※本記事はクレハが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
クレハの2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)連結業績は、売上収益1,617億円(前期比3億円減、ほぼ前期並み)、本業の収益力を示すコア営業利益は145億円(前期比45億円増)と増益となった。一方、PVDF事業とクレメジン(医薬品)製造設備で計365億円の減損損失を計上した結果、営業利益は186億円の損失(前期は94億円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期利益も107億円の損失(前期は78億円の利益)と、いずれも赤字に転落した。2027年3月期は減損要因がなくなることで営業利益・当期利益とも黒字回復を見込む一方、コア営業利益はコスト増により100億円へ減益を予想している。
連結業績(2026年3月期 実績)
売上収益は機能製品のPGA・PPSや樹脂製品の家庭用品が増収となったものの、PVDFの販売構成変化による単価下落や樹脂製品のML事業撤退(前年上期)などにより、前期並みにとどまった。コア営業利益はPPS損益の改善やPVDFの前期在庫評価損の解消により増益となったが、PVDF事業・医薬品事業の減損損失計上により営業利益・当期利益は大幅な赤字となった。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2025年3月期実績 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1,617億円 | 1,620億円 | △3億円 |
| コア営業利益 | 145億円 | 100億円 | +45億円 |
| 営業利益 | △186億円 | 94億円 | △280億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | △107億円 | 78億円 | △185億円 |
| EBITDA | 302億円 | 221億円 | +81億円 |
| ROE | △5.7% | 3.6% | △9.3pt |
| 自己資本比率 | 49% | 61% | △12pt |
セグメント別の状況
機能製品(PGA・PPS等)は増収増益、化学製品(農薬中心)も原材料価格下落で増益となった。一方、樹脂製品は業務用包材の販売終了により減収、コア営業利益も微減。その他関連(環境事業・運送事業・病院事業)は売上収益・コア営業利益とも前期を下回った。
| セグメント | 指標 | 2026年3月期実績 | 2025年3月期実績 |
|---|---|---|---|
| 機能製品 | 売上収益 | 613億円 | 574億円 |
| 機能製品 | コア営業利益 | 21億円 | △20億円 |
| 化学製品 | 売上収益 | 295億円 | 307億円 |
| 化学製品 | コア営業利益 | 14億円 | 6億円 |
| 樹脂製品 | 売上収益 | 367億円 | 405億円 |
| 樹脂製品 | コア営業利益 | 69億円 | 71億円 |
| 建設関連 | 売上収益 | 160億円 | 148億円 |
| 建設関連 | コア営業利益 | 15億円 | 14億円 |
| その他関連 | 売上収益 | 182億円 | 186億円 |
| その他関連 | コア営業利益 | 26億円 | 29億円 |

トピックス:減損の背景とPVDF・PGA事業の状況
PVDF事業は欧米EV市場の低迷により想定していた需要回復が遅れているとして、今春増設した設備を含む国内外の製造設備について340億円の減損損失を計上した。医薬品事業でも球形吸着炭「クレメジン」製造設備を25億円全額減損した。PGA事業(フラックプラグ用途)は米国樹脂工場の生産トラブルにより赤字が継続したものの、2025年度は過去最高の販売本数を記録し増収。2026年度に事業損益が黒字化しない場合は抜本的な事業構造の見直しを検討するとしている。

通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期は、PGA・家庭用品・釣糸・建設関連の販売増により売上収益1,720億円(前期比+103億円)を見込む一方、中東情勢緊迫化に伴う原燃料価格上昇などのコスト増により、コア営業利益は100億円(前期比△45億円)へ減益を予想する。前期に計上した減損損失がなくなることで、営業利益は110億円(前期は186億円の損失)、当期利益は75億円(前期は107億円の損失)と、いずれも黒字転換を見込む。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 2026年3月期実績 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1,720億円 | 1,617億円 |
| コア営業利益 | 100億円 | 145億円 |
| 営業利益 | 110億円 | △186億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 75億円 | △107億円 |
| EBITDA | 230億円 | 302億円 |
| ROE | 4.5% | △5.7% |
| 自己資本比率 | 48% | 49% |

株主還元
配当については、将来の事業展開に向けた積極投資のための内部留保を充実させつつ安定的な配当を行うことを基本方針とする。2025年度(2026年3月期)の年間配当は214.0円(DOE5.0%)の実績となり、2026年度(2027年3月期)は216.0円(DOE5.0%目安)を計画している。2027年度以降もDOE5%を目安とした配当を計画するが、想定以上の事業環境変化や成長投資があった場合は機動的に配当率を見直すとしている。
| 区分 | 年間配当 | DOE |
|---|---|---|
| 2025年度(2026年3月期)実績 | 214.0円 | 5.0% |
| 2026年度(2027年3月期)計画 | 216.0円 | 5.0%目安 |

※本記事はクレハが公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。