※本記事は住友ファーマが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
住友ファーマは2026年5月13日、2025年度(2026年3月期)の決算説明会資料を公表した。コアベースの売上収益は4,533億円(前期比13.7%増)、コア営業利益は1,059億円(同145.4%増)、営業利益は1,073億円(同272.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,069億円(同352.2%増)となった。資料は、売上収益の増加要因としてオルゴビクス、ジェムテサの伸長、販売マイルストン等を挙げている。2026年度予想はコアベースで売上収益5,400億円、コア営業利益910億円、営業利益900億円、当期利益770億円としている。
連結業績(2025年度 実績)
2025年度の経営成績はコアベースで、売上収益4,533億円(前期比13.7%増)、売上総利益2,569億円(同4.6%増)、コア営業利益1,059億円(同145.4%増)。売上収益の増減545億円のうち為替影響は△53億円。販売費及び一般管理費(1,593億円、同5.0%減)ならびに研究開発費(439億円、同9.4%減)は、事業構造改善効果の発現やアジア事業の一部譲渡、および再生・細胞医薬事業の再編等により減少した。「その他(コア内)」は523億円で、主な内訳として当期はアジア事業の一部譲渡(490億円)、前期は再生・細胞医薬事業の譲渡が挙げられている。調整項目は前期の△143億円(主な内訳は日本および北米の事業構造改善費用)から当期は14億円となり、営業利益は1,073億円(同272.6%増)。税引前当期利益は1,003億円(同469.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,069億円(同352.2%増)となった。なお資料には2025年度の「3/2予想」も併記されており、売上収益4,490億円、コア営業利益1,070億円、営業利益1,080億円、当期利益1,020億円である。平均レートは2025年度実績が1$=150.67円・1元=20.12円(2024年度実績は1$=152.62円・1元=21.11円)。
| 項目(コアベース、億円) | 2025年度実績 | 2024年度実績 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 4,533 | 3,988 | 13.7% |
| 売上原価 | 1,964 | 1,532 | 28.2% |
| 売上総利益 | 2,569 | 2,456 | 4.6% |
| 販売費及び一般管理費 | 1,593 | 1,677 | △5.0% |
| 研究開発費 | 439 | 485 | △9.4% |
| その他(コア内) | 523 | 137 | - |
| コア営業利益 | 1,059 | 432 | 145.4% |
| 調整項目(△:損) | 14 | △143 | - |
| 営業利益 | 1,073 | 288 | 272.6% |
| 金融収益・費用 | △70 | △112 | - |
| 税引前当期利益 | 1,003 | 176 | 469.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,069 | 236 | 352.2% |
セグメント別の状況
セグメント別経営成績(コアベース)では、日本セグメントは売上収益924億円(前期998億円)、コアセグメント利益124億円(同114億円)。資料は「減収による売上総利益の減少はあるものの、販売費及び一般管理費の減少により、コアセグメント利益は増益」と説明している。北米セグメントは売上収益3,379億円(同2,518億円)、コアセグメント利益757億円(同426億円)で、「増収による売上総利益の増加の影響が大きく、コアセグメント利益は大幅に増益」とされる。アジアセグメントは売上収益230億円(同472億円)、コアセグメント利益95億円(同239億円)で、事業の一部譲渡によりコアセグメント利益は減益となった。コアセグメント利益の合計975億円(同779億円)から研究開発費439億円(同485億円)を差し引いたコア営業利益は1,059億円(同432億円)。なお2026年度より、従来の売上計上法人別の地域セグメント(日本/北米/アジア)から医薬品事業の単一セグメントに変更し、地域別情報は市場別で開示するとしており、資料は「セグメント変更に伴う連結業績への影響はありません」と記載している。
| セグメント(コアベース、億円) | 指標 | 2025年度実績 | 2024年度実績 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 売上収益 | 924 | 998 |
| 日本 | コアセグメント利益 | 124 | 114 |
| 北米 | 売上収益 | 3,379 | 2,518 |
| 北米 | コアセグメント利益 | 757 | 426 |
| アジア | 売上収益 | 230 | 472 |
| アジア | コアセグメント利益 | 95 | 239 |
| 合計 | 売上収益 | 4,533 | 3,988 |
| 合計 | コアセグメント利益 | 975 | 779 |
| 全社 | 研究開発費 | 439 | 485 |
| 全社 | コア営業利益 | 1,059 | 432 |

