※本記事は大盛工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
株式会社大盛工業は2025年11月17日、2025年7月期通期の決算説明資料および中期経営計画資料を公表した。売上高は6,443百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益は785百万円(同26.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は518百万円(同25.2%増)と増収増益となった。主力事業である建設事業において、上・下水道工事における期ズレ等の影響により売上高は当初計画を下回ったものの、完成工事の収益性が高まったことが寄与した。2026年7月期は売上高7,190百万円(同11.6%増)、営業利益657百万円(同16.3%減)を見込む。
連結業績(2025年7月期 実績)
売上高は6,443百万円で前年同期比462百万円(7.7%)の増収、営業利益は785百万円で同163百万円(26.2%)の増益となった。営業利益率は前期の10.4%から12.2%へ上昇し、ROEは7.8%から9.1%、EPSは22.72円から27.80円となった。2025年5月16日公表の修正予想(売上高6,405百万円、営業利益759百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益516百万円)に対しては、売上高で0.6%、営業利益で3.4%、当期利益で0.4%それぞれ上回って着地した。
| 項目 | 2025年7月期 | 2024年7月期 | 差額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 6,443 | 5,981 | +462 | +7.7% |
| 営業利益(百万円) | 785 | 621 | +163 | +26.2% |
| 税引前利益(百万円) | 759 | 605 | +154 | +25.5% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) | 518 | 414 | +104 | +25.2% |
| 営業利益率(%) | 12.2 | 10.4 | ー | ー |
| ROE(%) | 9.1 | 7.8 | ー | ー |
| EPS(円) | 27.80 | 22.72 | ー | ー |

セグメント別の状況
資料によれば、OLY事業は東北・関東圏における覆工工事の発注が少なく減益となったものの、建設事業において設計変更による収益性の高い工事を完工したこと等により、グループ全体では増益となった。営業利益の増減要因は、建設事業が上・下水道工事における収益性の高い工事の完工により増益、不動産事業が保有賃貸物件の入居率向上により増益、通信関連事業がNTT新サービスの開始等に伴う工事量の増加により増益、OLY事業が減益となっている。
建設事業は売上高4,814百万円(前期4,338百万円)、営業利益503百万円(同394百万円)。工事高の内訳では、受注工事高が5,915百万円(前期5,466百万円)、完成工事高が4,814百万円(同4,338百万円)、繰越工事高が6,819百万円(同5,718百万円)となった。事業環境としては、上・下水道管の老朽化により布設替工事、再構築工事が増加傾向にある一方、河川工事の受注は競合他社が多く厳しい状況と説明している。
不動産事業は売上高600百万円(前期676百万円)、営業利益116百万円(同74百万円)。2025年7月末現在の主要関東圏の賃貸物件は単身者マンションが13棟277戸で入居率96.8%、ファミリーマンションが3棟93戸で入居率95.7%。保有賃貸物件の販売は2物件の販売計画に対し1物件に留まった。OLY事業は売上高594百万円(前期566百万円)、営業利益89百万円(同97百万円)で、施工実績は2025年7月期末現在で全国40都道府県、4,720現場に達した。通信関連事業は売上高449百万円(前期418百万円)、営業利益75百万円(同55百万円)で、契約事業拠点数は41件で推移している。
| セグメント | 指標(百万円) | 2025年7月期 | 2024年7月期 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 建設事業 | 売上高 | 4,814 | 4,338 | P.11 |
| 建設事業 | 営業利益 | 503 | 394 | P.11 |
| 建設事業 | 受注工事高 | 5,915 | 5,466 | P.11 |
| 建設事業 | 繰越工事高 | 6,819 | 5,718 | P.11 |
| 不動産事業 | 売上高 | 600 | 676 | P.12 |
| 不動産事業 | 営業利益 | 116 | 74 | P.12 |
| OLY事業 | 売上高 | 594 | 566 | P.13 |
| OLY事業 | 営業利益 | 89 | 97 | P.13 |
| 通信関連事業 | 売上高 | 449 | 418 | P.14 |
| 通信関連事業 | 営業利益 | 75 | 55 | P.14 |

