※本記事は大日精化工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
大日精化工業は2026年3月期の連結決算を発表した。売上高は1,242億円(前期比△4億円、△0.4%)と前期をわずかに下回った一方、営業利益は76億円(+6億円、+8.6%)、経常利益は84億円(+7億円、+9.4%)と増益を確保した。親会社株主に帰属する当期純利益は81億円(△21億円、△21.3%)となった。1株当たり年間配当金は前期比64円増配の220円(普通配当190円+特別配当30円)とする。
連結業績(2026年3月期 実績)
資料では当期の要点として、自動車向けのコンパウンド・着色剤は堅調に推移した一方、ウレタン樹脂は採用車種の不振により低迷したこと、液晶ディスプレイ向け顔料は新製品への採用により好調で、コーティング剤も堅調に推移したことを挙げている。原材料価格の高止まりや海外法人の減益があったものの、販売価格の是正と高付加価値品へのシフトにより営業利益は増益となった。株主・投資家との対話に関する説明では、2026年3月期の販売価格改定による営業利益増加額を15億円としている。EBITDA(営業利益+減価償却費)は127億円(+8億円、+6.8%)、海外売上高比率は25.7%(△1.4pt)、ROEは6.1%(△2.3pt)、ROAは4.2%(+0.2pt)。なお前期(2025年3月期)には川口製造事業所の移転に伴う資産売却(売却益77億円、2024年8月売却完了)を計上している。財務面では自己資本比率が67.5%(+2.5pt)、有利子負債は187億円(△23億円)、DEレシオは0.13(△0.03)となった。
| 項目 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,242億円 | 1,247億円 | △4億円(△0.4%) |
| 営業利益 | 76億円 | 70億円 | +6億円(+8.6%) |
| 経常利益 | 84億円 | 77億円 | +7億円(+9.4%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 81億円 | 102億円 | △21億円(△21.3%) |
| EBITDA | 127億円 | 119億円 | +8億円(+6.8%) |
| 1株当たり当期純利益 | 118.32円 | 149.91円 | △31.59円 |
| ROE | 6.1% | 8.4% | △2.3pt |
| ROA | 4.2% | 4.0% | +0.2pt |
| 海外売上高比率 | 25.7% | 27.1% | △1.4pt |
| 為替レート | $150.20円 | $152.36円 | 2.16円 円高 |
| ナフサ価格 | 65,200円 | 75,625円 | △10,425円 |

セグメント別の状況
カラー&ファンクショナル プロダクト(顔料及び顔料の2次加工製品)は売上高690億円(+17億円、+2.6%)、営業利益41億円(+10億円、+32.1%)。情報・電子業界向けや輸送機器業界向けの戦略製品が好調に推移し、半導体関連部材向けにCNT(カーボンナノチューブ)分散体が新規に採用された。戦略製品の売上高は前期比でカラーフィルター用顔料が+19.0%、自動車用コンパウンド・着色剤が+12.2%、インクジェット用顔料・分散液が+11.2%、機能性材料が+83.5%。
ポリマー&コーティング マテリアル(合成樹脂及び特殊コーティング剤)は売上高241億円(△12億円、△4.8%)、営業利益25億円(△5億円、△17.7%)。情報・電子業界向けは好調だったが、輸送機器向けの低調によりセグメント全体で前期割れとなった。戦略製品は耐熱性高機能樹脂が+19.5%、情報・電子業界向けコーティング剤が+0.3%の一方、高耐久性ウレタン樹脂が△11.4%、環境対応型ウレタン樹脂が△4.3%。グラフィック&プリンティング マテリアル(パッケージ用及び広告出版用インキ)は売上高310億円(△9億円、△3.0%)、営業利益8億円(+1億円、+19.1%)。国内はラベル向けや水性フレキソインキの出荷増で前期並み、海外は失注の影響で減収となったが、販売価格の改定を進め増益を確保した。
| セグメント | 指標 | 2026年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| カラー&ファンクショナル プロダクト | 売上高 | 690億円 | 673億円 |
| カラー&ファンクショナル プロダクト | 営業利益 | 41億円 | 31億円 |
| カラー&ファンクショナル プロダクト | EBITDA | 71億円 | 59億円 |
| ポリマー&コーティング マテリアル | 売上高 | 241億円 | 253億円 |
| ポリマー&コーティング マテリアル | 営業利益 | 25億円 | 31億円 |
| ポリマー&コーティング マテリアル | EBITDA | 40億円 | 45億円 |
| グラフィック&プリンティング マテリアル | 売上高 | 310億円 | 320億円 |
| グラフィック&プリンティング マテリアル | 営業利益 | 8億円 | 7億円 |
| グラフィック&プリンティング マテリアル | EBITDA | 15億円 | 13億円 |

