※本記事は冨士ダイスが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
冨士ダイスは2026年3月期の連結業績を発表した。売上高は17,446百万円(前期比5.1%増)、営業利益は822百万円(同68.5%増)となり、経常利益・当期純利益を含む各段階利益はいずれも前期比で増加し、業績予想も上回った。一方、2027年3月期は「中期経営計画2026」最終年度の計画値を経営環境の変化を踏まえて修正し、売上高26,000百万円(前期比49.0%増)を見込む一方、原材料費高騰の影響などにより営業利益は700百万円(同14.9%減)の減益を予想している。
連結業績(2026年3月期 実績)
売上高は超硬素材の販売等が好調に推移した結果、業績予想(17,670百万円)にわずかに未達となったものの、前期比では16,595百万円から17,446百万円(5.1%増)に伸びた。営業利益は売上高の増加、効率化の施策による外注加工費の削減、電力燃料費の減少により488百万円から822百万円(68.5%増)となり、業績予想(600百万円)を37.1%上回った。経常利益は603百万円から883百万円(46.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は426百万円から573百万円(34.6%増)となった。1株当たり当期純利益は21.42円から29.03円となり、自己資本比率は81.0%から79.6%となった。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2025年3月期実績 | 前期比増減率 | 2026年3月期業績予想 | 予想進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 17,446百万円 | 16,595百万円 | 5.1%増 | 17,670百万円 | 98.7% |
| 営業利益 | 822百万円 | 488百万円 | 68.5%増 | 600百万円 | 137.1% |
| 経常利益 | 883百万円 | 603百万円 | 46.5%増 | 700百万円 | 126.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 573百万円 | 426百万円 | 34.6%増 | 460百万円 | 124.6% |
| 1株当たり当期純利益 | 29.03円 | 21.42円 | 35.5%増 | 23.12円 | - |
| 自己資本比率 | 79.6% | 81.0% | - | - | - |

営業利益増減要因
営業利益は前期の488百万円から822百万円へと334百万円増加した。資料が示す前期比の増減要因(百万円未満切り捨て)は、売上高の増加により+851百万円、原材料費の高騰により△455百万円、外注加工費の削減により+36百万円、その他変動費で+183百万円、人的資本の拡充による人件費で△172百万円、設備関係費で△88百万円、その他固定費で△20百万円となっている。また、業績予想(営業利益600百万円)との比較では、原材料費の高騰の影響があった一方、生産効率改善効果や計画人員を下回って推移したこと、旅費交通費などの減少により、営業利益は予想を222百万円上回った。
財政状態・キャッシュ・フロー
資産合計は25,603百万円から25,684百万円(80百万円増)となった。流動資産は14,909百万円から15,070百万円(161百万円増)となり、有価証券が1,000百万円減少した一方、原材料及び貯蔵品が546百万円、売掛金が344百万円、仕掛品が158百万円それぞれ増加した。固定資産は10,694百万円から10,613百万円(80百万円減)となり、機械装置及び運搬具(純額)が94百万円、投資有価証券が72百万円、建設仮勘定が64百万円増加した一方、建物及び構築物(純額)が302百万円減少した。負債合計は4,855百万円から5,239百万円(383百万円増)、純資産合計は20,748百万円から20,445百万円(302百万円減)となった。自己資本比率は81.0%から79.6%に低下した。キャッシュ・フローでは、営業活動によるキャッシュ・フローが1,800百万円から1,159百万円(640百万円減)、投資活動によるキャッシュ・フローが△849百万円から△723百万円(125百万円改善)となり、フリー・キャッシュ・フローは951百万円から436百万円(514百万円減)となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払794百万円や自己株式の取得310百万円などにより△659百万円から△1,126百万円(466百万円減)となった。

産業分類別状況(単体ベース、2026年3月期実績)
単体ベースの主要産業分類別売上高(2026年3月期実績)は、輸送用機械が28.2億円(目標29.2億円、達成率97%)、鉄鋼が23.6億円(目標27.4億円、達成率86%)、非鉄金属・金属製品が21.0億円(目標21.6億円、達成率97%)、生産・業務用機械が19.3億円(目標21.2億円、達成率91%)となり、いずれも目標未達だった。一方、電機・電子部品は17.0億円(目標15.4億円、達成率110%)、金型・工具向け素材は33.8億円(目標27.9億円、達成率121%)と目標を上回った。資料は、鉄鋼について海外向け熱間圧延ロールが前期の反動減で低調に推移したこと、生産・業務用機械について半導体製造装置向けが顧客の在庫過多状態で大幅減となったことなどを要因として挙げている。なお、2027年3月期の単体ベース産業分類別売上目標は、タングステン価格の変動や価格転嫁の影響など不確定要素が大きいため非公表としている。
| 産業分類 | 2026年3月期実績(単体ベース) | 2026年3月期目標 | 達成率 |
|---|---|---|---|
| 輸送用機械 | 28.2億円 | 29.2億円 | 97% |
| 鉄鋼 | 23.6億円 | 27.4億円 | 86% |
| 非鉄金属・金属製品 | 21.0億円 | 21.6億円 | 97% |
| 生産・業務用機械 | 19.3億円 | 21.2億円 | 91% |
| 電機・電子部品 | 17.0億円 | 15.4億円 | 110% |
| 金型・工具向け素材 | 33.8億円 | 27.9億円 | 121% |

