※本記事は日本電設工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
日本電設工業の2026年3月期(連結)は、売上高229,207百万円、営業利益23,560百万円、経常利益25,278百万円、親会社株主に帰属する当期純利益18,060百万円となった。資料では、受注高は3期連続で過去最高を更新し、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、次期繰越高も2期連続で過去最高を更新したとしている。2027年3月期は売上高242,310百万円、営業利益23,890百万円を計画し、配当は2026年3月期の124円を予定している。
連結業績(2026年3月期 実績)
事業環境について資料は、公共投資は底堅く推移し民間設備投資も回復が続くこと、都市圏の再開発やデータセンター建設等の設備投資需要が拡大していること、各鉄道会社の安全・安定輸送に対する投資と設備更新が堅調に推移していることを挙げている。売上高は229,207百万円(前期216,922百万円)、営業利益は23,560百万円(同17,934百万円)で、営業利益率は10.3%(同8.3%)となった。2026年1月30日公表の予想に対しては、売上高が837百万円(0.4%)、営業利益が1,290百万円(5.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,270百万円(7.6%)の上振れとなった一方、受注高は▲1,210百万円(▲0.5%)、次期繰越高は▲2,440百万円(▲1.1%)となっている。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2025年3月期実績 | 対予想比(2026年1月30日公表値) |
|---|---|---|---|
| 期首繰越高 | 183,075 | 173,719 | ー |
| 受注高 | 267,369 | 223,718 | ▲1,210(▲0.5%) |
| 売上高 | 229,207 | 216,922 | 837(0.4%) |
| 売上総利益 | 40,923(17.9%) | 34,309(15.8%) | 1,223(3.1%) |
| 販売費及び一般管理費 | 17,362(7.6%) | 16,375(7.5%) | ▲67(▲0.4%) |
| 営業利益 | 23,560(10.3%) | 17,934(8.3%) | 1,290(5.8%) |
| 営業外損益 | 1,718(0.7%) | 1,466(0.7%) | ▲71(▲4.0%) |
| 経常利益 | 25,278(11.0%) | 19,400(8.9%) | 1,218(5.1%) |
| 特別損益 | 1,807(0.8%) | 815(0.4%) | ▲42(▲2.3%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 18,060(7.9%) | 13,192(6.1%) | 1,270(7.6%) |
| 次期繰越高 | 224,253 | 183,075 | ▲2,440(▲1.1%) |
(( )は売上高比率、単位:百万円)営業利益の前期比増減要因として、資料は完成工事増加と工事採算性改善を増益要因、人件費増、新社屋移転費用、その他コスト増を減益要因として示している。新社屋移転費用は償却期間短縮による減価償却費増と仮移転先費用(個別)、その他コスト増は広告宣伝費(個別)他としている。

部門別の状況
鉄道電気工事は、JR東日本をはじめとするJR・民鉄各社からの受注が好調で、過去最高となった前期を大幅に更新した。売上高は豊富な手持工事を背景に増加し、営業利益も施工効率改善と物価上昇の転嫁が反映され、いずれも過去最高を更新したとしている。工事の長期化・大型化傾向もあり、手持工事量は高水準が続くとしている。部門別売上高の構成比率は鉄道電気工事52.4%で、連結売上高229,207百万円のうちJR東日本に対する売上高は110,181百万円(48.1%)となっている。
一般電気工事は、駅周辺の大規模再開発やデータセンター等の大規模工事を複数受注し、受注高は過去最高を大幅に更新、売上高も過去最高となった。大規模プロジェクト工事における設計変更に伴う追加工事の獲得や原価低減に加え、得意先との物価上昇の転嫁協議も進展し、期首予想からは大幅増益となった一方、大型案件での計画変更や工期延伸により完成工事高の伸びは小幅にとどまったとしている。情報通信工事は、前期に大型のネットワーク案件を受注した反動で受注高は減少したが、インフラシェア工事やネットワーク工事の寄与により増収・増益となり、次期繰越高は増加した。環境エネルギー工事は、空調・衛生・電気一体の大型案件を受注したものの、複数の大型案件を受注した前期からの反動で受注高・次期繰越高が減少し、採算の厳しい一部案件の影響により営業利益は減少した。
| 部門(2026年3月期実績) | 受注高 | 売上高 | 営業利益 | 次期繰越高 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄道電気工事 | 137,016 | 120,127 | 9,939 | 102,603 |
| 一般電気工事 | 89,219 | 64,522 | 9,107 | 93,231 |
| 情報通信工事 | 31,915 | 31,148 | 2,595 | 23,162 |
| 環境エネルギー工事 | 4,184 | 5,962 | 241 | 2,761 |
| 関連事業等 | 5,033 | 7,446 | 1,676 | 2,493 |
| 連結合計 | 267,369 | 229,207 | 23,560 | 224,253 |

