西武ホールディングス

西武HD、2026年3月期は営業収益5,132億円 営業利益455億円 前期の紀尾井町流動化の反動で大幅減収減益

決算サマリー 2026.08.11
西武HD、2026年3月期は営業収益5,132億円 営業利益455億円 前期の紀尾井町流動化の反動で大幅減収減益

※本記事は西武ホールディングスが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

西武ホールディングスが2026年5月14日に公表した2026年3月期 決算実績概況資料によると、通期の営業収益は5,132億円(前期比△3,878億円、△43.0%)、営業利益は455億円(同△2,472億円、△84.4%)、経常利益は458億円(同△2,418億円、△84.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は388億円(同△2,193億円、△84.9%)となった。レジデンスの流動化やインバウンド需要の取り込みなどによる増収があったものの、前期に東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実施したことにより大幅な減収となり、各段階利益は減収に加えて人件費等の費用増加により減益となった。一方、営業収益および各段階利益は2026年2月12日公表予想を上回って着地した。

目次

連結業績(2026年3月期 実績)

営業収益の前期比増減はセグメント別に、不動産事業△3,966億円、ホテル・レジャー事業+92億円、都市交通・沿線事業+40億円、その他+33億円、調整額△79億円。営業利益は不動産事業△2,252億円、ホテル・レジャー事業+40億円、都市交通・沿線事業△17億円、その他△4億円、調整額△238億円となった。償却前営業利益(営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定)は1,028億円で前期比△2,442億円(△70.4%)。第4四半期(1-3月)単独では営業収益1,250億円(前年同期比△3,949億円)、営業利益6億円(同△2,416億円)、経常利益11億円(同△2,390億円)、親会社株主に帰属する当期純利益67億円(同△1,600億円)だった。

項目2026年3月期2025年3月期対前期(増減額・率)
営業収益5,132億円9,011億円△3,878億円(△43.0%)
営業利益455億円2,927億円△2,472億円(△84.4%)
償却前営業利益1,028億円3,471億円△2,442億円(△70.4%)
経常利益458億円2,876億円△2,418億円(△84.1%)
親会社株主に帰属する当期純利益388億円2,581億円△2,193億円(△84.9%)

連結損益計算書サマリー(百万円)では、営業収益513,286百万円、営業費用467,763百万円、営業利益45,522百万円。営業外収益は8,507百万円(前期比+4,229百万円)で為替差益3,508百万円を計上し、営業外費用は8,208百万円(同△1,164百万円)。特別利益68,105百万円には東村山駅付近連続立体交差事業などに伴う工事負担金等受入額58,369百万円、固定資産売却益5,566百万円(当期:旧としまえんの一部土地の譲渡54億円)を含む。特別損失68,548百万円には工事負担金等圧縮額58,365百万円、減損損失5,392百万円(軽井沢浅間ゴルフコース23億円、新横浜プリンスペペ16億円など)を含む。前期に計上していた負ののれん発生益54,096百万円および段階取得に係る差益11,628百万円(いずれもNW社株式の取得に伴うもの)は当期は計上がない。法人税等は6,248百万円(前期比△85,110百万円)となった。

セグメント別の状況

不動産事業は、レジデンスの流動化やエミテラス所沢の開業による増収があるものの、前期の東京ガーデンテラス紀尾井町流動化の反動減により営業収益839億円(前期比△3,966億円、△82.5%)と減収、営業利益は前期の一過性費用の減少があるものの減収により123億円(同△2,252億円、△94.8%)と減益。ホテル・レジャー事業は、ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町の運営形態変更やマウナ ケア ビーチ ホテル改装による減収があるも、国内ホテル業における売上の増加により営業収益2,504億円(同+92億円、+3.8%)と増収、人件費(退職給付費用等)、減価償却費等の増加があるも増収及び修繕費の減少により営業利益226億円(同+40億円、+21.6%)と増益となった。都市交通・沿線事業は鉄道やバスの運輸収入の増加により営業収益1,567億円(同+40億円、+2.7%)と増収も、人件費、減価償却費等の増加により営業利益95億円(同△17億円、△15.6%)と減益。その他は営業収益546億円(同+33億円、+6.6%)、営業利益16億円(同△4億円、△20.2%)だった。調整額の営業利益△7億円は、前期の東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化に伴う未実現利益の実現の反動減による。

