※本記事はベストワンドットコムが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
株式会社ベストワンドットコム(証券コード:6577)は、2025年7月期(2024年8月~2025年7月)の通期決算説明資料を公表した。総取扱高は2,569,623千円(前期比80.4%)、売上高は2,543,844千円(同81.1%)、営業利益29,192千円(同11.1%)、経常利益27,881千円(同10.0%)、当期純利益9,518千円(同3.8%)となり、減収減益となった。資料は、GWのキャビン一部買い取りおよび6月のコスタセレーナチャータークルーズ(金沢発着)の買い取り販売が想定を下回ったことが減収要因であり、買取・チャーターは一定額を上回った分だけ利益となる仕組みのため、売上高以上に利益が前期を下回ったとしている。
連結業績(2025年7月期 実績)
総取扱高は2,569,623千円(前期3,194,146千円、前期比80.4%、2019年7月期比118.2%)、売上高は2,543,844千円(前期3,137,160千円、同81.1%、2019年7月期比117.0%)となった。売上総利益は506,911千円(同69.0%)、販管費合計は477,718千円(同101.4%)で、内訳は広告宣伝費167,321千円(同86.7%)、人件費136,745千円(同98.7%)、その他173,651千円(同124.4%)。営業利益29,192千円(同11.1%)、経常利益27,881千円(同10.0%)、当期純利益9,518千円(同3.8%)はいずれも前期を大きく下回った。資料は総取扱高と売上高をそれぞれ開示しているが、両者の会計処理上の関係についての説明は資料中に記載がない。
| 項目 | 2025年7月期 | 2024年7月期 | 前期比 | 2019年7月期比 |
|---|---|---|---|---|
| 総取扱高(千円) | 2,569,623 | 3,194,146 | 80.4% | 118.2% |
| 売上高(千円) | 2,543,844 | 3,137,160 | 81.1% | 117.0% |
| 売上総利益(千円) | 506,911 | 734,966 | 69.0% | 112.0% |
| 販管費合計(千円) | 477,718 | 471,198 | 101.4% | 150.1% |
| 広告宣伝費(千円) | 167,321 | 192,994 | 86.7% | 160.7% |
| 人件費(千円) | 136,745 | 138,561 | 98.7% | 117.8% |
| その他販管費(千円) | 173,651 | 139,641 | 124.4% | 177.2% |
| 営業利益(千円) | 29,192 | 263,768 | 11.1% | 21.7% |
| 経常利益(千円) | 27,881 | 278,876 | 10.0% | 21.2% |
| 当期純利益(千円) | 9,518 | 248,621 | 3.8% | 11.3% |