2027年3月期 連結業績予想
2027年3月期は売上高1,266億円(+23億円、+1.9%)、営業利益84億円(+7億円、+10.4%)、経常利益95億円(+10億円、+11.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益66億円(△15億円、△18.5%)を見込む。自動車向け、液晶ディスプレイ向けは2026年3月期に引き続き堅調に推移する見込みで、販売価格は2026年3月期改定分が期初から+3億円寄与する一方、労務費などが増加するとしている。中東情勢による原材料調達・価格及び販売動向は業績予想に織り込んでおらず、原材料等の調達制約や価格上昇、買い控え等の影響は現時点で合理的な算定が困難なため未反映としている。また2026年5月15日付適時開示「事業構造改革の実施に関するお知らせ」に記載の施策等に伴う影響も未定。為替レートは$148.00円を前提とする。
| 項目 | 2027年3月期 予想 | 2026年3月期(実績) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,266億円 | 1,242億円 | +23億円(+1.9%) |
| カラー&ファンクショナル プロダクト 売上高 | 703億円 | 690億円 | +12億円(+1.8%) |
| ポリマー&コーティング マテリアル 売上高 | 244億円 | 241億円 | +2億円(+1.1%) |
| グラフィック&プリンティング マテリアル 売上高 | 318億円 | 310億円 | +7億円(+2.4%) |
| 営業利益 | 84億円 | 76億円 | +7億円(+10.4%) |
| カラー&ファンクショナル プロダクト 営業利益 | 41億円 | 41億円 | △0億円(△1.0%) |
| ポリマー&コーティング マテリアル 営業利益 | 31億円 | 25億円 | +5億円(+19.8%) |
| グラフィック&プリンティング マテリアル 営業利益 | 11億円 | 8億円 | +2億円(+28.8%) |
| 経常利益 | 95億円 | 84億円 | +10億円(+11.9%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 66億円 | 81億円 | △15億円(△18.5%) |
| EBITDA | 137億円 | 127億円 | +10億円(+8.2%) |
| 1株当たり当期純利益 | 96.69円 | 118.32円 | △21.63円 |

株主還元
2026年3月期の1株当たり年間配当金は220円(普通配当190円+特別配当30円)で、前期比64円の増配。期末配当金は2026年2月13日付適時開示の予想から普通配当金を12円増配し、1株当たり133円(普通配当118円+特別配当15円)とした。2027年3月期の1株当たり通期配当金予想は55円(普通配当47.5円+特別配当7.5円)で、資料では実質的には2026年3月期と同額としている。これは2026年4月1日付で実施した普通株式1株につき4株の割合の株式分割を考慮した金額で、株式分割の影響を考慮しない場合の年間配当金予想は220円(普通配当190円+特別配当30円)となる。2026年3月31日を基準日とする2026年3月期の期末配当金は株式分割前の株式数を基準に実施する予定。配当方針は、中期経営計画3か年平均の総還元性向50%以上、配当性向40%以上(特別配当を除く)、1株当たり年間配当金の下限を100円(25円)とすること(特別配当を除く)、特別配当を2027年3月期まで実施すること、自己株式の取得を機動的に実施することを掲げている。2026年3月期は8月に自己株式315,300株・11億円(発行済株式対比1.81%、分割前基準)を取得した。
| 項目 | 2026年3月期(予想) | 2027年3月期(予想) |
|---|---|---|
| 1株当たり年間配当金 | 220円 | 55円 |
| 内訳 | 普通配当190円+特別配当30円 | 普通配当47.5円+特別配当7.5円 |
| 配当総額 | 37.5億円 | 37.5億円 |
| 配当性向(特別配当除く) | 40.1% | 49.1% |
| 配当性向(特別配当含む) | 46.5% | 56.9% |
| 自己株式取得 | 1,114百万円 | 機動的に実施 |

中期経営計画「明日への変革2027」と資本効率
中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の2年目となる2026年3月期は、グループ数値目標に対し売上高が中計当初予想1,273億円に対し実績1,242億円、営業利益が72億円に対し76億円、経常利益が82億円に対し84億円、当期純利益が61億円に対し81億円、ROEは6.1%となった。2027年3月期は中計当初予想の売上高1,300億円・営業利益78億円に対し、今期予想は売上高1,266億円・営業利益84億円で、ROEは5%以上を計画する。資本コストや株価を意識した経営への対応では、リスクフリーレートの上昇を反映し株主資本コストを従来の6~7%(CAPMベース)から6.8~7.8%に見直した。株主資本コストを上回るROEを継続的に達成できておらずPBRが1倍に達していないとの現状認識を示し、中長期的にはM&Aを含む成長投資や戦略投資、構造改革を推し進めROE9%以上を目指すとしている。
2026年5月15日開催の取締役会では、更なる企業価値の向上に向けた収益力と成長力の改善を目的として「事業ポートフォリオの見直し等の全社的な事業構造改革」の実施を決議しており、具体的な内容は2026年秋頃の公表を予定する。設備投資は2026年3月期実績が47億円(戦略製品投資12億円、通常投資35億円)で、戦略製品投資としてHPU(ヒドロキシポリウレタン)新製法パイロットプラント、タイ現地法人の能力増強、機能性ペースト新規生産設備導入などを実施した。サステナビリティでは、サステナビリティ貢献製品の売上高が2026年3月期に2024年3月期比19億円増(2027年3月期までに30億円増が中期計画)、CO2排出量削減率(Scope1+Scope2 マーケット基準)は2026年3月期に2020年3月期比54%削減(2027年3月期までに31%削減が中期計画)となった。
※本記事は大日精化工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。