※本記事は日立建機が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
日立建機の2026年3月期(25年度)連結業績は、売上収益が14,055億円(前年比2%増)、調整後営業利益が1,330億円(同8%減)、親会社株主に帰属する当期利益が732億円(同10%減)となった。米州OEM事業やオセアニアは減収となった一方、欧州や米州独自展開事業が引き続き堅調に推移し、販売価格引き上げもあって増収を確保したが、地域・製品構成差の悪化や米国関税によるコスト増などで減益となった。2027年3月期(26年度)は売上収益14,300億円、調整後営業利益1,400億円、親会社株主に帰属する当期利益800億円と増収・増益を見込む。あわせて中期経営計画「LANDCROS 2028」を公表した。
連結業績(当期 実績)
当年度の売上収益は前年比2%増収となったものの、物量増はあったものの製品地域構成差の悪化や米国関税によるコストの増加により、調整後営業利益は8%減益、親会社株主に帰属する当期利益は10%減益となった。営業利益は1,301億円(同16%減)、税引前当期利益は1,242億円(同7%減)、EBITは1,345億円(同9%減)。為替レートはアメリカドル151.2円(前年度152.6円)、ユーロ175.6円(同163.5円)、中国元21.3円(同21.1円)、オーストラリアドル99.8円(同99.6円)。1株当り配当金は175円で前年度と同額となった。
| 項目 | 25年度 実績 | 24年度 実績 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 14,055 | 13,713 | 2% |
| 調整後営業利益 | 1,330(9.5%) | 1,450(10.6%) | △8% |
| 営業利益 | 1,301(9.3%) | 1,547(11.3%) | △16% |
| 税引前当期利益 | 1,242(8.8%) | 1,342(9.8%) | △7% |
| 継続事業からの当期利益 | 827(5.9%) | 904(6.6%) | △8% |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 732(5.2%) | 814(5.9%) | △10% |
| EBIT | 1,345(9.6%) | 1,474(10.8%) | △9% |
| 1株当り配当金 | 175円 | 175円 | 0円 |
財政状態は、当年度末の総資産が18,573億円と前年度末比663億円増加した。為替円安換算影響が大きく、為替影響を除くと総資産は縮減している。有利子負債は4,976億円と403億円縮減し、ネットD/Eレシオは0.40(前年度末0.48)へ改善、親会社所有者帰属持分比率は48.5%(同45.2%)となった。キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが1,642億円(前年度1,439億円)、投資活動によるキャッシュ・フローが△467億円、フリー・キャッシュ・フローが1,175億円、財務活動によるキャッシュ・フローが△1,363億円で、営業キャッシュ・フローマージン率は11.7%を確保した。
セグメント別・地域別の状況
報告セグメントは「建設機械ビジネス」と「スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス」の2区分。25年度実績は、建設機械ビジネスが売上収益12,686億円・調整後営業利益1,215億円(利益率9.6%)、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスが売上収益1,452億円・調整後営業利益115億円(同7.9%)。26年度予想では、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスが売上収益1,698億円・調整後営業利益189億円(同11.1%)へ伸長する見通し。なお、同ビジネスの調整後営業利益にはPPA(資産再評価)償却費として25年度実績に20億円、26年度予想に19億円を含む。
| 区分 | 指標 | 25年度 実績 | 26年度 予想 |
|---|---|---|---|
| 建設機械ビジネス | 売上収益 | 12,686 | 12,676 |
| 建設機械ビジネス | 調整後営業利益 | 1,215(9.6%) | 1,211(9.6%) |
| スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス | 売上収益 | 1,452 | 1,698 |
| スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス | 調整後営業利益 | 115(7.9%) | 189(11.1%) |
| 調整額 | 売上収益 | △83 | △74 |
| 連結財務諸表計上額 | 売上収益 | 14,055 | 14,300 |
| 連結財務諸表計上額 | 調整後営業利益 | 1,330(9.5%) | 1,400(9.8%) |

地域別売上収益は、欧州が2,019億円(前年比26%増)、インドが926億円(同6%増)、米州の独自展開が2,297億円(同9%増)と伸長し、オセアニア2,490億円(同4%減)や北米3,025億円(同3%減)の減収を吸収した。為替影響を除くと236億円の増収。海外売上収益比率は84%で前年度と同水準となった。マイニング売上収益は4,240億円で対前年1%減収、バリューチェーン売上収益は6,197億円で対前年4%増収となり過去最高収益を更新した。
| 地域 | 25年度 実績 | 24年度 実績 | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 2,240 | 2,200 | 40 | 2% |
| アジア | 1,199 | 1,185 | 14 | 1% |
| インド | 926 | 875 | 52 | 6% |
| オセアニア | 2,490 | 2,589 | △ 99 | △4% |
| 欧州 | 2,019 | 1,597 | 422 | 26% |
| 米州(北米) | 3,025 | 3,124 | △ 99 | △3% |
| 米州(中南米) | 420 | 438 | △ 17 | △4% |
| 米州 計 | 3,445 | 3,561 | △ 116 | △3% |
| (内:独自展開) | (2,297) | (2,102) | (194) | (9%) |
| ロシアCIS | 159 | 196 | △ 37 | △19% |
| 中東 | 385 | 336 | 49 | 15% |
| アフリカ | 927 | 850 | 78 | 9% |
| 中国 | 264 | 325 | △ 61 | △19% |
| 合計 | 14,055 | 13,713 | 342 | 2% |

