※本記事は帝国通信工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
帝国通信工業株式会社は2026年6月5日、2026年3月期(26/3期)の決算説明会資料を公表した。26/3期の連結売上高は17,256百万円と前期の16,790百万円から466百万円増加した一方、営業利益は1,158百万円と前期比△505百万円の減益となり、資料は「前期比で売上増加となったものの、資材価格や人件費等のコストアップを吸収できず営業減益」と説明している。経常利益は1,684百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,273百万円。27/3期は売上高18,000百万円、営業利益1,500百万円を計画し、あわせて新たな5カ年計画「中期経営計画2030」を発表した。
連結業績(26/3期 実績)
26/3期の通期実績は、売上高17,256百万円(前期比+466百万円)、営業利益1,158百万円(同△505百万円)、営業外損益526百万円(うち為替差益260百万円)、経常利益1,684百万円(同△442百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益1,273百万円(同△736百万円)。上期は売上高8,494百万円・営業利益656百万円、下期は売上高8,762百万円・営業利益502百万円で、下期は売上高が前年同期比△60百万円となった。
| 項目(百万円) | 26/3期 | 25/3期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 17,256 | 16,790 | 466 |
| 営業利益 | 1,158 | 1,663 | △505 |
| 営業外損益 | 526 | 464 | 62 |
| (うち為替差益) | (260) | (126) | 134 |
| 経常利益 | 1,684 | 2,127 | △442 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,273 | 2,009 | △736 |
営業利益の増減要因(通期前年比較)は、25/3期の1,663百万円に対し、売上増加140百万円、効率向上・価格転嫁212百万円、為替影響82百万円がプラス要因、資材購入費△489百万円、人件費等諸経費△450百万円がマイナス要因となり、26/3期は1,158百万円(△505百万円)となった。資料はマイナス要因を「資材価格の高騰」「人件費経費の増加」と記載している。
市場別・製品別の売上高
電子部品セグメントにおける市場別売上高(通期)は合計16,709百万円で、前期の16,188百万円から増加した。内訳はAV機器3,946百万円(23%)、自動車3,393百万円(20%)、家電2,301百万円(14%)、アミューズメント2,828百万円(17%)、産業機器945百万円(6%)、医療・ヘルスケア642百万円(4%)、その他2,651百万円(16%)。資料はAV機器について「カメラ市場向けが回復継続」、自動車について「採用機種も増え増加継続」、アミューズメントについて「市場影響等で微減」としている。
| 市場(電子部品セグメント) | 26/3期通期(百万円) | 構成比 | 25/3期通期(百万円) | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| AV機器 | 3,946 | 23% | 3,863 | 24% |
| 自動車 | 3,393 | 20% | 3,303 | 20% |
| 家電 | 2,301 | 14% | 2,179 | 14% |
| アミューズメント | 2,828 | 17% | 3,111 | 19% |
| 産業機器 | 945 | 6% | 961 | 6% |
| 医療・ヘルスケア | 642 | 4% | 479 | 3% |
| その他 | 2,651 | 16% | 2,289 | 14% |
| 合計 | 16,709 | - | 16,188 | - |

製品別売上高(通期)は合計17,256百万円。前面操作ブロック(ICB)4,989百万円(29%)、可変抵抗器2,112百万円(12%)、固定抵抗器2,049百万円(12%)、センサー4,408百万円(26%)、機構部品2,105百万円(12%)、その他電子部品1,044百万円(6%)、その他事業547百万円(3%)となった。資料はICBについて「カメラ向けをはじめ売上は増加傾向継続」、センサーについて「一時的な落ち込みはあったが堅調」、機構部品について「機械装置関係の市場と連動し回復基調」と記載している。
| 製品 | 26/3期通期(百万円) | 構成比 | 25/3期通期(百万円) | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 前面操作ブロック(ICB) | 4,989 | 29% | 4,721 | 28% |
| 可変抵抗器 | 2,112 | 12% | 2,111 | 13% |
| 固定抵抗器 | 2,049 | 12% | 1,942 | 11% |
| センサー | 4,408 | 26% | 4,655 | 28% |
| 機構部品 | 2,105 | 12% | 1,750 | 10% |
| その他電子部品 | 1,044 | 6% | 1,007 | 6% |
| その他事業 | 547 | 3% | 601 | 4% |
| 合計 | 17,256 | - | 16,790 | - |

