※本記事は藤倉化成が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
藤倉化成は2026年3月期の連結決算で、売上高55,636百万円(前期比+0.2%)、営業利益2,271百万円(同+73.9%)、経常利益4,210百万円(同+107.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益3,134百万円(同+513.5%)となった。国内自動車市場における同社製品採用車種の生産減少などがあったものの、リフォーム分野での販売好調により増収を確保。原材料価格の高騰が続く中、価格改定への機動的な対応や高付加価値製品の販売拡大により大幅な増益となった。売上高は当初予想(56,000百万円)を下回ったものの、営業利益・経常利益・当期純利益の各段階利益は当初予想および前期実績を大きく上回った。
連結業績(2026年3月期 実績)
売上総利益は15,985百万円から16,956百万円(+6.1%)に増加した一方、販売費及び一般管理費は14,679百万円から14,685百万円(+0.04%)とほぼ横ばいにとどまり、増益に寄与した。
| 項目 | 2025/3期 実績 | 2026/3期 実績 | 前期比 | 2026/3期 当初予想 | 当初予想比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 55,528 | 55,636 | +0.2% | 56,000 | △0.6% |
| 売上総利益 | 15,985 | 16,956 | +6.1% | – | – |
| 販売費及び一般管理費 | 14,679 | 14,685 | +0.04% | – | – |
| 営業利益 | 1,306 | 2,271 | +73.9% | 1,500 | +51.4% |
| 経常利益 | 2,033 | 4,210 | +107.1% | 1,800 | +133.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 511 | 3,134 | +513.5% | 1,200 | +161.2% |
セグメント別の状況
2026年3月期のセグメント別売上高は、コーティング事業27,809百万円(構成比50.0%)、塗料事業13,372百万円(同24.0%)、化成品事業4,932百万円(同8.9%)、電子材料事業4,899百万円(同8.8%)、合成樹脂事業4,624百万円(同8.3%)。地域別売上高では日本29,726百万円(構成比53.4%)、北米14,249百万円(同25.6%)、アジア7,109百万円(同12.8%)、その他地域4,552百万円(同8.2%)となった。事業トピックスとしては、塗料事業でリフォーム分野における高機能仕様の販売拡大、コーティング事業でPFASフリー対応製品の拡販による収益改善、化成品事業で粘着剤市場における主要顧客でのシェア拡大、電子材料事業でLEDモジュールなどの照明関連製品の伸長、合成樹脂事業でシートベルトリマインダー向け製品の堅調継続が挙げられている。
| セグメント | 2026/3期 売上高 | 2025/3期 売上高 | 構成比(2026/3期) |
|---|---|---|---|
| コーティング事業 | 27,809百万円 | 28,874百万円 | 50.0% |
| 塗料事業 | 13,372百万円 | 11,675百万円 | 24.0% |
| 化成品事業 | 4,932百万円 | 6,419百万円 | 8.9% |
| 電子材料事業 | 4,899百万円 | 4,592百万円 | 8.8% |
| 合成樹脂事業 | 4,624百万円 | 3,968百万円 | 8.3% |

業績変動要因
売上高の増減要因としては、リフォーム分野での拡販(塗料事業)、ファイン材料・粘着剤分野の拡大(化成品事業)がプラス要因となった一方、北米向け樹脂原料販売の低迷(合成樹脂事業)がマイナス要因となった。営業利益の増減要因としては、高付加価値製品の販売促進・価格改定(コーティング事業)、グループ全体での効率化の推進およびリフォーム分野における高機能仕様の販売拡大(塗料事業)、高付加価値製品の拡大(電子材料事業)がプラスに寄与した。

財務状況
資産合計は59,048百万円から71,450百万円(+21.0%)に増加した。建設仮勘定および投資有価証券により固定資産が25,055百万円から35,354百万円(+41.1%)へ大きく増加したことが主因。負債合計は15,852百万円から20,904百万円(+31.9%)に、純資産合計は43,197百万円から50,546百万円(+17.0%)に増加した。負債では長期借入金や繰延税金負債が、純資産ではその他有価証券評価差金額が大きく増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは3,275百万円から3,006百万円(△8.2%)に減少し、有形固定資産の取得などの投資活動があったことから、フリー・キャッシュ・フローは1,749百万円から△100百万円に減少した。
通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期の業績見通しについては、中東情勢の影響により当社事業を取り巻く環境の先行きが極めて不透明であるため、合理的な前提条件を置くことが困難であると判断し、未定としている。今後、算定可能となった時点で速やかに開示を予定するとしている。原材料価格については副資材を含めた購入制限・入荷不安から価格上昇が発生しており、価格改定を実施済み。原材料調達面ではサーチャージを含めた運賃上昇やリードタイムの長期化などの影響も顕在化しており、今後の動向を注視しつつ必要に応じてサプライチェーンの見直しおよび価格改定を検討するとしている。
株主還元
2026年3月期は増配とし、年間配当金は20円(前期比+2円)とした。中間配当は9円(基準日2025年9月30日)、期末配当は11円(基準日2026年3月31日)。また、自己株式867,300株を499,963千円で取得した。2027年3月期の配当方針については先行きが不透明な状況のため未定としているが、自己株式の取得は最大で7億円、70万株の実施を予定している。基本方針としては、安定的な配当を基本とし今後の収益予想・配当性向等を十分に考慮した配当を実施するとし、第11次中期経営計画期間中は総還元性向70%以上を目指すこと、年間配当金16円以上の維持を掲げている。
| 項目 | 2024/3期 | 2025/3期 | 2026/3期 |
|---|---|---|---|
| 年間配当金 | 16.0円 | 18.0円 | 20.0円 |
| 中間配当 | 8.0円 | 9.0円 | 9.0円 |
| 期末配当 | 8.0円 | 9.0円 | 11.0円 |
| 総還元性向 | 45.9% | 204.2% | 34.5% |
| 配当性向 | 45.9% | 106.3% | 18.7% |
| 自己株式の取得額 | – | 5.0億円 | 5.0億円 |


中期経営計画の振り返り
第11次中期経営計画(FY2023~FY2025)の総括では、売上高はFY2023実績52,612百万円(中計目標55,000百万円)、FY2024実績55,528百万円(同59,000百万円)、FY2025実績55,636百万円(同63,000百万円)と、いずれの年度も中計目標を下回った。営業利益もFY2025実績2,271百万円に対し中計目標4,000百万円、ROEもFY2025実績7.0%に対し中計目標8.0%と、目標との乖離が生じた。経営目標との乖離の要因として、原材料高騰・エネルギーコスト上昇の影響、シェア拡大策の未達、市場環境の変化を挙げている。一方で、収益性への意識向上の全社浸透、新製品の拡販による収益性向上、全社的なサステナビリティ課題の明確化を重点戦略における成果としており、これらの振り返りを踏まえた積み残しの課題を次期中期経営計画の戦略につなげるとしている。
| 項目 | FY2023 実績 | FY2024 実績 | FY2025 実績 | FY2023 中計目標 | FY2024 中計目標 | FY2025 中計目標 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 52,612 | 55,528 | 55,636 | 55,000 | 59,000 | 63,000 |
| 営業利益 | 1,299 | 1,306 | 2,271 | 1,300 | 2,900 | 4,000 |
| 経常利益 | 1,846 | 2,033 | 4,210 | - | - | - |
| 当期純利益 | 1,075 | 511 | 3,134 | - | - | - |
| ROE | 2.8% | 1.3% | 7.0% | 3.0% | 6.0% | 8.0% |
※本記事は藤倉化成が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。