※本記事はENECHANGEが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
ENECHANGEは2026年3月期(2025年4月~2026年3月)の連結業績を発表した。通期売上高は前期比+28%の6,697百万円、調整後EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用)は653百万円で着地し、当期純利益は130百万円となり上場以来初の黒字化を達成した。会社は新経営陣による利益優先の事業方針への変更や営業体制刷新等により1人当たりの生産性が向上し、コストをコントロールしつつ利益成長できる筋肉質な事業構造に変容したとしている。
なお、比較に用いる前期以前の実績は組替後の参考値である点に注意が必要。会社の決算期は、現行の2026年3月期の一期前に相当する期間(本文中「2025年3月期相当」)が15か月決算、その前の期間(本文中「2024年3月期相当」)が12月決算であり、2026年3月期(2025年4月~2026年3月の12か月)と比較するため、いずれも4月~翌3月の12か月累計に組み替え、旧EV充電事業の数値を控除して算出したものであることが資料に明記されている。また、「EV充電事業」は中部電力ミライズとの合弁会社化によりミライズエネチェンジが当社の持分法適用関連会社となっている。

連結業績(2026年3月期 実績)
売上高は、家庭電力切替の堅調な獲得と単価上昇、法人電力切替の拠点数拡大と顧客の大型化、ストック売上の積み上がり、SaaS・システム開発の大型案件計上等により前期比+28%となった。売上総利益は同+31%の5,905百万円。販管費は同+10%の5,312百万円で、うち広告宣伝費・販促費は同+35%の2,808百万円と増加した一方、事業部固定費は同△14%の1,423百万円、本社費は同△1%の1,080百万円に抑制された。営業利益は592百万円(前期は△305百万円の損失)となり黒字転換し、調整後EBITDAは653百万円(前期は△202百万円)となった。当期純利益は130百万円(前期は△1,757百万円の損失)となり、上場以来初の黒字化を達成した。
| 項目 | 2024年3月期相当(組替後参考値) | 2025年3月期相当(組替後参考値) | 2026年3月期(当期実績) | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,529百万円 | 5,239百万円 | 6,697百万円 | +28% |
| うちストック売上高 | 2,005百万円 | 2,445百万円 | 2,583百万円 | +6% |
| 売上総利益 | 3,860百万円 | 4,519百万円 | 5,905百万円 | +31% |
| 販管費 | 4,313百万円 | 4,825百万円 | 5,312百万円 | +10% |
| 広告宣伝費・販促費 | 2,123百万円 | 2,075百万円 | 2,808百万円 | +35% |
| 事業部固定費 | 1,331百万円 | 1,659百万円 | 1,423百万円 | △14% |
| 本社費 | 858百万円 | 1,090百万円 | 1,080百万円 | △1% |
| 営業利益 | △453百万円 | △305百万円 | 592百万円 | - |
| 調整後EBITDA | △339百万円 | △202百万円 | 653百万円 | - |
| 当期純利益 | 開示なし | △1,757百万円 | 130百万円 | +1,887百万円(黒字転換) |

財務基盤
2026年3月末時点の現預金は約43億円、純資産は約46億円、有利子負債は約11億円だった。2025年3月末実績との比較では、有利子負債が約6億円から約11億円に増加した一方、現預金は約45億円から約43億円、純資産は約47億円から約46億円となった。2025年3月末時点の自己資本比率は61.9%だった。会社は財務基盤は安定しているとし、資本効率を意識して選択的に現預金を投下していく方針としている。
| 項目 | 2025年3月末実績 | 2026年3月末実績 |
|---|---|---|
| 現預金 | 約45億円 | 約43億円 |
| その他資産 | 約31億円 | 約31億円 |
| 有利子負債 | 約6億円 | 約11億円 |
| 純資産 | 約47億円 | 約46億円 |
| その他負債 | 約23億円 | 約17億円 |
| 自己資本比率 | 61.9% | 開示なし |

