※本記事は名古屋鉄道が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
名古屋鉄道は2026年5月18日、「2026年3月期 投資家様向け決算説明会資料」を公表した。2026年3月期の連結業績は、営業収益が691,583百万円(前期比0.1%増)、営業利益が36,185百万円(同14.0%減)の増収・減益となった。連結子会社が加入した交通事業を中心に増収となった一方、人件費などの営業費用の増加や特殊要因の剥落などにより各段階利益で減益となった。あわせて、2027年3月期からの下限配当の設定(1株当たり年間配当金60円)など株主還元の拡充も示した。
連結業績(2026年3月期 実績)
営業収益は交通事業やレジャー・サービス事業で増収となる一方、不動産事業(分譲)や運送事業で減収となり、全体では前期比863百万円の増収。営業利益は運送事業や不動産事業(分譲)の減益が響き、前期比5,890百万円の減益となった。経常利益は持分法による投資利益の減少などにより減益、親会社株主に帰属する当期純利益は負ののれん発生益の剥落や法人税等の増加などにより減益となった。なお、前回予想(11月時点)に対しては、連結全体では減収ながら、交通事業の増益により各段階利益で増益となっている。
| 項目(百万円) | 2026/3 | 2025/3 | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 691,583 | 690,720 | 863 | 0.1% |
| 営業利益 | 36,185 | 42,076 | △5,890 | △14.0% |
| 経常利益 | 38,363 | 47,671 | △9,307 | △19.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 22,954 | 37,733 | △14,778 | △39.2% |
セグメント別の状況
前期比では「交通事業」「レジャー・サービス事業」「航空関連サービス事業」「その他の事業」で増収・増益、「流通事業」で増収・減益、「運送事業」「不動産事業」で減収・減益となった。交通事業は、バス事業で前期に連結加入した宮城交通グループの収入寄与や鉄軌道輸送人員の増加により増収・増益。運送事業はトラック事業の貨物取扱量の減少により減収、収支悪化により赤字幅が拡大した。不動産事業は分譲マンション販売の引渡戸数減少(727戸、前期893戸)により減収・減益。レジャー・サービス事業は観光需要の回復によりホテル業や観光施設事業を中心に増収・増益。流通事業は名鉄百貨店本店の閉店セールが盛況に推移し増収も、その他物品販売の収支悪化などにより赤字幅が拡大した。航空関連サービス事業はヘリコプター事業や機内食事業の受注増加により増収・増益、その他の事業はシステム関連の受注増加などにより増収・増益となった。
| セグメント(百万円) | 営業収益 2026/3 | 営業収益 2025/3 | 営業利益 2026/3 | 営業利益 2025/3 |
|---|---|---|---|---|
| 交通事業 | 178,272 | 159,825 | 21,803 | 19,602 |
| 運送事業 | 170,758 | 180,183 | △7,711 | △3,721 |
| 不動産事業 | 114,779 | 129,028 | 13,573 | 18,947 |
| レジャー・サービス事業 | 106,779 | 102,682 | 3,429 | 2,546 |
| 流通事業 | 69,635 | 69,112 | △1,900 | △1,292 |
| 航空関連サービス事業 | 32,635 | 29,781 | 2,583 | 2,266 |
| その他の事業 | 69,584 | 67,973 | 5,340 | 4,622 |
| 調整額 | △50,861 | △47,867 | △932 | △895 |
| 合計 | 691,583 | 690,720 | 36,185 | 42,076 |

通期業績予想(2027年3月期)
2026年4月よりセグメント区分と名称の一部を変更し、開示セグメントを7セグメントから5セグメントに再編した(「航空・情報・技術サービス事業」「レジャー・生活サービス事業」を新設。業績予想における2025年度実績は組み替えて表示)。2027年3月期は、名鉄百貨店の閉店があったレジャー・生活サービス事業で減収となるものの、不動産事業を中心に増収を見込み、全体で増収を予想。営業利益は運送事業における収支改善(トラック事業+109億円)を見込み全体で増益、経常利益は営業外損益の悪化を営業増益で吸収して増益、当期純利益は投資有価証券売却益の増加等により増益となる見通しとしている。
| 項目(百万円) | 2027/3 今回予想 | 2026/3 実績 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 734,000 | 691,583 | 6.1% |
| 営業利益 | 45,000 | 36,185 | 24.4% |
| 経常利益 | 47,000 | 38,363 | 22.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 39,000 | 22,954 | 69.9% |

株主還元
株主還元方針として、連結配当性向30%以上を維持したうえで、株主還元の安定性を確保するため1株当たり年間配当金60円の下限配当を設定する(2026年度から適用)。2026年度の配当は、業績予想(当期純利益390億円、ROE8.0%)における連結配当性向30%の水準である1株当たり年間配当金60.0円を予想する。また、必要に応じて機動的に自己株式取得を実施するほか、個人株主の長期保有を促進するため、長期保有株主を対象に株主優待乗車証を追加するなど株主優待も強化する。
| 年度 | 1株当たり年間配当金 |
|---|---|
| 2024年度(実績) | 38.5円 |
| 2025年度(実績) | 40.0円 |
| 2026年度(予想) | 60.0円 |

今後の経営の方向性(トピック)
名古屋駅地区再開発計画については、2025年12月に再検証および見直しを公表しており、2026年度中に方向性を示す予定。事業の実現性や財務健全性を踏まえて、難易度やリスクを下げ、投資規模を縮小することを前提に検討を進め、新たな外部パートナーの導入も並行して検討する。資本効率向上に向けては、ファンド・リートの活用や外部売却等による保有資産の流動化(2024年度~2030年度に1,300億円、2024年度~2025年度に250億円を流動化済)、政策保有株式の売却(2024年度~2030年度に600億円、2024年度~2025年度に99億円を売却済)を進めるほか、事業ポートフォリオマネジメントの一環として、運送(フォワーダー)事業の名鉄ワールドトランスポートの澁澤倉庫への外部売却を決定した(2026年5月11日公表)。重視する経営指標では、2026年度は営業利益450億円(目標500億円に対し未達)を予想するものの、ROE8.0%(目標8%程度)、純有利子負債/EBITDA倍率6.7倍(目標6倍台)と、資本効率向上に向けた計画的な保有資産の流動化と設備投資のコントロールにより目標の達成を見込む。

※本記事は名古屋鉄道が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。