※本記事はカシオ計算機が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
カシオ計算機は2025年3月期の連結決算を発表した。売上高は2,618億円(前期比97.4%)とわずかに減収、営業利益は142億円(同100.2%)とほぼ前期並みで着地した一方、経常利益は141億円(同78.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は81億円(同67.7%)といずれも減益となった。時計事業のコンシューマ事業(EdTech・サウンド)は増益となったものの、システム事業・その他事業の構造改革を継続的に推進した。
連結業績(2025年3月期 実績)
売上高は前期比71億円減の2,618億円(前期比97.4%)。営業利益は前期比横ばいの142億円(同100.2%、営業利益率5.3%→5.4%)となった。経常利益は前期比38億円減の141億円(同78.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比38億円減の81億円(同67.7%)となった。1株利益は35.22円(前期50.91円)。通期の平均為替レートは米ドル144.6円→152.6円、ユーロ156.8円→163.7円、人民元20.1円→21.1円といずれも円安方向に推移した。
| 項目 | 2024年3月期(通期実績) | 2025年3月期(通期実績) | 増減 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,688億円 | 2,618億円 | ▲71億円 | 97.4% |
| 営業利益(利益率5.3%→5.4%) | 142億円 | 142億円 | 0億円 | 100.2% |
| 経常利益 | 179億円 | 141億円 | ▲38億円 | 78.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 119億円 | 81億円 | ▲38億円 | 67.7% |
| 1株利益 | 50.91円 | 35.22円 | - | - |

セグメント別・事業別の状況
2025年3月期より、「システム」の事業分野・収益構造の変化に対応した業績管理区分の一部見直しを行い、従来「システム」に計上していたハンディターミナル、電子レジスターの事業を非継続事業として「その他」に計上した(前期実績についても同様に修正)。2025年3月期通期実績の「その他」に含まれる非継続事業は売上高35億円、営業利益▲19億円。セグメント別では、時計は売上高1,661億円(前期比99.5%)、営業利益203億円(同97.0%、利益率12.2%)。コンシューマは売上高821億円(同97.1%)、営業利益22億円(同112.8%、利益率2.6%)で増益。システムは売上高64億円(同88.1%)、営業利益▲4億円(前期4億円)。その他は売上高71億円(同71.5%)、営業利益▲16億円(前期▲29億円)だった。コンシューマ事業のうちEdTech(教育)は通期売上高607億円、営業利益率9.3%で、うち電子辞書他の営業利益は約▲26億円(関数・一般電卓が売上高の約84%、営業利益率約16.3%)。サウンド(楽器)は通期売上高214億円、営業利益は▲35億円で、グローバルで楽器市場停滞の影響を受けたとしている。時計事業は第4四半期(1月~3月)において、中国を除く他地域では計画線の成長となり、G-SHOCKの中高価格帯は順調に推移、CASIO WATCHがグローバルで好調だったとしている。同四半期の地域別売上高構成比(円ベース)は国内16%、北米15%、欧州19%、中国7%、その他43%(うちインド・アセアン16%)。
| セグメント | 指標 | 2025年3月期(実績) | 2024年3月期(実績) |
|---|---|---|---|
| 時計 | 売上高 | 1,661億円 | 1,670億円 |
| 時計 | 営業利益(利益率12.2%) | 203億円 | 209億円(利益率12.5%) |
| コンシューマ | 売上高 | 821億円 | 845億円 |
| コンシューマ | 営業利益(利益率2.6%) | 22億円 | 19億円(利益率2.3%) |
| システム | 売上高 | 64億円 | 73億円 |
| システム | 営業利益 | ▲4億円 | 4億円 |
| その他 | 売上高 | 71億円 | 100億円 |
| その他 | 営業利益 | ▲16億円 | ▲29億円 |
| 調整額 | 営業利益 | ▲62億円 | ▲61億円 |
| 合計 | 売上高 | 2,618億円 | 2,688億円 |
| 合計 | 営業利益(利益率5.4%) | 142億円 | 142億円(利益率5.3%) |

為替の影響
2026年3月期想定為替レートにおける為替感応度(1円、人民元は0.1円の変動による影響額)は、米ドルが売上高10億円・営業利益▲0.5億円、ユーロが売上高3.0億円・営業利益2.0億円、人民元が売上高1.0億円・営業利益0.5億円としている。2026年3月期の想定為替レートは米ドル145円、ユーロ160円、人民元20.2円。
構造改革
中期経営計画の2年目総括として、構造改革を着実に推進したとしている。人員構造の適正化による全社固定費削減は約650名。事業ポートフォリオの整理として、システム事業はPA・SA事業を終息し、HR(HRソリューション事業)・SMB(小規模事業者向け経営支援事業)は外部パートナーへ事業譲渡した。サウンド事業はラインアップの半減、不採算エリアからの撤退、人員体制の大幅見直しを実施。電子辞書事業は市場の縮小に対応し、ハードの新規開発を中止、営業体制を大幅縮小したとしている。

通期業績予想(2026年3月期)
2026年3月期の全社連結計画(米関税政策影響含まず)は、売上高2,700億円(前期比103.1%)、営業利益240億円(同168.6%、営業利益率8.9%)、経常利益230億円(同162.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益165億円(同204.6%)、1株利益72.35円としている。想定為替レートは米ドル145円、ユーロ160円、人民元20.2円。時計事業の米国売上比率は約13%で、米国向け生産地域構成比は日本約5%、タイ約50%、中国約45%(EdTech(電卓)の米国売上比率は約7%で米国向け生産はタイ100%、サウンド(楽器)の米国売上比率は約17%で米国向け生産は中国100%)。米国関税への対応方針として、需要減退による数量減少の見極めとプロモーションの最適化による値上げ対応、各国の関税交渉状況を見極めつつ他拠点・他拠点OEM生産への移管計画の実行を挙げている。なお、今期よりシステムセグメントをその他セグメントとの合算表記に変更しており、前期実績も同様のセグメント区分で記載している。2026年3月期通期計画の「その他」セグメントに含まれる非継続事業は売上高25億円、営業利益▲20億円。
| 項目 | 2025年3月期(実績) | 2026年3月期(通期計画) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,618億円 | 2,700億円 | 103.1% |
| 営業利益(利益率5.4%→8.9%) | 142億円 | 240億円 | 168.6% |
| 経常利益 | 141億円 | 230億円 | 162.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 81億円 | 165億円 | 204.6% |
| 時計セグメント売上高 | 1,661億円 | 1,760億円 | 105.9% |
| 時計セグメント営業利益 | 203億円 | 250億円 | 123.3% |
| コンシューマセグメント売上高 | 821億円 | 870億円 | 106.0% |
| コンシューマセグメント営業利益 | 22億円 | 70億円 | 323.5% |

株主還元
2025年3月期の配当性向は127.8%(前期88.4%)、DOEは4.6%(前期4.7%)、総還元性向は183.3%(前期164.1%)となった。自己株式取得も実施している(金額はグラフでの表示のみで数値の印字はない)。1株当たり配当金の具体的な金額は本資料に数値として印字されていない。中期経営計画のキャピタルアロケーション方針(2024年3月期決算発表時公表、3年間累計)では、キャッシュ配分原資1,300億円のうち配当に300億円超、追加株主還元に150億円+αを配分する計画としている。2026年3月期の目標財務指標は、配当性向80%水準、DOE5%水準、総還元性向120%~180%(いずれも中期経営計画3年間平均)としている。
※本記事はカシオ計算機が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。