堺化学工業

堺化学工業、2026年3月期は営業利益65億円で増益 中期経営計画は最終年度目標未達の見通し

決算サマリー 2026.08.20
堺化学工業、2026年3月期は営業利益65億円で増益 中期経営計画は最終年度目標未達の見通し

※本記事は堺化学工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

堺化学工業は2026年3月期本決算説明会を開催し、中期経営計画「変革・BEYOND2030」の進捗を中心に説明した。同期の営業利益は65億円となり前期比で増益、中計2年目の計画値にもほぼ着地した。一方、純利益については計画になかった特別転進支援プログラムの費用を損失計上し、ROEは3.5%に低下した。中計最終年度となる2027年3月期は、営業利益60億円の計画で、中計策定時に掲げた90億円には届かない見通しである。

目次

業績(2026年3月期 実績)

本中計で重視する営業利益は、2024年3月期の29億円から2025年3月期に60億円、2026年3月期に65億円と着実に積み上げ、前期比で増益となった。効率化検討事業を中心とした収益化が主な要因である。一方、純利益については計画になかった特別転進支援プログラムを組んだため、その費用を特別損失として計上した。ROEは特別損失計上の影響により3.5%へ低下した。

項目2024年3月期2025年3月期2026年3月期2027年3月期(計画)
営業利益29億円60億円65億円60億円

事業別の状況(中期経営計画の進捗)

樹脂添加剤・触媒・無機材料の三つの効率化検討事業とその他事業の営業利益は、変革前の2024年3月期の19億円から2倍以上の41億円に増加した。大きな変革の一つであった顔料級酸化チタン事業終了も計画通り完遂した。成長事業のうち電子材料は、AI関連の需要拡大もあり誘電体・誘電体材料ともにおおむね順調に進捗した。一方、化粧品材料は、中国や米国市場の販売量の落ち込みや、一時的なコストダウンの流れによる有機系吸収剤材料への回帰などにより、期初計画から大きく状況が変化している。有機化学品では、有機イオウ化合物のメガネレンズ向け材料が堅調に推移する一方、医薬品原薬中間体は既存の主力受託品の受託数量が、委託元の競争環境悪化や特許切れの影響で減少している。

区分2024年3月期(変革前)2026年3月期時点
効率化検討事業(樹脂添加剤・触媒・無機材料)およびその他事業の合計営業利益19億円41億円
効率化検討事業ほかの営業利益が2024年3月期の19億円から41億円に増加したことを示す図
出典:堺化学工業株式会社 2026年3月期 本決算説明会 P.10

通期業績予想(2027年3月期)

中期経営計画「変革・BEYOND2030」の最終年度にあたる2027年3月期は、売上高は微増を計画する一方、営業利益は前期比約4.5億円減の60億円を計画しており、中計策定時に掲げた90億円には届かない見通しである。これは、計画策定時から外部環境が様変わりしているとはいえ、成長事業の利益拡大に想定以上の時間を要していることが主因である。最終年度は、もう一つの目標であるROE8%の達成に注力するとしている。

項目2027年3月期(計画)2026年3月期(実績)増減
営業利益60億円65億円約4.5億円減
ROE8%(目標)3.5%
営業利益とROEの2024年3月期から2027年3月期計画までの推移を示す図
出典:堺化学工業株式会社 2026年3月期 本決算説明会 P.7

株主還元

中期経営計画2年目となる2026年3月期までの累計株主還元は約69億円で、進捗率は86.3%となった。2年目は1株配当を130円から145円へ増配したほか、25億円の自己株式取得を実施した。3年目となる2027年3月期の配当約25億円を加味した3年間累計の株主還元総額は約94億円となる見通しで、中期経営計画の目標である80億円を大きく上回り、進捗率は117%となる見込みである。

項目金額進捗率
株主還元累計(2年間, 2026年3月期まで)約69億円86.3%
株主還元累計(3年間見通し, 2027年3月期まで)約94億円117%(中期経営計画目標80億円)
3年間累計の株主還元総額が中期経営計画目標80億円を上回る見通しを示すグラフ
出典:堺化学工業株式会社 2026年3月期 本決算説明会 P.19

キャッシュ・アロケーションの進捗

中期経営計画の2年間累計で、固定資産売却により約16億円、投資有価証券売却により約15億円のキャッシュインを確保したほか、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善により約89億円(進捗率127.1%)を創出した。営業キャッシュフローは264億円となった。売上債権回転期間・棚卸資産回転期間の短縮などにより、キャッシュ・コンバージョン・サイクルは発射台の2024年3月期から約38日短縮した。一方、設備投資は約130億円を実行しており、キャッシュイン・キャッシュアウトともに計画以上の進捗となっている。

固定資産売却・投資有価証券売却・キャッシュ・コンバージョン・サイクル改善・営業キャッシュフロー・株主還元・設備投資の実績を示す図
出典:堺化学工業株式会社 2026年3月期 本決算説明会 P.17

中期経営計画・トピック(Smart Material)

非財務面の取り組みとして、独自の粉体プロセッシング技術や有機合成技術を生かした「Smart Material」の上市を進めている。2030年までに認定製品を5製品以上創出し、認定製品合計で売上高20億円、売上利益率50%を目指す方針である。これまでに、紫外線を可視光に変換しトーンアップ効果を持つスキンケア化粧品向け無機蛍光体「Lumateシリーズ」、電子機器の接着剤向け添加剤である新たな有機イオウ化合物「Multhiolシリーズ」、メガネレンズ向けの酸化ジルコニウム分散液「SZRシリーズ」の3製品を認定製品として上市した。

※本記事は堺化学工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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