※本記事は資生堂が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
資生堂の2025年12月期は、売上高9,700億円(実質成長率マイナス2%)、コア営業利益445億円(コア営業利益率4.6%)となった。減収環境下ではあったものの、構造改革とコストマネジメントを着実に実行した結果、コア営業利益は82億円の増益となり、期初計画の365億円を上回る4期ぶりの期初計画達成となった。一方、非経常項目では733億円の費用を計上し、米州事業におけるのれんの減損によってROIC・ROEはともに大幅なマイナスとなった。フリーキャッシュフローは運転資本の改善や設備投資の見直し等により665億円へ大きく向上。2026年12月期はコア営業利益690億円・コア営業利益率7%、ROIC5%、ROE7%、フリーキャッシュフロー500億円を目標とし、年間配当は一株当たり60円への増配を予定している。
連結業績(当期 実績)
2025年12月期の売上高は9,700億円、実質成長率はマイナス2%となり、第3四半期に示した売上見通しからやや下振れた。主因は米州事業の苦戦である。コア営業利益は445億円で、注力ブランドの成長によるミックス改善に加え、全社的なコストマネジメントの強化と構造改革効果が大きく貢献し、82億円の増益となった。非経常項目では733億円の費用を計上しており、第4四半期にはグローバル本社の希望退職プログラムにかかる費用などが含まれる。損益構造では、売上原価率が23.3%と前年から0.6ポイント改善(偏在在庫償却引当の減少、ブランド・SKUミックスの改善等)、マーケティング投資比率は29.3%と0.7ポイント上昇、人件費は前年比110億円の減少(構成比0.6ポイント改善)、経費は85億円の減少となった。フリーキャッシュフローは665億円で、前年から1,018億円の増加となっている。なお、コア営業利益445億円は、売却影響等を除いた継続事業ベースで2020年以来の最高益となる水準と説明された。
| 項目 | 2025年12月期(実績) | 前期比・補足 |
|---|---|---|
| 売上高 | 9,700億円 | 実質成長率 マイナス2% |
| コア営業利益 | 445億円 | 82億円の増益(期初計画365億円を上回り4期ぶりに期初計画達成) |
| コア営業利益率 | 4.6% | 開示なし |
| 非経常項目 | 733億円の費用 | 第4四半期にグローバル本社の希望退職プログラム費用等を含む |
| フリーキャッシュフロー | 665億円 | 1,018億円の増加 |
| 売上原価率 | 23.3% | 0.6ポイント改善 |
| マーケティング投資比率 | 29.3% | 0.7ポイント上昇 |
| 人件費 | 開示なし | 前年比110億円の減少(構成比0.6ポイント改善) |
| 経費 | 開示なし | 前年比85億円の減少 |
| 設備投資の売上高比率 | 4.6% | 2024年は5.1% |
| コスト削減効果 | 270億円 | 当初計画250億円を上回る |

地域別(事業別)の状況
地域別売上高は第4四半期がプラス1%、下期はプラス2%(第3四半期の中国・トラベルリテールにおける出荷前倒し影響や欧州のローハードル影響をならしたベース)で、その中でも注力ブランドはプラス4%と成長をけん引した。日本はインバウンド市場が12月から鈍化した一方、ローカル市場でコアブランドが成長しシェアを3年連続で拡大、コア営業利益は131億円の増益、マージンは前期比4ポイント改善の13%となった。中国・トラベルリテールは売上高が減収となったものの当初計画は上回り、構造改革による固定費削減やコストマネジメントで減益幅を抑え、コア営業利益645億円・利益率18.7%と高い収益性を維持した。米州はDrunk ElephantやDr. Dennis Gross Skincareの苦戦により、コア営業利益は116億円の損失となった。アジアパシフィックは東南アジアの回復により全体で成長しコア営業利益も増益、欧州はZadig&Voltaireを中心とするフレグランスやNARSの新商品が成長をけん引しコア営業利益は13億円の増益となった。
| 地域 | 指標 | 2025年12月期 | 前期比・補足 |
|---|---|---|---|
| 日本 | コア営業利益 | 開示なし | 131億円の増益 |
| 日本 | コア営業利益率 | 13% | 前期比4ポイントの改善 |
| 中国・トラベルリテール | コア営業利益 | 645億円 | 減益(構造改革・コストマネジメントで減益幅を抑制) |
| 中国・トラベルリテール | コア営業利益率 | 18.7% | 高い収益性を維持 |
| 中国・トラベルリテール | 売上高 | 開示なし | 減収(当初計画は上回る) |
| 米州 | コア営業利益 | 116億円の損失 | 減収・関税影響・原価悪化を構造改革効果等で軽減 |
| アジアパシフィック | コア営業利益 | 開示なし | 増益 |
| 欧州 | コア営業利益 | 開示なし | 13億円の増益 |

