※本記事は大日本印刷が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
大日本印刷(DNP)の2025年度通期決算は、売上高15,125億円(前年比+3.8%)、営業利益1,010億円(同+7.9%)となり増収増益となった。事業構造改革による収益性向上が営業利益の増加に大きく寄与した。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産および投資有価証券売却益の減少により前年から減益の1,039億円(同▲6.1%)となった。純利益・ROEはいずれも2026年2月に上方修正した業績予想を上回った。
連結業績(2025年度 実績)
2025年度通期は、注力事業領域を中心とした新しい価値創出の加速により売上高が増加した。営業利益は、事業構造改革による収益性向上が大きく寄与し前年から増加した。ROEは8.9%となり前年から0.7pt低下したが、2026年2月に上方修正した業績予想(8.7%)は上回った。
| 項目 | 2024年度実績 | 2025年度実績 | 対前年増減率(差) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 14,576 | 15,125 | +3.8% |
| 営業利益 | 936 | 1,010 | +7.9% |
| 営業利益率 | 6.4% | 6.7% | +0.3pt |
| 経常利益 | 1,159 | 1,192 | +2.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,106 | 1,039 | ▲6.1% |
| ROE | 9.6% | 8.9% | ▲0.7pt |
| 設備投資額 | 766 | 877 | +14.5% |
| 研究開発費 | 375 | 422 | +12.6% |
| 減価償却費 | 537 | 528 | ▲1.7% |

セグメント別の状況
セグメント別では、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケアがいずれも増収増益となった一方、エレクトロニクスは増収ながら営業利益が前年比▲11.6%の減益となった。
| セグメント | 指標 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|
| スマートコミュニケーション | 売上高 | 7,155 | 7,503 |
| スマートコミュニケーション | 営業利益 | 346 | 400 |
| ライフ&ヘルスケア | 売上高 | 4,960 | 5,123 |
| ライフ&ヘルスケア | 営業利益 | 237 | 372 |
| エレクトロニクス | 売上高 | 2,477 | 2,518 |
| エレクトロニクス | 営業利益 | 573 | 507 |
| 調整 | 売上高 | ▲17 | ▲19 |
| 調整 | 営業利益 | ▲222 | ▲269 |
| 合計 | 売上高 | 14,576 | 15,125 |
| 合計 | 営業利益 | 936 | 1,010 |

スマートコミュニケーション部門は、写真プリント用部材が新型プリンターの需要増等により好調だったほか、IDカード用インクリボンも堅調に推移。情報セキュア関連はデュアルインターフェイスICカードが前年から減少したもののBPOの大型案件が寄与し、出版関連は市場縮小の影響を受けつつも構造改革効果により収益体質が改善した。
ライフ&ヘルスケア部門は、太陽電池関連が福島県泉崎工場に導入した新生産ラインの増産効果により寄与したほか、包装関連はPETボトル用無菌充填システムの販売増加や収益体質強化により増益となった。一方、モビリティ・産業用高機能材関連ではリチウムイオン電池用バッテリーパウチの車載向けが米国の政策変更による需要減少の影響を受けた。
エレクトロニクス部門は、半導体関連の市況が堅調に推移し売上が前年を上回ったが、デジタルインターフェース関連(有機ELディスプレイ製造用メタルマスク)が第4四半期に半導体メモリ不足に起因するスマートフォン減産の影響を受け、営業利益は前年から減益となった。
通期業績予想
2026年度の業績予想は、中東情勢の影響(原材料費上昇等)を反映したうえで、売上高15,300億円(前年比+1.2%)、営業利益1,080億円(同+6.9%)を計画。親会社株主に帰属する当期純利益は950億円(同▲8.6%)、ROEは8.0%を見込む。
| 項目 | 2025年度実績 | 2026年度業績予想 | 増減率(差) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 15,125 | 15,300 | +1.2% |
| 営業利益 | 1,010 | 1,080 | +6.9% |
| 営業利益率 | 6.7% | 7.1% | +0.4pt |
| 経常利益 | 1,192 | 1,240 | +4.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,039 | 950 | ▲8.6% |
| ROE | 8.9% | 8.0% | ▲0.9pt |
| 設備投資額 | 877 | 770 | ▲12.2% |
| 研究開発費 | 422 | 430 | +1.7% |
| 減価償却費 | 528 | 570 | +7.9% |
| セグメント | 指標 | 2025年度実績 | 2026年度業績予想 |
|---|---|---|---|
| スマートコミュニケーション | 売上高 | 7,503 | 7,420 |
| スマートコミュニケーション | 営業利益 | 400 | 430 |
| ライフ&ヘルスケア | 売上高 | 5,123 | 5,160 |
| ライフ&ヘルスケア | 営業利益 | 372 | 390 |
| エレクトロニクス | 売上高 | 2,518 | 2,740 |
| エレクトロニクス | 営業利益 | 507 | 540 |
| 調整 | 売上高 | ▲19 | ▲20 |
| 調整 | 営業利益 | ▲269 | ▲280 |
| 合計 | 売上高 | 15,125 | 15,300 |
| 合計 | 営業利益 | 1,010 | 1,080 |

株主還元
配当については、利益成長に応じた累進配当および配当性向(特別損益等の一過性の要因を除いた親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向)の引き上げによる配当水準向上を目指す方針(1株当たり配当40円を下限とする累進配当)。2026年度の年間配当金は1円増配の41円を予定(3年連続の増配予定、中間配当金19円・期末配当金22円)。自己株式取得は、成長投資とのバランスや株価水準、資本効率を考慮し機動的かつ積極的に実施する方針で、2026年度は500億円、2027年度は300億円以上とし、2026~27年度の2年間で最低800億円実施する計画。

中期経営計画(2026-2028年度)
新中期経営計画(2026-2028年度)は、事業戦略として注力事業への積極投資と既存印刷関連の構造改革を掲げ、営業利益をCAGR9%で成長させる計画。2026年度は営業利益1,080億円、2027年度は1,200億円、2028年度は1,300億円を計画し、ROEは2026年度8.0%、2028年度9.0%以上を目指す。設備投資額は2026~2028年度の3年間累計で3,000億円規模を計画し、注力事業領域を中心に投資する。財務戦略では、自己資本比率55%を目安に、営業キャッシュ・フロー5,100億円以上の創出を見込み、成長投資と株主還元の両輪で企業価値向上を図る方針。
※本記事は大日本印刷が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。