※本記事は栗田工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
栗田工業の2026年3月期は、継続事業ベースで受注高4,430億円(前期比7.3%増)、売上高4,029億円(同3.6%増)、事業利益573億円(同12.7%増)となり、事業利益率は14.2%と前期から1.1pp改善しました。2026年5月13日のペンタゴン社の株式譲渡契約締結に伴い精密洗浄事業(海外)を非継続事業に分類し、税引前利益までを継続事業ベースで開示しています。親会社の所有者に帰属する当期利益は継続事業+非継続事業ベースで160億円(同21.4%減)、継続事業ベースでは397億円でした。電子・一般水処理の両セグメントとも増収増益で、CSVビジネス売上高は全社連結で585億円(前期比112億円増)に拡大しています。
連結業績(当期 実績)
継続事業ベースの受注高は4,430億円(前期差+301億円)、売上高は4,029億円(同+141億円)、事業利益は573億円(同+64億円)と、いずれも前期を上回りました。事業利益の増減要因は、増収効果+45億円、原価率改善+39億円、為替影響+4億円に対し、人件費やデジタル経費による販管費増加が△24億円で、増益幅64億円のうちオーガニックは+60億円です。営業利益は583億円(同16.8%増)、税引前利益は582億円(同14.7%増)となった一方、非継続事業を含む親会社の所有者に帰属する当期利益は160億円(同21.4%減)、基本的1株当たり当期利益は145.34円となりました。非継続事業を除いて試算した調整後ROEは11.7%、調整後ROICは9.1%です。
| 項目 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 受注高(継続事業) | 4,430億円 | 4,129億円 | +301億円(+7.3%) |
| 売上高(継続事業) | 4,029億円 | 3,888億円 | +141億円(+3.6%) |
| 事業利益(継続事業) | 573億円 | 509億円 | +64億円(+12.7%) |
| 事業利益率(継続事業) | 14.2% | 13.1% | +1.1pp |
| その他の収支(継続事業) | 9億円 | △10億円 | +19億円 |
| 営業利益(継続事業) | 583億円 | 499億円 | +84億円(+16.8%) |
| 税引前利益(継続事業) | 582億円 | 507億円 | +75億円(+14.7%) |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(継続事業+非継続事業) | 160億円 | 203億円 | △43億円(△21.4%) |
| 基本的1株当たり当期利益(継続事業+非継続事業) | 145.34円 | 180.66円 | △35.32円(△19.6%) |
| ROE(継続事業+非継続事業) | 4.7% | 6.1% | △1.4pp |
| ROIC(継続事業+非継続事業) | 8.3% | 8.8% | △0.6pp |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(継続事業) | 397億円 | 開示なし | - |
| 基本的1株当たり当期利益(継続事業) | 361.82円 | 開示なし | - |
| 調整後ROE(継続事業) | 11.7% | 開示なし | - |
| 調整後ROIC(継続事業) | 9.1% | 開示なし | - |
セグメント別(事業別)の状況
電子セグメントは、受注高2,090億円(前期差+146億円)、売上高1,718億円(同+23億円)、事業利益277億円(同+15億円)と増収増益。受注高は主に日本・韓国・米国での大型案件の獲得により装置が1,042億円(同+80億円)へ増加した一方、売上高は前期に中国で複数の大型案件の売上計上があった反動で装置が718億円(同△20億円)と減少しました。メンテナンスは受注高296億円・売上高251億円とアジアを中心に各地域で増加し、サービス事業売上高構成比率の上昇によるミックス改善などで事業利益率は16.1%(同+0.7pp)へ改善しています。一般水処理セグメントは、受注高2,340億円(同+155億円)、売上高2,311億円(同+118億円)、事業利益297億円(同+50億円)。北米での官公需向け案件の獲得により装置の受注高が371億円(同+59億円)に増加し、薬品はCSVビジネスの拡大で受注高1,220億円・売上高1,212億円と伸長、事業利益率は12.9%(同+1.6pp)となりました。全社連結のCSVビジネス売上高は585億円(前期差+112億円)、CSVビジネスモデル数は2026年3月末で128モデル(同+32モデル)です。
| セグメント | 指標 | 2026年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 電子 | 受注高 | 2,090億円 | 1,943億円 |
| 電子 | 売上高 | 1,718億円 | 1,695億円 |
| 電子 | 事業利益 | 277億円 | 262億円 |
| 電子 | 事業利益率 | 16.1% | 15.4% |
| 電子 | 営業利益 | 287億円 | 278億円 |
| 一般水処理 | 受注高 | 2,340億円 | 2,185億円 |
| 一般水処理 | 売上高 | 2,311億円 | 2,193億円 |
| 一般水処理 | 事業利益 | 297億円 | 247億円 |
| 一般水処理 | 事業利益率 | 12.9% | 11.3% |
| 一般水処理 | 営業利益 | 296億円 | 221億円 |


