※本記事はミスミグループ本社が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
ミスミグループ本社が2026年4月30日に公表した2026年3月期通期決算は、売上高4,413億円(前年比+9.8%)、営業利益476億円(前年比+2.4%)の増収増益となり、売上高は年間・第4四半期ともに過去最高を更新した。当期純利益は404億円(前年比+10.7%)で過去最高となった。米国関税政策や地政学リスクの高まり等により先行き不透明な事業環境が継続したものの、デジタルモデル施策が成長を牽引し、通期売上高が過去最高を更新。通信関連需要、中国・アジアの成長により増益となった。翌期の2027年3月期は売上高4,915億円(前年比+11.4%)、営業利益550億円(前年比+15.5%)と、過去最高の売上高・営業利益を計画する。なお資料では当期を「FY25/25年度」、翌期を「FY26/26年度」と表記している。
連結業績(2026年3月期 実績)
連結売上高は4,413億円(前年比+9.8%、現地通貨ベース+9.2%)。営業利益は476億円(前年比+2.4%、現地通貨ベース+0.7%)、営業利益率は10.8%で前期比▲0.8ptとなった。Fictiv Inc買収に係るのれん償却費および無形資産の償却費を加算した「のれん等償却前営業利益」は504億円(前年比+8.6%)、利益率11.4%。当期純利益は404億円(前年比+10.7%)で、米国における連結納税制度の導入に伴い繰越欠損金に係る繰延税金資産を計上したこと等による法人税等調整額の減少分を含む。Fictiv連結前では売上高4,270億円(前年比+6.2%)、営業利益526億円(前年比+13.2%、利益率12.3%)、当期純利益451億円(前年比+23.4%)。Fictivは2025年7月~2026年3月の9カ月連結で売上高143億円、のれん等償却前営業利益▲21億円(内訳はFictiv単体業績▲10億円、M&A仲介費用▲11億円)、営業利益▲49億円(内のれん等償却▲28億円)、当期純利益▲46億円だった。2026年1月30日公表値に対しては売上高+0.3%、営業利益+3.1%、当期純利益+19.3%と上回って着地している。当期の為替レートはUSドル151.0円、ユーロ174.6円、人民元21.3円。
| 項目 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,413億円 | 4,019億円 | +9.8% |
| のれん等償却前営業利益 | 504億円 | 464億円 | +8.6% |
| のれん等償却前営業利益率 | 11.4% | 11.6% | ▲0.1pt |
| 営業利益 | 476億円 | 464億円 | +2.4% |
| 営業利益率 | 10.8% | 11.6% | ▲0.8pt |
| 当期純利益 | 404億円 | 365億円 | +10.7% |
セグメント別の状況
FA事業は売上高1,604億円(前年比+18.2%)と通信関連を中心に堅調に推移した一方、営業利益は202億円(営業利益率12.6%、前年比▲9.9%)とFictivの連結により減益となった。Fictiv連結前では売上高1,461億円(前年比+7.6%)、営業利益252億円(営業利益率17.3%、前年比+12.3%)。金型部品事業は売上高883億円(前年比+2.2%)、営業利益86億円(営業利益率9.8%、前年比▲8.5%)と、米州・欧州の自動車低迷の影響を受け減益。VONA事業は売上高1,925億円(前年比+7.1%)、営業利益186億円(営業利益率9.7%、前年比+28.8%)と増収増益となった。
| セグメント | 指標 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| FA事業 | 売上高 | 1,604億円 | 1,358億円 | +18.2% |
| FA事業 | 営業利益(営業利益率) | 202億円(12.6%) | 225億円(16.6%) | ▲9.9% |
| FA事業(Fictiv連結前) | 売上高 | 1,461億円 | 1,358億円 | +7.6% |
| FA事業(Fictiv連結前) | 営業利益(営業利益率) | 252億円(17.3%) | 225億円(16.6%) | +12.3% |
| 金型部品事業 | 売上高 | 883億円 | 864億円 | +2.2% |
| 金型部品事業 | 営業利益(営業利益率) | 86億円(9.8%) | 95億円(11.0%) | ▲8.5% |
| VONA事業 | 売上高 | 1,925億円 | 1,797億円 | +7.1% |
| VONA事業 | 営業利益(営業利益率) | 186億円(9.7%) | 144億円(8.0%) | +28.8% |
| 合計 | 売上高 | 4,413億円 | 4,019億円 | +9.8% |
| 合計 | 営業利益(営業利益率) | 476億円(10.8%) | 464億円(11.6%) | +2.4% |

