武田薬品工業

武田薬品工業、2026年3月期は訴訟引当金計上で営業利益62億円に急減 Core営業利益11,725億円は堅調維持

決算サマリー 2026.08.10
武田薬品工業、2026年3月期は訴訟引当金計上で営業利益62億円に急減 Core営業利益11,725億円は堅調維持

※本記事は武田薬品工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

武田薬品工業は2026年3月期(2025年度)通期の連結業績を発表した。財務ベースの売上収益は45,057億円(前期比△1.7%)、営業利益は62億円(同△98.2%)、当期利益(親会社の所有者帰属分)は△1,524億円(前期は1,079億円の黒字)となった。財務ベース利益の急減は、AMITIZA®(ルビプロストン)に係る米国反トラスト訴訟の陪審評決を受け、2026年3月31日時点の後発事象として4,025億円の訴訟引当金(関連する税務便益584億円)を追加計上したことによるもので、Core業績には影響していない。Core売上収益は45,057億円(CERベース△2.6%)、Core営業利益は11,725億円(CERベース△0.9%)、Core EPSは517円(CERベース+3.1%)となった。2026年度は204円への増配を予定し、今後12ヵ月でoveporexton、rusfertide、zasocitinibの3新薬の上市を計画している。

目次

連結業績(2025年度実績)

2025年度は、VYVANSEの独占販売期間満了による大幅な減収影響を、成長製品・新製品の伸び(2025年度売上収益23,133億円、売上収益全体の約51%、CERベース+4.5%成長)が一部相殺し、Core売上収益はCERベースで△2.6%となった。Core営業利益は、成長投資を継続しながらも1,500億円超のコスト削減による営業経費の節減により、実勢レートベースで+0.8%(CERベースで△0.9%)を確保した。営業活動によるキャッシュ・フローは10,414億円(前期比△1.5%)、調整後フリー・キャッシュ・フローは6,845億円(同△11.0%)だった。2025年度のCore増減率(CERベース)は、2026年1月公表ガイダンス(売上収益・営業利益とも一桁台前半%の減少)に対し、売上収益はガイダンス通りの水準、営業利益は追加の営業経費節減により上限に到達、EPSは想定よりも有利な税務要因により上回る結果となった。

項目2025年度(当期)2024年度(前期)増減率
売上収益(財務ベース)45,057億円45,816億円△1.7%
営業利益(財務ベース)62億円3,426億円△98.2%
営業利益率(財務ベース)0.1%7.5%△7.3pp
当期利益(財務ベース・親会社所有者帰属)△1,524億円1,079億円N/A
EPS(財務ベース)△97円68円N/A
項目2025年度(当期)2024年度(前期)増減率
Core売上収益45,057億円45,798億円△1.6%(CERベース△2.6%)
Core営業利益11,725億円11,626億円+0.8%(CERベース△0.9%)
Core営業利益率26.0%25.4%+0.6pp
Core当期利益(親会社所有者帰属)8,141億円7,756億円+5.0%(CERベース+2.9%)
Core EPS517円491円+5.2%(CERベース+3.1%)
2025年度連結業績サマリー(財務ベース・Core)
出典:武田薬品工業 2026年3月期 通期 決算説明資料(2026年6月5日修正版)P.13

事業領域別の状況

武田薬品は消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(PDT)、オンコロジー、ワクチン、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の6つの主要なビジネスエリアでポートフォリオを構成する。各領域の主力製品の2025年度売上収益(CERベース対前年比)は以下の通り(出典:決算説明資料P.43-48)。

事業領域製品2025年度売上収益対前年比(CERベース)
消化器系疾患ENTYVIO9,580億円+4.2%
消化器系疾患EOHILIA88億円+63.2%
希少疾患TAKHZYRO2,239億円△0.4%
希少疾患LIVTENCITY469億円+41.0%
希少疾患ADZYNMA120億円+65.1%
血漿分画製剤免疫グロブリン製剤7,906億円+4.1%
血漿分画製剤アルブミン製剤1,403億円△2.1%
オンコロジーFRUZAQLA551億円+14.6%
オンコロジーADCETRIS1,402億円+5.3%
ワクチンQDENGA408億円+10.7%
ニューロサイエンスVYVANSE2,032億円△43.0%
ニューロサイエンスTRINTELLIX1,218億円△1.9%

