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ブラザー工業、2026年3月期は売上収益8,935億円 当期利益676億円でともに過去最高を更新

決算サマリー 2026.08.11
ブラザー工業、2026年3月期は売上収益8,935億円 当期利益676億円でともに過去最高を更新

※本記事はブラザー工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

ブラザー工業(6448)の2026年3月期(2025年度)通期連結業績は、売上収益8,935億円(前年比+5.3%)、事業セグメント利益836億円(同+10.8%)、営業利益779億円(同+15.0%)、親会社の所有者に帰属する当期利益676億円(同+23.5%)となり、売上収益と当期利益は過去最高を更新しました。P&S事業において価格対応効果を含め本体・消耗品の販売が堅調に推移したことや、マシナリー事業の産業機器の販売が好調に推移したことに、為替のプラス影響も加わりました。米国関税の負担増に対しては、価格対応や経費コントロールなどで全て吸収しています。2026年度(2027年3月期)は、中東情勢によるリスクや部材価格高騰、米国関税政策の変化による影響を織り込むものの、産業用領域における事業拡大などにより、売上収益9,100億円(+1.9%)、事業セグメント利益850億円(+1.6%)の増収増益を見込みます。

目次

連結業績(2026年3月期 実績)

売上収益は8,935億円で前期(組替後8,489億円)から446億円の増収(為替影響を除く実質ベースでは329億円、+3.9%)。事業セグメント利益は836億円と81億円の増益(同8億円、+1.1%)で、事業セグメント利益率は8.9%から9.4%へ上昇しました。営業利益は779億円(+15.0%)、税引前利益は820億円(+13.0%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は676億円(+23.5%)です。なお2025年度第3四半期より、N&C(ネットワーク&コンテンツ)事業を非継続事業に分類しており、売上収益から税引前利益までは非継続事業を除いた金額、親会社の所有者に帰属する当期利益は継続事業と非継続事業を合算した金額です。前年度実績も同様の条件に組み替えて比較しています。

一時的な損益としては、固定資産売却益(Q2)+23億円、スタンダードの事業譲渡益+46億円、IP事業 産業用プリンターの一部固定資産の減損損失(Q4)▲20億円、P&S事業の構造改革費用(Q4)▲27億円、為替差損▲69億円を計上。また、2026年度エクシング株式の一部譲渡にかかる税効果調整+41億円が加わり、当期利益は過去最高となりました。為替レートは1USD=150.97円(前期152.48円)、1EUR=174.54円(同163.62円)です。

項目25年度実績24年度実績(組替後)増減増減率
売上収益8,9358,4894465.3%
事業セグメント利益8367558110.8%
事業セグメント利益率9.4%8.9%
その他の収益・費用▲58▲7820
営業利益77967710215.0%
営業利益率8.7%8.0%
税引前利益8207259413.0%
継続事業からの当期利益6265349217.2%
非継続事業からの当期利益501437265.8%
親会社の所有者に帰属する当期利益67654812823.5%
USD150.97152.48▲1.51
EUR174.54163.6210.92

(単位:億円。出典:ブラザー工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.7)

財政状態は、総資産10,188億円(前期末9,327億円)、株主資本7,633億円(同6,914億円)、株主資本比率74.9%(同74.1%)、ネット・キャッシュ1,967億円(同1,722億円)。ROEは9.3%(同8.1%)、PBRは0.94倍(同1.00倍)となりました。キャッシュ・フローは、営業CF1,100億円、投資CF▲430億円、財務CF▲546億円で、フリー・キャッシュ・フローは680億円です。

セグメント別(事業別)の状況

P&S(プリンティング&ソリューションズ)は、通信・プリンティング機器の製品本体が供給制約のあった前年と比較し各地域で販売数量が増加したことに加え価格対応の効果もあり増収、消耗品も総じて堅調に推移して増収となりました。事業セグメント利益は増益となった一方、為替差損などの計上により営業利益は減益です。IP(インダストリアル・プリンティング)は、ドミノが消耗品の販売好調で増収となったものの、産業用プリンターは競争環境の悪化により本体・消耗品の販売が落ち込み減収。事業セグメント利益は減益、営業損益は減損損失や為替差損の計上により赤字となりました。マシナリーは、産業機器が中国・アジアを中心に自動車や一般機械向けの設備投資需要拡大により増収となり、大幅な増益。工業用ミシンは米国関税影響によりアパレル向け設備投資が先送りとなり減収でした。ニッセイは減速機・歯車ともに販売が堅調で増収増益、P&H(パーソナル&ホーム)は普及機・中級機の販売が堅調で増収となったものの、最高級機の新製品効果があった前年比では減益となりました。

セグメント売上収益 25年度売上収益 24年度事業セグメント利益 25年度事業セグメント利益 24年度営業利益 25年度営業利益 24年度
P&S(プリンティング&ソリューションズ)5,7065,448664610581589
IP(インダストリアル・プリンティング)1,3931,3732952▲1732
マシナリー83067367116712
ニッセイ214200105100
P&H(パーソナル&ホーム)61057266736067
その他1822230478▲22
合計8,9358,489836755779677

(単位:億円。24年度は組替後。「その他」にセグメント間取引消去額を含みます。出典:ブラザー工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.8)