地域別・デジタルモデルシフトの状況
地域別売上高は、日本が1,772億円(前年比▲0.3%)で、第4四半期に復調の兆しはあるものの自動車を主とした市況低迷が継続。中国は919億円(前年比+15.9%、現地通貨ベース+14.9%)でエコノミー品の好調が継続し、通信関連需要が下期よりさらに加速した。アジアは720億円(前年比+12.6%、現地通貨ベース+12.3%)で半導体関連需要が好調に推移。ヨーロッパは276億円(前年比+3.3%、現地通貨ベース▲3.2%)で、第4四半期以降に製造業PMIの改善はあったものの本格回復には至らなかった。アメリカは633億円(前年比+41.6%、現地通貨ベース+42.7%)とFictiv連結により大きく伸長し、Fictiv連結前でも489億円(前年比+9.5%、現地通貨ベース+10.6%)と成長を維持した。海外比率は59.8%となった。
成長戦略の柱であるデジタルモデルシフトの売上高は合計642億円(前年比+81.6%)と、当初計画(2025年7月公表値616億円)に対し+4.3%で着地した。内訳はオンライン加工事業321億円(前年比+101.1%)で、うちmeviyが177億円(前年比+11.2%)、Fictivが143億円。エコノミーシリーズは183億円(前年比+63.7%)、D-JITは138億円(前年比+68.0%)となった。meviyは累計利用者数24万人(前年比+26.3%)、D-JITはサイバーネットワークによる調達連携が700社超に拡大している。Fictiv単独業績は売上高117百万米ドル(前年比+50.3%)、営業利益率は前年比21pt改善した。
通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期は売上高4,915億円(前年比+11.4%、現地通貨ベース+10.4%)、営業利益550億円(前年比+15.5%、現地通貨ベース+12.4%)、営業利益率11.2%と、過去最高の売上高・営業利益を計画する。のれん等償却前営業利益は587億円(前年比+16.5%)、当期純利益は374億円(前年比▲7.6%)。Fictiv連結前では売上高4,693億円(前年比+9.9%)、営業利益595億円(前年比+13.3%、利益率12.7%)を見込む。Fictivは12カ月連結で売上高221億円(前年比+54.3%)、営業利益▲45億円の計画。想定為替レートはUSドル152円、ユーロ179円、人民元22円。中東情勢の緊迫化により原材料価格や輸送費の上昇の可能性はあるものの、見通し不確定として連結業績予想への数値影響は織り込んでいない。地域別ではアメリカ752億円(前年比+18.8%)、中国1,109億円(前年比+20.6%)、日本1,887億円(前年比+6.5%)などを計画し、海外比率は61.6%を見込む。デジタルモデルシフトの売上高は合計875億円(前年比+36.3%)を計画している。
| 項目 | 2027年3月期(計画) | 2026年3月期(実績) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,915億円 | 4,413億円 | +11.4% |
| のれん等償却前営業利益 | 587億円 | 504億円 | +16.5% |
| 営業利益 | 550億円 | 476億円 | +15.5% |
| 営業利益率 | 11.2% | 10.8% | +0.4pt |
| 当期純利益 | 374億円 | 404億円 | ▲7.6% |
| FA事業 売上高 | 2,014億円 | 1,604億円 | +25.5% |
| FA事業 営業利益(営業利益率) | 226億円(11.3%) | 202億円(12.6%) | +11.8% |
| 金型部品事業 売上高 | 929億円 | 883億円 | +5.1% |
| 金型部品事業 営業利益(営業利益率) | 124億円(13.4%) | 86億円(9.8%) | +43.4% |
| VONA事業 売上高 | 1,971億円 | 1,925億円 | +2.4% |
| VONA事業 営業利益(営業利益率) | 198億円(10.1%) | 186億円(9.7%) | +6.6% |


株主還元
25年度(2026年3月期)の年間配当は52.98円/株(配当性向35%)、自己株式取得は250億円を実施した。26年度(2027年3月期)は配当性向35%目安の累進配当を新たに導入し、より安定的な株主還元を実施する方針で、年間配当は52.98円/株、自己株式取得は300億円を予定する。キャッシュ・アロケーションでは、25年度は営業キャッシュ・フロー521億円に対し、オーガニック投資142億円(IT84億円、生産/物流58億円)、戦略投資(M&A等)542億円、配当113億円、自己株式取得250億円を実行。手元資金は2025年3月末の1,592億円から2026年3月末は1,129億円となった。
| 項目 | 25年度(2026年3月期) | 26年度(2027年3月期) |
|---|---|---|
| 年間配当 | 52.98円/株 | 52.98円/株 |
| 配当方針 | 配当性向35% | 配当性向35%目安の累進配当を導入 |
| 自己株式取得 | 250億円 | 300億円 |

成長戦略・トピック
同社は「グローバル展開」「デジタルモデルシフト」「成長産業への参入」の3軸で積極投資を行い、事業ドメインの拡大を狙う方針を示した。グローバル展開では、アジアは「100億クラブの拡大」として今後2年間でインド・ベトナムを韓国・タイに続く売上100億円超の現地法人に育て、中国は現地顧客×現地商品開発×現地マネジメントの域内体制で市場浸透を進める。アメリカはMISUMI USAとFictivのシナジー創出により市場浸透を加速し、両社のCEOにDave Evans氏が就く。成長産業への参入では、データセンター向けに自動ステージの供給能力倍増に向けて26年度に20億円の設備投資を行い、アグリテック分野ではOishii Farm社と業務資本提携して共同研究を促進、ロボティクス・ヒューマノイド分野でも関連企業との提携推進を図る。キャッシュ・アロケーションではFY26-28の3年間で最大1,500億円の成長投資枠を設定し、必要手元資金はBCP対応時も6ヶ月間供給責任を果たせる水準として700億円、余剰資金は株価水準を考慮した上で自己株式取得に充てる。また、経済産業省・東京証券取引所・IPAが共同選定するデジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2026において、上場約3,800社中グランプリ3社の1社に選定された。
※本記事はミスミグループ本社が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。