27/3期 通期業績予想
27/3期は、売上高18,000百万円(前年比104.3%)、営業利益1,500百万円(同129.5%)、経常利益1,600百万円(同95.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円(同109.9%)を計画。営業利益率は26/3期の6.7%から8.3%への上昇を見込む。前提為替レートは1US$=150円。資料は「更なる売上増加と原価上昇分の販売価格転嫁、生産等効率化により営業利益の増額を計画」としている。
| 項目(百万円) | 27/3期 予想 | 26/3期 実績 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 18,000 | 17,256 | 744(104.3%) |
| 営業利益 | 1,500 | 1,158 | 342(129.5%) |
| (対売上高比) | 8.3% | 6.7% | - |
| 営業外損益 | 100 | 526 | △426(19.0%) |
| 経常利益 | 1,600 | 1,684 | △84(95.0%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,400 | 1,273 | 127(109.9%) |
27/3期の営業利益増減要因予想(通期前年比較)は、26/3期の1,158百万円に対し、売上増加246百万円、価格転嫁450百万円、効率向上351百万円がプラス要因、資材購入費▲330百万円、人件費経費等▲374百万円がマイナス要因で、営業利益+342百万円の1,500百万円を見込む。市場別では26/3期実績→27/3期予想でAV機器39.5億円⇒41.0億円、自動車33.9億円⇒36.2億円、アミューズメント28.3億円⇒27.6億円、製品別ではICB49.9億円⇒53.6億円、センサー44.1億円⇒46.7億円、機構部品21.0億円⇒22.5億円を計画している。

株主還元
26/3期(2025年度)の配当は前中期経営計画の計画通り一株当たり100円を実施し、配当性向は73.4%。2024年度は創立80周年にあたり、普通配当70円(中間35円・期末35円)に加えて記念配当30円とし、一株あたり100円(中間50円・期末50円)を実施していた。2026年度は一株当たり125円を予定している。
新中期経営計画では、ROE向上に向けた資本の適正化を企図し、純資産の過度な増加を抑えるべくDOE(株主資本配当率)を導入。DOE5.0%程度を目安とした株主還元を実施する方針で、最適資本構成の実現および弾力的な資本政策の遂行を目的に、中計当初3ヶ年で自己株式取得15億円の実施を想定している。

前中期経営計画の振り返り
2026/3期を最終年度とする前中期経営計画(修正計画)との比較では、売上高が計画180億円に対し実績173億円(計画差▲7億円)、営業利益が計画17億円に対し実績12億円(同▲5億円)、営業利益率が計画9.4%に対し実績6.7%(同▲2.7pt)、ROEが計画5.5%に対し実績4.5%(同▲1.0pt)。株主還元は一株当たり100円の計画に対し100円で実施した。資料は「増収幅は当初の想定を下回る水準となった。また、人件費等のコスト増加を吸収しきれなかったために営業利益は減少」とする一方、「2023年度に落ち込んだ営業利益から回復を遂げ、成長フェーズに移行」と総括している。なお5ヶ年累計では、売上高が計画累計797億円に対し実績累計809億円で約1.5%超過、営業利益が計画累計67億円に対し実績累計71億円で約6.0%超過とされている。
中期経営計画2030
FY2026-2030の新中期経営計画では、2030年度目標として売上高220億円、営業利益22億円、営業利益率10.0%、ROE6.0%以上を掲げる(2025年度実績は売上高173億円、営業利益12億円、営業利益率6.7%、ROE4.5%)。資本構成では自己資本比率を82.5%から70%前後を目安に、手元現預金水準を月商7~8ヶ月程度から月商3.5~4.5ヶ月程度に見直す方針で、着実な利益成長と不断の財務戦略の遂行により中長期的なROE8.0%超の早期実現を目指すとしている。政策保有株式の純資産比率は2025年度の19.9%から、2027年度までに純資産比(みなし保有含む)10%以下とする方針。
基本戦略は「既存領域の拡大」「顧客ニーズを捉えた新製品展開」「新領域の確立(チャレンジ分野)」「組織力の強化」の4つ。既存領域では車載HVAC向けポジションセンサのバリエーション拡大や一貫生産×自動化×標準化による利益率強化を進め、車載HVAC市場のシェアを現状8~9%程度から2030年度に12%程度、海外売上高を2030年度に2025年度比+10%以上とする目標を掲げる。新領域では漏水センサ・ナトカリセンサについて2027年頃の事業化を目指し、テスト販売を2026年度に開始する予定としている。
キャッシュアロケーション(5ヶ年累計)は、Cash Inが営業CF約100億円、資産売却約30億円、資金調達/現預金活用約73億円、Cash Outが設備投資等約128億円、株主還元約75億円。設備投資の内訳は新本社・研究開発棟約50億円、赤穂工場等の高度生産インフラ投資約36億円、最新生産設備投資約32億円、システム投資等約10億円で、手元現預金については増やさない方針とされている。新本社・研究開発棟は2028年1月竣工予定(鉄骨造4階建、延床面積約7,200㎡)で、本社新築工事は2026年4月から開始する計画。
事業環境について資料は、世界経済は中東情勢の影響で原油およびナフサ価格の急騰を招き、世界的なインフレ再燃の懸念材料となって先行きは極めて不透明な状況が続いているとし、日本経済についても物価上昇、エネルギー価格高騰およびナフサ由来の化学品の調達難などが製造業をはじめ幅広い産業に影響を及ぼしているとしている。
※本記事は帝国通信工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。