大日本塗料

大日本塗料、2026年3月期は増収も営業減益・純利益82.1%減 中国事業は持分譲渡へ

決算サマリー 2026.08.27
大日本塗料、2026年3月期は増収も営業減益・純利益82.1%減 中国事業は持分譲渡へ

※本記事は大日本塗料が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

大日本塗料株式会社は2026年5月21日、2025年度(2026年3月期、連結)の決算説明資料を公表した。売上高は93,759百万円と前期比29.3%増となり、2026年2月26日公表の業績予想比でも+1.9%と上回った。一方、営業利益は3,854百万円で前期比18.3%減、業績予想比6.0%減となった。親会社株主に帰属する当期純利益は1,688百万円で前期比82.1%減となったが、これは前期に計上した神東塗料の連結化に伴う負ののれん発生益5,205百万円(前期実績9,437百万円の一部)が剥落したことによるもので、資料が示す実質ベースでは前期比60.1%減。中国事業の持分譲渡による損失計上も影響した。

目次

連結業績(2025年度=2026年3月期 実績)

国内塗料、海外塗料ともに販売が低調であった一方、神東塗料の新規連結化により売上高は増加した。営業利益は低調な販売による収益性悪化に加え、人件費等の経費増加により減益となった。NOPAT-ROEは4.1%(前期比1.2ポイント低下)、ROEは2.6%(前期比12.6ポイント低下)となった。

項目2025年度(2026年3月期)実績2024年度(2025年3月期)実績前期比
売上高93,759百万円72,511百万円+29.3%
営業利益3,854百万円4,716百万円△18.3%
経常利益4,479百万円5,199百万円開示なし
親会社株主に帰属する当期純利益1,688百万円9,437百万円△82.1%
NOPAT-ROE4.1%5.3%△1.2pt
ROE2.6%15.2%△12.6pt
配当(1株当たり、2025年度は予定)58円49円+9円
大日本塗料 2025年度連結損益の状況
出典:大日本塗料 2025年度決算説明資料 P.4

セグメント別の状況

国内塗料事業は、一般用分野が2025年11月のJIS一時停止処分解除後も期中の販売回復は限定的で弱含みに推移し前期比1.1%減、工業用分野は自動車部品用途や各種建材用途の市況低迷により需要が伸び悩み前期比1.8%減となった。JIS一時停止に伴う出荷数量減とそれに伴う生産効率悪化により利益率は例年比で低迷したが、品質管理強化と再発防止策の徹底に努め、2025年11月に当該処分は解除された。神東塗料の新規連結化(売上高20,481百万円)等により事業全体の売上高は前期比41.1%増の71,870百万円となったが、営業利益は製品ミックス改善や価格是正を継続したものの、販売低迷による収益性悪化に加え人件費等の経費増加を吸収できず前期比37.4%減の1,231百万円となった。

海外塗料事業は、東南アジアがタイを中心とした自動車生産低迷に伴う需要減少が続いたものの神東塗料グループの連結化により増収、メキシコは低採算品の販売抑制や主要顧客の在庫調整の影響を受け減収、中国は各種工業用途の需要減少により減収となった。中国事業の抜本的な構造改革として2026年2月に現地法人の持分譲渡を決定しており、2027年3月期中に自社生産体制から撤退する方針。中国における赤字圧縮により、事業全体の営業利益は前期比54.2%増の368百万円となった。

照明機器事業は、再開発案件を中心とした商業施設向けや宿泊施設向けの堅調な需要に支えられLEDが伸長した一方、UVは特定顧客向け需要の減少、蛍光ランプは市場縮小の影響により減収となった。前期に実施した本社移転に伴う減価償却費の増加や人件費の増加が影響し、営業利益は前期比6.6%減の1,928百万円となった。蛍光色材・その他事業は2025年度売上高2,873百万円、営業利益27百万円で、2026年度は売上高2,850百万円、営業利益150百万円を計画している。

区分売上高2025年度(百万円)売上高2024年度(百万円)売上前期比営業利益2025年度(百万円)営業利益2024年度(百万円)営業利益前期比
国内塗料71,87050,921+41.1%1,2311,968△37.4%
海外塗料8,5908,133+5.6%368238+54.2%
照明機器10,42410,418+0.1%1,9282,063△6.6%

原材料市況と価格是正

2025年度の原材料市況は比較的安定して推移したが、中東情勢の急変により足元では原材料調達環境が悪化している。2026年度の計画前提となる国産ナフサ価格は、中東情勢反映前で63,000円/KLとしている。国内塗料事業では製品ミックス改善や価格是正を継続しており、2026年度も価格是正の継続を計画している。業績予想には直近の中東情勢に伴う原材料影響などの変動要素は未反映であり、安定調達と安定供給に最大限努め、適切な範囲での価格是正を行うことで業績予想の達成を目指すとしている。

