積水化学工業

積水化学工業、2026年3月期は売上高13,093億円で4期連続の最高更新 営業利益1,065億円と減益も経常利益は過去最高の1,172億円

決算サマリー 2026.08.11
積水化学工業、2026年3月期は売上高13,093億円で4期連続の最高更新 営業利益1,065億円と減益も経常利益は過去最高の1,172億円

※本記事は積水化学工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

積水化学工業の2026年3月期(2025年度)通期決算は、売上高13,093億円(前期12,978億円、+115億円)と4期連続で最高売上高を更新した一方、営業利益は1,065億円(前期1,080億円、▲15億円)と減益となった。経常利益は主に為替差益の増加により1,172億円(+63億円)と過去最高、親会社株主に帰属する当期純利益は第3四半期に減損損失を計上したものの政策保有株式の売却益もあり752億円(▲68億円)で、経常利益・最終利益とも見通し(1月)を上回って着地した。配当は見通し(1月)通り1円増配の1株当たり年間80円(期末配当40円)で16期連続増配、総還元性向は92.1%となった。2026年度(2027年3月期)は売上高14,084億円、営業利益1,150億円といずれも過去最高となる増収営業増益を計画する。

目次

連結業績(2025年度 実績)

売上高は国内外の市況低迷継続の影響により見通し(1月)の13,279億円を下回ったものの、前期比+115億円の増収となり4期連続で最高売上高を更新した。営業利益は▲15億円の減益で見通し(1月)を35億円下回った。上期は市況低迷影響を受け減益(上期営業利益454億円、前年同期比▲33億円)となったが、下期は4セグメントとも各施策効果が発現し、売上高6,795億円・営業利益610億円(前年同期比+18億円)と全社で過去最高益を更新した。売上総利益は4,242億円(売上総利益率32.4%、前期と同水準)、販売費および一般管理費は3,177億円(+50億円)。特別損失は627億円(前期156億円)となり、減損損失として積水BR 149億円、SEKISUI DIAGNOSTICS LLC(北米)39億円、SEKISUI DIAGNOSTICS (UK) LIMITED(欧州)24億円を計上した。税引前利益は1,050億円(▲150億円)、法人税等は277億円。EBITDAは1,646億円(+29億円)で過去最高となった。ROEは9.1%(前期10.2%)、ROICは7.6%(同8.1%)。期中平均為替レートは1米ドル151円(前期153円)、1ユーロ175円(同164円)。

項目2025年度(当期)2024年度(前期)増減
売上高13,093億円12,978億円+115億円
売上総利益4,242億円4,206億円+36億円
売上総利益率32.4%32.4%0%
販売費および一般管理費3,177億円3,127億円+50億円
営業利益1,065億円1,080億円▲15億円
経常利益1,172億円1,110億円+63億円
税引前利益1,050億円1,200億円▲150億円
親会社株主に帰属する当期純利益752億円819億円▲68億円
EBITDA1,646億円1,617億円+29億円
ROE9.1%10.2%▲1.2%
1株当たり年間配当金80円79円+1円

セグメント別の状況(2025年度 実績)

住宅カンパニーが増収・大幅増益となり、他セグメントをカバーした。住宅は売上高5,362億円(+122億円)、営業利益372億円(+57億円)で、新築住宅市況の低迷により住宅事業の売上棟数は減少(前年比▲265棟)したものの、集合住宅と高価格帯戸建の拡大による棟単価アップとリフォーム事業の伸長が増益に貢献した。事業別売上高は住宅3,420億円(前期3,373億円)、リフォーム1,149億円(同1,072億円)、レジデンシャル739億円(同709億円)。高機能プラスチックスは売上高4,566億円(+92億円)、営業利益593億円(▲19億円)で、モビリティ分野におけるHUD向け中間膜の伸長や航空機需要増があったものの、開発加速等による固定費増と一時費用の影響を受け減益となった(一時費用を除けば増益)。環境・ライフラインは売上高2,404億円(▲1億円)、営業利益232億円(+3億円)と、市況低迷の長期化やインド市況の影響を受けるもスプレッド維持と固定費抑制により増益を確保し、4期連続で年度最高益を更新した。メディカルは米国の重点感染症検査キットの需要減と中国の医療費抑制策による市況低迷が継続し、売上高937億円(▲55億円)、営業利益111億円(▲17億円)と減収減益。「その他」の内訳はペロブスカイト太陽電池事業(PV)▲43億円、定置型リチウムイオン電池事業(LB)▲6億円、バイオリファイナリー事業(BR)▲19億円、R&D他▲60億円。

セグメント売上高(2025年度)売上高(2024年度)営業利益(2025年度)営業利益(2024年度)
高機能プラスチックス4,566億円4,474億円593億円612億円
住宅5,362億円5,240億円372億円315億円
環境・ライフライン2,404億円2,405億円232億円230億円
メディカル937億円992億円111億円128億円
その他78億円76億円▲127億円▲116億円
消去又は全社▲254億円▲208億円▲117億円▲89億円
合計13,093億円12,978億円1,065億円1,080億円
2025年度 セグメント別売上高・営業利益
出典:積水化学工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.7