セグメント営業収益 2026年3月期営業収益 2025年3月期営業利益 2026年3月期営業利益 2025年3月期
不動産事業839億円4,806億円123億円2,376億円
ホテル・レジャー事業2,504億円2,412億円226億円186億円
都市交通・沿線事業1,567億円1,526億円95億円113億円
その他546億円512億円16億円20億円
調整額△326億円△247億円△7億円230億円
連結数値5,132億円9,011億円455億円2,927億円
セグメント別営業収益・営業利益(対前期)
出典:西武ホールディングス 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.4

不動産事業の内訳(百万円)は、開発・賃貸業が営業収益34,803百万円(前期比△21.5%)・営業利益13,585百万円(同△24.9%)、投資運用業が営業収益9,785百万円(同△97.6%)・営業利益5,604百万円(同△97.6%)、マネジメント業が営業収益15,946百万円(同+90.9%、グループ内組織再編に伴うプロパティマネジメント業務受委託等の発生による。不動産事業セグメント合計では損益影響なし)、その他が営業収益23,464百万円(同△4.8%)。償却前営業利益は20,647百万円(同△91.7%)となった。建物賃貸物件の期末貸付面積は商業施設280千㎡(前期比△9千㎡)、オフィス・住宅130千㎡(同+18千㎡)、期末空室率は商業施設1.4%(同△0.2pt)、オフィス・住宅4.5%(同+1.6pt)。西武不動産投資顧問がアセットマネジメント契約を締結している資産の取得価格ベースのAUMは2026年3月末時点で3,876億円と記載されている。

ホテル・レジャー事業(百万円)は、国内ホテル業(保有・リース)が営業収益153,896百万円(前期比+1.4%)・営業利益36,492百万円(同+16.4%)、国内ホテル業(MC・FC)が営業収益15,804百万円(同+22.6%)・営業利益2,784百万円(同+50.8%)、海外ホテル業(保有・リース)が営業収益36,686百万円(同+8.1%)・営業損失1,711百万円、スポーツ業(保有・リース)が営業収益16,244百万円(同+4.5%)・営業利益3,369百万円(同+48.7%)。償却前営業利益は40,307百万円(同+19.6%)となった。国内ホテル業(全体)のRevPARは17,603円で前期比+10.6%、平均販売室料は23,432円(同+5.4%)、客室稼働率は75.1%(同+3.5pt)。資料では、中国の渡航自粛や中東情勢の緊迫化があった中で、北米・欧州・豪州を中心としたインバウンド個人客や邦人客を取り込んだことにより前期比で増加したと説明している。国内ホテル業(保有・リース)の外国人宿泊客数は1,175千人(同△0.4%)、外国人客比率は34.2%(同△0.3pt)、室料収入における外国人客は40,161百万円(同+3.9%)で構成比50.1%(同+0.2pt)となった。

ホテル・レジャー事業 概況と国内ホテル業(保有・リース)の営業収益構成
出典:西武ホールディングス 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.16

都市交通・沿線事業(百万円)は、鉄道業が営業収益107,019百万円(前期比+2.7%)・営業利益21,710百万円(同△9.5%)、バス業が営業収益25,557百万円(同+2.7%)・営業利益1,106百万円(同+0.5%)、沿線生活サービス業が営業収益17,835百万円(同+3.5%、駅ナカ・コンビニ「トモニー」の収入の増加)・営業利益3,382百万円(同△5.5%)。償却前営業利益は34,494百万円(同+1.6%)。鉄道業の運輸収入は前期比+2.8%・+27億円で、内訳は定期が+2.0%・+8億円(うち運賃改定効果(単価上昇、駆込需要)+1億円)、定期外が+3.3%・+19億円(うち運賃改定効果(単価上昇)+3億円)。西武鉄道の輸送人員は619,219千人(同+2.3%)、旅客運輸収入は101,266百万円(同+2.8%)、乗車効率は37.0%(前期36.2%)となった。

都市交通・沿線事業 概況と四半期推移
出典:西武ホールディングス 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.20

会社予想との比較(2026年3月期)

