※本記事はデンカが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
デンカの2025年度(2026年3月期)通期連結業績は、売上高が3,842億円で前期比160億円減となったものの、営業利益は262億円(前期比+118億円、営業利益率6.8%)、経常利益は193億円(同+117億円)、純利益は157億円(同+280億円、ROE5.2%)といずれも大幅増益となった。営業利益は半導体(AI関連)・電力インフラ向け需要拡大に加え、米国クロロプレンゴム製造子会社DPEの製造設備暫定停止による効果+88億円が寄与しV字回復した。純利益はDPE関連の事業整理損失等△211億円を、政策保有株式売却益+126億円と大船工場用地売却益+82億円で補填し、大幅増となった。
連結業績(2026年3月期 実績)
売上高は3,842億円で、2026年2月公表の予想3,900億円に対し58億円下振れた一方、営業利益は262億円で2月予想250億円を12億円上回った。純利益は157億円で、前期の△123億円(純損失)から黒字転換した。特別損益は、政策保有株式売却益+126億円(前期+4億円)、大船工場用地売却益+82億円(前期計上なし)、DPE関連等の事業整理損失等△211億円(前期△251億円)を計上した。為替レートは150.4円/ドル(前期152.8円/ドル)、国産ナフサ価格は65,800円/klと前期75,700円/klから下落した。
| 項目(億円) | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 増減 | 2026年3月期 2月予想 | 予想比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,842 | 4,003 | △160 | 3,900 | △58 |
| 営業利益 | 262 | 144 | +118 | 250 | +12 |
| 営業利益率 | 6.8% | 3.6% | +3.2pt | 6.4% | +0.4pt |
| 経常利益 | 193 | 76 | +117 | 190 | +3 |
| 純利益 | 157 | △123 | +280 | 150 | +7 |

セグメント別の状況
セグメント別では、電子・先端プロダクツとエラストマー・インフラソリューションが大幅増益となった。電子・先端プロダクツは半導体(AI関連)と電力インフラ向け需要拡大により営業利益139億円(前期比+47億円)。エラストマー・インフラソリューションはDPE操業停止効果+88億円により営業利益1億円(同+80億円)と赤字を解消した。ライフイノベーションは、新型コロナウイルスの流行が前年ほどでなく検査需要が減少したことから抗原迅速診断キットの出荷が減少し、営業利益62億円(同△34億円)の減益。ポリマーソリューションは食包シート・容器の適正価格是正やToyokalonの生産集約により営業利益36億円(同+24億円)の増益となった。
| セグメント(億円) | 売上高 2026年3月期 | 売上高 2025年3月期 | 売上高 増減 | 営業利益 2026年3月期 | 営業利益 2025年3月期 | 営業利益 増減 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 電子・先端プロダクツ | 1,044 | 922 | +122 | 139 | 92 | +47 |
| ライフイノベーション | 405 | 433 | △27 | 62 | 96 | △34 |
| エラストマー・インフラソリューション | 976 | 1,117 | △141 | 1 | △80 | +80 |
| ポリマーソリューション | 1,242 | 1,354 | △112 | 36 | 12 | +24 |
| その他/消去差 | 176 | 177 | △2 | 24 | 25 | △0 |
| 合計 | 3,842 | 4,003 | △160 | 262 | 144 | +118 |

2027年3月期 通期業績予想
2026年度(2027年3月期)の連結業績予想は、売上高4,500億円(前年比+658億円)、営業利益300億円(同+38億円、営業利益率6.7%)、経常利益200億円(同+7億円)、純利益160億円(同+3億円)。経営計画「Mission2030」フェーズ2の計画値に対し、中東情勢の影響△50億円を織り込んでおり、営業利益はフェーズ2計画比△50億円、純利益は同△20億円となる。主な予想の前提として、上期中は原料調達に支障が生じ10月以降に通常回復すること、原燃料価格は年度内高止まりを想定し、為替レートは158.0円/ドル(前期150.2円/ドル)、国産ナフサ価格は123,250円/klを見込む。為替感応度は1円/ドル円安で営業利益+3億円としている。
| 項目(億円) | 2027年3月期 予想 | 2026年3月期 実績 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,500 | 3,842 | +658 |
| 営業利益 | 300 | 262 | +38 |
| 営業利益率 | 6.7% | 6.8% | △0.2pt |
| 経常利益 | 200 | 193 | +7 |
| 純利益 | 160 | 157 | +3 |

株主還元
2026年度(2027年3月期)の1株当たり配当は、前年同額の100円/株を維持する計画。配当性向は54%、総還元性向は54%の見込み。今後の配当方針として、経営計画8年間累計で総還元性向50%を目安にしたうえで、1株当たり配当額の維持・増加を目指すとしている。2025年度(2026年3月期)実績は、1株当たり配当100円、配当性向55%、総還元性向55%、ROE5.2%であった。
| 項目 | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 予想 |
|---|---|---|
| 1株当たり配当 | 100円 | 100円 |
| 配当性向 | 55% | 54% |
| 総還元性向 | 55% | 54% |
| ROE | 5.2% | 5.1% |

中期経営計画/トピック
経営計画「Mission2030」フェーズ2期間(2026年度~2028年度)において、DPEについては早期のクローズまでの計画策定を進めるとしている。DPEの暫定停止による営業利益への抜本的対策効果は2025年度+88億円、2026年度+150億円(いずれも2024年度比)を計画通り見込む一方、2026年度も原材料・中間品の評価減や抜取作業に伴う労務費など一定の特別損失を見込み、繰延税金資産の計上などで補填を検討するとしている。DPEの従業員数は2025年3月末時点の約250名から、2025年12月末時点約140名、2026年4月末時点約80名まで減少し、休止作業の進捗に応じた人員適正化を進めている。またAI向け製品では、低誘電有機絶縁樹脂「スネクトン」の硬質系専用プラントが2026年5月中旬に竣工しCCLメーカー各社から認定を取得済みのほか、放熱封止材向け球状アルミナはGDDR7向け需要が堅調に推移し、高速メモリの多層パッケージ向けの新規採用も決定した。ベストプラクティスプロジェクトによるコスト削減は2025年度に37億円を実現し、2026年度予想には68億円を織り込んでいる。
※本記事はデンカが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。