※本記事はタムラ製作所が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
タムラ製作所は2026年5月13日、2026年3月期の決算概要を公表した。売上高は123,559百万円(前期比8.3%増)で過去最高を更新し、営業利益は5,287百万円(前期比1.8%増)で増益となった。一方、当期純損益は1,385百万円の損失となり、前期の2,782百万円の利益から赤字に転落した(資料は「赤転」と表記している)。2027年3月期は売上高130,000百万円、営業利益5,600百万円、当期純利益4,500百万円を見込み、黒字回復を予想している。
連結業績(2026年3月期 実績)
売上高は数量拡大により82億円、素材価格の売価転嫁により16億円それぞれ増加し、合計95億円の増収となった。AIデータセンター関連やスマートフォン等の注力市場が好調だったほか、素材価格上昇を売価に反映した。営業利益は売上拡大により30億円増加した一方、素材価格高騰により19億円、体質改善費用により10億円、販管費ほかにより4億円それぞれ押し下げられ、差し引き1億円の増益となった。素材価格高騰は電子化学材料を中心に営業利益を圧迫し、中国拠点の生産再編に伴う生産移管・在庫整理・人員最適配置による費用も計上した。当期純損益は42億円の減益要因により赤字に転落し、うち体質改善費用が35億円を占めた。資料は減益の要因として、中国持分法適用会社譲渡、転身支援制度特別措置、情報機器事業の事業譲渡損失を挙げている。ROEは4.6%から▲2.2%(▲6.8pt)、ROICは4.8%から3.6%(▲1.2pt)となった。
| 項目 | 2026年3月期(当期) | 2025年3月期(前期) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 123,559百万円 | 114,051百万円 | +9,508百万円・+8.3% |
| 営業利益 | 5,287百万円 | 5,195百万円 | +92百万円・+1.8% |
| 営業利益率 | 4.3% | 4.6% | ▲0.3pt |
| 当期純損益 | △1,385百万円 | 2,782百万円 | △4,162百万円・赤転 |
| ROE | ▲2.2% | 4.6% | ▲6.8pt |
| ROIC | 3.6% | 4.8% | ▲1.2pt |
| 1株当たり配当 | 13円 | 13円(記念配当3円を含む) | – |
事業部門別の状況(2026年3月期 実績)
事業部門別売上高は、電子部品関連が815億円(前期比6.2%増)、電子化学実装関連が399億円(前期比15.5%増)、情報機器関連が21億円(前期比25.4%減)となった。電子部品関連は米国AIデータセンター向けを中心に大型トランス・リアクタが好調で、家電・住宅向けも安定的に推移した。電子化学実装関連は車載向けが安定的に推移したほか、AIサーバー需要の拡大とスマートフォン向けの堅調な需要により増収となった。情報機器関連は放送業界の厳しい設備投資環境が継続し減収となった。事業部門別営業利益は、電子部品関連が33億円(前期比1.0%増)、電子化学実装関連が33億円(前期比8.8%増)、情報機器関連が6億円の損失(前期は2億円の損失、赤字拡大)となった。電子部品関連は中国拠点再編に係る生産移管・在庫整理・人員配置見直し費用が発生し、電子化学実装関連は素材価格の高騰が収益性を圧迫した。地域別売上高では、日本が342億円(前期比6.3%減、2025年6月に日本が主な市場である連結子会社の一部事業を第三者に譲渡)、中国が297億円(前期比12.7%増)、その他アジアが240億円(前期比17.2%増)、欧米が357億円(前期比16.1%増、AIデータセンター向け需要の拡大)となった。地域別営業利益は日本が6億円の損失(前期は3億円の利益、赤転、情報機器事業の赤字拡大及び生産再編関連費用)、中国が21億円(前期比10.7%増)、その他アジアが21億円(前期比16.5%増)、欧米が17億円(前期比36.8%増)となった。
| 事業部門 | 売上高(当期) | 売上高(前期) | 営業利益(当期) | 営業利益(前期) |
|---|---|---|---|---|
| 電子部品関連 | 815億円 | 768億円 | 33億円 | 33億円 |
| 電子化学実装関連 | 399億円 | 346億円 | 33億円 | 31億円 |
| 情報機器関連 | 21億円 | 29億円 | △6億円 | △2億円 |
| 全社計 | 1,236億円 | 1,141億円 | 53億円 | 52億円 |