財政状態
総資産は12,000百万円(前期11,900百万円)と微増となったが、利益剰余金の増加により純資産は300百万円増加した。資料では、流動資産が棚卸資産の取得による現金及び預金の減少、固定資産が社員寮購入による土地・建物の増加、負債が工事進捗に伴う収益化による未成工事受入金の減少と説明されている。
2026年7月期 業績予想
2026年7月期は売上高7,190百万円(前期比11.6%増)、営業利益657百万円(同16.3%減)、税引前利益607百万円(同20.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益431百万円(同16.8%減)を予想する。建設事業セグメントにおいて前連結会計年度の受注工事高、繰越工事高が増加したことから売上高は11.6%増を見込む一方、利益面では増額設計変更による上積みが前期ほど見込めないため、前々期程度の利益になると予想している。セグメント別の予想は、建設事業が売上高5,390百万円・営業利益310百万円、不動産事業が売上高800百万円・営業利益146百万円、OLY事業が売上高619百万円・営業利益170百万円、通信関連事業が売上高380百万円・営業利益30百万円。
| 項目 | 2026年7月期 予想 | 2025年7月期 実績 | 差額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 7,190 | 6,443 | +746 | +11.6% |
| 営業利益(百万円) | 657 | 785 | -127 | -16.3% |
| 税引前利益(百万円) | 607 | 759 | -152 | -20.0% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円) | 431 | 518 | -87 | -16.8% |
| 営業利益率(%) | 9.1 | 12.2 | ー | ー |
| ROE(%) | 7.1 | 9.1 | ー | ー |
| EPS(円) | 23.12 | 27.80 | ー | ー |

株主還元
同社グループは、株主に対する利益還元を経営の最重要政策の一つとして位置づけ、経営基盤の強化と事業領域拡大のためのM&A等に必要な資金を確保しつつ、配当性向40%以上の実施を基本として一層の配当政策の充実に努めるとしている。2025年7月期の1株当たり配当額は11.5円(配当性向41.4%)、2026年7月期は11.5円(同49.7%)を予想する。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 | 2026年7月期(予想) |
|---|---|---|---|
| 1株当たり配当額(円) | 10 | 11.5 | 11.5 |
| 配当性向(%) | 44.0 | 41.4 | 49.7 |

中期経営計画「ACTION PLAN 2025」
同社は新中期経営計画「ACTION PLAN 2025」(2025-2027)を策定した。長期ビジョン2030「暮らしに大切な『生活インフラ』を守り、未来に繋ぐ」の達成に向けた第一歩と位置づけ、既存事業の拡大およびグループ連携の強化を図り、収益力の向上を目指す。基本テーマは「確かな都市土木の技術力の継承と成長、そして飛躍へ」で、(1)事業領域・基盤の拡大による売上高・営業利益の向上、(2)施工管理者等の専門人材の増員・体制強化の継続による受注工事量の増加、(3)独自開発したOLY工法の更なる営業強化による事業の拡大、の3点を掲げる。財務目標は最終年度の2028年7月期に売上高8,433百万円、営業利益807百万円、営業利益率9.6%、当期純利益541百万円、ROE8.1%、EPS29.0円。キャッシュ・アロケーションでは3年間で1,700百万円の営業キャッシュフローを創出し、既存ビジネスの拡大に700百万円、新規事業利益の創出に300百万円、配当に600〜700百万円を配分する計画である。なお、計画1期目にあたる2026年7月期に同社は設立60周年を迎える。
前中期経営計画「ACTION PLAN 2022」の振り返りでは、事業エリアの拡大の未達、受注競争の激化等により売上高は当初計画(7,637百万円)を下回る6,443百万円となった一方、建設事業において収益性の高い施工への設計変更増額等により営業利益は当初計画(444百万円)を大幅に上回る785百万円、営業利益率も計画の5.8%に対し12.2%となった。また資本コストや株価を意識した経営への対応として、株主資本コストは概ね5.0%程度と認識しており、ROEは2025年7月期に9.1%と直近6期で資本コストを上回った。PBRは2018年7月期(1.04倍)以降は1倍割れの状態が続いていたが、2025年7月期には1.58倍にまで改善したとしている。今後は成長戦略と収益力向上策の実行、配当政策の充実と情報開示の強化に取り組む方針である。
※本記事は大盛工業が公開したIR資料(直近の通期決算説明資料)に基づく事実整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は開示資料に基づきますが、利益指標の定義や集計方法は会社により異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。