※本記事はMUSCAT GROUPが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
株式会社MUSCAT GROUPの2026年3月期通期決算は、売上高4,129百万円(前期比+38.3%)と増収となった。松村商店の通期寄与に加え、かならぼのグループインが自社ブランド領域の成長に大きく貢献した。一方、急激な為替変動による一時的なコスト増と、ビジネスモデル転換に伴うコーポレートコストの一時的な増加が重なり、営業利益は-399百万円、調整後EBITDAは-118百万円となった。さらに、2027年3月期以降の成長を見据えた不採算領域からの撤退等(事業撤退損およびのれん減損の計上)に加え、繰延税金資産の取り崩しにより、親会社株主に帰属する当期純利益は-368百万円となった一方、調整後当期純利益は310百万円(前期比+95.0%)と増加した。
連結業績(2026年3月期 実績)
売上高4,129百万円は、修正後の業績予想4,100百万円に対して達成率100.7%。営業利益は予想-439百万円に対し-399百万円、調整後EBITDAは予想-90百万円に対し-118百万円、調整後当期純利益は予想334百万円に対し310百万円(達成率92.8%)となった。連結損益計算書ベースでは、売上総利益は2,213百万円、売上総利益率は53.6%である。資料では、営業利益を圧迫した為替変動およびコーポレートコストの増加はいずれも構造的なものではなく2027年3月期以降は解消見込みであり、事業撤退損・のれん減損・繰延税金資産の取り崩しも将来の収益体質強化に向かう処理で、2027年3月期以降の利益成長の基盤となるとしている。
| 項目(百万円) | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,129 | 2,986 | +38.3% |
| 営業利益 | -399 | 88 | -% |
| 調整後EBITDA | -118 | 235 | -% |
| 調整後当期純利益 | 310 | 159 | +95.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | -368 | 112 | - |

領域別の状況
同社は2026年3月期より、ブランドプロデュース事業の事業領域を従来の2区分から3区分(自社ブランド領域/企画・製造受託領域/その他新規事業領域)に変更している。自社ブランド領域は売上高2,266百万円(前期比+125.5%)。オーラル美容ブランド「MiiS」のオーガニック成長に加え、M&Aによりヘアケアブランド「bialne」が2Q、かならぼ社が展開する美容・コスメブランド「Fujiko」「b idol」等が3Qにグループインし売上に大きく寄与した。企画・製造受託領域は679百万円(同+77.1%)で、売上高は四半期あたり150〜180百万円の水準で推移し、1社あたり売上高は2Qの5.1百万円から4Qには5.9百万円へ回復傾向にある。その他新規事業領域は1,184百万円(同-25.0%)。4Qにライフスタイル分野のSNSマーケティング支援事業を売却し「食品・飲料」特化の支援事業へ絞り込んだことに伴い、領域区分を「ブランドパートナー領域」から「その他新規事業領域」へ変更した。
| 領域(百万円) | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 自社ブランド領域 | 2,266 | 1,005 | +125.5% |
| 企画・製造受託領域 | 679 | 383 | +77.1% |
| その他新規事業領域 | 1,184 | 1,579 | -25.0% |
| 合計(連結売上高) | 4,129 | 2,986 | +38.3% |

