※本記事は三櫻工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
三櫻工業は2026年5月28日、2026年3月期の決算説明会資料を公表した。売上高は159,387百万円、営業利益は4,073百万円となり、日本では新規立上により販売が増加したものの、欧州・中国での販売不振、北南米での円高による為替換算差影響により減収、営業利益は対前期▲787百万円の減益となった。純利益は中国子会社の清算損失やドイツ子会社の特別退職金が発生する一方、メキシコ子会社の買収に伴う負ののれん発生益を計上し+787百万円の増益となった。あわせて「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(フェーズ1)」を開示し、ROE向上に向けたロードマップを示した。
連結業績(2026年3月期 実績)
売上高は159,387百万円(前期159,538百万円)、営業利益は4,073百万円(同4,860百万円)、営業利益率は2.6%(同3.0%)となった。営業利益は、北南米での米国関税措置の影響、輸入トラブル費用、新規立上のコストの増加等の要因が、日本での新規立上、欧州や中国での人員削減、ドイツ工場の閉鎖による収益改善効果を圧迫し、▲787百万円の減益となった。為替レートは149.7円/USD(前期151.6円/USD)。
経常利益は、営業利益の減少に加え為替差損の発生により▲1,562百万円の減益。純利益は、中国子会社の清算損失(▲1,268百万円)、ドイツ子会社人員整理に伴う特別退職金(▲1,283百万円)が発生するも、メキシコ子会社の買収に伴う負ののれん発生益(+2,554百万円)を計上し、+787百万円の増益となった(資料には対前期増減額が示されている)。
| 項目 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 159,387百万円 | 159,538百万円 | 減収 |
| 営業利益 | 4,073百万円 | 4,860百万円 | ▲787百万円 |
| 営業利益率 | 2.6% | 3.0% | ― |
| 為替レート(円/USD) | 149.7円 | 151.6円 | ― |
連結キャッシュ・フローは、営業活動+1,478百万円、投資活動▲13,471百万円、財務活動等+13,820百万円(現金及び現金同等物に係る換算差額+906百万円を財務活動に含む)。現金及び現金同等物は2025年3月期末22,692百万円から2026年3月末24,519百万円となった。投資活動には有形固定資産の取得による支出▲10,088百万円、貸付けによる支出▲1,510百万円、子会社株式の取得による支出▲1,338百万円が含まれる。設備投資額は10,088百万円、減価償却費は6,978百万円で、資料は設備投資額が近年減価償却費相当へ復元し、減価償却費を大幅に超える水準に達したと説明している。
セグメント別(地域別)の状況
日本は【増収・増益】。新規立上の設備販売と部品販売に伴い増収となり、営業利益はメキシコ子会社買収費用、設備投資による償却費の増加はあるものの、増収により大幅増益となった。北南米は【増収・営業損失】。北米における日系取引先で安定した販売を維持し、またメキシコ子会社の新規連結により増収となった一方、米国関税措置の影響、輸入トラブル費用の計上、新規立上等のコスト増加により収益性が悪化し減益となった。
欧州は【減収・増益】。欧州系取引先の販売不振により減収となったが、前期からの人員整理による人件費削減、ドイツ1工場閉鎖に伴い改善傾向にある。中国は【減収・営業損失】。日系取引先の販売不振が継続し減収、営業利益は人件費削減と前期に計上した固定資産減損に伴う償却費減により、営業損失となるも赤字幅は縮小した。アジアは【増収・減益】。売上高は安定した稼働状況により前年同期水準、営業利益は生産数量変動に対しコストをコントロールしたが、人件費の増加により減益となった。
| セグメント | 指標 | 2026年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 売上高 | 51,885百万円 | 48,020百万円 |
| 日本 | 営業利益 | 2,053百万円 | 1,014百万円 |
| 北南米 | 売上高 | 67,822百万円 | 67,306百万円 |
| 北南米 | 営業利益 | ▲327百万円 | 1,744百万円 |
| 欧州 | 売上高 | 19,996百万円 | 22,267百万円 |
| 欧州 | 営業利益 | 280百万円 | ▲118百万円 |
| 中国 | 売上高 | 12,481百万円 | 14,358百万円 |
| 中国 | 営業利益 | ▲348百万円 | ▲963百万円 |
| アジア | 売上高 | 29,763百万円 | 29,601百万円 |
| アジア | 営業利益 | 2,599百万円 | 2,847百万円 |

