味し、営業活動本来の利益を可視化した同社独自の指標(事業利益=営業利益+特別損益に計上される心築およびホテルの資産売却損益)。キャッシュ純利益は当期純利益に減価償却費・のれん償却費等のノンキャッシュ費用を加えたもの。
セグメント別の状況
セグメント別事業利益は、心築が13,094百万円(前期比+63.3%)と大幅増益で成長をけん引した一方、ホテルは7,224百万円(同-21.2%)、アセットマネジメントは2,282百万円(同-12.7%)と減益。いちごオーナーズは3,765百万円(同+13.0%)、クリーンエネルギーは1,648百万円(同-4.5%)だった。
| セグメント | 2026年2月期 事業利益 | 2025年2月期 事業利益 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| アセットマネジメント | 2,282百万円 | 2,613百万円 | -12.7% |
| 心築 | 13,094百万円 | 8,019百万円 | +63.3% |
| ホテル | 7,224百万円 | 9,166百万円 | -21.2% |
| いちごオーナーズ | 3,765百万円 | 3,330百万円 | +13.0% |
| クリーンエネルギー | 1,648百万円 | 1,725百万円 | -4.5% |
| 調整額(セグメント間取引消去額等) | 32百万円 | 9百万円 | – |
| 事業利益 合計 | 28,047百万円 | 24,864百万円 | +12.8% |

心築はストック収益が9,025百万円(前期比+14.2%)とオフィスのNOI成長や新規取得物件の収益貢献で拡大し、フロー収益も9,579百万円(同+73.9%)と大幅増。トレードピアお台場の稼働率向上(稼働率97%、期初から+5pt)やセットアップオフィス導入による賃料向上が寄与した。ホテルはストック収益が7,150百万円(同+2.3%)と増益だったが、前期大型売却の反動でフロー収益が2,635百万円(同-45.9%)となり減益。ただし売却益26億円は当初想定を大幅に上回った(通期予想比+30%)。アセットマネジメントはストック収益が2,741百万円(同+5.4%)と過去最高益となる一方、私募リート運用会社買収による販管費増などで減益。いちごオーナーズはストック収益838百万円(同+10.7%)、フロー収益4,323百万円(同+10.1%)と増益だったが、計画していたポートフォリオ売却の一部が翌期へ持ち越しとなり通期予想には未達。クリーンエネルギーは一部発電所の保守費用増加により微減となった。

通期業績予想(2027年2月期)
2027年2月期は事業利益340億円(前期比+21%)、純利益180億円(同+8%)、キャッシュ純利益240億円(同+30%)と、いずれも過去最高益の更新を見込む。EPSは45.13円(同+12.5%)と、自社株買いにより純利益を超える成長を予想。ROE 15.0%、キャッシュROE 20.0%と、いずれも長期VISIONの経営目標達成を見込む。セグメント別では、心築が物件売却および子会社売却により18,550百万円(同+41.7%)、いちごオーナーズが前期未実現の売却実現により7,600百万円(同+101.9%)と大幅増益を見込む一方、ホテルは前期フロー収益(26億円)の反動により5,150百万円(同-28.7%)、アセットマネジメントは投資法人関連成果報酬を織り込まず1,250百万円(同-45.2%)と減益を見込む。
| 項目 | 2027年2月期(予想) | 2026年2月期(実績) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 営業利益 | 20,600百万円 | 20,449百万円 | +0.7% |
| 事業利益 | 34,000百万円 | 28,047百万円 | +21.2% |
| 経常利益 | 14,900百万円 | 17,095百万円 | -12.8% |
| 純利益 | 18,000百万円 | 16,628百万円 | +8.2% |
| キャッシュ純利益 | 24,000百万円 | 18,442百万円 | +30.1% |
| 1株あたり純利益(EPS) | 45.13円 | 40.11円 | +12.5% |
| キャッシュEPS | 60.17円 | 44.49円 | +35.3% |
| 1株あたり配当金(DPS) | 15.50円 | 11.50円 | +34.8% |
| 自己資本利益率(ROE) | 15.0% | 14.6% | – |
| キャッシュROE | 20.0% | 16.2% | – |
| 株主資本配当率(DOE) | 5.1% | 4.1% | – |
| セグメント | 2027年2月期 事業利益(予想) | 2026年2月期 事業利益(実績) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| アセットマネジメント | 1,250百万円 | 2,282百万円 | -45.2% |
| 心築 | 18,550百万円 | 13,094百万円 | +41.7% |
| ホテル | 5,150百万円 | 7,224百万円 | -28.7% |
| いちごオーナーズ | 7,600百万円 | 3,765百万円 | +101.9% |
| クリーンエネルギー | 1,450百万円 | 1,648百万円 | -12.0% |
| 合計 | 34,000百万円 | 28,047百万円 | +21.2% |

株主還元
2026年2月期の1株あたり配当金は前期比+10%の11.5円(DOE 4.1%)。当期は総額150億円の自己株式取得を開始し、2026年2月期末時点で98億円を取得済み。併せて3,000万株(発行済み株式数の7%)の消却を実施した。自己株式取得の累計額(取得中含む)は433億円にのぼる。また、持続性・安定性の高い収益基盤の構築進展を背景にDOE目標を「4%以上」から「5%以上」へ引き上げ、2027年2月期は前期比+35%となる15.5円への大幅増配を予想(DOE 5.1%)。原則として維持か増配(減配しない)とする累進的配当政策を掲げ、5期連続の増配予想となる。

長期VISION「いちご2030」/トピック
同社は長期VISION「いちご2030」の経営目標(KPI)として、キャッシュROE 18%以上、ROE 15%以上、ストック収益比率60%以上、ストック収益固定費カバー率200%以上、DOE 5%以上などを掲げる。2026年2月期はストック収益比率57.8%、ストック収益固定費カバー率195.1%だった。環境面では、グループ全体の事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーとするRE100の認定を取得し、長期VISIONのKPIを達成。CDPでは2024年・2025年と2年連続で気候変動・ウォーターのダブル「Aリスト」を達成した。クリーンエネルギー事業では系統用蓄電池に注力し、2027年2月期に第1号蓄電所(千葉県/蓄電容量8.9MWh)の稼働開始を予定する。また、Jリーグトップパートナー契約は2026年6月末日の契約期間満了を迎え、「いちごJリーグ株主・投資主優待」は終了予定となる。
※本記事はいちごが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。