大日本塗料 主要な原材料市況の推移
出典:大日本塗料 2025年度決算説明資料 P.11

財務状況

2026年3月末の資産合計は137,490百万円(前期末比+4,146百万円)となった。有形固定資産は滋賀物流倉庫の竣工等により+2,229百万円、投資その他の資産は退職給付に係る資産の増加等により+3,642百万円となった。負債合計は60,813百万円(同+3,639百万円)で、うち借入金は14,500百万円(同+2,924百万円)に増加した。純資産合計は76,676百万円(同+506百万円)、自己資本比率は48.6%(前期末比0.2ポイント低下)となった。営業活動によるキャッシュ・フローは国内塗料、海外塗料の低調により3,011百万円(前期比559百万円減)にとどまり、投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資の増加等により△3,397百万円(前期比3,033百万円の悪化)となった。

項目2025年3月末(百万円)2026年3月末(百万円)増減額(百万円)
資産合計133,344137,490+4,146
流動資産53,06651,258△1,807
有形固定資産46,04048,270+2,229
負債合計57,17360,813+3,639
(うち借入金)11,57614,500+2,924
純資産合計76,17076,676+506
自己資本比率48.8%48.6%△0.2pt

通期業績予想(2026年度)

2026年度の連結業績予想は、国内塗料におけるJIS一時停止影響からの販売回復により増収、それに伴う生産効率改善により営業増益を見込む。親会社株主に帰属する当期純利益は、2025年度に計上した関係会社整理損の剥落により大幅な増益を計画している。業績予想には直近の中東情勢に伴う原材料影響などの変動要素は未反映であり、安定調達と安定供給に努め、適切な範囲での価格是正を行うことで予想達成を目指す方針。

項目2026年度(予想)2025年度(実績)前期比
売上高96,000百万円93,759百万円+2.4%
営業利益5,500百万円3,854百万円+42.7%
親会社株主に帰属する当期純利益3,400百万円1,688百万円+101.4%
NOPAT-ROE5.6%(概算)4.1%+1.5pt
ROE5.0%2.6%+2.5pt
配当(1株当たり、予想)58円58円±0円

株主還元

株主還元指標としてDOE(株主資本配当率)を採用しており、2026中計期間(2024年度~2026年度)はDOE3.0%を基準とし、次期中計最終年度となる2029年度までに5.0%到達を目標としている。2025年度の配当は1株当たり58円(前期比+9円、+18%)を予定しており、2026年度も1株当たり58円(前期比±0円)を計画している。自己株式の取得は市場環境や資本効率等を勘案し、必要と判断した場合に適切な時期に実施するとしている。なお、当社は2017年10月1日付で普通株式5株につき1株の割合で株式併合を実施しており、資料に記載の1株当たり配当金・EPS・BPS等の指標は、併合前の年度についても併合後の株数に置き換えて記載されている。

大日本塗料 株主還元方針
出典:大日本塗料 2025年度決算説明資料 P.14

中期経営計画・トピック

中期経営計画(2026中計、2024年度~2026年度)の最終年度となる2026年度の予想は、営業利益面で中計目標に対して大きく未達となる見込みである一方、ビジョン2029(次期中計最終年度2029年度)の前提としていたM&Aは想定よりも早期に実行できたとし、ビジョン2029の業績目標は堅持し収益性改善を急ぐとしている。2026中計期間中に神東塗料(2025年3月連結化)とAGCコーテック(2025年12月連結化、ボンフロンとして完全子会社化)の2件のM&Aを実施し、両社を踏まえた事業ポートフォリオの整理を進めている。中国事業については、事業環境の変化と業績低迷を受け、CHUGOKU MARINE PAINTS (HONG KONG), LIMITED(中国塗料株式会社100%子会社)へ2026年2月26日付で持分譲渡契約を締結し、2026年6月30日を権利義務移転予定日として自社製造体制から撤退する。海外現地法人は12月決算のため連結除外は2026年度下半期からとなる。積極的な株主還元と成長分野への投資、適切な設備刷新により自己資本の過剰な蓄積を抑制する方針で、借入を活用しつつ自己資本比率は50%以下への抑制を継続しており、FY23の58.6%からFY24は48.8%、FY25は48.6%へ低下した。

大日本塗料 中国事業の構造改革
出典:大日本塗料 2025年度決算説明資料 P.25

※本記事は大日本塗料が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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