減収減益の要因
資料によれば、前期(2024年7月期)は共同チャーターを含め4本のチャータークルーズを実施したのに対し、当期は6月に実施した2本にとどまった。期首時点では、GWの一部キャビン買い取りクルーズとチャータークルーズの2施策で利益の伸長を見込んでいたが、GWクルーズのキャビン買取分の販売が振るわず、6月のチャータークルーズも想定を下回ったため、売上高・利益とも想定を下回り、減収減益となった。
経営指標(KPI)
資料はKGI(全事業)として総取扱高・売上総利益(粗利益)、KPI(クルーズ予約サイト「ベストワンクルーズ」)としてユニークユーザー(UU)数・セッション(SS)数・問い合わせ件数を設定している。ユーザー数・セッション数はクルーズ予約サイト「ベストワンクルーズ」の数値であるのに対し、問い合わせ件数はフェリーや国内旅行予約サイトの数値も含む点が異なると資料は注記している。当第4四半期(2025年5月~7月)の平均ユーザー数/月は前年同期比54.1%、平均セッション数/月は同62.8%、問い合わせ件数は同91.2%程度となった。資料は、当該期間のWeb広告費を前年同期比74%に抑えたこと、前年同期にテレビCM放送等の押し上げ要因があったことを挙げている。
| KPI(当第4四半期・前年同期比) | 集計対象 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| ユニークユーザー(UU)数/月(平均) | 「ベストワンクルーズ」のみ | 54.1% |
| セッション(SS)数/月(平均) | 「ベストワンクルーズ」のみ | 62.8% |
| 問い合わせ件数 | フェリー・国内旅行予約サイトの数値を含む | 91.2%程度 |
子会社・投資先の状況
子会社の株式会社えびす旅館は、売上高が前期比119.2%と堅調に推移し、大幅な黒字となった。稼働率は前年から6ポイント上昇して85.5%、ADR(平均客室単価)は前年から10%程度上昇した。連結決算日との差異が3か月を超えないため、えびす旅館の第4四半期累計(5月~4月)の業績に基づき4Q連結決算を行っている。子会社のファイブスタークルーズ、および事業譲受したminuteについては、業績に与えるインパクトが少ないため詳細な開示を割愛するとしている。投資先では、インバウンドテクノロジー社が2021年12月に東証マザーズ(現グロース)に上場し、当社として初めてのIPO案件になったとしている。投資先の一部については減損処理済みであることが資料に記載されている。
資金調達(借入)
当社は、広告宣伝費・人材投資・システム投資・クルーズキャビンの買い取りアロット投資・グローバル展開への投資等に伴う運転資金の拡充を目的に、約15億円の借入を行った。借入先は金融機関9社、借入金額1,500百万円、借入実行日は2025年2月25日以降、借入期間5年間、借入金利は変動金利(基準金利+スプレッド)、担保は無担保・無保証としている。
通期業績予想(2026年7月期)
ベストワンドットコムは、日本発着外国船の一部キャビン買い取りやチャータークルーズの実施を予定しているものの、これらの販売状況により業績が変動するため正確な予想が困難であるとして、2026年7月期(2025年8月~2026年7月)の連結業績予想を幅を持たせて開示した。売上高は2,550,000千円~3,050,000千円(対前期比100.2%~119.9%)、営業利益は275,000千円~325,000千円(同942.0%~1113.3%)、経常利益は250,000千円~300,000千円(同896.6%~1076.0%)、当期純利益は160,000千円~200,000千円(同1680.8%~2101.1%)としている。資料は、一部キャビンを買い取ったクルーズの販売やチャータークルーズの集客が計画通りに進んだ場合は上限の数値を、集客が計画通りに進まない場合や外部環境の悪化があった場合は下限の数値になる可能性があるとしている。なお、粗利益(売上総利益)の予想は非開示としている。
| 項目 | 2026年7月期(予想) | 2025年7月期(実績) | 対前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,550,000千円~3,050,000千円 | 2,543,844千円 | 100.2%~119.9% |
| 営業利益 | 275,000千円~325,000千円 | 29,192千円 | 942.0%~1113.3% |
| 経常利益 | 250,000千円~300,000千円 | 27,881千円 | 896.6%~1076.0% |
| 当期純利益 | 160,000千円~200,000千円 | 9,518千円 | 1680.8%~2101.1% |

株主還元
ベストワンドットコムは2025年7月期、当社創立20周年の節目にあたるため、普通配当15円に記念配当3円を加えた合計18円の期末配当を行うこととしている(第2四半期末配当は0円)。2026年7月期については、通期業績の見通しを踏まえ、昨期より更に2円増配した20円の期末配当を予定している。株主優待については、2025年7月期より旅行割引クーポン券の内容を拡充し、保有株式数100株以上500株未満で10,000円分(2024年7月期までは5,000円分)、500株以上1,000株未満で20,000円分(同10,000円分)、1,000株以上で30,000円分(同15,000円分)の株主優待割引券を付与することとした。あわせて、従来のQUOカード一律10,000円分の付与から、QUOカードPay・PayPayマネーライト・Amazonギフトカードなどから選択できる株式会社デジタルプラスの「デジタルギフト」10,000円分に優待品目を変更した。資料参考値として、株主優待利回りは4.2%(2025年7月31日終値2,405円、100株保有の場合で試算)としている。
| 期 | 第2四半期末配当 | 期末配当 | 年間配当合計 |
|---|---|---|---|
| 2023年7月期 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 2024年7月期 | 0円 | 15円 | 15円 |
| 2025年7月期 | 0円 | 18円(普通15円+記念3円、創立20周年記念) | 18円 |
| 2026年7月期(予想) | 0円 | 20円 | 20円 |

総取扱高・売上総利益の推移
資料は2017年7月期から2025年7月期までの総取扱高・売上総利益(粗利益、全社)の推移を示している。2025年7月期について資料は「一時的な踊り場」としつつ、世界的なクルーズ需要の増加や今後の日本人クルーズ人口の増加が見込まれるとして、業績を伸ばすことが可能であるとしている。2026年7月期の粗利益予想は非開示としている。

クルーズ市場・今後の成長戦略
資料によれば、2024年の世界のクルーズ人口は2023年比9.3%増、2019年比6.8%増となった。日本人のクルーズ人口は2024年に22.4万人で、過去最高だった2019年の35.7万人に対し2019年比62.8%の水準にとどまっている。2025年7月17日、国土交通省は2030年までに日本人クルーズ人口100万人という目標値を公表した。当社は今後の成長戦略として、クルーズ事業の拡大に加え、国内旅行関連の予約サイト5サイトの立ち上げや、M&Aによる新規事業の創出に取り組むとしている。
※本記事はベストワンドットコムが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。