※本記事は日本板硝子が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
日本板硝子は2026年3月期の通期決算を発表した。連結売上高は8,795億円(前期比391億円増)、営業利益は288億円(前期比123億円増)となり、増収増益を確保した。営業利益は通期業績予想の310億円を下回ったものの、英国での一過性の税効果もあり純利益は44億円と予想の20億円を上回った。2027年3月期は売上高8,800億円、営業利益360億円を予想する一方、2026年3月24日にはアポロ・ファンドとの資本再構成を通じた「新生NSGグループ」に向けた抜本的施策を公表した。
連結業績(2026年3月期 実績)
連結損益計算書によれば、売上高は8,795億円(前期比391億円増)、営業利益は288億円(前期比123億円増、営業利益率3.3%で前期比1.3pt改善)となった。事業別では建築用ガラス事業が欧州の販売価格上昇により改善、高機能ガラス事業も製品構成の改善で増益となった一方、自動車用ガラス事業は北米の一時的な生産効率低下の影響で減益となった。個別開示項目は55億円の費用で、第1四半期のベトナム建築用ガラス製造子会社の持分譲渡益、第2四半期の英国債売却損失、第4四半期の北米自動車用ガラス事業ののれん減損損失(34億円)が含まれる。金融費用は283億円で前期の253億円から30億円増加した。法人所得税は英国において収益性改善に伴う一過性の繰延税金資産計上(88億円)があり51億円の費用マイナスとなった結果、当期利益は55億円、親会社の所有者に帰属する純利益は44億円となり、通期業績予想を上回った。
| 項目 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,795億円 | 8,404億円 | +391億円 |
| 営業利益 | 288億円 | 165億円 | +123億円 |
| 営業利益率 | 3.3% | 2.0% | +1.3pt |
| 個別開示項目(純額) | △55億円 | △52億円 | △3億円 |
| 金融費用(純額) | △283億円 | △253億円 | △30億円 |
| 当期利益(△損失) | 55億円 | △135億円 | +190億円 |
| 純利益(△損失) | 44億円 | △138億円 | +183億円 |

セグメント別(事業別)の状況
事業別では、建築用ガラス事業が売上高3,750億円(前期比120億円増)、営業利益300億円(前期比165億円増)と増収増益となった。欧州は販売価格・販売構成の改善とフロート窯停止に伴うコスト改善が寄与して増収増益、アジアは日本の新設住宅着工戸数減少や太陽電池パネル用ガラスの需要減少により累計では減収増益、米州は原燃材料価格上昇分の価格転嫁で販売価格が改善したものの増収減益となった。自動車用ガラス事業は売上高4,572億円(前期比278億円増)、営業利益50億円(前期比27億円減)で増収減益となった。補修用ガラス事業を中心に販売価格の改善が進んだ一方、北米新車用ガラス事業の一時的な生産効率低下の影響を受けた。高機能ガラス事業は売上高460億円(前期比6億円減)、営業利益86億円(前期比11億円増)となり、上半期は一部製品の販売時期の影響を受けたものの下半期に販売構成が計画通り改善し、減収増益となった。
| 事業 | 指標 | 2026年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 建築用ガラス事業 | 売上高 | 3,750億円 | 3,630億円 |
| 建築用ガラス事業 | 営業利益 | 300億円 | 136億円 |
| 自動車用ガラス事業 | 売上高 | 4,572億円 | 4,294億円 |
| 自動車用ガラス事業 | 営業利益 | 50億円 | 77億円 |
| 高機能ガラス事業 | 売上高 | 460億円 | 466億円 |
| 高機能ガラス事業 | 営業利益 | 86億円 | 76億円 |
| その他 | 売上高 | 12億円 | 13億円 |
| その他 | 営業利益 | △149億円 | △123億円 |
| 合計 | 売上高 | 8,795億円 | 8,404億円 |
| 合計 | 営業利益 | 288億円 | 165億円 |

財務基盤・キャッシュ・フロー
2026年3月末の総資産は1兆1,175億円で前期末比846億円増加した。円安の影響で有形固定資産を中心に非流動資産が659億円増加したほか、長期借入金からのシフトにより流動負債が1,508億円増加した。親会社の所有者に帰属する持分は前期末比432億円増の1,512億円となり、自己資本比率は13.5%と前期末から3.1pt改善した。有利子負債は運転資本の増加と為替影響により前期末比235億円増の5,483億円となった。キャッシュ・フローでは、営業活動によるキャッシュ・フローが運転資本の増加により前期の524億円から336億円へ減少した一方、投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産取得に伴う支出の減少やベトナムフロートグラス社の持分譲渡収入により前期比99億円改善の△326億円となった。この結果、フリー・キャッシュ・フローは11億円となり、前期の100億円から減少した。
通期業績予想(2027年3月期)
2027年3月期の業績予想は、売上高8,800億円、営業利益360億円としている。売上高は2026年3月期と同水準を見込む一方、下半期から欧州市場が徐々に改善すると見て、営業利益は再度360億円の水準を目指す。主要通貨は前年度に比べ円高を見込むほか、地政学リスクによるエネルギー価格・原材料価格の上昇や人件費等その他コストの増加も継続する見通しで、価格転嫁等によりコスト増を吸収する方針としている。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 2026年3月期実績 |
|---|---|---|
| 売上高 | 8,800億円 | 8,795億円 |
| 営業利益 | 360億円 | 288億円 |

中期経営計画「2030 Vision: Shift the Phase」の進捗
2025年3月期から2030年3月期を対象とする中期経営計画「2030 Vision: Shift the Phase」では2027年3月期の財務目標を掲げている。2026年3月期の進捗は、営業利益率3.3%(前年度比1.3pt改善)、フリー・キャッシュ・フロー11億円(運転資本の増加により前年度比で減少)、有利子負債5,483億円(前期末から235億円増加)、自己資本比率13.5%(前期末から3.1pt改善)となった。2027年3月期業績予想の営業利益率は4.1%であり、いずれも目標を下回る見込みで達成は厳しい状況としている。新生NSGグループに向けた抜本的施策の下でも中期経営計画および4つの「D」(Business Development、Decarbonization、Digital Transformation、Diverse Talent)に対するコミットメントは不変であり、優先順位を明確にしたうえで施策の推進を継続するとしている。
新生NSGグループに向けた抜本的施策
日本板硝子は2026年3月24日、アポロ・ファンドとのパートナーシップのもと、資本の再構成を通じた持続的な成長の実現に向けた抜本的施策の実施を決定したと公表した。施策は3点で構成され、(1)アポロ・ファンドによる第三者割当増資(TPA)を通じて総額1,650億円の出資を受領する、(2)株式併合を通じて既存株主から1株当たり500円(株式併合交付金額)で株式を買い取り、非公開化を行う、(3)主要金融機関による総額1,400億円の債務の株式化(疑似DES)を実施する、というもの。これらの施策は定時株主総会における必要な株主決議、および関係当局の許認可承認の取得を経て実施される予定である。

※本記事は日本板硝子が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。