通期業績予想
2027年3月期は、継続事業ベースで受注高4,700億円(前期比6.1%増)、売上高4,250億円(同5.5%増)、事業利益615億円(同7.2%増)を見込みます。事業利益率は14.5%、親会社の所有者に帰属する当期利益は420億円(継続事業+非継続事業では前期差+260億円)、ROE12.4%、ROIC9.7%の計画です。前提として中東情勢の影響を上期中心に織り込み、全社で受注高・売上高△50億円、利益△25億円(電子は利益△5億円、一般水処理は受注高・売上高△50億円、利益△20億円)を想定しています。電子は各地域での半導体投資の継続を背景に受注高2,400億円と高水準を見込み、装置の工事進捗で売上高1,950億円・事業利益305億円へ増加。一般水処理は主に薬品事業で中東影響を見込み売上高2,300億円(前期差△11億円)と若干の減少ながら、CSVビジネスの拡大により事業利益310億円(同+13億円)と増益を計画します。為替前提はUSD150.8円、EUR174.8円、CNY21.3円です。
| 項目 | 2027年3月期 予想 | 2026年3月期(実績) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 受注高(継続事業) | 4,700億円 | 4,430億円 | +270億円(+6.1%) |
| 売上高(継続事業) | 4,250億円 | 4,029億円 | +221億円(+5.5%) |
| 事業利益(継続事業) | 615億円 | 573億円 | +42億円(+7.2%) |
| 事業利益率(継続事業) | 14.5% | 14.2% | +0.2pp |
| 営業利益(継続事業) | 605億円 | 583億円 | +22億円(+3.8%) |
| 税引前利益(継続事業) | 600億円 | 582億円 | +18億円(+3.1%) |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(継続事業) | 420億円 | 397億円 | +23億円(+5.8%) |
| 基本的1株当たり当期利益 | 392.49円 | 361.82円 | +30.67円(+8.5%) |
| ROE | 12.4% | 11.7% | +0.7pp |
| ROIC | 9.7% | 9.1% | +0.6pp |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(継続事業+非継続事業) | 420億円 | 160億円 | +260億円 |
| セグメント | 指標 | 2027年3月期 予想 | 2026年3月期(実績) |
|---|---|---|---|
| 電子 | 受注高 | 2,400億円 | 2,090億円 |
| 電子 | 売上高 | 1,950億円 | 1,718億円 |
| 電子 | 事業利益 | 305億円 | 277億円 |
| 電子 | 事業利益率 | 15.6% | 16.1% |
| 電子 | 営業利益 | 300億円 | 287億円 |
| 一般水処理 | 受注高 | 2,300億円 | 2,340億円 |
| 一般水処理 | 売上高 | 2,300億円 | 2,311億円 |
| 一般水処理 | 事業利益 | 310億円 | 297億円 |
| 一般水処理 | 事業利益率 | 13.5% | 12.9% |
| 一般水処理 | 営業利益 | 305億円 | 296億円 |

株主還元
配当方針は「直近5年間通算で配当性向30%から50%の範囲を目安に増配の継続に努める」とし、2027年3月期は23期連続増配を予定しています。自己株式取得は株価や最適資本構成の状況を鑑み機動的に実施する方針で、検討基準として①適正株価評価の獲得、②余剰資本の最適化を挙げています。2027年3月期から2028年3月期のキャッシュアロケーションでは、資金の源泉として営業CF1,400億円・負債調達600億円を見込み、使途は維持更新250億円、成長投資1,000億円+α、株主還元650億円+α(2026年5月からの自己株式取得350億円を含む)とし、自己資本比率は中長期的に約50%をターゲットとしています。

中期経営計画/トピック
中期経営計画「PSV-27」では2028年3月期に売上高4,700億円、事業利益率16.0%、ROE12.0%以上、ROIC10.0%以上を目標としており、2026年3月期は売上高4,029億円、事業利益率14.2%、ROE11.7%、ROIC9.1%と進捗しています。非財務指標では、CSVビジネスによる節水貢献量145百万㎥、GHG削減貢献量3,082千t、資源化貢献量・資源投入削減貢献量の増加割合177%(2023年3月期比)で、2028年3月期目標はそれぞれ250百万㎥、3,000千t以上、300%です。事業ポートフォリオの最適化として、クリタック社(業務・家庭向け浄水器関連事業)の株式譲渡契約を2026年3月に、ペンタゴン社(海外精密洗浄事業)の株式譲渡契約を2026年5月に締結しました。一般水処理では2025年12月にメキシコシティで水処理薬品の事業会社を設立し中米エリアの事業基盤を確立、新事業ではPFAS除去・処理事業の拡大に向けCyclopure社への出資を決定しています。設備投資額(有形)は219億円(前期差△154億円)、減価償却費(有形)は300億円、研究開発費は81億円で、2027年3月期はそれぞれ225億円、315億円、80億円を計画しています。
※本記事は栗田工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。