※本記事はChordia Therapeuticsが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
Chordia Therapeutics(証券コード:190A)は2025年10月14日、2025年8月期の決算説明資料を公表した。2025年8月期は事業収益の計上がなく、営業損失は1,789百万円(前期は営業損失1,801百万円)、当期純損失は1,785百万円(同1,827百万円)となった。R&D費用は1,425百万円と前期の1,499百万円から74百万円減少し、主力パイプライン「rogocekib」の臨床試験費用が増加した一方、その他のパイプラインのコストを抑制した。2026年8月期は営業損失2,008百万円、当期純損失1,960百万円を計画している。
業績(2025年8月期 実績)
資料によると、2025年8月期は事業収益の計上がなく、営業損失および当期純損失を計上した。R&D費用は主力パイプライン「rogocekib」の臨床試験費用が増加した一方、それ以外のパイプラインのコストは抑制に努めたが、特許関連のコスト増の影響もあり前年同期比では総額として増加したと説明している。その他一般管理費は特許関連のコスト増加の影響により364百万円と、前期の301百万円から63百万円増加した。以下の表の単位は百万円。
| 項目 | 2025年8月期 通期実績 | 2024年8月期 通期実績 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 事業収益 | - | - | - |
| 直接費 | - | - | - |
| R&D費用 | 1,425 | 1,499 | △74 |
| その他一般管理費 | 364 | 301 | +63 |
| 営業損失 | △1,789 | △1,801 | ― |
| 営業外収益/特別利益 | 23 | 17 | +6 |
| 営業外費用/特別損失 | 17 | 41 | △24 |
| 税引前当期純損失 | △1,783 | △1,824 | ― |
| 法人税等 | 2 | 2 | 0 |
| 当期純損失 | △1,785 | △1,827 | +42 |

パイプライン別のR&D費用
R&D費用の内訳は、rogocekib(CTX-712)が1,070百万円と前期の1,018百万円から52百万円増加した。CTX-177は新たな導出先に向けて積極的に検討・交渉中のためコストが抑えられており、CTX-439は開発パートナーの探索中であることからR&D費用が減少した。単位は百万円。
| パイプライン | 2025年8月期 通期実績 | 2024年8月期 通期実績 | 増減 |
|---|---|---|---|
| rogocekib(CTX-712) | 1,070 | 1,018 | +52 |
| CTX-177 | 0 | 0 | 0 |
| CTX-439 | 27 | 132 | △105 |
| その他(含む人件費) | 331 | 347 | △16 |
| R&D費用 合計 | 1,425 | 1,499 | △74 |
財政状態
2025年8月期末の資産合計は2,681百万円(前期末4,632百万円、△1,951百万円)で、うち現金及び預金は2,548百万円(同4,329百万円、△1,781百万円)。負債合計は244百万円(同471百万円、△227百万円)で固定負債はなく、純資産合計は2,437百万円(同4,161百万円、△1,724百万円)となった。資料は「研究開発への先行的な資金投入により、当期末の現金及び預金残高が減少し、純資産も減少する結果となった。当面の事業活動を継続するために必要な資金は十分に有しており、2025年9月に発行した新株予約権により将来的な資金調達手段も確保している」としている。流動負債の減少は、リードパイプラインrogocekib治験薬の製造費に係る未払金が減少した影響と説明されている。
パイプラインの進捗状況
同社は武田薬品工業からスピンアウトした低分子抗がん薬創薬企業で、2017年10月創業、2024年6月に東証グロース市場へ上場した。2025年8月末現在の社員数は23名(内、PhD12名)、筆頭株主は武田薬品工業(約15%)。資料では5つのパイプラインのうち2つが臨床ステージにあるとし、市場ポテンシャルを有するrogocekibに経営リソースを集中して日本・米国での迅速承認を目指すこと、その他のパイプライン(CTX-177/CTX-439/GCN2)はライセンス導出を通じて収益化の機会を検討することを示している。
| 標的 | 開発コード | 主な適用がん種 | 開発ステージ | 現時点での想定オプション |
|---|---|---|---|---|
| CLK阻害薬 | CTX-712(一般名称:rogocekib) | 急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、卵巣がん、その他固形がん | 日本第1相試験終了、米国第1/2相試験中 | 迅速承認(第2相後)/日本:自社・製造販売、米国:ライセンス導出 |
| MALT1阻害薬 | CTX-177 | リンパ系腫瘍 | 米国第1相試験中 | 権利返還後ライセンス再導出 |
| CDK12阻害薬 | CTX-439 | 固形がん | 前臨床試験終了済み | ライセンス導出 |
| GCN2阻害薬 | 開発コードなし | 固形がん、血液がん | 前臨床試験 | ライセンス導出 |
| 非公開 | 開発コードなし | 固形がん、血液がん | 前臨床試験 | 未定 |