主要製品の売上収益
北米の主要製品売上収益は合計3,379億円(前期2,518億円、34.2%増、うち為替影響△45億円)。オルゴビクスは1,550億円(同831億円、86.6%増、米ドルベースでは$1,029M)、ジェムテサは960億円(同658億円、46.0%増、同$637M)と、資料は「オルゴビクスとジェムテサは前期比で大きく伸長」としている。アプティオムは独占販売期間終了により149億円(同394億円、62.1%減)と減収。輸出、一時金収入等は433億円(同318億円)で、主な一時金収入等としてファイザー社との提携に関する繰延収益$88Mおよびオルゴビクスの販売マイルストン(売上5億ドル達成)$100Mが記載されている。日本の主要製品売上収益は合計924億円(同998億円、7.5%減)。ツイミーグが106億円(同76億円、39.0%増)と引き続き伸長した一方、エクア・エクメットは独占販売期間終了により87億円(同249億円、64.9%減)となった。ゼプリオン・ゼプリオンTRIは自社流通開始により32億円を計上している(各品目別の売上収益は仕切価ベース)。
| 北米 主要製品(億円) | 2025年度実績 | 2024年度実績 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| オルゴビクス | 1,550 | 831 | 86.6% |
| ジェムテサ | 960 | 658 | 46.0% |
| マイフェンブリー | 144 | 128 | 12.6% |
| アプティオム | 149 | 394 | △62.1% |
| リサイミック | 63 | 68 | △7.1% |
| その他 | 80 | 122 | △34.3% |
| 輸出、一時金収入等 | 433 | 318 | 36.1% |
| 合計 | 3,379 | 2,518 | 34.2% |
2026年度 業績予想
2026年度の業績予想はコアベースで、売上収益5,400億円(前期比19.1%増、うち為替影響122億円)、売上総利益2,950億円(同14.8%増)、コア営業利益910億円(同14.1%減)、営業利益900億円(同16.2%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益770億円(同27.9%減)。売上収益は米国が+846億円で、オルゴビクス、ジェムテサが引き続き伸長し、オルゴビクスの販売マイルストン(売上10億ドル達成)収入を織り込む。売上原価は関税や物価高騰のリスクを一定程度織り込んだ。研究開発費は510億円(同16.0%増)で、オンコロジー品目の開発加速、CNS品目も推進するとしている。「その他(コア内)」は前期にアジア事業の一部譲渡益があったため20億円(同96.2%減)。ROEは46.3%から20.3%へ、ROICは22.8%から15.1%への変化を見込む。前提為替レートは1$=155.00円。なお資料は、2026年度予想は2026年度実施の公募増資や有利子負債の返済を織り込んで算定していると注記している。地域別の売上総利益(コアベース)予想は、日本が売上収益876億円・売上総利益355億円、米国が4,064億円・2,537億円、その他が460億円・58億円。日本はゼプリオン・ゼプリオンTRIにより増収を計画するが製品構成により売上総利益は減益、米国は増収により増益、その他はアジア事業の一部譲渡により減益としている。
| 項目(コアベース、億円) | 2026年度予想 | 2025年度実績 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 5,400 | 4,533 | 19.1% |
| 売上原価 | 2,450 | 1,964 | 24.7% |
| 売上総利益 | 2,950 | 2,569 | 14.8% |
| 販売費及び一般管理費 | 1,550 | 1,593 | △2.7% |
| 研究開発費 | 510 | 439 | 16.0% |
| その他(コア内) | 20 | 523 | △96.2% |
| コア営業利益 | 910 | 1,059 | △14.1% |
| 調整項目(△:損) | △10 | 14 | - |
| 営業利益 | 900 | 1,073 | △16.2% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 770 | 1,069 | △27.9% |
| ROE | 20.3% | 46.3% | - |
| ROIC | 15.1% | 22.8% | - |

株主還元・財務基盤
株主還元について資料は、2026年度予想は「未定」とし、今後の業績動向を踏まえて決定するとしている。主な判断要素にはキャッシュフロー、自己資本比率等の財務状況を挙げる。2026年度の研究開発投資は510億円(主な内容はがん2品目の最速上市・価値拡大、次世代の収益基盤育成(CNS・感染症))、設備投資/投融資は120億円(既存事業の強化、RACTHERA社・S-RACMO社への投融資)を計画する。財務基盤については、財務再編(増資と借換え)以降の歩みとして「公募増資を実施」「リファイナンスにより債務保証を解除」「劣後債リプレイスに目途」「過去最高益を達成」と記載し、健全な財務基盤により財務規律を重視しつつ中長期の成長投資へ配分する方針を示している。財政状態は、資産8,046億円(前期末7,426億円)、負債5,121億円(同5,731億円)、資本2,925億円(同1,695億円)で、社債及び借入金は2,172億円(同3,054億円)へ882億円減少。親会社所有者帰属持分比率は22.8%から36.4%となった。キャッシュ・フローは営業CF717億円(前期165億円)、投資CF225億円(同998億円)、財務CF△913億円(同△1,088億円)、現金及び現金同等物の期末残高は443億円(同231億円)。

中期経営計画・研究開発トピック
資料は、「価値創造サイクルの再構築」を掲げたReboot 2027から、価値「創造」から価値「提供」へと位置づける「Boost 2028」へ移行するとし、抜本的構造改革によりV字回復を達成、オルゴビクス・ジェムテサの更なる売上成長と次世代成長エンジンの育成により「力強い住友ファーマ」へ向けてBoost(加速)させるフェーズへ入ると説明している。Boost 2028の柱として、①オルゴビクス・ジェムテサの更なる売上成長、②がん2品目の最速上市、③次世代成長エンジンの育成、④財務基盤の強化の4点を挙げる。研究開発では、パーキンソン病を対象とする他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞CT1-DAP001/DSP-1083(日本)が2026年3月に製造販売承認(条件及び期限付承認)を取得し(製品名:アムシェプリ)、製造販売後臨床試験の準備中。同品目の米国でのフェーズ1/2試験、網膜色素上皮裂孔を対象とするHLCR011(日本)のフェーズ1/2試験、網膜色素変性を対象とするDSP-3077(米国)のフェーズ1/2試験が進行しており、DSP-3077は2026年3月にFDAからオーファンドラッグ指定を受領した。がん領域では急性白血病を対象とする選択的メニン阻害のenzomenibがフェーズ2、骨髄線維症を対象とするPIM1キナーゼ阻害のnuvisertibがフェーズ1/2、固形がんを対象とするCHK1阻害のSMP-3124がフェーズ1/2、膠芽腫を対象とするDSP-0390がフェーズ1。その他領域では、複雑性尿路・腹腔内感染症等を対象とするKSP-1007、ユニバーサルインフルエンザワクチン候補のfH1/DSP-0546LPがいずれもフェーズ1にある(開発段階は2026年5月13日現在)。

※本記事は住友ファーマが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。