※本記事は奥村組が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
奥村組の2026年3月期連結業績は、売上高が前期比3.0%増の3,072億円、営業利益が63.7%増の159億円、経常利益が183.6%増の253億円、親会社株主に帰属する当期純利益が574.3%増の183億円となった。資料では、前期は連結子会社の石狩バイオエナジー(以下、石狩バイオ)の事故等により大幅な減益となったが、当期は本業の建設事業の好調さによって売上高及び各利益とも連結の最高値を更新しV字回復したと説明している。建設事業は土木・建築ともに引き続き堅調に推移し、石狩バイオは爆発事故の再発防止策を予定どおり1年かけて実施し、2026年4月から商業運転を再開した。2027年3月期は売上高3,040億円、営業利益205億円、親会社株主に帰属する当期純利益154億円を見込む。
連結業績(2026年3月期 実績)
売上高は3,072億円(前期2,982億円)、売上総利益は386億円(同316億円)で、売上総利益率は12.6%となった。一般管理費はベア等昇給や賞与額増額により人件費が増加し227億円。営業利益は建設事業(特に土木事業)の売上総利益率が改善したこと等により159億円(営業利益率5.2%)と前期比で大幅に増加した。経常利益253億円(同8.2%)には、石狩バイオが商業運転を中止していたため燃料取引の決済に使用しなかった為替予約をキャンセルしたことによる為替予約決済益12億円、期末日時点の為替予約未決済残高の時価評価益である為替予約評価益61億円などが寄与し、営業外収支は93億円の収入超過(前期は8億円の支出超過)となった。特別損益は、前期に石狩バイオに関連する減損損失132億円を計上した反動で13億円の利益となった。ROEは9.8%(前期1.5%)。連結キャッシュ・フローは、営業CFが76億円のプラス(前期は118億円のマイナス)、投資CFが99億円のマイナス、財務CFが97億円のマイナスで、現金及び現金同等物の期末残高は156億円となった。
| 項目 | 2026年3月期 実績 | 2025年3月期 実績 | 対前期増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,072億円 | 2,982億円 | 3.0% |
| 売上総利益 | 386億円 | 316億円 | 22.0% |
| 営業利益 | 159億円 | 97億円 | 63.7% |
| 経常利益 | 253億円 | 89億円 | 183.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 183億円 | 27億円 | 574.3% |

事業別の状況
土木事業は売上高が前期比16.4%増の1,152億円、売上総利益が177億円(売上総利益率15.4%、前期12.1%)。前期のような特定工事の悪化要因がなく、前期からの繰越工事における追加・設計変更工事の獲得や原価低減等により採算が向上した。工事損失引当金は23.6億円(完成により5.1億円減少、引当不足により11.0億円積み増し)。建築事業は売上高が前期比2.9%減の1,801億円、売上総利益は193億円(売上総利益率10.7%、前期10.4%)で、前期からの繰越工事における追加・設計変更工事の獲得や原価低減等により利益を積み上げた。工事損失引当金は3.6億円。投資開発事業等は売上高118億円、売上総利益15億円(売上総利益率13.3%)。うち不動産事業は前期に実施した収益物件の大規模修繕等の減少や当期の賃貸収入の増加等により売上高52億円・売上総利益34億円と増加、新事業は石狩バイオが試運転の稼働のみで売上高19億円と減少し売上総利益は2期連続赤字(△26億円)となったものの、前期の減損損失計上による減価償却費の減少等により赤字幅は縮小した。その他事業は連結グループ内取引の消去等により売上高46億円・売上総利益7億円と減少したものの堅調に推移した。個別ベースの受注工事高は、土木が前期比31.4%減の1,322億円、建築が同19.7%増の2,200億円、合計で同6.5%減の3,522億円。繰越工事高は土木・建築合計で6,156億円(土木3,046億円、建築3,109億円)となった。
| 事業 | 指標 | 2026年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 土木事業 | 売上高 | 1,152億円 | 990億円 |
| 土木事業 | 売上総利益 | 177億円 | 119億円 |
| 土木事業 | 売上総利益率 | 15.4% | 12.1% |
| 建築事業 | 売上高 | 1,801億円 | 1,855億円 |
| 建築事業 | 売上総利益 | 193億円 | 192億円 |
| 建築事業 | 売上総利益率 | 10.7% | 10.4% |
| 投資開発事業等 | 売上高 | 118億円 | 136億円 |
| 投資開発事業等 | 売上総利益 | 15億円 | 4億円 |

