※本記事は飯野海運が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
飯野海運は2026年3月期(2026年5月8日発表)の連結決算を公表した。海運市況の軟化の影響等から、売上高は1,273.0億円(前期比▲10.3%)、営業利益は134.4億円(同▲21.4%)、経常利益は168.9億円(同▲2.8%)、純利益は153.9億円(同▲16.2%)となり、前期比で減収減益となった。当期の業績が直近の業績予想(2026年2月5日発表)から上振れたことを受け、配当性向40%の方針に基づき、2026年3月期の期末配当金は直近の配当予想から1株当たり4円増額の35円とし、年間で1株当たり59円の配当を実施する予定としている。2027年3月期は増収を見込む一方、営業利益は91.0億円(前期比▲32.3%)を見込んでいる。
連結業績(2026年3月期 実績)
売上高は1,273.0億円(前期比▲10.3%)、営業利益は134.4億円(同▲21.4%)、経常利益は168.9億円(同▲2.8%)、純利益は153.9億円(同▲16.2%)となった。上期は売上高650億円・営業利益32億円、下期は売上高640億円・営業利益59億円だった。営業利益の減少要因は、世界経済の不透明さによる市況軟化に加え、3月にホルムズ海峡の事実上の封鎖による中東域への配船制限の影響を受けたケミカルタンカーが前期比44.1億円の減益となったことが大きい。一方、大型ガス船は新造エタン船の利益貢献等により同1.4億円の増益、ドライバルク船は穀物の順調な海上荷動き等により同1.3億円の増益、不動産は前期に計上した英国不動産2棟目の初期費用剥落等により同8.9億円の増益となった。
| 項目 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,273.0億円 | 1,418.7億円 | ▲10.3% |
| 営業利益 | 134.4億円 | 171.0億円 | ▲21.4% |
| 経常利益 | 168.9億円 | 173.7億円 | ▲2.8% |
| 純利益 | 153.9億円 | 183.7億円 | ▲16.2% |

セグメント別の状況
外航海運業は売上高1,024.6億円(前期1,175.0億円)、営業利益87.9億円(前期131.8億円)となった。内航・近海海運業は売上高107.6億円(前期113.4億円)、営業利益3.0億円(前期4.5億円)。不動産業は売上高141.8億円(前期131.0億円)、営業利益43.5億円(前期34.6億円)と増収増益だった。船種別の営業利益前期比では、大型原油タンカーは入渠による稼働減はあったものの安定した収益を確保し+0.2億円、ケミカルタンカーは世界経済の不透明さによる市況軟化とホルムズ海峡の事実上の封鎖による中東域への配船制限の影響で▲44.1億円、大型ガス船は新造エタン船の利益貢献等で+1.4億円、ドライバルク船は穀物の順調な海上荷動き等で+1.3億円、中小型ガス船は入渠工事が重なり▲1.5億円、不動産は英国不動産2棟目の初期費用剥落等で+8.9億円、その他は期中為替レートが円高で推移した影響等で▲2.8億円となった。
| セグメント | 指標 | 2026年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 外航海運業 | 売上高 | 1,024.6億円 | 1,175.0億円 |
| 外航海運業 | 営業利益 | 87.9億円 | 131.8億円 |
| 内航・近海海運業 | 売上高 | 107.6億円 | 113.4億円 |
| 内航・近海海運業 | 営業利益 | 3.0億円 | 4.5億円 |
| 不動産業 | 売上高 | 141.8億円 | 131.0億円 |
| 不動産業 | 営業利益 | 43.5億円 | 34.6億円 |

通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期は売上高1,290.0億円(前期比+1.3%)を見込む一方、営業利益は91.0億円(同▲32.3%)、経常利益は67.0億円(同▲60.3%)、純利益は121.0億円(同▲21.4%)を見込んでいる。船種別の営業利益前期比では、大型原油タンカーは売船による稼働減はあるものの契約の有利更改等で+5.2億円を見込む一方、ケミカルタンカーは中国経済低迷等による市況軟化を見込むほか、中東情勢に伴う航路変更でスポット運賃は上昇するものの燃料費等の費用増加が上回り▲38.7億円、大型ガス船は運賃市況連動契約船を固定契約に変更したことなどにより市況上振れ部分を取り込めず▲8.1億円、ドライバルク船は新造船1隻(用船)の竣工等により+0.7億円、中小型ガス船は前期に多かった入渠費用増の反動で+1.4億円、不動産はイイノホールの工事に伴う不稼働や営繕費の増加により▲3.3億円を見込んでいる。業績予想の前提として、2026年6月中にホルムズ海峡の往来が再開され、その後2カ月程度をかけて中東地域との海上輸送が概ね従来の水準に回復することを想定しているほか、2026年3月6日開示の通り、第1四半期に大型原油タンカー1隻の譲渡に伴う固定資産売却益(特別利益)の計上を業績予想に織り込み済みとしている。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 2026年3月期(実績) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,290.0億円 | 1,273.0億円 | +1.3% |
| 営業利益 | 91.0億円 | 134.4億円 | ▲32.3% |
| 経常利益 | 67.0億円 | 168.9億円 | ▲60.3% |
| 純利益 | 121.0億円 | 153.9億円 | ▲21.4% |

前中期経営計画の振り返りと新中期経営計画
2026年3月期は前中期経営計画(2024年3月期〜2026年3月期)の最終年度にあたる。売上高は計画1,250〜1,350億円に対し実績1,273億円、営業利益は計画130〜140億円に対し実績134億円、経常利益は計画130〜140億円に対し実績169億円、当期純利益は計画120〜130億円に対し実績154億円だった。ROEは計画9〜10%に対し実績10.1%、ROICは計画4〜5%に対し実績6.0%、D/Eレシオは上限1.5倍に対し実績0.90倍となった。あわせて、2026年4月から2031年3月までの5年間を計画期間とする新中期経営計画を策定したことを開示している。テーマは「資本効率と成長投資を両立する変革」としている。新中期経営計画期間中の株主還元については、通期業績に対する配当性向40%を基準とした配当の継続を基本としつつ、市況変動の大きい海運業において配当の安定性と予見性を高めるため、新たに1株当たり30円の下限配当を導入するとしている。また、自己株式の取得についても財務規律を踏まえつつ機動的に実施し、総合的な株主還元の充実を図るとしている。
株主還元
2026年3月期の配当は中間24円、期末35円の年間59円(配当性向40.6%)となった。当期の業績が直近の業績予想(2026年2月5日発表)から上振れたことを受け、配当性向40%の方針に基づき、期末配当金は直近の配当予想(31円)から1株当たり4円増額して35円とした。前期(2025年3月期)の配当は中間25円、期末33円(普通配当28円、特別配当5円)の年間58円(普通配当53円、特別配当5円、配当性向33.4%)だった。2027年3月期の配当予想は中間23円、期末23円の通期46円(配当性向40.2%)としている。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期(予想) |
|---|---|---|---|
| 中間配当 | 25円 | 24円 | 23円 |
| 期末配当 | 33円(普通配当28円、特別配当5円) | 35円 | 23円 |
| 年間配当 | 58円(普通配当53円、特別配当5円) | 59円 | 46円 |
| 配当性向 | 33.4% | 40.6% | 40.2% |

※本記事は飯野海運が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。