自社ブランド領域の2026年3月期下半期売上高1,583百万円のブランド別内訳は下表の通り。「Fujiko」は2025年10月31日にグループインし、「眉ティント」を主力に、2025年秋に複数の美容系媒体で「下半期ベストコスメ」を受賞した「なりすましティント」がブランド認知を拡大、自社ブランド領域における下半期売上高の約34%を占めた。PMIによるEC売上高は+48.6%となっている。「MiiS」は2Qに投入した飲み込み型マウスウォッシュ「mm flora*Bubble」が発売2か月で累計販売数2万個を突破したものの、4Qは連結子会社の一般社団法人透花会による医療法人の連結プロセスに伴う一時的な取引制限でクリニック関連売上が縮小し179百万円に留まった。「bialne」はグループイン後の4Q月次継続率94.8%、定期会員数5,157(2026年3月末現在)。「b idol」はPMI初期の在庫整理等で返品率が24.5%に高まったが、4Qには9.2%へ改善し売上118百万円へ回復した。
| ブランド(自社ブランド領域・2026年3月期下半期) | 売上高(百万円) |
|---|---|
| Fujiko | 538 |
| MiiS | 387 |
| bialne | 196 |
| b idol | 152 |
| その他 | 311 |
| 自社ブランド領域 売上高 | 1,583 |
2027年3月期 通期業績予想
2027年3月期の通期予想は、売上高6,602百万円、営業利益50百万円、調整後EBITDA324百万円、調整後当期純利益128百万円。損益分岐点は事業整理の成果で黒字転換の見込みとし、海外進出等を含む既存事業の成長に加え、新規ブランドの開発やM&Aを中心に再成長を目指すとしている。売上面では、連結売上高に占める割合が極めて大きい株式会社かならぼの売上高を通期で連結することによる大幅な売上高増加を見込む(2026年3月期は2025年11月以降の5ヶ月間のみ連結)。2027年3月期の売上高内訳は自社ブランド77.2%、企画・製造受託12.1%、マーケティング支援10.7%、事業利益内訳は自社ブランド81.5%、企画・製造受託14.6%、マーケティング支援3.9%を想定する。
| 項目(百万円) | 2027年3月期 予想 | 2026年3月期 実績 | 2025年3月期 実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,602 | 4,129 | 2,986 |
| 営業利益 | 50 | -399 | 88 |
| 調整後EBITDA | 324 | -118 | 235 |
| 調整後当期純利益 | 128 | 310 | 159 |

株主還元
本資料には配当および自己株式取得に関する記載はなく、株主還元方針は開示なし。資本戦略としては、選択と集中による事業売却や事業撤退による減損処理でポートフォリオを整理し健全な財務体質へ移行するとし、健全化された財務体質によりM&A(ニッチブランド関連事業の買収、企画・製造受託企業の買収)を再加速する方針を示している。2026年3月期の主なアクションとしては、ライスカレーLSの株式譲渡、RiLi関連事業ののれん減損、不採算ブランド・滞留在庫の整理、UCIからの資金調達が挙げられている。また2027年3月期は「成長還元トレジャリー投資でBS強化」を掲げる。なお、上場時調達資金は人材採用費および人件費100,000千円、広告宣伝費150,000千円、事業投資資金39,818千円の合計289,818千円を充当済みとしている。
中期経営計画(VISION2029)
同社はVISION2029として、2029年3月期に営業利益15億円・時価総額300億円をゴールに掲げる。ロードマップでは、2027年3月期を「再成長準備フェーズ」(売上高〜75億円(既存事業のみ66億円、M&Aによる上振れ)、営業利益〜3億円(既存事業のみ0〜1億円)、時価総額〜80億円、追加M&A数+2〜、営業利益率〜4%)、2028年3月期を「拡大フェーズ」(売上高〜110億円、営業利益〜10億円、時価総額〜200億円、追加M&A数+3〜、営業利益率〜9%)、2029年3月期を「ゴールフェーズ」(売上高〜150億円、営業利益〜15億円、時価総額〜300億円、追加M&A数+5〜、営業利益率〜10%)と位置づける。

成長戦略は4つの柱で構成される。戦略①はM&Aによるブランド数の拡大(「買って伸ばす」)、戦略②はブランド間シナジーによるブランド成長(「シナジーで伸ばす」)、戦略③はニッチトップをニッチグローバルへ(「海外で伸ばす」)、戦略④は資本の効率化の徹底(「資本で支える」)。海外は中東・ハラル圏(UAE、サウジアラビアをゲートウェイ)と東南アジア(ASEAN)をターゲット市場とし、2026年2月13日付で公表したKLab社との業務提携やUCIからの資金調達に基づき中東へのブランド展開の準備を進める。国内では、オーガニック(各期初時点での既存事業)の売上成長目標を保守的に10%程度に設定しつつ、シナジーのあるM&Aによる新規売上の積み上げを加速する方針である。
※本記事はMUSCAT GROUPが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。