営業収益および各段階利益は2026年2月12日公表予想を上回って着地した。なお資料には、2026年4月30日に連結業績予想の修正に関する開示を行ったが、参考として2026年2月12日公表の修正前の業績予想を記載している旨の注記がある。親会社株主に帰属する当期純利益は、一部の連結子会社の繰延税金資産の回収可能性に関して会社分類の変更に向けた精査を行った結果、繰延税金資産および法人税等調整額(益)を計上したことで大幅に上振れて着地した。セグメント別では、不動産事業がエクイティ出資持分の売却等により営業収益で上振れ、開発に関する調査費の下振れもあり営業利益123億円(予想比+13.7%)。都市交通・沿線事業は鉄道やバスの運輸収入の上振れに加え、固定資産除却費や減価償却費等の下振れにより営業利益95億円(同+17.9%)。ホテル・レジャー事業は宴会部門の上振れおよびAce Group Internationalの連結子会社化により営業収益は上振れたが、販管費・減価償却費・修繕費等の上振れにより営業利益226億円(同△0.6%)となった。本資料に2027年3月期の連結業績予想の記載はない。

項目2026年3月期 予想(2026年2月12日公表)2026年3月期 実績対予想(増減額・率)
営業収益5,110億円5,132億円+22億円(+0.4%)
営業利益420億円455億円+35億円(+8.4%)
償却前営業利益1,000億円1,028億円+28億円
経常利益410億円458億円+48億円
親会社株主に帰属する当期純利益290億円388億円+98億円
セグメント別営業収益・営業利益(対予想)
出典:西武ホールディングス 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.5

財政状態・キャッシュ・フロー

2026年3月期末の総資産は17,306億円(前期末比△1,034億円)、負債は11,561億円(同△1,108億円)、純資産は5,745億円(同+74億円)、自己資本比率は32.9%(同+2.2pt)。ネット有利子負債は5,893億円(同+2,050億円)、有利子負債期末残高は655,528百万円(同△14,018百万円)、D/Eレシオは1.2倍、ネット有利子負債/EBITDA倍率は5.7倍(前期1.1倍)となった。キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローが1,528百万円(前期474,378百万円)、投資キャッシュ・フローが△145,757百万円、フリー・キャッシュ・フローが△144,228百万円。現金及び現金同等物の期末残高は56,107百万円で、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化による一時的な増加が解消した。設備投資は合計150,730百万円(前期比+47,478百万円)で、不動産事業44,320百万円、ホテル・レジャー事業49,809百万円、都市交通・沿線事業48,982百万円。減価償却費合計は56,156百万円(同+2,468百万円)となった。

項目2026年3月期末2025年3月期末対前期
総資産17,306億円18,341億円△1,034億円
負債11,561億円12,669億円△1,108億円
純資産5,745億円5,671億円+74億円
自己資本5,687億円5,615億円+71億円
ネット有利子負債5,893億円3,842億円+2,050億円
自己資本比率32.9%30.6%+2.2pt
西武ROIC2.5%16.1%△13.6pt
ROE6.9%52.2%△45.4pt
ROA2.2%14.9%△12.7pt

株主還元

本資料に配当に関する具体的な記載はない。財務キャッシュ・フローは△76,733百万円(前期△136,394百万円)で、摘要には当期の主な内容として「自己株式の取得など」(前期は「借入金の返済、自己株式の取得など」)と記載されている。連結貸借対照表サマリーでは、自己資本の増加7,182百万円の主な内訳として利益剰余金+27,070百万円、自己株式+21,275百万円、その他有価証券評価差額金+20,238百万円、資本剰余金△68,886百万円が挙げられている。

非財務KPI・トピック

非財務KPIでは、CO2排出量(Scope1+2)が2024年度に2018年度比△55.6%(前年度比△27.5%)となり、長期目標(2050年度)のネットゼロに向け、中期目標として2040年度に2018年度比△77%、2035年度に同△73%、短期目標として毎年度前年度比△5%を掲げている。CDP気候変動において国内の鉄道事業者で初となる最高評価Aリストに初選定された。社有地の環境保全地区化率は2026年3月末で21.4%(2,144万㎡)、2030年度目標は社有地全体の30%(3,000万㎡)。エンゲージメントスコアは2026年2月調査でB 50.1(2025年7月はB 49.4、目標値A 58.0)。2026年4月には第6回無担保社債としてグリーン・ネイチャーボンドを、合わせて第7回無担保社債としてソーシャルボンドを発行した。モニタリング指標では、SEIBU PRINCE CLUB会員数が当初設定していた2027年3月期の目標を1年前倒しで達成したと記載され、フォーブス・トラベルガイド2026の5つ星受賞施設は3施設(ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町、高輪 花香路、The Prince Akatoki London)となっている。

※本記事は西武ホールディングスが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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