通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期の通期業績予想は、2026年10月1日に譲渡予定の情報機器事業を除いた数値となっている。売上高は130,000百万円(前期比+6,441百万円、+5.2%)、営業利益は5,600百万円(前期比+313百万円、+5.9%)を見込み、資料は過去最高の営業利益になるとしている。参考として、情報機器事業を含めた場合の実質前期比増減は、売上高が+9,158百万円、営業利益が+775百万円としている。当期純利益は4,500百万円を見込み、前期の1,385百万円の損失から黒字回復を予想している。ROEは7.0%(前期比+9.2pt)、ROICは4.4%(前期比+0.8pt)を見込む。1株当たり配当は中間8円・期末8円の年間16円を予想し、前期の13円から3円増(+23.1%)となる見込み。上期に体質改善策を完遂し、下期から成長フェーズに移行するとしている。
| 事業部門 | 売上高予想(2027年3月期) | 売上高前期比 | 営業利益予想(2027年3月期) | 営業利益前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 電子部品関連 | 846億円 | +3.7% | 40億円 | +21.1% |
| 電子化学実装関連 | 450億円 | +12.7% | 42億円 | +26.0% |
| 情報機器関連(上期のみ表示、2026年10月1日事業譲渡予定) | 4億円 | ▲81.3% | △4億円 | 赤縮 |
| 全社計 | 1,300億円 | +5.2% | 56億円 | +5.9% |

財務状況
2026年3月末の資産合計は1,324億円(前年度末比+80億円)となった。電子化学実装事業の製造棟新設により固定資産が増加した。純資産は自己株式の取得及び配当金支払いの増加により640億円から629億円に減少し、自己資本比率は51.3%から47.4%(▲3.9pt)に低下した。有利子負債は339億円から385億円に増加した。キャッシュ・フローは、営業CFが90.8億円から33億円に減少し、投資CFは▲39.0億円から▲52.7億円、財務CFは▲36.4億円から3.2億円となった。フリーCFは51.8億円から▲19.5億円となり、現金及び現金同等物の残高は194.7億円から181.0億円となった。
| 項目 | 2026年3月末(当期末) | 2025年3月末(前期末) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 現金・預金 | 190億円 | 203億円 | ▲13億円 |
| 売上債権 | 335億円 | 301億円 | +34億円 |
| 棚卸資産 | 258億円 | 244億円 | +14億円 |
| 有形固定資産 | 338億円 | 310億円 | +28億円 |
| 資産合計 | 1,324億円 | 1,243億円 | +80億円 |
| 仕入債務 | 170億円 | 149億円 | +21億円 |
| 有利子負債 | 385億円 | 339億円 | +45億円 |
| 純資産 | 629億円 | 640億円 | ▲11億円 |
| 自己資本比率 | 47.4% | 51.3% | ▲3.9pt |
| 営業CF | 33億円 | 90.8億円 | ▲58億円 |
| 投資CF | ▲52.7億円 | ▲39.0億円 | ▲13.7億円 |
| 財務CF | 3.2億円 | ▲36.4億円 | +39.6億円 |
| フリーCF | ▲19.5億円 | 51.8億円 | ▲71.3億円 |
| キャッシュの残高 | 181.0億円 | 194.7億円 | – |

株主還元
資料は、安定配当を基本としたうえでDOE3%を目指す方針を継続するとしている。2026年3月期の1株当たり配当は13円で、前期の配当(記念配当3円を含む13円)と同水準を維持した。経営基盤強化の取り組みとして、配当金について2025年度実績で10円から13円への増額を挙げているほか、自己株式の購入を10億円実施したことを開示した。2027年3月期の1株当たり配当は中間8円・期末8円の年間16円を予想している。機動的な自己株式の購入方針も継続するとしている。
第14次中期経営計画の進捗
資料は、第14次中期経営計画の施策を計画前倒しで断行し、体質改善を1年前倒しでほぼ完遂したとしている。2025年3月期を構造改革期間、2026年3月期上期までを体質改善の完遂期間と位置づけ、2026年3月期下期以降を成長加速期間としている。2028年3月期に向けた道筋として、ターゲットROE8%以上・PBR1倍以上の定着を掲げている。第14次中期経営計画以降の目標として、2030年に売上高1,500億円以上、営業利益率10%以上、ROE12%以上、ROIC8%以上、株主還元DOE3%以上、PBR(恒常的に)1.0倍以上を目指すとしている。
事業構造改革及び事業トピックス
構造改革では、合肥博微田村電気有限公司の持分を合弁先へ譲渡し2025年12月末に譲渡を完了したほか、田村電子(深圳)の電源製品の田村電子(蘇州)への移管、田村電子(深圳)の人員配置見直し・在庫圧縮、田村汽車電子(佛山)の車載用昇圧リアクタの若柳タムラへの移管を完了した。田村汽車電子(佛山)は2026年度中の閉鎖を予定している。事業ポートフォリオの変革では、光波ネットワークソリューション事業の譲渡を2025年6月に完了し、情報機器事業は2026年10月1日に譲渡予定である。車載事業では、HEV回帰を追い風として2026年からHEV向け車載用昇圧リアクタの新製品投入を計画しており、生産を日本に集約し若柳タムラの生産能力を増強したうえで日米・アジアへ供給を拡大するとしている。海外展開では、メキシコ工場の大幅増強、ASEAN拠点の生産能力拡大、ドイツ事務所の開設(いずれも2026年下期以降予定)を進めるとしている。2027年3月期の業績予想における為替レートの前提は、期中平均で1米ドル=155円としている。
※本記事はタムラ製作所が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。