2026年度(2027年3月期)通期業績予想

2026年度は、引き続き先行き不透明な市場環境を想定するものの、高付加価値品の量的拡大により成長を加速し、売上高14,084億円(+991億円)、営業利益1,150億円(+85億円)と、いずれも過去最高となる増収営業増益を計画する。経常利益は前年の為替差益の影響が大きく1,140億円(▲32億円)と減益を見込む一方、親会社株主に帰属する当期純利益は760億円(+8億円)の増益計画。ROEは9.0%を計画する。セグメント別では4セグメントいずれも増収増益で、高機能プラスチックスと環境・ライフライン、および全社合計で最高益更新を計画する。「その他」の内訳はPV▲54億円、LB▲7億円、R&D他▲80億円。上期・下期とも全セグメントで増収増益を目指し、下期は全セグメントで最高益を計画する。前提となる為替レートは上期・下期とも1米ドル155円、1ユーロ183円(為替感応度は社内前提レートで対米ドル1円の円安あたり営業利益+約5億円/年)、国産ナフサ価格は各四半期65,000円/KLを前提とする。人的資本投資(労務費)▲115億円などの固定費増を、「数量・構成」の大幅増、「売値」改善、「CR等」「為替」差益でカバーする計画。設備投資(資本的支出)は1,100億円(+171億円)、減価償却費618億円(+59億円)、研究開発費470億円(+14億円)、EBITDAは1,788億円(+142億円)と過去最高を計画する。

項目2026年度計画2025年度実績増減
売上高14,084億円13,093億円+991億円
営業利益1,150億円1,065億円+85億円
経常利益1,140億円1,172億円▲32億円
親会社株主に帰属する当期純利益760億円752億円+8億円
1株当たり年間配当金81円80円+1円
ROE9.0%9.1%▲0.1%
EBITDA1,788億円1,646億円+142億円
資本的支出1,100億円929億円+171億円
減価償却費618億円559億円+59億円
研究開発費470億円456億円+14億円
セグメント売上高(2026年度計画)売上高 増減営業利益(2026年度計画)営業利益 増減
高機能プラスチックス4,876億円+310億円645億円+52億円
住宅5,820億円+458億円400億円+28億円
環境・ライフライン2,554億円+150億円250億円+18億円
メディカル973億円+36億円120億円+9億円
その他91億円+13億円▲140億円▲13億円
消去又は全社▲230億円+24億円▲125億円▲8億円
合計14,084億円+991億円1,150億円+85億円
2026年度計画 セグメント別売上高・営業利益
出典:積水化学工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.14

株主還元

2025年度は見通し(1月)通り期末配当40円とし、1株当たり年間配当80円(前年比+1円)で16期連続増配となった。配当性向は43.6%、DOE(自己資本配当率)は4.0%。あわせて1,400万株の自己株式購入(364億円)および消却を実施し、総還元性向は92.1%となった。2026年度は1株当たり年間1円増配の81円を計画し、17期連続増配を目指す。自己株式購入枠(上限400万株/120億円)を設定し、自己株式消却2,500万株を計画する(計画ベースの配当性向42.7%、DOE3.7%、総還元性向58.5%)。中期(2023-25)の還元方針は、配当性向40%以上、DOE3%以上、総還元性向はD/Eレシオ0.5以下であれば50%以上とし、中期計画の投資進捗・キャッシュポジション・株価を考慮して適宜追加還元を実施、自己株式消却は発行済株式総数の5%以内となるよう新規取得見合い分を消却するとしている。

株主還元実績(当期純利益・年間配当額・自己株式購入の推移)
出典:積水化学工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.3

財務状況・キャッシュ・フロー

2026年3月末の資産合計は14,279億円(前期末比+971億円)。有形固定資産は4,626億円(+587億円)、棚卸資産は3,539億円(+401億円)と増加した。有利子負債は1,448億円(+340億円)、ネット有利子負債は476億円(前期末▲318億円)、純資産合計は8,811億円(+458億円)。自己資本比率は59.6%(▲1.1ポイント)、D/Eレシオ(ネット)は0.06(前期末▲0.04)、ROICは7.6%(同8.1%)。キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが783億円(前期1,192億円)、投資活動によるキャッシュ・フローが▲691億円(同▲615億円)、財務活動によるキャッシュ・フローが▲465億円(同▲612億円)で、フリーキャッシュ・フロー(営業CF+投資CF-配当金支払)は▲264億円(前期248億円)。現金及び現金同等物の期末残高は924億円(前期末1,209億円)となった。連結対象会社数は連結会社145社(増加5社、減少5社で前期末並み)、持分法会社6社。

トピック(ペロブスカイト太陽電池/中東情勢の影響)

現有生産設備による1メートル幅での製造技術、ならびに金属屋根を対象とした設置仕様を確立し、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の事業開始を決定した。2026年度は現有設備による限定的な生産量ながら可能な限りの製品提供を推進し、2027年度の100MW生産ライン(投資額900億円)立ち上げによる供給量拡大を最優先事項として取り組む。製品の提供先は、環境省2025公募「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」で採択された自治体・事業者(さいたま市、滋賀県、西日本高速道路株式会社、福岡県、福岡市)、および東京都「都有施設へのAirソーラー先行導入事業」。また、中東情勢の悪化による影響については2026年度の経営計画に反映しておらず、2026年度第1四半期における影響は軽微と想定する。原料・部材等の価格上昇による2026年度上期の想定影響は▲140億円程度(サプライヤーからの情報をもとに試算)で、原則として価格転嫁でカバーし、高機能品シフトによる利益率・収益改善で影響の最小化を図る方針。

フィルム型ペロブスカイト太陽電池の事業開始について
出典:積水化学工業 2026年3月期 通期 決算説明資料 P.4

※本記事は積水化学工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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