通期業績予想
2026年12月期は、全ての項目で前期比大幅な改善を見込む。注力領域への投資継続と下期から改善傾向にあるモメンタムの取り込み、2026年も継続する戦略的な価格改定、2025年にアクションを実施済みで発現が確実とする250億円の構造改革効果に加え、世界的なインフレを加味した昇給や関税費用等を織り込み、コア営業利益率7%となる690億円を見込む。資本効率指標はROIC5%、ROE7%、フリーキャッシュフローは500億円を目標とし、設備投資の売上高比率は4%へ縮減する。非経常項目は100億円の費用を想定し、生産・物流体制、オフィスの最適化を含む構造改革に取り組む。日中関係悪化の影響については、中国・トラベルリテールと日本のインバウンドを合わせて売上で約100億円程度、利益で約30億円程度の悪化を第1四半期のみに織り込んでおり、第2四半期以降は第1四半期よりも相対的に改善する計画としている。質疑応答では、2026年の増収率は約3%の計画であり、価格値上げの影響は約100億円と試算しているが、数量減とのネットで限界利益増・値上げ効果を算定していると説明された。
| 項目 | 2026年12月期(見通し) | 2025年12月期(実績) |
|---|---|---|
| コア営業利益 | 690億円 | 445億円 |
| コア営業利益率 | 7% | 4.6% |
| ROIC | 5% | 大幅なマイナス |
| ROE | 7% | 大幅なマイナス |
| フリーキャッシュフロー | 500億円 | 665億円 |
| 非経常項目 | 100億円の費用 | 733億円の費用 |
| 構造改革効果 | 250億円 | 270億円のコスト削減効果 |
| 設備投資の売上高比率 | 4% | 4.6% |
| 年間配当金 | 60円/株 | 開示なし |

株主還元
2026年の年間配当は、一株当たり60円への増配を予定している。アクションプランの確実な実行によりコア営業利益、キャッシュフローともに計画を上回る結果を得たことに加え、将来に向けた財務の見通しに対する確信が高まったことが背景で、今回の増配は短期的な業績変動に基づくものではなく、事業基盤の改善を通じて中長期にわたって安定した株主還元が可能であると判断した結果と位置づけている。成長投資は引き続き最優先で確保しており、その余地を損なう形での株主還元は行わない方針。2030中期経営戦略では、強固なキャッシュ創出力の確立と、成長投資・負債返済・配当という明確な優先順位に基づくキャッシュアロケーションを掲げており、生み出されたフリーキャッシュフローを配当と有利子負債の返済に規律を持って配分していくとしている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 2026年 年間配当(予定) | 一株当たり60円への増配 |
| 増配の考え方 | 短期的な業績変動に基づくものではなく、事業基盤の改善を通じて中長期にわたり安定した株主還元が可能と判断 |
| キャッシュアロケーション | 成長投資・負債返済・配当という明確な優先順位(2030中期経営戦略) |
| 成長投資との関係 | 成長投資は引き続き最優先で確保し、その余地を損なう形での株主還元は行わない |

中期経営計画/トピック
2026年は2030中期経営戦略の初年度と位置づけられている。事業構造面では、中国市場への過度な依存構造の是正が進み、2025年は中国・トラベルリテールが減益となる中でも日本を中心とした他地域の増益によってグループ全体で増益を達成した。ブランドポートフォリオでは、コア・ネクストブランドの売上構成比が2021年の60%後半から2025年には70%後半へ拡大。生産性面では、日本、中国、米州、グローバル本社での最適化により人員数を大幅に減らしながら売上規模は約1兆円を維持し、1人当たり売上高が大きく改善した。アセットライトも進め、国内保有資産は2021年度対比で約10%圧縮している。2026年は市場に投入する新製品の数と期待売上規模が昨年比20%増となる予定で、イノベーション面では2026年から2028年までに10以上の最新技術をコアブランドへ搭載またはブランド横断で活用する計画。2026年は5件の骨太な最新技術のブランド横断展開に向けた準備が完了している。人財戦略では、重要KPIとする女性管理職比率が2030年目標の50%に向けて順調に推移しており、行動指針としてThe Shiseido Wayを策定した。ガバナンス面では、新任社外取締役候補者3名を選定している。
※本記事は資生堂が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。