※本記事はかんぽ生命保険が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
かんぽ生命保険の2026年3月期(26.3期)は、修正利益が1,715億円と前期(1,457億円)から大幅に増加し、前中期経営計画の目標970億円を大きく上回る過去最高益となった。連結当期純利益も1,687億円(前期1,234億円)に拡大した。一方で、非公開金融情報の不適切な利用の判明等を受けて新契約件数は42万件(前期79万件)に減少しており、保有契約件数の底打ち・反転が引き続き課題となっている。同社は2026年5月29日、新たな中期経営計画(2026年度~2028年度)を公表し、2029年3月期の修正利益1,900億円程度を目指す方針を示した。
連結業績(26.3期 実績)
修正利益は連結当期純利益に初年度標準責任準備金負担額(税引後)とのれん償却額を加算して算出する同社独自の株主還元原資指標で、26.3期は資産運用の多様化等により順ざや(運用関係損益)が過去最高の2,555億円となったことなどを背景に、前期比258億円増の1,715億円となった。修正ROEは10.1%(前期8.8%)と資本コストを上回る水準に到達した。また、経済価値ベースの健全性指標であるESR(ソルベンシー等比率)は26.3末で181%となり、25.3末(新基準196%)から15ポイント低下したが、適正水準(150%~220%)の範囲内で推移している。大量解約リスクの影響を除いた場合のESRは220%。
| 項目 | 当期 | 前期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 修正利益 | 1,715億円 | 1,457億円 | +258億円 |
| 連結当期純利益 | 1,687億円 | 1,234億円 | +453億円 |
| 修正ROE | 10.1% | 8.8% | +1.3pt |
| 順ざや(運用関係損益) | 2,555億円 | 1,425億円 | +1,130億円 |
| ESR(経済価値ベース) | 181% | 196%(新基準) | △15pt |

契約業績・EVの状況
個人保険の保有契約件数は26.3末に1,772万件(前期1,881万件)となり、うち民営化後契約は557万件(前期602万件)に減少した。新契約件数は42万件(前期79万件)、新契約価値は615億円(前期679億円)といずれも前期を下回った。なお、26.3末から経済価値ベースのソルベンシー規制導入に伴い、EVおよび新契約価値の計測方法が変更されており、25.3期以前とは算出方法が異なる点に留意が必要。EVは新方式で42,565億円(前期39,409億円、旧方式)となった。
| セグメント | 指標 | 当期 | 前期 |
|---|---|---|---|
| 個人保険(全体) | 保有契約件数 | 1,772万件 | 1,881万件 |
| 個人保険(全体) | うち民営化後契約 | 557万件 | 602万件 |
| 個人保険(全体) | 新契約件数 | 42万件 | 79万件 |
| 個人保険(全体) | 新契約価値 | 615億円 | 679億円 |
| 連結 | EV | 42,565億円 | 39,409億円(旧方式) |

通期業績予想・新中期経営計画目標
27.3期(2027年3月期)の修正利益は1,550億円程度と、新契約獲得に伴うコスト増や保有契約減少の影響等により、26.3期実績(1,715億円)からの一時的な減益を見込む。一株当たり配当は2026年4月1日効力発生の株式分割(1株→3株)後の金額で50円を予想(26.3期実績は分割後換算で41円)。中期経営計画の最終年度である2029年3月期には、修正利益1,900億円程度、修正ROE10%程度、一株当たり配当62円以上(分割後)、総還元性向は中期平均55%程度、一株当たりEV成長率は中期平均8%以上を目指す。保有契約件数(個人保険)は2029年3月末に1,600万件以上(うち民営化後契約1,150万件以上)での底打ち・反転を目標とする。
| 項目 | 予想 | 前期(実績) |
|---|---|---|
| 修正利益(27.3期予想) | 1,550億円程度 | 1,715億円 |
| 一株当たり配当(27.3期予想・分割後換算) | 50円 | 41円(分割後換算) |
| 項目 | 目標(29.3期) | 参考:26.3期実績 |
|---|---|---|
| 修正利益 | 1,900億円程度 | 1,715億円 |
| 修正ROE | 10%程度 | 10.1% |
| 一株当たり配当(分割後) | 62円以上 | 41円(分割後換算) |
| 総還元性向(中期平均) | 55%程度 | (前中計平均)47%程度 |
| 一株当たりEV成長率(中期平均) | 8%以上 | (前中計CAGR)5.5% |
| 保有契約件数(個人保険) | 1,600万件以上 | 1,772万件 |
| うち民営化後契約 | 1,150万件以上 | 557万件 |

株主還元
26.3期は一株当たり配当を前期比20円増配の124円(分割前基準、21.3期対比48円増配)とし、450億円を上限とする自己株式取得を実施した。総還元性向は52.7%となり、前中期経営計画期間(22.3期~26.3期)の総還元性向平均は47%程度と、方針で示した中期平均40~50%の中央値を超える水準となった。株主還元方針は「原則として一株当たり配当の減配は行わず増配を目指す」ことを継続しつつ、新中期経営計画では総還元性向の目標を中期平均55%程度に引き上げ、2028年度の一株当たり配当は62円以上(分割後)を目指す。修正PBRは直近1倍に近い水準まで上昇した一方、修正PER(10.0倍)やP/EV(0.40倍)は依然割安な水準にあるとしている。

新中期経営計画のポイント
新中期経営計画(2026年度~2028年度)は「成長・挑戦フェーズ」と位置づけ、3つの重要戦略に取り組む。①「かんぽ価値提供モデル」の確立では、リモート・デジタルとの連携によるリアルチャネルの価値向上等を通じ、2028年度新契約件数120万件以上を目指す。②「運用環境の変化を捉えた資産運用と社会課題の解決」では、運用関係損益を2028年度に2,900億円まで持続的に更新することを目指す。③「みらいへの挑戦」では、提携・出資等によるインオーガニック成長で2028年度に250億円以上の利益貢献を見込むほか、AI・デジタル等を駆使した事業変革に900億円規模の成長投資を行う方針。
※本記事はかんぽ生命保険が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。