※本記事は当該企業が公開したIR資料(2026年3月期 決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標(営業利益・事業利益等)の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
住友不動産は2026年5月19日、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の決算説明会を開催した。売上高・営業利益・経常利益・当期純利益の全項目で過去最高を更新し、経常利益は5期連続、当期純利益は13期連続の最高益となった。2027年3月期についても、経常利益3,000億円到達を含め、売上高・利益全ての過去最高更新を見込むとしている。
業績ハイライト(連結)
2026年3月期の連結業績は、売上高10,577億円(前期比+435億円)、営業利益2,991億円(同+276億円)、経常利益2,892億円(同+209億円)、親会社株主に帰属する当期純利益2,125億円(同+208億円)となった。2027年3月期の会社予想は、売上高10,700億円、営業利益3,200億円、経常利益3,000億円、当期純利益2,230億円としている。
| 項目(億円) | 2025年3月期(実績) | 2026年3月期(実績) | 前期比 | 2027年3月期(予想) |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,142 | 10,577 | +435 | 10,700 |
| 営業利益 | 2,715 | 2,991 | +276 | 3,200 |
| 経常利益 | 2,683 | 2,892 | +209 | 3,000 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,916 | 2,125 | +208 | 2,230 |

セグメント別動向
なお同社は2026年3月期の期首より、「完成工事事業」を「ハウジング事業」に、「不動産流通事業」を「ステップ事業」にそれぞれ名称変更し、あわせてマンション管理・インテリア販売子会社の計上区分を「不動産販売事業」へ変更している。2025年3月期の数値もこの変更を反映したものとなっている。
2026年3月期は主力の賃貸セグメントが過去最高の大幅増益(過去最高益更新)となり、業績を牽引した。賃貸の営業利益率は21.8%から23.5%へ+1.7ポイント改善、販売は26.7%から31.3%へ+4.7ポイント改善した一方、ハウジングは新築そっくりさん・注文住宅の計上戸数減少(計上戸数△158戸)等により10.6%から7.1%へ△3.5ポイント低下した。
| セグメント | 売上高2025/3 | 売上高2026/3 | 前期比 | 営業利益2025/3 | 営業利益2026/3 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 賃貸 | 4,336 | 4,606 | +269 | 1,886 | 2,101 | +215 |
| 販売 | 2,947 | 3,240 | +292 | 642 | 762 | +120 |
| ハウジング | 2,042 | 1,889 | △153 | 215 | 134 | △81 |
| ステップ | 731 | 753 | +21 | 195 | 236 | +40 |
| 合計 | 10,142 | 10,577 | +435 | 2,715 | 2,991 | +276 |
仲介件数は31,003件から28,848件へ減少したが、取扱単価が46.3百万円から51.6百万円へ上昇したことで、ステップ(不動産流通)の営業利益は195億円から236億円へ増加した。
財務・資本効率
2026年3月期の経常利益2,892億円に対し、営業キャッシュフローは1,272億円。東京のプライム資産への賃貸設備投資1,456億円、インド現地法人への追加出資643億円などを行った結果、期末の連結有利子負債は39,759億円、純有利子負債は39,167億円となった。自己資本は前期末の21,681億円から24,707億円に増加し、自己資本比率は32.3%から34.4%に上昇した。
金利上昇への対応については、支払利息が25/3期203億円から26/3期272億円へ増加する見通しの中でも、東京都心のオフィス需給逼迫とインフレ突入による持続的な賃料上昇(賃貸セグメント利益は1,886億円から2,101億円へ+215億円)で吸収可能としている。有利子負債の長期比率は94%、固定金利比率は81%。
資本効率の指標としては、株式市場の変動で大きく上下する保有有価証券の評価差益を除く自己資本を分母とする同社独自指標「実質ROE」を10%超の水準としており、下降トレンドから上昇トレンドに転換したと説明している(コロナ禍で9.2%まで低下する局面を経て、その後の利益成長率の拡大により10.6%まで改善する場面もあったとしている)。
株主還元
株主還元については、年8円以上の累進配当方針のもと、2026年3月期は利益上振れにより年9円増配(35円→44円)とした。来期以降も年8円以上の累進配当を継続するとしている。従業員還元としては「勤続功労株式報酬制度」の対象を1万人に拡大したほか、最高益更新に伴い自社株を取得できるポイントを臨時で付与した。
また同社は2026年1月1日付で1株につき2株の割合の株式分割を実施した。株価は分割後換算で2023年1月4日の1,522円から2026年3月2日には5,341円まで上昇し、2026年3月末は4,392円となった。TOPIXを大きく上回る株価上昇としている。