資本配分の方針
会社は現預金の活用について、既存事業への再投資、規律あるM&A投資、自己株買い、その他株主還元(配当・優待等)の4つの選択肢を網羅的に検討するとしている。既存事業の強固なキャッシュ創出力を活かし、追加の外部調達に頼らず更なる成長機会へ再投資する方針を示す一方、自社株価が割安と判断した場合には高いリターンの見込める自己株式の取得を検討するとしている。有利子負債の返済については、金利削減による利益改善効果は限定的と認識しており、より高いROICが見込める投資機会への資金配分を優先するとしている。なお、配当や自己株式取得の具体的な実施は本資料には記載されていない。
各ソリューション領域の状況(2026年3月期第4四半期実績・期末KPI)
家庭電力切替は、獲得顧客あたりの単価上昇に伴いフロー売上高が第4四半期(2026年1-3月)単体で1,222百万円(前期比+76%)と好調に推移した。継続ユーザー数は2026年3月末時点で270千件(ユーザー獲得戦略の見直しにより微減)、ストックARPUは750円(前期比+9%、副商材等の販売伸長による)。法人電力切替は、小規模拠点の営業体制強化や副商材(非化石証書等)の販売拡大によりフロー売上高が第4四半期YoY+353%と好調で、継続拠点数は2026年3月末時点で17,718件(資料のハイライトでは「約18千件」、前期比+15%、小規模拠点獲得の伸長による)、ストックARPUは16,597円(前期比△9%、小規模拠点数が相対的に増加したことによる)。SaaS・システム開発は、第4四半期の売上高が前年同期比でほぼ横ばいとなったが、ストック売上高は同+5%と成長した。顧客数は42社で横ばい(クロスセル・アップセルにフォーカス)。資料は、次なる成長の柱である新電力向け基幹システムの開発を開始したとしている。
| ソリューション領域 | 指標 | 2026年3月期第4四半期(1-3月) | 前期比(Q4) |
|---|---|---|---|
| 電力切替(合計) | 売上高 | 1,768百万円 | 開示なし |
| 家庭電力切替 | 売上高 | 1,424百万円 | 開示なし |
| 家庭電力切替 | フロー売上高 | 1,222百万円 | +76% |
| 家庭電力切替 | ストック売上高 | 202百万円 | +4% |
| 家庭電力切替 | 継続ユーザー数(期末) | 270千件 | 開示なし |
| 家庭電力切替 | ストックARPU(期末) | 750円 | +9% |
| 法人電力切替 | 売上高 | 344百万円 | 開示なし |
| 法人電力切替 | ストック売上高 | 294百万円 | +5% |
| 法人電力切替 | 継続拠点数(期末) | 17,718件 | +15% |
| 法人電力切替 | ストックARPU(期末) | 16,597円 | △9% |
| SaaS・システム開発 | 売上高 | 261百万円 | ほぼ横ばい |
| SaaS・システム開発 | ストック売上高 | 180百万円 | +5% |
| SaaS・システム開発 | 顧客数(期末) | 42社 | 横ばい |
通期業績予想(2027年3月期)
会社は2027年3月期の通期見通しとして、売上高68億円、調整後EBITDA6.5億円、当期純利益5.5億円を掲げている。調整後EBITDAはほぼ横ばいの見通しだが、前期実績(一過性要因控除後)比較では2.3倍の増益になるとしている。一過性要因としては、前期以前に受注したSaaS・システム開発案件の履行義務の提供完了が当期(2026年3月期)に集中したことによる影響、及び法人電力切替の一部のストック収益、並びに販促費の一括精算の影響を挙げている。当期純利益は前期比4倍超の成長を目指すとし、既存事業の堅調な成長に加え、EV充電事業合弁会社に関する持分法投資損失の追加計上はないとしている。今期のROE(自己資本利益率、当期純利益を期首自己資本と期末自己資本の平均値で除して算出)は二桁を見込むとしている。2027年3月期中に新電力向け基幹システム開発を完了し、2028年3月期には拡販を開始する計画で、電源仲介等のソリューション領域の拡大や投資ビジネスの再興も促進するとしている。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 前期比等 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,697百万円(約67億円) | 68億円 | 開示なし |
| 調整後EBITDA | 653百万円(6.5億円) | 6.5億円 | ほぼ横ばい(前期実績の一過性要因控除後比較では2.3倍の増益) |
| 当期純利益 | 130百万円(1.3億円) | 5.5億円 | 前期比4倍超の成長を目指す |
| ROE | 開示なし | 10%超を見込む | - |

中期目標
会社は既存事業の拡大と次なる成長への投資を両立し、2028年3月期に調整後EBITDA12.5億円の達成を目指すとしている。内訳として、家庭・法人電力切替における既存事業でのアップサイド、事業者向けSaaS・システム開発における新電力向け基幹システムのリリース及び拡販、電源仲介等の拡大・海外投資事業の再興等「次なる成長エリア」の3つの領域での利益成長を通じて目標達成を図るとしている。
※本記事はENECHANGEが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。