通期業績予想
2027年3月期(26年度)予想は、米国関税、ブランド変更コスト増を織り込むも、米州独自展開、マイニング並びにバリューチェーン収益の伸長により増収・増益を見込む。米国関税の損益影響は、調整後営業利益ベースで原価増△210億円、売価アップ147億円のネットで△63億円を織り込んだ。また、2027年4月の社名・ブランド変更にともない、調整後営業利益にブランドプロモーションコストとして△168億円、その他営業支出にブランドスイッチングコストとして△100億円を見込む。中東情勢の緊迫化による影響は現時点では未織込。前提為替レートはアメリカドル150.0円、ユーロ178.0円、中国元22.1円、オーストラリアドル107.0円。
| 項目 | 26年度 予想 | 25年度 実績 | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 14,300 | 14,055 | 245 | 2% |
| 調整後営業利益 | 1,400(9.8%) | 1,330(9.5%) | 70 | 5% |
| 営業利益 | 1,400(9.8%) | 1,301(9.3%) | 99 | 8% |
| 税引前当期利益 | 1,330(9.3%) | 1,242(8.8%) | 88 | 7% |
| 当期利益 | 913(5.6%) | 827(5.2%) | 86 | 10% |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 800 | 732 | 68 | 9% |
| EBIT | 1,430 | 1,345 | 85 | - |
| 1株当たり配当金 | 190円 | 175円 | 15円 | - |

株主還元
1株当たり配当金は25年度実績が175円(前年度と同額)、26年度予想は190円で15円の増配を見込む。配当方針について、資料の注記では連結業績に連動した剰余金の配当を原則とし、中間と期末の2回に分けて同一年度に2度実施する方針としたうえで、25年度実績ベース(P.4)は「連結配当性向30%〜40%を目安に安定的かつ継続的に実施」、26年度予想ベース(P.13)は「連結配当性向40%以上を目安に安定的かつ継続的に実施」と記載している。中期経営計画の定量目標では、連結配当性向はFY25実績50.9%に対しFY28目標を40%としており、3年累計の財務CFは株主還元(連結配当性向40%以上)を含め1,400億円以上を想定している。
中期経営計画「LANDCROS 2028」
前中計の振り返りでは、FY22実績12,649億円に対しFY25実績は14,055億円と+1,406億円の増収。米州独自展開売上はFY22の1,676億円からFY25の2,297億円へ37%増、部品・サービス事業売上は2,678億円から3,222億円へ20%増、営業キャッシュフロー(3年累計)は1,045億円から3,811億円へ265%増、ネットD/EレシオはFY22の0.60からFY25の0.40へ改善した。新中計「LANDCROS 2028」では、北米事業・中南米事業・マイニング事業・部品・サービス事業の4つを重点事業とし、代理店・パートナー企業とともに創るオープン戦略、人・企業力の強化、業界トップスリーに向けた成長投資と事業ポートフォリオ戦略を推進する。3年累計のキャピタルアロケーションでは、営業CF4,900億円に手元資金2,000億円以上と銀行借入等3,000億円(ネットD/Eレシオ0.7程度)を加え、投資CF1,500億円(設備投資:維持・更新)、財務CF1,400億円以上を差し引いて、成長投資合計5,000億円を想定する。
定量的目標は、FY25実績→FY28目標で、米州独自展開売上2,297億円→3,800億円、中南米事業売上384億円→800億円、マイニング事業売上4,240億円→5,500億円、部品・サービス事業売上3,222億円→3,700億円、研究開発投資(3年累計)1,039億円→1,300億円、調整後営業利益額1,330億円→2,000億円、親会社株主に帰属する利益額732億円→1,200億円、営業キャッシュフロー(3年累計)3,811億円→4,900億円、ROE8.6%→11.5%、ROIC6.7%→9%。参考のFY30目標として、米州独自展開売上6,000億円(うち中南米事業1,500億円)、マイニング事業売上7,000億円、部品・サービス事業売上5,000億円を掲げ、2030年の業界トップスリーをめざす。

トピックとして、2026年4月の株主構成変更により伊藤忠商事が筆頭株主となり、長期的な視点を共有する株主による経営基盤の安定、販売・レンタル・ファイナンス事業の共同推進、M&Aや新規事業領域における協業などを進める。さらに2027年4月に「ランドクロス株式会社」へ社名を変更し、新ブランドで革新的ソリューションプロバイダーへの変革を加速する。米国向け事業については、日本の工場からの完成品と部品の輸出がほぼ100%で概ね日米間の関税のみが影響し、相互関税が停止され2026年4月より鉄鋼・アルミ派生品として一律25%の関税が適用、米国向けOEM事業では相手先が関税を負担するとしている。
※本記事は日立建機が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。