※本記事は日鉄鉱業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
日鉄鉱業は2026年5月13日、2025年度(2026年3月期)の決算説明資料を公表した。売上高は2,097億円(前期比129億円増)、営業利益は188億円(同85億円増)、経常利益は202億円(同87億円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は140億円(同50億円増)となり、資料では「前期比で増収・増益。売上・利益とも過去最高を更新」と説明している。営業利益の増加は、金属部門(鉱山)における銅価格の上昇や生産コストの減少、不動産事業での販売用不動産の売却が主な要因とされる。2026年度は、調査費など成長投資の増加、2025年度の不動産売却益の剥落、アルケロス鉱山のコスト先行を背景に営業利益140億円(48億円の減益)を見込む。
連結業績(2025年度 実績)
売上高は、金属部門(製錬)における電気銅の国内販売価格上昇および金属部門(鉱山)における銅価格等の上昇により増収となった。営業利益および経常利益は、金属部門(鉱山)における銅価格の上昇や生産コストの減少等および不動産事業の増収等により増益。親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用等の増加があったものの、経常利益の増加等により増益となった。自己資本比率は、アルケロス鉱山開発資金の借入による有利子負債の増加により50.7%へ低下した。市況指標は銅価格が490.59¢/lb(前期425.00¢/lb)、為替レートが150.77円/米ドル(同152.58円/米ドル)。なお2025年10月1日を効力発生日として普通株式1株を5株とする株式分割を実施しており、1株当たり情報は当該分割を過去に遡って調整している。
| 項目 | 2025年度 | 2024年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 2,097 | 1,967 | 129 |
| 営業利益(億円) | 188 | 102 | 85 |
| 経常利益(億円) | 202 | 114 | 87 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(億円) | 140 | 90 | 50 |
| 1株当たり配当額(円) | 71.4 | 44.8 | 26.6 |
| 銅価格(¢/lb) | 490.59 | 425.00 | 65.59 |
| 為替レート(円/米ドル) | 150.77 | 152.58 | △1.81 |
| 自己資本比率 | 50.7% | 58.9% | △8.2% |
| ROIC(投下資本利益率) | 6.7% | 4.3% | 2.4% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 9.4% | 6.4% | 3.0% |
2026年2月6日時点予想との比較では、売上高が予想2,050億円に対し47億円の増収、営業利益が予想165億円に対し23億円の増益、経常利益が予想167億円に対し35億円の増益、当期純利益が予想105億円に対し35億円の増益となった。営業利益の予想超過は、金属部門+8億円(製錬:副産物収益の良化等)、調整額+11億円(調査費の後ずれ)が主因とされる。連結貸借対照表では、総資産が3,104億円(前期末比702億円増)、うち有形固定資産が1,133億円(同290億円増)、長期借入金が447億円(同349億円増)、純資産は1,676億円(同156億円増)となった。
セグメント別の状況
資源事業:鉱石部門は、主力生産品である石灰石の販売価格上昇および子会社の増収により、売上高669億円(35億円増)、営業利益80億円(7億円増)と増収増益。資源事業:金属部門は、製錬で電気銅等が減販となったものの国内販売価格の上昇により増収、買鉱条件の悪化はあったが副産物収入の改善や為替の影響等により増益となり、鉱山では銅価格等の上昇や買鉱条件の良化により増収、生産コストの減少により増益となった結果、売上高1,202億円(62億円増)、営業利益67億円(57億円増)となった。機械・環境事業は環境商品の販売価格上昇および増販で売上高159億円(11億円増)、営業利益は水処理剤の原材料価格高騰により20億円と前期なみ。不動産事業は販売用不動産の売却により売上高47億円(18億円増)、営業利益33億円(16億円増)。再生可能エネルギー事業は地熱部門が順調に推移し売上高18億円(1億円増)、修繕費の減少により営業利益6億円(1億円増)となった。
| セグメント | 売上高 2025年度 | 売上高 2024年度 | 営業利益 2025年度 | 営業利益 2024年度 |
|---|---|---|---|---|
| 資源事業:鉱石部門 | 669 | 633 | 80 | 72 |
| 資源事業:金属部門 | 1,202 | 1,139 | 67 | 9 |
| 機械・環境事業 | 159 | 147 | 20 | 20 |
| 不動産事業 | 47 | 28 | 33 | 16 |
| 再生可能エネルギー事業 | 18 | 17 | 6 | 4 |
| 調整額 | ー | ー | △19 | △21 |
| 合計 | 2,097 | 1,967 | 188 | 102 |

