※本記事はZUUが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
ZUU(東証グロース:4387)が2026年3月期通期決算説明資料を公表した。連結業績は売上高2,622百万円(前期比△12.4%)、営業利益△345百万円(前期は14百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損益△398百万円(前期は120百万円の利益)となり、減収減益で損失に転じた。第一四半期の大型案件の失注や不動産/金融DX事業・経営コンサルティング事業の減収に加え、2026年3月に発生した資金流出事案に伴う特別損失、ZUU Wealth Managementの大型アーンアウト計上などが影響した。2027年3月期は売上高2,949百万円(前期比+12.5%)、営業利益53百万円を見込み、黒字転換を計画している。
資金流出事案の発生と対応
2026年3月19日、9,600万円の資金流出事案が発生した。外部専門家(弁護士)である法律事務所に特別調査を依頼し、調査結果報告書を受領した。調査の結果、本事案は悪意を持った外部の第三者によって引き起こされたものであり、当社の役職員が意図的に不正行為に及んだものではなく、いわゆる故意の事案ではないことが確認された。
発生原因として、支払承認及び出金手続にかかる内部統制の体制の不十分さ、経理部門のリソース不足、内部監査結果のリソース不足、サイバーセキュリティ体制の脆弱性の4項目が挙げられている。再発防止策として、送金承認プロセスの抜本的見直しや高額振込時の確認フロー必須化、経理部門の人員増強、内部監査結果の取締役会への定期報告、全社員向けサイバー攻撃対策研修の継続実施、再発防止管理チームの創設などに取り組む。経営責任として、代表取締役 冨田和成及び取締役(管理担当)樋口拓郎が月額報酬の30%を3ヶ月分自主返上する旨を申し入れており、返上期間中は賞与その他の業績連動報酬を支給しない。

連結業績(2026年3月期 実績)
2026年3月期の連結業績は、売上高2,622百万円(前期比△12.4%)、売上総利益1,698百万円(前期比△13.4%)、販売管理費2,044百万円(前期比+5.1%)、営業利益△345百万円(前期は14百万円の利益)、EBITDA△113百万円(前期は71百万円)、経常利益△67百万円(前期は54百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損益△398百万円(前期は120百万円の利益)となった(単位は百万円、以下同様)。販管費の増加はZUU Wealth Managementのアーンアウト計上分を含んでおり、これを除いた実態販管費は1,860百万円で前期比85百万円の削減となっている。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,993 | 2,622 | △12.4% |
| 売上総利益 | 1,960 | 1,698 | △13.4% |
| 販売管理費 | 1,945 | 2,044 | +5.1% |
| 営業利益 | 14 | △345 | – |
| EBITDA | 71 | △113 | – |
| 経常利益 | 54 | △67 | – |
| 親会社株主に帰属する当期純損益 | 120 | △398 | – |
期初に公表した2026年3月期通期ガイダンス(売上高3,400百万円、営業利益100百万円)に対し、実績は売上高2,622百万円(ガイダンス比△778百万円、△22.9%)、営業利益△345百万円(同△445百万円)となった。乖離要因として、第一四半期の大型案件の失注、不動産/金融DX事業の減収、経営コンサルティング事業の減収、ZUU Wealth Managementの減収減益及び大型アーンアウトの追加発生、資金流出事案や投資有価証券の評価損・売却損等の特別損失、投資有価証券売却益等の特別利益が挙げられている。
| 項目 | 期初ガイダンス | 2026年3月期実績 | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,400 | 2,622 | △778 | △22.9% |
| 営業利益 | 100 | △345 | △445 | – |
| EBITDA | – | △113 | – | – |
| 経常利益 | 125 | △67 | △192 | – |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3 | △398 | △401 | – |
ドメイン別業績
ドメイン別(全社共通コスト配賦前)では、フィンテック・トランザクションの売上高が2,026百万円(前期比+7.3%)、営業利益が406百万円(前期比△32.5%)となった。フィンテック・プラットフォームは売上高595百万円(前期比△46.1%)、営業利益154百万円(前期比△61.5%)となった。フィンテック・トランザクションの主要KPIは、累計調達支援額が約269億円(前期比+57.1%)、GMV(金融取引流通総額)が約33億円(前期比+27.4%)、AUM(預かり資産運用額)が約525億円(前期比+20.6%)と、いずれも拡大した。アーンアウト影響を除いた営業損失の実態は△161百万円であり、EBITDAベースでは下期から黒字転換を果たしたとしている。
| ドメイン | 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| フィンテック・トランザクション | 売上高 | 1,888 | 2,026 | +7.3% |
| フィンテック・トランザクション | 営業利益(全社共通コスト配賦前) | 開示なし | 406 | △32.5% |
| フィンテック・プラットフォーム | 売上高 | 1,104 | 595 | △46.1% |
| フィンテック・プラットフォーム | 営業利益(全社共通コスト配賦前) | 開示なし | 154 | △61.5% |

事業構造改革の状況
資料は、送客アフィリエイト事業の急成長期に固定費を一気に増やしたこと、営業組織化を躊躇したことの2点を経営判断のミスとして総括している。構造改革の結果、四半期ベースの粗利率は1Q 51.7%から4Q 70.7%へ+19pt改善し、EBITDAは2Q以降3四半期連続で黒字(2Q+35百万円、3Q+14百万円、4Q+27百万円)を確保した。人員面では、連結従業員数が121名から96名へ25名減少(△20.7%)、単体従業員数が98名から65名へ33名減少(△33.7%)となった。過去2年累計(FY24→FY26)では連結△37%、単体△46%の削減となっている。営業比率は1Qの10%から4Qには37.1%へ拡大した。

通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期の通期ガイダンスは、売上高2,949百万円(前期比+12.5%)、営業利益53百万円、EBITDA173百万円、経常利益440百万円、親会社株主に帰属する当期純利益10百万円としている。資料は、経常利益にはファンド運用に係る投資有価証券受取利息が含まれ、当該運用益は持分比率に応じて一部が非支配株主持分に帰属するため、親会社株主に帰属する当期純利益への寄与は経常利益の増減と一致しないと注記している。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期ガイダンス | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,622 | 2,949 | +12.5% |
| 営業利益 | △345 | 53 | – |
| EBITDA | △113 | 173 | – |
| 経常利益 | △67 | 440 | – |
| 親会社株主に帰属する当期純損益 | △398 | 10 | – |

グローバルマーケティングの子会社化
セールステック領域の強化を目的に、2026年3月25日開催の取締役会でデジタルマーケティングコンサルティング会社の株式会社グローバルマーケティング(2020年3月設立、代表取締役 左子義則、従業員21名(2025年5月末時点)、資本金3百万円)の子会社化を決議した。第1回取得(2026年4月1日実行)では発行済株式の70%(14株)を250百万円(アドバイザリー費用等含む総額約259百万円)で取得し、同日付で当社の子会社となった。第2回取得(2029年7月中旬までを予定)では残30%(6株)を上限344百万円(業績連動設計)で取得し、完全子会社化後は2027年3月期より連結子会社として業績に計上する予定である。対象会社は顧客数105社、広告代理店経由の継続率約69%を有し、売上高は2025年5月期に1,240,477千円となっている。2027年3月期より、経営コンサルティング事業はフィンテック・トランザクションからグロースセグメントへ、グローバルマーケティングはグロースセグメントのデジタルマーケティング領域の中核企業として位置付けられる。
※本記事はZUUが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。