※本記事はispaceが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
ispaceの2026年3月期(通期)は、日本ミッション(現ミッション3)の開発進捗に伴う補助金収入の増加により、プロジェクト収益が前期比18.5%増の5,890百万円となった一方、米国ミッション(現ミッション5)の開発遅延等により売上高は前期比26.1%減の3,307百万円となった。売上原価においてエンジン変更及びスケジュール変更に伴う損失を新たに計上したことから売上総利益は△2,853百万円の損失となったが、補助金収入の増加により当期純損益は前期の△11,945百万円から△8,152百万円へ赤字が縮小した。2025年10〜11月には公募及び第三者割当増資により約182億円を調達し、財務基盤を強化した。
業績(2026年3月期 実績)
プロジェクト収益は主にミッション3におけるSBIR補助金収入の増加により前期比18.5%増の5,890百万円となり、概ね通期業績予想(6,000百万円)通りの着地となった。売上高はミッション5におけるエンジン開発遅延等により前期比26.1%減の3,307百万円となったが、これも概ね業績予想通りの着地だった。売上原価では2026年3月に発表したエンジン変更及びスケジュール変更に伴う損失を新たに計上したため、売上総利益は△2,853百万円の損失となり業績予想(△1,400百万円)を下回った。なお米国子会社におけるランダーモデル統合による影響は2027年3月期第1四半期決算で計上予定である。販売管理費の内訳では、研究開発費がミッション2完了に伴い前年比49.2%減の3,928百万円となった一方、給料及び手当はグループ従業員数の増加(前年同期比+16名)等により前年比21.2%増の1,844百万円となり、販売管理費合計は前年比27.5%減の8,726百万円となった。当期純損益は△8,152百万円となり、補助金収入の増加により前期(△11,945百万円)から赤字が縮小した。(単位:百万円)
| 項目 | 2026年3月期実績 | 通期予想 | 増減率(対予想) | 2025年3月期実績(前期) |
|---|---|---|---|---|
| プロジェクト収益 | 5,890 | 6,000 | △1.8% | 4,971 |
| 売上高 | 3,307 | 3,400 | △2.7% | 4,473 |
| 売上総利益 | △2,853 | △1,400 | – | 2,244 |
| 販売管理費 | 8,726 | 8,600 | +1.5% | 12,039 |
| 営業損益 | △11,580 | △10,000 | – | △9,795 |
| 経常損益 | △8,141 | △7,200 | – | △11,334 |
| 当期純損益 | △8,152 | △7,200 | – | △11,945 |

ミッション別の状況
ispaceは月着陸船(ランダー)による輸送サービスを軸に、複数のミッションを並行して進めている。2028年打上げ予定のミッション3は経済産業省のSBIR制度による最大120億円の補助金を含むプロジェクト収益総額215億円を見込み、2026年5月15日時点でPDR(基本設計審査会)が進行中である。2029年打上げ予定のミッション4は上限200億円の宇宙戦略基金第2期に採択され、欧州宇宙機関(ESA)からMAGPIEフェーズ2の予算として合計119億円を確保しており、プロジェクト収益総額319億円を見込む。2030年打上げ予定のミッション5は、ランダー統合及びエンジン変更を考慮したスケジュール変更をNASAと調整中で、プロジェクト収益総額91億円を見込む。
| ミッション | プロジェクト収益総額(見込み) | 打上げ予定 |
|---|---|---|
| ミッション3 | 215億円 | 2028年 |
| ミッション4 | 319億円 | 2029年 |
| ミッション5 | 91億円 | 2030年 |

通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期の業績予想は、ミッション3におけるSBIR補助金の増加とミッション4における宇宙戦略基金受領開始により、プロジェクト収益が前期比52.8%増の9,000百万円を見込む。売上高はミッション3及びミッション4が牽引し前期と同水準の3,300百万円を見込む。一方、米国子会社にてランダーモデル統合及びエンジン変更に関する減損36億円の一部を米国会計基準に基づき売上原価に計上するため、売上総利益は△6,000百万円と減益を見込む。営業損益はミッション3のランダー開発本格化に伴う研究開発費の増加と人員増による販売管理費の増加により△17,700百万円、当期純損益はミッション3のSBIR補助金及びミッション4の宇宙戦略基金を営業外収入として計上する見込みではあるが△13,000百万円の損失を見込む。ミッション別の増減要因では、ミッション3関連が25億円、ミッション4関連が32億円のプロジェクト収益押し上げ要因となる一方、ミッション5関連は米国ミッションのスケジュール変更により18億円の減少要因、その他はミッション2及びパートナーシップ売上の消失により7億円の減少要因となる見込みである。(単位:百万円)
| 項目 | 2027年3月期予想 | 2026年3月期実績(前期) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| プロジェクト収益 | 9,000 | 5,890 | 52.8% |
| 売上高 | 3,300 | 3,307 | △0.2% |
| 売上総利益 | △6,000 | △2,853 | – |
| 販売管理費 | 11,700 | 8,726 | 34.1% |
| 営業損益 | △17,700 | △11,580 | – |
| 経常損益 | △13,000 | △8,141 | – |
| 当期純損益 | △13,000 | △8,152 | – |

財務基盤
2026年3月期末の現金及び預金は前期末比126.3%増の29,690百万円、純資産は同116.5%増の15,173百万円となった。これは2025年10〜11月に実施した公募及び第三者割当増資(合計182億円)に加え、2025年5月の金融機関借入(合計150億円)等による大型資金調達によるものである。有利子負債は前期末比82.9%増の29,443百万円に増加した。営業キャッシュフローは△13,190百万円(前期△12,049百万円)、投資キャッシュフローは△2,203百万円(前期△2,671百万円)でフリー・キャッシュフローは△15,393百万円となったが、財務キャッシュフロー31,447百万円(うち株式発行による変動18,195百万円、長期借入による変動12,847百万円等)により補填し、現金等の期末残高は29,690百万円を確保した。(単位:百万円)
| 項目 | 2026年3月期末 | 2025年3月期末 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 29,690 | 13,117 | 126.3% |
| 有利子負債合計 | 29,443 | 16,096 | 82.9% |
| 純資産合計 | 15,173 | 7,007 | 116.5% |
| 資産合計 | 47,704 | 27,189 | 75.5% |
株主還元・株主基盤
本決算説明資料に配当や自己株式取得等の株主還元方針についての記載はない。2026年3月31日現在の発行済株式総数は146,209,683株、株主総数は116,744名で、2025年10月発表の増資を経て個人株主の裾野が拡大した。所有者別の株式分布は個人・その他が70.93%、その他国内法人が13.84%、外国人が9.03%などとなっている。大株主上位10位には代表取締役CEOの袴田武史氏(8.21%)、高砂熱学工業株式会社(4.79%)、JIC VGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合(4.38%)等が並ぶ。また2025年10月に実施した公募及び第三者割当による新株式発行並びにオーバーアロットメントによる株式売出しは、ロンドン証券取引所グループ主催「DEALWATCH AWARDS 2025」の「Equity Deal of the Year」を受賞した。

※本記事はispaceが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。