2027年3月期業績予想(連結)
2027年3月期は、過去最高水準が続く期首繰越高と受注高を背景に、売上高は3期連続で過去最高を更新し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益も3期連続で過去最高を更新する計画としている。新社屋移転に先立つ一時的な費用が利益の抑制要因となること、政策保有株式縮減の前倒し・規模拡大を継続することを予想のポイントに挙げている。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 2026年3月期実績 | 対前期比 |
|---|---|---|---|
| 期首繰越高 | 224,253 | 183,075 | 41,178(22.5%) |
| 受注高 | 253,860 | 267,369 | ▲13,509(▲5.1%) |
| 売上高 | 242,310 | 229,207 | 13,102(5.7%) |
| 売上総利益 | 42,960(17.7%) | 40,923(17.9%) | 2,036(5.0%) |
| 販売費及び一般管理費 | 19,070(7.9%) | 17,362(7.6%) | 1,707(9.8%) |
| 営業利益 | 23,890(9.9%) | 23,560(10.3%) | 329(1.4%) |
| 経常利益 | 25,710(10.6%) | 25,278(11.0%) | 431(1.7%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 18,470(7.6%) | 18,060(7.9%) | 409(2.3%) |
| 次期繰越高 | 239,081 | 224,253 | 14,827(6.6%) |
| 部門(2027年3月期予想) | 受注高 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 鉄道電気工事 | 126,030 | 128,310 | 10,480 |
| 一般電気工事 | 86,490 | 69,710 | 9,110 |
| 情報通信工事 | 32,100 | 32,800 | 2,840 |
| 環境エネルギー工事 | 5,410 | 4,130 | 290 |
| 関連事業等 | 3,830 | 7,360 | 1,170 |
部門別では、鉄道電気工事は前期に複数の大規模プロジェクト工事を受注した反動で受注高の減少を見込む一方、JR東日本の修繕費増額等により売上高は増加を見込み、施工平準化や新工法活用による施工量拡大を課題としている。一般電気工事は堅調な受注により手持工事量が最高水準を継続し、工事の着実な進捗を見込み売上高も過去最高を計画、選別受注や適切なコスト転嫁により前期営業利益を上回る見込みとしている。情報通信工事は大型ネットワーク工事の竣工や鉄道通信工事の順調な進捗を見込み売上高は過去最高を計画、環境エネルギー工事は減収ながら若干の増益、関連事業等は既存賃貸マンションの大規模修繕等により営業利益の減少を見込む。

株主還元
2026年3月期の配当は124円を予定し、配当性向は40.1%となる。前期の90円から34円の増配で、2026年1月開示の直近予想115円からは9円の増配としている。配当政策では、利益還元の姿勢をより明確にするため2025年3月期より「配当性向40%を目安」を新たな指標として追加しており、3ヶ年経営計画2024の期間中の配当総額は160億円以上の計画を大幅に上回る約204億円を想定している(現時点での株式状況による)。2027年3月期は127円を予定している。政策保有株式は2024年3月期の32銘柄から2026年3月期に25銘柄へ20%縮減(売却総額43億円)し、2030年3月期までに2024年3月期対比70%の縮減、2027年3月期以降も25銘柄から10銘柄程度への継続的な縮減を掲げる。売却により創出したキャッシュは成長投資や株主還元等に充当し、成長投資と株主還元のバランスを意識しつつ自己株式の追加取得を検討・実施するとしている。

中期経営計画「日本電設3ヶ年経営計画2024」の進捗
2024〜2026年度(第83期〜第85期)を対象とする「日本電設3ヶ年経営計画2024」は、2027年3月期に売上高2,380億円、営業利益184億円、ROE8%、時価総額2,000億円を掲げており、資料はすべての数値で達成見込みとし、次期中期経営計画で見直し予定としている。長期ビジョン「NDK Vision90」では、2031年度(第90期)に売上高2,600億円、営業利益200億円、ROE10%以上、時価総額2,300億円を掲げ、鉄道電気工事のリーディングカンパニーとしての誇りと責任を持ちつつ、一般電気・情報通信・環境エネルギー各工事部門の事業拡大により「総合インフラ設備工事会社」を目指すとしている。事業戦略では、鉄道電気工事のJR案件(個別)の受注額が期首計画690億円に対し実績807億円となったこと、一般電気工事で駅前再開発やデータセンターを中心に20億円以上の大型案件を8件・総額377億円受注したこと(前期は3件・総額81億円)を現状評価として挙げている。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
資本効率については、ROEが2022年3月期3.04%から2026年3月期8.78%へ持続的に上昇し、PBRは2025年3月期0.63倍から2026年3月期1.29倍へ改善、時価総額は2,854億円となった。PERは15.4倍で、東証プライム平均(19倍)を下回るとしている(2026年3月期の資本コストは7〜8%程度)。デュポン分解では、収益性(純利益率)が7.88%、効率性(総資産回転率)が0.69回、安全性(財務レバレッジ)が1.55倍で、工事の大型化・長期化や手持工事量の増加と支払サイト短縮により工事立替金が増加し、総資産回転率は低下したと分析している。取り組みとして、選別受注の徹底、成長領域への挑戦、新規事業の創出やM&Aによる事業規模拡大、事業部門比率の均等化、成長投資を優先しつつ資金余力や投資機会に応じた機動的な株主還元の検討を挙げている。成長投資は2024年度〜2031年度で総額750億円を計画し、2024年度〜2025年度の成長投資総額は209億円、2025年度は74億円となっている。
※本記事は日本電設工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。