※本記事は旭化成が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
旭化成は2026年5月12日、2025年度(2026年3月期)通期決算説明資料を公表した。連結売上高は3兆745億円(前期比+372億円、+1.2%)、営業利益は2,312億円(前期比+193億円、+9.1%)で2期連続の最高益を更新した。親会社株主に帰属する当期純利益は1,588億円(前期比+238億円、+17.6%)の増益となり、いずれも前回予想(2026年2月発表)から上振れした。2026年度は営業利益2,480億円(前期比+168億円、+7.3%)を見込み、3期連続の最高益更新を目指す。
連結業績(2025年度 実績)
営業利益は前回予想の2,250億円から62億円(+2.8%)上振れした。為替・市況因等の前提変化および一過性のマイナス影響(「ヘルスケア」「マテリアル」における事業譲渡影響等、合計▲101億円)を除く実力ベースでは前期比294億円の増益で、「重点成長」事業である医薬事業において2024年10月に連結したCalliditasの業績貢献もあり大幅に利益が伸長した。
| 項目 | 当期(2025年度) | 前期(2024年度) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 30,745億円 | 30,373億円 | +372億円(+1.2%) |
| 営業利益 | 2,312億円 | 2,119億円 | +193億円(+9.1%) |
| 売上高営業利益率 | 7.5% | 7.0% | +0.5pt |
| のれん償却前営業利益 | 2,649億円 | 2,445億円 | +204億円(+8.3%) |
| EBITDA | 4,275億円 | 3,980億円 | +295億円(+7.4%) |
| 売上高EBITDA率 | 13.9% | 13.1% | +0.8pt |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,588億円 | 1,350億円 | +238億円(+17.6%) |
| EPS | 116.97円 | 97.94円 | +19.03円(+19.4%) |
| のれん償却前EPS | 141.83円 | 121.61円 | +20.22円(+16.6%) |
| 税引前当期純利益 | 開示なし | 開示なし | – |
| 1株当たり配当金 | 42円 | 38円 | +4円 |
セグメント別の状況(2025年度 実績)
セグメント別営業利益(前期比)は、ヘルスケアが+194億円(+30.3%)、住宅が+39億円(+4.0%)、マテリアルが▲116億円(▲14.5%)。ヘルスケアは医薬・ライフサイエンス事業の主力製品の販売量増加やCalliditasの新規連結効果等により増益。住宅は建築請負事業における平均単価上昇に加え、不動産開発事業や賃貸管理・流通事業も順調に推移し増益。マテリアルはエレクトロニクス事業の販売量増加があったものの、エッセンシャルケミカル事業における在庫受払差や定期修理の影響、各事業での固定費増加等により全体では減益となった。
| セグメント | 指標 | 当期(2025年度) | 前期(2024年度) |
|---|---|---|---|
| マテリアル | 売上高 | 13,062億円 | 13,688億円 |
| マテリアル | 営業利益 | 683億円 | 799億円 |
| 住宅 | 売上高 | 10,774億円 | 10,359億円 |
| 住宅 | 営業利益 | 998億円 | 959億円 |
| ヘルスケア | 売上高 | 6,641億円 | 6,159億円 |
| ヘルスケア | 営業利益 | 835億円 | 640億円 |

通期業績予想(2026年度)
2026年度は売上高3兆2,540億円(前期比+1,795億円、+5.8%)、営業利益2,480億円(前期比+168億円、+7.3%)を見込む。為替前提の変化や事業譲渡・買収に伴うマイナス影響(合計▲148億円)を除いた売上・収益性向上等の効果で前期比316億円の増益を見込み、引き続き「重点成長」事業が利益成長を牽引するとしている。親会社株主に帰属する当期純利益は1,600億円(前期比+12億円、+0.8%)の見込みで、前期にあった構造転換に伴う税金費用の軽減効果(150億円)がなくなる一方、営業利益の増益により増益を見込む。セグメント別営業利益(前期比)は、マテリアルが+127億円(+18.6%)、住宅が+15億円(+1.5%)、ヘルスケアが+65億円(+7.8%)を見込む。なお、中東情勢による影響は2026年度業績予想には反映していない。
| 項目 | 予想(2026年度) | 前期(2025年度実績) |
|---|---|---|
| 売上高 | 32,540億円 | 30,745億円 |
| 営業利益 | 2,480億円 | 2,312億円 |
| 売上高営業利益率 | 7.6% | 7.5% |
| のれん償却前営業利益 | 2,860億円 | 2,649億円 |
| EBITDA | 4,660億円 | 4,275億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,600億円 | 1,588億円 |
| EPS | 119.65円 | 116.97円 |
| 1株当たり配当金 | 44円 | 42円 |

株主還元
株主還元方針は、①中期的なFCFの見通しから還元水準を判断する、②DOE3%を目安とした中長期的な累進配当を目指す、③自己株式取得は資本構成適正化に加え投資案件・キャッシュフロー・株価の状況等を総合的に勘案して検討・実施する、の3点。2025年度の年間配当は42円(4円増配、配当性向35.9%)、2026年度の年間配当は44円(2円増配、配当性向予想36.8%)を予定している。2025年11月5日に決議した400億円を上限とする自己株式取得を実行中(取得期間は2025年11月6日〜2026年10月31日)。
中期経営計画/トピック
現中期経営計画「中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~」のもと、「成長投資」と「構造転換」の両輪で事業ポートフォリオ変革を推進している。医薬・ライフサイエンス領域では、重症感染症のパイプラインを持つAicuris Anti-infective Cures AG(買収金額1,431億円、2026年2月発表時)の買収を2026年4月17日に完了し、P/L連結は2026年5月から開始する。中東情勢や米国関税政策など不透明な経営環境が継続しているが、「ヘルスケア」「住宅」「マテリアル」の3領域による経営により業績下振れへの耐性は高く、現時点で利益の大幅な毀損リスクは限定的としている。

※本記事は旭化成が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。