東陽テクニカ

東陽テクニカ、2025年9月期は減収減益 受注高は過去最高を更新

決算サマリー 2026.08.30
東陽テクニカ、2025年9月期は減収減益 受注高は過去最高を更新

※本記事は東陽テクニカが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

東陽テクニカは2025年9月期の連結決算を発表した。予定していた国内外の大型案件のうち、顧客都合により複数の売上計上が期ずれし、特に先進モビリティ事業が大きく減少したことなどから減収減益となった。一方で、受注高は過去最高となる401億51百万円、受注残高も前期比大幅増の246億25百万円となった。2026年9月期は売上高・営業利益とも大幅な増収増益を予想している。

目次

連結業績(2025年9月期 実績)

売上高は325億59百万円(前期比7.1%減、▲24億83百万円)となった。予定していた国内外の大型案件のうち、顧客都合により複数の売上計上が期ずれし、特に先進モビリティ事業が大きく減少したほか、期初の受注残高が少なかった脱炭素/エネルギー事業も減少した。一方、情報通信/情報セキュリティ事業、海洋/防衛事業は堅調な需要に支えられ増加した。営業利益は14億52百万円減の19億14百万円(前期比43.1%減)となり、減収の影響が大きく、加えて研究開発費、人件費の増加などもあり減少した。経常利益は19億85百万円(同41.2%減)、当期純利益は11億95百万円(同52.6%減)だった。なお、第3四半期決算発表時の通期業績予想修正からは上振れとなったが、これは来期へ期ずれを見込んでいた先進モビリティ事業の海外大型案件1件を第4四半期に売上計上できたことが主要因としている。

項目2025年9月期2024年9月期前期比増減率前期比増減金額
売上高32,559百万円35,042百万円▲7.1%▲2,483百万円
営業利益1,914百万円3,366百万円▲43.1%▲1,452百万円
営業利益率5.9%9.6%▲3.7pt
経常利益1,985百万円3,375百万円▲41.2%▲1,390百万円
当期純利益1,195百万円2,522百万円▲52.6%▲1,327百万円
2025年9月期 決算ハイライト
出典:2025年9月期決算説明資料 P.4

セグメント別の状況

先進モビリティ事業は、AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)開発向け評価システムの海外大型案件やeモビリティ分野の国内大型案件の売上計上が、顧客の建屋建設や設備工事の遅れにより来期以降となったことで売上高が減少した一方、国内の振動騒音計測関連は好調に推移した。脱炭素/エネルギー事業は、電気化学測定システムや低温測定・磁気測定分野が計画を上回って推移したものの、期初の受注残高が少なかったことで、売上高を大きく伸ばした前期に比べて減少した。売上高の減少に加え、水素関連事業の製造子会社であるエル・テール社の生産能力増強などで販管費が増加し、セグメント利益も減少した。情報通信/情報セキュリティ事業は、主力の大手通信事業者向けネットワーク性能試験製品が計画を上回って推移したほか、脆弱性スキャナや自社開発の大容量パケットキャプチャなどが前期に比べ伸長し、官公庁向け大型案件の計上も売上を押し上げ、増収増益となった。EMC/大型アンテナ事業は、期初の受注残高減少や顧客の電波無響室工事の遅れによる期ずれなどで売上高が減少し、新製品開発費の計上もありセグメント利益も減少した。その他事業(海洋/防衛、ソフトウェア開発支援、その他)は、海洋/防衛事業で防衛装備品の需要が堅調に推移したほか、来期計上予定だった大型案件を早期に納品できたことで売上高は増加したが、受注した大型案件に係る一過性コストの計上によりセグメント利益は減少した。なお、本資料には全社費用等の調整額の記載がなく、セグメント利益の合計は連結営業利益とは一致しない。

セグメント指標2025年9月期2024年9月期前期比増減率
先進モビリティ売上高7,595百万円9,826百万円▲22.7%
先進モビリティセグメント利益707百万円2,077百万円▲65.9%
脱炭素/エネルギー売上高5,841百万円6,585百万円▲11.3%
脱炭素/エネルギーセグメント利益943百万円1,591百万円▲40.8%
情報通信/情報セキュリティ売上高8,120百万円7,481百万円+8.5%
情報通信/情報セキュリティセグメント利益686百万円388百万円+76.8%
EMC/大型アンテナ売上高4,427百万円4,681百万円▲5.4%
EMC/大型アンテナセグメント利益168百万円237百万円▲28.9%
その他事業(海洋/防衛、ソフトウェア開発支援、その他)売上高6,573百万円6,468百万円+1.6%
その他事業(海洋/防衛、ソフトウェア開発支援、その他)セグメント利益631百万円982百万円▲35.7%
先進モビリティ事業 セグメント別 売上高/利益分析
出典:2025年9月期決算説明資料 P.7