2026年度 連結業績予想
2026年度は、売上高2,325億円(227億円の増収)、営業利益140億円(48億円の減益)、経常利益115億円(87億円の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益120億円(20億円の減益)を予想する。売上高は金属部門が+244億円(製錬:電気銅等の国内販売価格上昇、鉱山:アタカマ銅価格上昇等、アルケロス稼働開始)、不動産事業が△20億円(販売用不動産減)。営業利益は金属部門△8億円(製錬:為替影響の剥落、鉱山:アルケロス鉱山稼働開始前のコスト先行、アタカマ鉱山の労務費改定による増加や鉱体の偏在、深部化によるコスト増)、不動産事業△16億円、調整額△20億円(調査費の増加)。経常利益は支払利息の増加と持分法投資損益の悪化、当期純利益は保有株式売却益の増加を織り込む。前提は銅価格550.00¢/lb、為替レート155.00円/米ドル。感応度は、銅価格10¢/lb上昇で売上高+20.8億円・営業損益+4.5億円、為替レート5円/米ドルの円安で売上高+38.8億円・営業損益+1.9億円としている。セグメント別では、金属部門の売上高が1,447億円へ拡大する一方、営業利益は鉱石部門84億円、金属部門58億円、機械・環境事業16億円、不動産事業16億円、再生可能エネルギー事業3億円、調整額△39億円を見込む。
| 項目 | 2026年度予想 | 2025年度実績 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 2,325 | 2,097 | 227 |
| 営業利益(億円) | 140 | 188 | △48 |
| 経常利益(億円) | 115 | 202 | △87 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(億円) | 120 | 140 | △20 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 152.51 | 178.37 | △25.86 |
| 1株当たり配当額(円) | 62.0 | 71.40 | △9.4 |
| 銅価格(¢/lb) | 550.00 | 490.59 | 59.41 |
| 為替レート(円/米ドル) | 155.00 | 150.77 | 4.23 |

株主還元
株主還元方針は、自己資本の充実と株主還元の最適なバランスを図りながら長期安定的な配当を実施することが基本方針。第3次中計期間中は連結配当性向40%を目途に配当を実施し、あわせて配当下限値を固定額34円/株とし、いずれか高い方を採用する(2025年10月1日の株式分割実施に伴い1株当たり配当下限値を調整)。2025年度の1株当たり配当額は71.4円(前期44.8円)、2026年度予想は62.0円。資本の適正化としては、政策保有株式の縮減方針(FY25-27で3年間100億円以上)を最低ラインにFY26、FY27で着実に実行し、FY27には純資産対比で20%以下(みなし保有株式を除く)を目指すとしている。2026年4月には31億円を売却した。成長投資と財務健全性確保を優先し、余剰分は還元強化に充当する方針。
| 項目 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度予想 |
|---|---|---|---|
| 1株当たり配当額(円) | 44.80 | 71.40 | 62.0 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 109.35 | 178.37 | 152.51 |

資本コストや株価を意識した経営/トピック
資料では、FY25にPBR1倍超え(1.24倍、期末株価ベース)となり、ROEは9.4%(通期実績)、PERは13.9倍(期末株価ベース)と示したうえで、その定着とさらなる企業価値向上に向けた取り組みを整理している。成長投資では、開発中のアルケロス鉱山(当社80%、年間の含有銅生産量1.5万トン、開発資金総額486百万米ドル、操業コスト(C3)318¢/lb)が2026年7-9月に操業開始予定で、操業開始後数か月でフル操業へ移行し、FY27は操業中のアタカマ鉱山(当社60%、年間1.1万トン)との2鉱山体制で銅生産量は現在の倍以上を計画する。資本コストの低減に向けては、株式分割の実施と株主優待制度の拡充により株主数がFY24末6,417人からFY25末20,682人へ、1日当たり平均出来高が248,037株から636,280株へ増加した。指標面ではROICがFY25の6.7%からFY26予想4.2%、ROEが9.4%から8.0%となる見通しで、株主資本コスト(CAPMベース)は8%程度としている。第4次中計に向けては、資本コストとROIC目標の点検、ROE目標の開示、最適資本構成の開示、投資規律・不動産保有の方針・ポートフォリオ管理の方針の開示に向けた準備を課題として挙げている。

※本記事は日鉄鉱業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。