通期業績予想(2026年度)

2026年度は成熟製品ポートフォリオの減収影響を新製品と為替の円安影響が相殺し、財務ベース・Core売上収益ともに46,400億円(前年度比+3.0%)を見込む。為替影響を除くマネジメントガイダンス(CERベース)では、Core売上収益は一桁台前半%の減少を見込む。Core営業利益は、oveporexton・rusfertide・zasocitinibの上市に向けた投資や新たな後期開発プログラム(TAK-928、TAK-921を含む)への投資により、トランスフォーメーション・プログラムによる約1,000億円の節減効果を織り込んでも11,600億円(前年度比△1.1%、CERベースのガイダンスは5%~8%の減少)を予想する。財務ベース営業利益は、前年度に計上したAMITIZA訴訟引当金の反動やVYVANSEの無形資産償却期間満了による増益影響を、事業構造再編費用の増加(前年度708億円→2026年度予想1,700億円)が一部相殺し、4,200億円(前年度比+6,655.9%)を見込む。Core EPSは、2025年度における有利な税務要因の反動により472円(前年度比△8.7%、CERベースのガイダンスは10%台半ばの減少)を予想する。調整後フリー・キャッシュ・フローは6,500億円~7,500億円、前提為替レートは156円/米ドル、182円/ユーロ。当社は、AMITIZA反トラスト訴訟の進展が2026年度の財務見通しおよびマネジメントガイダンスに重大な影響を与えるとは見込んでいないとしている。

項目2026年度予想2025年度(実績)増減率
売上収益(財務ベース)46,400億円45,057億円+3.0%
営業利益(財務ベース)4,200億円62億円+6,655.9%
EPS(財務ベース)104円△97円N/A
Core売上収益46,400億円45,057億円+3.0%
Core営業利益11,600億円11,725億円△1.1%
Core EPS472円517円△8.7%
調整後フリー・キャッシュ・フロー6,500億円~7,500億円6,845億円
2026年度業績予想サマリー
出典:武田薬品工業 2026年3月期 通期 決算説明資料(2026年6月5日修正版)P.22

株主還元

資本配分方針として、堅実な投資適格格付の維持と調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率2倍を目標としつつ、毎年の年間配当金を増額または維持する累進配当の方針を継続する。2025年度の期末配当金は1株当たり100円(変更なし)。2026年度は1株当たり年間配当金204円への増配を予定している。自己株式の取得は適切な場合に取り組むとしている。

中期経営計画/トピック

武田薬品は「Horizon 1:成長に向けた変革」から「Horizon 2:成長の加速」へと2つの成長段階を掲げ、Capital Markets Dayを2026年度後半に計画している。今後12ヵ月以内にoveporexton(ナルコレプシータイプ1、2026年度下期上市予定)、rusfertide(真性多血症、2026年度下期上市予定)、zasocitinib(乾癬、2027年度上期上市予定)の3製品の上市を計画しており(いずれも規制当局からの承認取得が前提)、これを起点に新たな成長局面への移行をめざす。2026年度以降は新組織体制に沿ったトランスフォーメーション・プログラムを推進し、2028年度までに年換算2,000億円以上の節減効果(うち2026年度は約1,000億円)を見込む一方、事業構造再編費用は2026年度に約1,700億円を計上する見込み。なお、クリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOは2026年6月をもって退任する意向を表明しており、後任としてジュリー・キム氏が2026年6月の定時株主総会での承認可決をもって代表取締役社長CEOに就任する予定。

成長と株主還元へのコミットメント
出典:武田薬品工業 2026年3月期 通期 決算説明資料(2026年6月5日修正版)P.27

※本記事は武田薬品工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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