受注高・受注残高

受注高は過去最高となる401億51百万円(前期比19.4%増、+65億23百万円)となった。複数の大型案件を受注した海洋/防衛事業が大きく伸長したのをはじめ、ほぼすべての事業において増加したことにより、400億円を突破して最高額を達成した。受注残高は前期比大幅増の246億25百万円(同44.6%増、+75億93百万円)となり、受注増加や案件の長期化により前期と比べ大幅に増加した。近年の推移をみても、受注高・受注残高ともに右肩上がりで伸長し、いずれも最高額を達成している。

項目2025年9月期2024年9月期前期比増減率前期比増減金額
受注高40,151百万円33,628百万円+19.4%+6,523百万円
受注残高24,625百万円17,032百万円+44.6%+7,593百万円

2026年9月期 業績予想

2026年9月期の連結業績予想は、売上高390億円(前期比19.8%増、+64億41百万円)、営業利益36億円(同88.0%増、+16億86百万円)、経常利益37億円(同86.4%増、+17億15百万円)、当期純利益26億円(同117.5%増、+14億5百万円)としている。営業利益率は9.2%(前期比+3.3pt)を見込む。受注が好調に推移していること、期初の受注残高が高水準に積み上がっていることから、好業績であった2024年9月期を上回り、売上高は過去最高、営業利益も過去20年で最高となる見込みとしている。

項目2025年9月期実績2026年9月期予想前期比増減率前期比増減金額
売上高32,559百万円39,000百万円+19.8%+6,441百万円
営業利益1,914百万円3,600百万円+88.0%+1,686百万円
営業利益率5.9%9.2%+3.3pt
経常利益1,985百万円3,700百万円+86.4%+1,715百万円
当期純利益1,195百万円2,600百万円+117.5%+1,405百万円
2026年9月期 連結業績予想
出典:2025年9月期決算説明資料 P.19

株主還元

2025年9月期から3年間の配当方針としてDOE(自己資本配当率)5%以上を掲げている。2025年9月期の配当は過去最高の1株当たり69円を予定(中間30円、期末39円、DOE5.3%)。2026年9月期は1株当たり70円(中間30円、期末40円(予))に増配する予定で、9年連続増配予定であり、中期経営計画“TY2027”で10年連続増配を目指すとしている。自己株式の取得は、今後も成長投資とのバランスを見ながら適宜検討するとしている。

株主還元について(1株当たり配当金推移)
出典:2025年9月期決算説明資料 P.21

中期経営計画“TY2027”の進捗

中期経営計画“TY2027”(2025年9月期~2027年9月期)では、経営指標として営業利益45億円、売上高450億円+α(新規M&A合算で500億円以上)、ROE11%を掲げている。事業戦略として、注力すべき事業分野に防衛ビジネス、脱炭素/エネルギービジネス、先進モビリティビジネスを挙げ、リカーリングビジネスの拡大や自社開発製品の事業拡大による高付加価値の提供による差別化、海外事業の拡大、M&A・新事業による成長戦略の加速に取り組むとしている。セグメント別の“TY2027”売上高計画は、海洋/防衛事業が2025年9月期27億円から2027年9月期63億円、脱炭素/エネルギー事業が2025年9月期58億円から2027年9月期78億円、先進モビリティ事業が2025年9月期76億円から2027年9月期108億円としている。また、防衛関連製品を扱う事業横断の「防衛ビジネス」の売上高は2024年9月期14億円、2025年9月期23億円の実績で、2027年9月期に50億円以上、2029年9月期以降に100億円以上の売上高を見込むとしている。新規事業として、超電導型量子コンピューター分野の「IQM Quantum Computers」の日本国内販売代理店となり、量子コンピューター事業を開始した。財務・資本戦略では、“TY2027”期間中のキャッシュアロケーションとして、原資を事業収益によるキャッシュフロー90億円+α、資金調達60億円とし、使途を成長投資85億円、株主還元50億円+α、経営基盤の強化15億円としている。2025年9月期実績は、事業収益によるキャッシュフロー17.5億円、成長投資13億円(成長事業投資7億円、研究開発投資6億円)、株主還元16億円(配当金支払15億円、自己株式取得1億円)、経営基盤の強化1.5億円(設備投資1.0億円、DX/AI投資0.5億円)、資金調達13億円(資産売却6億円、銀行借入7億円)だった。資本コストや株価を意識した経営については、純利益の減少によりROEは4.3%に低下し、2025年8月に業績予想を修正したものの、期末の株価は前期末比微減にとどまり、PBRは1.23となった。株主資本コストはCAPM及び益利回りから6.1%~6.5%と認識しているとしている。

※本記事は東陽テクニカが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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