※本記事はフルヤ金属が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
フルヤ金属の2026年6月期(第58期、2025年7月~2026年6月)は、情報通信市場・半導体市場・エレクトロニクス市場における底堅い需要とデータセンター関連需要の強さを背景に、売上高及び全ての利益項目で過去最高となった。売上高は初めて1,000億円を超え1,001億円(前年実績+427億円)、売上総利益は302億円(前年実績+160億円)となった。貴金属市況が年間を通して上昇基調で推移し、ドル円相場も計画水準より円安で推移したことが追い風となった。セグメント別では全てのセグメントが前年実績を上回り、特に医療装置用ルツボと光ケーブル(アイソレーター)用ルツボが好調であった電子セグメントと、ハードディスク用ターゲット材が好調であった薄膜セグメントが全体を牽引した。
連結業績(2026年6月期 実績)
上期は情報通信市場、半導体市場、エレクトロニクス市場で設備投資を含めた底堅い需要があり、データセンター関連の需要の強さが出荷増加につながった。下期においても底堅い需要が続いたが、米国の一律関税発表により一部製品で影響が出た。既に第4四半期に回復しており大きな影響はなかったとしている。下期には緊迫した中東情勢など地政学リスクが懸念されたが、影響は生じていないとしている。ファインケミカル・リサイクルセグメントでは、回収精製体制及び関連資産の見直しに伴う一過性の費用が発生した。
| 項目 | 当期(2026年6月期) | 前期(2025年6月期) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 100,139百万円 | 57,379百万円 | +74.5% |
| 売上総利益 | 30,272百万円 | 14,188百万円 | +113.4% |
| 売上総利益率 | 30.2% | 24.7% | +5.5pt |
| 販管費 | 5,477百万円 | 4,650百万円 | +17.8% |
| 営業利益 | 24,794百万円 | 9,538百万円 | +160% |
| 経常利益 | 24,664百万円 | 9,389百万円 | +162.7% |
| 経常利益率 | 24.6% | 16.4% | +8.2pt |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 16,034百万円 | 6,468百万円 | +147.9% |

セグメント別概況
電子セグメントは、がん診断装置(PET)を含む医療機器用ルツボ等が好調に推移し、米国関税の影響で第3四半期に落ち込んだが回復した。光ケーブルのアイソレーター製造用のルツボ等は受注が急増し、携帯電話SAWフィルターの結晶製造用ルツボは漸増傾向で回復の兆しが見られるとしている。薄膜セグメントは、HDD用ルテニウムターゲット材がデータセンター投資の需要を背景に強い伸びとなり、EUV用ターゲット材を含む半導体用も堅調に推移した。サーマルセグメントは、半導体製造設備投資再開に伴い半導体製造装置メーカー向け純正品の受注が増加し、底堅い交換需要も取り込んだ。ファインケミカル・リサイクルセグメントは、苛性ソーダ電極向け触媒が前期の特注案件の剥落から第3四半期に回復傾向となり、有機EL用のイリジウム化合物も堅調に推移した一方、第4四半期に回収精製体制及び関連資産の見直しに伴う一時的な費用を計上した。サプライチェーン支援セグメントは、地金取引の引き合いに対応して販売するとともにバランスシートのリバランスを実施し、地金市況の上昇に伴いトレーディングの利益率も増加した。
| セグメント | 指標 | 当期 | 前期 |
|---|---|---|---|
| 電子 | 売上高 | 10,807百万円 | 5,904百万円 |
| 電子 | 売上総利益 | 3,361百万円 | 1,729百万円 |
| 薄膜 | 売上高 | 18,034百万円 | 11,271百万円 |
| 薄膜 | 売上総利益 | 9,494百万円 | 4,305百万円 |
| サーマル | 売上高 | 6,688百万円 | 4,860百万円 |
| サーマル | 売上総利益 | 2,326百万円 | 1,548百万円 |
| ファインケミカル・リサイクル | 売上高 | 27,701百万円 | 26,328百万円 |
| ファインケミカル・リサイクル | 売上総利益 | 9,161百万円 | 6,458百万円 |
| サプライチェーン支援 | 売上高 | 19,044百万円 | 7,653百万円 |
| サプライチェーン支援 | 売上総利益 | 2,331百万円 | 40百万円 |
通期業績予想(2027年6月期)
コア事業(五本柱)が好調に推移し、2期連続で過去最高売上高、最高益更新を予想している。売上高1,010億円(前年比+8億円)、経常利益260億円(前年比+13億円)を見込む。前提となる想定為替レートは1ドル=155円、想定金属価格はイリジウムUS$6,000/toz、ルテニウムUS$1,400/toz(期中平均)としている。セグメント別では、電子は医療機器用ルツボ及び光ケーブル用ルツボ等の好調継続により増収増益を、薄膜はデータセンター向けHDD用ターゲット材が好調に推移する一方で増産に伴う新規出荷分の先行コスト増加を、サーマルは純正品の受注好調に加え新千歳工場稼働による償却費増加を、ファインケミカル・リサイクルは電極向け触媒の回復基調継続と有機ELの漸増を見込む。サプライチェーン支援は当面の需要見込みのみを計画に織り込んでいるとしている。
| 項目 | 予想(2027年6月期) | 実績(2026年6月期) | 前期比増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 101,000百万円 | 100,139百万円 | +0.9% |
| 売上総利益 | 33,000百万円 | 30,272百万円 | +9.0% |
| 販売費及び一般管理費 | 6,500百万円 | 5,477百万円 | +18.7% |
| 営業利益 | 26,500百万円 | 24,794百万円 | +6.9% |
| 経常利益 | 26,000百万円 | 24,664百万円 | +5.4% |
| 当期純利益 | 17,700百万円 | 16,034百万円 | +10.3% |


株主還元
当期(2026年6月期)の年間配当金は165円(配当性向25%)で、前年実績96円から69円の増配となった。来期(2027年6月期)は180円を予定している。配当額の推移は2022年6月期85円、2023年6月期85円、2024年6月期95円(東証プライム市場上場記念配当を含む)、2025年6月期96円、2026年6月期165円、2027年6月期(予想)180円で、2022年6月期から2024年6月期の1株当たり配当金は2022年6月期期初に株式分割が行われたと仮定した金額で記載されている。同社は2024年7月1日を効力発生日とする普通株式1株につき3株の株式分割を実施している。
| 決算期 | 配当額 | 備考 |
|---|---|---|
| 2022年6月期 | 85円 | — |
| 2023年6月期 | 85円 | — |
| 2024年6月期 | 95円 | 東証プライム市場上場記念配当を含む |
| 2025年6月期 | 96円 | — |
| 2026年6月期 | 165円 | 前年比+69円 |
| 2027年6月期(予想) | 180円 | — |

中期経営計画(KFKビジョン2030)
半導体・データセンター市場を中心とした需要への対応により過去最高の業績を達成し、中期計画の利益目標も前倒しで達成したとしている。KFKビジョン2030の目指す姿は変わらないものの、2030年目標数値を見直すとしており、計画当初の目標数値は売上高1,500億円、経常利益200億円であった。2026年6月期実績は売上高1,001億円、経常利益246億円、ROE22.4%、ROIC17.3%で、前年(2025年6月期実績)の売上高573億円、経常利益93億円、ROE10.3%、ROIC7.4%から大きく伸長した。成長投資計画としては、コア技術の進化・新技術の獲得に向けた戦略投資として300億円規模の成長投資を実施する方針で、設備投資、研究開発費、M&A等の費用を含むとしている。
※本記事はフルヤ金属が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。