通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期は売上高3,040億円、売上総利益452億円(売上総利益率14.9%)、一般管理費247億円、営業利益205億円(営業利益率6.7%)、経常利益207億円(同6.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益154億円(同5.1%)、ROE8%程度を見込む。事業別では、土木は引き続き堅調に推移するなか台湾工事の進捗向上により増収・増益(売上高1,170億円、売上総利益190億円)、建築は引き続き堅調に推移するものの大型工事の竣工に伴う工事の入れ替えなどにより減収・増益(売上高1,670億円、売上総利益206億円)、投資開発事業等は石狩バイオの商業運転再開により大幅な増収・増益(売上高200億円、売上総利益56億円)の見通し。一般管理費は人件費やICT関連費用等の増加を見込む。営業外収益・費用については、為替差損益や石狩バイオの為替予約評価損益は織り込んでいない。中東情勢についてはリスクはあるものの、現時点ではその影響を測ることは難しく業績予想には織り込んでおらず、今後の状況次第では利益の下押し要因となるとしている。なお2026年3月期実績から営業外収益に計上した為替予約評価益等の特殊要因82億円を除くと、経常利益以下の各利益は2027年3月期予想が増益となる見込み。個別ベースの受注工事高は、施工余力等を考慮し土木1,100億円・建築1,700億円の合計2,800億円を見込む。
| 項目 | 2027年3月期 予想 | 2026年3月期 実績 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,040億円 | 3,072億円 | ▲32億円 |
| 売上総利益 | 452億円 | 386億円 | 65億円 |
| 一般管理費 | 247億円 | 227億円 | 19億円 |
| 営業利益 | 205億円 | 159億円 | 45億円 |
| 経常利益 | 207億円 | 253億円 | ▲46億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 154億円 | 183億円 | ▲29億円 |
| ROE | 8.0%程度 | 9.8% | - |

株主還元
2026年3月期の年間配当は297円(中間110円、期末187円)で、2026年2月公表値の年間264円から33円の増配となる。一過性の特殊要因を除いた配当原資152億円より算出した連結配当性向は70.2%、連結総還元性向は80.7%。期末配当額については2026年6月開催予定の第89回定時株主総会の決議をもって正式に決定・実施する予定としている。株主還元政策は、2026年3月期から2028年3月期までの期間において、一過性の特殊要因(為替予約評価損益)による影響を除いた連結配当性向70%以上、業績に関わらず自己資本配当率(DOE)2.0%を下限とする方針。為替予約評価損益は為替レートの変動等による一過性のもので振れ幅が非常に大きく、配当原資となる最終利益に多大な影響を与える可能性があるため、配当性向の計算には含めないこととしている。2027年3月期は年間300円(中間150円、期末150円)を予想する。
| 項目 | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 予想 |
|---|---|---|
| 中間配当 | 110円 | 150円 |
| 期末配当 | 187円 | 150円 |
| 年間配当 | 297円 | 300円 |

中期経営計画/トピック
中期経営計画(2025~2027年度)の初年度となる2025年度は、中計目標値に対し各項目が堅調に推移し、建設事業における繰越工事の消化が進み連結売上高は3,000億円を突破した。最終年度2027年度の目標は売上高3,300億円、営業利益200億円(営業利益率6.0%)、ROE8%以上で、原油高が建設資機材価格に与える影響度合いや顕在化する時期も不透明であることから、現時点で中計目標値の見直しは行わない。2027年3月期の営業利益205億円は中期経営計画の目標値200億円を超えるものと見込んでいる。資本コストや株価を意識した経営については、株主資本コストは長期金利の上昇を加味し本中計公表時(2025年5月)から1%引き上げた6~7%と認識しており、株主資本コストを上回るROE目標の継続的な達成を目指す。政策保有株式は2025年度に2銘柄を縮減したが、保有株式の株価上昇による影響が大きく連結純資産に対する割合は上昇した。投資は3年間総額700億円(費用性投資を含む)の計画に対し2025年度実績が173億円。土木事業では奥村機械製作と共同で開発したシールドマシン遠隔操作システムの機能向上を進め、海外は台湾・シンガポールでシールドトンネル工事を中心に受注活動を展開している。
※本記事は奥村組が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。