rogocekibについては、2024年下期にCTX-712の医薬品一般名称がrogocekibに決定(WHOによる国際一般名称の決定)、2025年1月に米国食品医薬品局(FDA)から再発難治性AMLを対象とするオーファンドラッグ指定(希少疾病用医薬品指定)を受理した。2025年8月末時点で日米96名の症例登録済で、資料は臨床試験の症例組入れが着実に進行中としている。FDAが提唱する「Project Optimus」の理念に基づき、より精度の高い用量設定に向けて開発スケジュールを見直しており、拡大パートはN=60〜70を想定する。想定マイルストンとして、2026年中期に米国臨床試験の第1相中間成績公表、2027年中期に日本/米国臨床試験の第2相試験開始、2028年後期に日本での販売承認申請を挙げている(いずれも臨床試験が想定どおりに進行することを前提とした仮定の記載)。日本第1相試験の成績としては、AMLで14症例中CR4例・CRi1例(CRc率36%、CR率29%)、卵巣がんで14症例中PR4例(奏効率29%、CR率0%)と記載されている。また同社はAMLの2次治療以降を初期適応として想定し、対象市場規模を2,000億円超と見込むとしている(当社推計であり、実際の市場規模とは大きく異なる可能性があると注記)。

その他のパイプラインでは、CDK12阻害薬CTX-439は臨床試験開始に必要な前臨床データを取り終えた状況で、社内で開発戦略立案に向けたバイオマーカー研究などを実施しつつ、臨床試験開始に向けて戦略的なパートナーを探索中。GCN2阻害薬CRD-099は化合物の最適化研究を終え前臨床試験の実施前の状況で、前臨床試験の開始に向けて戦略的なパートナーを探索中としている。
通期業績予想(2026年8月期 計画)
2026年8月期は、rogocekib(CTX-712)の臨床試験を最優先事項として推進する計画で、2026年の早いタイミングで拡大コホートにて症例数を大幅に増やすことを計画している。他のパイプラインは引き続きコストを抑制しながら、他社との事業提携を含めて戦略的に検討するとしている。研究計画としては、rogocekibで日本での第1相臨床試験の完了と米国での第1/2相臨床試験の拡大コホート実施、CTX-177で再導出に向けた推進、CTX-439でAMEDからの助成金を受けた活動のみの外部委託研究費利用を想定する。単位は百万円。
| 項目 | 2026年8月期 通期計画 | 2025年8月期 通期実績 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 事業収益 | - | - | - |
| R&D費用 | 1,590 | 1,425 | +165 |
| CTX-712 | 1,131 | 1,070 | +61 |
| CTX-177 | 17 | 0 | +17 |
| CTX-439 | 22 | 27 | △5 |
| その他(含む人件費) | 420 | 331 | +89 |
| その他一般管理費 | 418 | 364 | +54 |
| 営業損失 | △2,008 | △1,789 | △219 |
| 営業外収益/特別利益 | 50 | 23 | +27 |
| 営業外支出/特別損失 | 0 | 17 | △17 |
| 税引前当期純損失 | △1,958 | △1,783 | △175 |
| 法人税等 | 2 | 2 | - |
| 当期純損失 | △1,960 | △1,785 | △175 |

株主還元
本決算説明資料には、配当や自己株式取得など株主還元に関する記載はない。資金面については、2025年9月に発行した新株予約権により将来的な資金調達手段を確保しているとの記載がある。
事業の振り返りと今後の見通し
2025年8月期のトピックとして、rogocekibの希少疾病用医薬品指定(2025年1月)と日米96名の症例登録、CTX-177の全世界における全権利の再取得(2025年4月)および米国臨床腫瘍学会での小野薬品工業による第1相臨床試験概要の発表、CTX-439とGCN2に関する米国がん学会での発表(2025年4月)が挙げられている。コーポレート活動では、2025年7月8日にデ・ウエスタン・セラピテクス、2025年8月1日に千寿製薬と、それぞれ眼科疾患領域における共同研究の開始を発表した。知的財産では、武田薬品工業からライセンスを受けた物質特許に加え、臨床入りしているプログラムで用途特許や製法特許の取得を推進しており、rogocekib(CTX-712)の物質特許は登録済国数51カ国などとなっている。
2026年8月期に向けての優先事業目標としては、(1) rogocekib(CTX-712)の承認への臨床試験の進捗(米国での第1/2相臨床試験における拡大コホートの開始、大手国際学会での第1相パートの中間報告)、(2) 新規事業提携に関する積極的な取り組み(CTX-177の再導出を重点課題とし、CTX-439、GCN2を含む複数パイプラインについても国内外企業との事業提携の可能性を継続検討)、(3) 株主に対しての情報開示の適切な実行、の3点を掲げている。2030 Visionとして「日本発の研究開発型の製薬会社になる」を示している。
※本記事はChordia Therapeuticsが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。