通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期の連結業績予想は、売上高26,000百万円(前期比49.0%増)、営業利益700百万円(同14.9%減)、経常利益780百万円(同11.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益520百万円(同9.3%減)としている。資料は、売上高について原材料費高騰の価格転嫁のための価格改定により前期比で増加を見込む一方、営業利益については原材料費高騰の影響および価格改定による販売数量の減少を見込み、前期比で減少すると予想している。「中期経営計画2026」の最終年度である2027年3月期の計画値は、経営環境の変化を踏まえて修正したとしている。2027年3月期第2四半期(累計)の業績予想は、売上高12,000百万円、営業利益390百万円、経常利益420百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益280百万円としている。
| 項目 | 2027年3月期業績予想 | 2026年3月期実績 | 前期比増減額 | 前期比増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 26,000百万円 | 17,446百万円 | 8,553百万円 | 49.0%増 |
| 営業利益 | 700百万円 | 822百万円 | △122百万円 | 14.9%減 |
| 経常利益 | 780百万円 | 883百万円 | △103百万円 | 11.7%減 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 520百万円 | 573百万円 | △53百万円 | 9.3%減 |
| 1株当たり当期純利益 | 26.56円 | 29.03円 | △2.47円 | - |
| 1株当たり配当額 | 40.0円 | 40.0円 | 0円 | - |
| DOE | 4.0% | 3.8% | 0% | - |

株主還元
2026年3月期の配当は前期と同額の1株当たり40円を予定している(第70回定時株主総会の承認を前提)。2027年3月期の配当についても、前期と同額の1株当たり40円を計画している。2027年3月期までの中期経営計画期間中は、配当の基準を従来の配当性向から株主資本配当率(DOE)に変更し、目標値を4%目途としている。株主還元施策として自己株式の取得も実施した(2025年8月12日公表、取得期間8月18日~12月4日)。
「中期経営計画2026」進捗と重点施策
中期経営計画2026(2025年3月期~2027年3月期)では、①経営基盤の強化、②生産性向上・業務効率化、③海外事業の飛躍、④脱炭素・循環型社会への貢献、⑤新規事業の確立を重要施策としている。2026年3月期は、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行やグループ企業理念の見直し、ワークフローシステムの導入などを進めたほか、2026年6月24日より代表取締役2名体制(会長:春田善和氏、社長:津田雅宣氏)へ移行するとしている。生産性向上では、全案件の自動化投資(1億6000万円)を予定どおり完了した。海外事業では、2026年3月期の海外売上比率が22.7%となり、前期の19.5%から3.2ポイント上昇した。2027年3月期は海外売上比率25%以上を目標としている。脱炭素・循環型社会への貢献では、タングステンとコバルトの使用量を9割削減した新合金「サステロイ STN30」を2025年10月より本格販売したほか、光通信用「光コネクタ」用金型の販売、次世代光通信向け「光ファイバアレイ」用金型の開発などを進めている。新規事業では、超硬耐摩耗工具・金型のリサイクル事業を開始した。
資本コストや株価を意識した経営
資料は、株主資本コストを4.5~5.0%程度と認識しているとした上で、ROEは売上高増や効率化施策による利益増により前期比で改善したものの、原材料高騰等による損益構造の悪化等により依然として資本コストを下回っているとしている。一方、積極的なIR活動や自己株式の取得を含む株主還元の強化等により株価水準が向上し、PBRは1倍以上を達成したとしている。
| 指標 | 目標(2027年3月期) | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| ROE | 7.0%以上 | 3.5% | 2.1% | 2.8% |
| PBR | 1倍以上 | 約0.66倍 | 約0.72倍 | 約1.11倍 |
| DOE | 4%目途 | 2.1%(記念増配を含めると3.1%) | 3.8% | 3.8% |
| 株価(期末日終値) | - | 687円 | 754円 | 1,156円 |
トピックス
冨士ダイスは、ダイジェット工業株式会社と、タングステンとコバルトの使用量を削減した合金(サステロイSTN30、サーメタル)に関して、両社の販売ネットワークを活用した販路拡大に向けた業務提携の検討を開始したと発表した。資料は、国内の超硬耐摩耗工具業界において同社が長期に亘りトップシェアを堅持しているとし、業界シェアは30%以上としている。付録(APPENDIX)では、日本機械工具工業会調べの2025年度出荷額データをもとに、耐摩耗工具市場(369億円)における同社のシェアを35.0%、同社の超硬工具売上を129億円(2024年度:117億円)としている。
※本記事は冨士ダイスが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。