2027年3月期 通期業績予想
2027年3月期(FY2026)の通期業績予想として、資料は売上高1,670億円、営業利益55.0億円を示している(P.17の売上高・営業利益の推移、P.28のROE向上に向けたロードマップ)。ROEは3.1%の予想で、資料の注記によれば、この計算においては自己資本は期中平均を算出せずにFY2025実績のみにて仮算出している。資料は、FY2026を将来の成長に向けた基盤を再構築する戦略的転換期と位置づけている。
| 項目 | 2027年3月期(予想) | 2026年3月期(実績) |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,670億円 | 1,594億円 |
| 営業利益 | 55.0億円 | 40.7億円 |
| ROE | 3.1% | 3.3% |
| 1株当たり年間配当金 | 28円 | 28円 |

株主還元
資料は「日頃より当社事業を支えていただいている株主・投資家の皆様へ、安定配当という形で利益還元をさせていただいております」とし、2026年3月期の配当金は中間14円・期末14円の年28円、2027年3月期予想は年28円を計画している。2026年3月期の配当金の支払は▲1,018百万円、非支配株主への配当金の支払は▲660百万円。企業価値向上に向けた財務戦略としては、有利子負債の削減、株主還元方針の導入等が挙げられている。
| 項目 | 2026年3月期 | 2027年3月期(予想) |
|---|---|---|
| 中間配当 | 14円 | 14円 |
| 期末配当 | 14円 | 14円 |
| 年間配当 | 28円 | 28円 |

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(フェーズ1)
今回の説明会では、フェーズ1として「資本市場からの評価と変革に向けたロードマップ」を開示した。FY2030目標(売上高2,000億円、ROE15%以上)に対し、足元は外部環境の変化による影響を受け資本効率が一時的に不安定な局面にあるとしたうえで、構造改革と将来投資を通じて収益体質の転換を進めるとしている。FY2030の連結ROE15%以上の達成に必要なROICは現状8.0%以上と試算し、目標ROICを超過しているのは北南米とアジア、ROICがWACC未達となっているセグメントは日本・中国・欧州で、これらを中心に事業縮小・ポートフォリオの見直しが必要とした。
ロードマップでは、FY2026~FY2028を構造改革期間、FY2029以降を成長ステージと位置づけ、日本セグメントにおけるBPRの推進および需要構造の変化に対応した生産体制の再編(FY2026~FY2028)、中国セグメントにおける「選択と集中」(FY2026~FY2027)、欧州セグメントの不採算事業についてあらゆる選択肢を含めた見直しの検討(FY2027~FY2028)、成長セグメント(北南米・アジア)への経営資源の集中(~FY2028)を掲げる。定量目標や資本政策は現在精査中で、構造改革着手後にその手応えを踏まえ、改めて公表予定としている。

トピック:データセンター事業と投資家との対話
新事業では、コアコンピタンスである配管・バルブを起点として冷却システム全体への機能拡張を図るとし、国内外のデータセンター向けサーバーおよび水冷モジュールメーカーより試作品を受注、大型案件を見据えた実証用試作の受注を獲得したとしている。2026年6月3日〜5日の「IDCE2026/第12回上海国際データセンター産業展」への出展を予定する。株主・投資家との対話では、2026年3月に社外取締役と機関投資家・アナリストのスモールミーティングを新たに開催し、本開示に先立つ事前ヒアリングでは、構造改革・業態変革・成長戦略と株価・資本効率の連動性を示せなければ株価ディスカウントは継続するとのフィードバックを受領したとしている。
※本記事は三櫻工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。