2025年度通期 事業セグメント別実績(売上収益・事業セグメント利益・営業利益)
出典:ブラザー工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.8

2027年3月期(2026年度)通期業績予想

2026年度の通期業績予想は、売上収益9,100億円(+1.9%)、事業セグメント利益850億円(+1.6%)、営業利益850億円(+9.2%)、税引前利益875億円(+6.7%)、親会社の所有者に帰属する当期利益720億円(+6.5%)です。為替前提は1USD=150円、1EUR=180円。中東情勢は半年程度混乱が続き、部材価格の高騰は年間を通じて継続することを前提に、リスク要因▲250億円(部材コスト・物流コストの増加、中東地域での販売減少、工場操業度の低下にともなう販売数量減)と対応策+110億円(経費削減、販促費のコントロール、コストアップ抑制)を織り込みました。米国関税政策については、追加関税率を7月下旬まで一律10%、以降年度末まで一律15%とし、IEEPA関税還付も一定程度織り込んでいます。中東リスクなどを除くオリジナル計画は売上収益9,520億円、事業セグメント利益940億円、営業利益910億円です。

項目26年度予想25年度実績増減増減率
売上収益9,1008,9351651.9%
事業セグメント利益850836141.6%
事業セグメント利益率9.3%9.4%
その他の収益・費用0▲5858
営業利益850779719.2%
営業利益率9.3%8.7%
税引前利益875820556.7%
継続事業からの当期利益640626142.2%
非継続事業からの当期利益80503058.8%
親会社の所有者に帰属する当期利益720676446.5%
USD150.00150.97▲0.97
EUR180.00174.545.46

(単位:億円。出典:ブラザー工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.14)

セグメント別では、P&S事業を中心に中東情勢や部材価格高騰の影響が見込まれるものの、マシナリー事業の産業機器におけるさらなる成長と、MUTOHホールディングスが加わったIP事業における事業拡大を目指します。なお2026年度より、MUTOHホールディングスの業績はIP事業の産業用プリンターに組み込んで開示されます。

セグメント売上収益 26年度予想売上収益 25年度実績事業セグメント利益 26年度予想事業セグメント利益 25年度実績営業利益 26年度予想営業利益 25年度実績
P&S(プリンティング&ソリューションズ)5,4095,706630664630581
IP(インダストリアル・プリンティング)1,6701,393402940▲17
マシナリー1,0108301106711067
ニッセイ23921411101110
P&H(パーソナル&ホーム)63061053665360
その他14218260678
合計9,1008,935850836850779

(単位:億円。「その他」にセグメント間取引消去額を含みます。出典:ブラザー工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.17)

2026年度通期 事業セグメント別予想(売上収益・事業セグメント利益・営業利益)
出典:ブラザー工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.17

株主還元

2025年度の1株当たり年間配当は、中間50円・期末50円の年間100円を予定(前年度84円)。2026年度についても年間100円の配当を実施する予定です。中期戦略「CS B2027」の株主還元方針は、安定的かつ継続的な株主還元の実施を基本方針とし、配当は1株当たり年間100円を下限、配当性向40%を目安とするほか、CS B2027の期間に合計600億円(3ヵ年合計)の自己株式を取得予定、業績等の状況に応じて配当水準の引き上げや機動的な自己株式の追加取得といった追加還元を検討するとしています。

自己株式取得については、株主還元と資本効率の向上、および機動的な資本政策を遂行するため、2026年5月より新たに取得価額の総額200億円(上限)、取得し得る株式の総数1,000万株(上限、発行済株式総数に対する割合4.02%)、取得期間2026年5月11日~2027年4月30日で実施します。取得した自己株式は希薄化懸念の払拭のため消却する予定で、2025年5月12日~2026年4月30日に取得した自己株式(約200億円)については2026年6月1日に消却予定です。

株主還元|「CS B2027」株主還元方針と1株当たり年間配当額の推移
出典:ブラザー工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.24

中期戦略「CS B2027」の進捗

中期戦略「CS B2027」では、売上収益1兆円、営業利益1,000億円、ROE10%、TSR(配当金込み)対TOPIX100%以上を財務目標に掲げています。2025年度実績は売上収益8,935億円、営業利益779億円、ROE9.3%、TSR対TOPIX81.9%(2025年度)で、2026年度予想は売上収益9,100億円、営業利益850億円です。産業用領域の売上収益比率は、FY24実績31%、FY25実績32%、FY26予想37%と高まっており、CS B2027目標は40%です。

事業ポートフォリオ変革では、2026年2月にMUTOHホールディングス株式の公開買付けを開始し同年3月に連結子会社化、2026年1月にドイツKonrad Busche社の自動車部品向け部門の事業譲受を完了しました。N&C事業では、2025年11月にカラオケ店舗事業(スタンダード)の事業譲渡、2026年4月にカラオケ機器事業であるエクシング株式の70%の譲渡を完了しています。成長投資は、2025年度に戦略投資322億円、基盤投資107億円の計429億円を実施し、3か年での投資計画に変更はありません。

CS B2027 財務目標と2025年度実績、産業用領域の売上収益比率推移
出典:ブラザー工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.51

※本記事はブラザー工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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