2027年3月期 会社予想
2027年3月期は、オフィスビル賃貸を中心に売上高・営業利益・経常利益・当期純利益の全てで過去最高を見込み、6期連続の経常最高益、14期連続の純利益最高益更新を目指すとしている。
| セグメント | 売上高2026/3(実績) | 売上高2027/3(予想) | 前期比 | 営業利益2026/3(実績) | 営業利益2027/3(予想) | 前期比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 賃貸 | 4,606 | 4,800 | +193 | 2,101 | 2,240 | +138 |
| 販売 | 3,240 | 3,000 | △240 | 762 | 810 | +47 |
| ハウジング | 1,889 | 2,070 | +180 | 134 | 170 | +35 |
| ステップ | 753 | 700 | △53 | 236 | 220 | △16 |
| 合計 | 10,577 | 10,700 | +122 | 2,991 | 3,200 | +208 |
経常利益は2,892億円から3,000億円(+107億円)、当期純利益は2,125億円から2,230億円(+104億円)を見込む。営業キャッシュフローは1,500億円、投資キャッシュフローは△450億円を予想し、東京のプライム資産とインドへの投資で計1,100億円を計画している。配当支払額は450億円(前期361億円)を見込む一方、自社株取得は前期の605億円に対し予定を計上していない。
中期経営計画(第十次中計)の進捗
2026年3月期は、2026/3期から2028/3期を計画期間とする第十次中期経営計画の1年目にあたる。3か年累計目標に対する進捗は、売上高が目標32,000億円に対し実績10,577億円で進捗率33%、営業利益が目標9,300億円に対し実績2,991億円で進捗率32%、経常利益が目標9,000億円に対し実績2,892億円で進捗率32%、純利益が目標6,500億円に対し実績2,125億円で進捗率33%となった。
| 項目(億円) | 第十次中計目標(26/3〜28/3累計) | 2026/3期実績 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 32,000 | 10,577 | 33% |
| 営業利益 | 9,300 | 2,991 | 32% |
| 経常利益 | 9,000 | 2,892 | 32% |
| 純利益 | 6,500 | 2,125 | 33% |

会社側は、第十次中計の目標実現に向けた5つの課題への対処状況として、以下を説明している。
- 金利上昇に負けないオフィスビルの賃料改定:需給逼迫を背景に最大20%超、平均7%台の値上げ実績。デフレ時代からインフレ時代へ転換し、持続的な賃料上昇局面へ移行
- 建築費上昇・工期長期化への対策:ゼネコン・サブコンとの長年のパートナー関係を活かし、合理的な建築費と工期を目指す
- 新築分譲マンション事業環境:先行き不透明ながら、約3年分・6,000戸超の完成在庫(同社は「財庫」と表現)により安定した供給と利益を実現
- インド・ムンバイ事業:BKC1号物件は工事が予定通り順調に進捗し、今秋稼働開始、約7割のテナントが契約・内定済みで利回り10%超の実現を見込む
- 成長投資と株主・従業員還元、ガバナンス改革:株主へは年9円増配(35円→44円)、従業員へは臨時の株式ポイント付与を実施。2027年に監査等委員会設置会社へ移行予定(本年株主総会に付議)。政策保有株は売却と信託組入れにより簿価の対株主資本比率10%以下の達成に目途
東京では60万坪の開発方針に変更はなく、八重洲二丁目中計画(延床117,000坪、2029/3期竣工)、東池袋一丁目計画(延床47,000坪、2030/3期竣工)をはじめ、六本木五丁目西計画(延床327,000坪)など複数の大型プロジェクトが開発推進中としている。
まとめ
住友不動産の2026年3月期は、主力の賃貸セグメントの大幅増益を牽引役に、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益の全てで過去最高を更新した。2027年3月期も引き続き増収増益・過去最高更新を見込んでおり、第十次中期経営計画は1年目にして売上高・利益ともに30〜33%台の進捗率で推移している。金利上昇局面においてもオフィス賃料の持続的上昇による吸収を見込むほか、株主還元(累進配当・株式分割)や2027年の監査等委員会設置会社への移行など、資本効率とガバナンスの両面での取り組みも進めている。
※本記事は当該企業が公開したIR資料(2026年3月期 決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標(営業利益・事業利益等)の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。